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加盟しなければウクライナはNATOに侵攻するかも知れないと仄めかすキッシンジャーはどうかしている(要点)

キッシンジャーの放言に関するアンドリュー・コリブコ氏の記事の要点。
Kissinger Is Crazy To Imply That Ukraine Might Invade NATO If It Doesn’t Become A Member



 2023/05/17、元国家安全保障補佐官兼国務長官のヘンリー・キッシンジャーの長文インタビューがポリティコに掲載された。多くの話題の中にはウクライナも含まれていたが、彼がウクライナがNATOが加盟しなければ、NATOに侵攻する可能性が有ると仄めかした。

 誤解を招かないように、彼自身の言葉を引用しよう。



 「我々は現在、ウクライナをヨーロッパで最も軍事的に優れた国でありながら、戦略的に最も経験の浅い指導者が率いる国となるまで武装化させた。

 若し戦争が予想通りに終わり、ロシアが得た利益の多くを失ってもセヴァストポリは保持した儘であれば、ロシアは不満だろうが、ウクライナも不満を抱くかも知れない———言い換えれば、不満のバランスだ。

 だから、ヨーロッパの安全の為には、クライナをNATOに加盟させる方が良いのだ。そうすれば、ウクライナは領土の主張について国家的な決定を下すことが出来なくなる。」



 キエフがNATOに牙を向けると云うシナリオは明らかに馬鹿げている。キエフは国際社会に於ける主体ではなく、NATOの対ロシア代理戦争の客体に過ぎない。また仮にキエフが隣国のポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアに攻め込んだが最後、NATO憲章第5条の相互防衛条項が発動され、キエフはNATO全体を相手にしなければならなくなる。キエフが来るべき停戦についてどれだけ不満を抱くことになろうとも、NATOに対して銃口を向けることは有り得ない。

 昨年12月にキッシンジャーはそれまでの立場を180度転換し、ウクライナのNATO加盟に対して賛成を表明する様になった。100歳を迎えるキッシンジャーは自分の遺産のことしか考えていない様で、自分の評判を守る為には、この嘘だらけの情報作戦のシナリオに乗っかって、無用な恐怖を煽った方が良いと判断したのだろう。

 NATOは恐らくウクライナを使い潰した後で、インドやアフリカ(つまり中国以外)の仲介によって停戦に同意するようキエフに要求するだろうが、その後でならウクライナのNATO加盟は有り得る。だがその理由はキエフの侵攻が怖いからではない。
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川流桃桜

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