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新興世界秩序に関するキッシンジャーのインタビューについて押さえておくべき5つのポイント(抄訳)

新興世界秩序についてキッシンジャーが共有した洞察について、アンドリュー・コリブコ氏の解説の抄訳。
The Top Five Takeaways From Kissinger’s Interview About The Emerging World Order



 2023/05/17、ポリティコは、ヘンリー・キッシンジャーのロング・インタビューを掲載した。

 彼は主に新興世界秩序について語っているが、これはかなり長いし有料なので、ポイントを5つに絞って紹介してみる。



 1)AIとMADの組み合わせは人類の存亡を脅かす。

 キッシンジャーは、人工知能(AI)と相互確証破壊(MAD)が組み合わさり、人類に前例の無い脅威を齎すと確信している。但しこの問題が広く認識されれば、この問題を共同で管理することを目的とした中米協議の再開が促されるかも知れないと思っている。

 2)米国は中国との新デタントに関する協議を再開すべきだ。

 キッシンジャーは両国がデリケートな問題についての発言をトーンダウンし、2月の気球事故で予期せず脱線してしまった新デタントを再開するよう促している。それは実現可能であり、お互いに有益であるとキッシンジャーは信じている。

 3)米国はロシアと中国を分断する努力を続けるべきだ。

 「三角外交」のゴッドファーザーは、米国が以下のことを行う限り、ロシアと中国を再び分断することは可能だと考えている。
 ・中国との新デタントに関する協議を再開する。
 ・ロシアの前に、欧州に戻ると云う人参をぶら下げる。

 4)インドは世界の利益バランスにとって不可欠だ。

 キッシンジャーは、インドのトップ外交官を「私の見解に非常に近い実践的な政治指導者」と表現し、インドの多重同盟関係を、模倣する価値のあるモデルとして賞賛し、世界情勢の均衡を図る上でデリーが不可欠な役割を果たしていることから、インドに圧力を掛けるのではなく、プラグマティックに関与することを勧めた。

 5)米国は21世紀に向けて人心に訴えるヴィジョンを必要としている。

 国内面に関しては、キッシンジャーは、米国が21世紀に向けたヴィジョンを欠いていることに失望を表明している。そして「民主主義対独裁国家」と云う物語が如何に外交上の柔軟性を制限しているかを説明し、だからこそ、より人心に訴える政策を作り上げ、説得力を持って明確に表明するよう求めた。



 これら5点は、新興世界秩序についてキッシンジャーが共有した最も重要な洞察を要約している。他の部分は全て補足だ。彼に同意する人も反対する人も居るが、米国の恒常的な政策決定官僚組織に於ける彼の影響力を否定することは出来ない。それは彼の提案の少なくとも一部が、最重要人物達によって真剣に受け止められることを意味しているのだ。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
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