ロシアのキンジャール極超音速ミサイルにキエフのパトリオットを粉砕され、NATOは恐慌状態に(抄訳)
アンドリュー・コリブコ氏の分析。ロシアのキンジャール極超音速ミサイルが、キエフの米国製のパトリオットを粉砕したことで、NATOの指導者達も流石に目を覚ましただろう。
NATO Is Panicking After Russia’s Kinzhal Hypersonic Missiles Smashed Kiev’s Patriots
Fake News Alert: It’s Extremely Unlikely That Kiev Shot Down A Hypersonic Missile
先ず、2023/05/04にキエフ軍が米国製のパトリオット防空システムによってロシア軍の極超音速ミサイルを撃墜した、と報じられたのはフェイクニュースだ。
世界中のどの国も(この分野では最先端を行っているロシアであっても)、音速の10倍で移動する飛翔体を撃ち落とす技術は持っていない。
ミサイルが落ちたとすれば精々、事故か故障が原因だろう。キエフ軍が撃ち落としたと云うことは有り得ない。
ところがキエフの方では05/16になって、更に6発を撃ち落としたと云う馬鹿馬鹿しい主張を追加した。
世界中どの国にだって出来ないのだから、キエフ軍が撃墜出来なかったからと云って別に恥ずかしい話ではないのだが、今や軍事専門家達さえこのキエフの荒唐無稽な主張を鸚鵡返しにしている為、この誇大広告を信じた西洋の市民達は、キエフ軍がロシア軍に対して無敵であると期待するまでになってしまった。
クレムリンの方ではそれがソフトパワー面に於て持つインパクトに気が付いており、撃墜される可能性が無いことを承知の上で、最近の攻撃に極超音速ミサイルを組み込んだ。そしてロシア国防省の発表では、05/16にはロシア軍のキンジャール極超音速ミサイルは、米国製パトリオット防空システムの発射台5基と多機能レーダー基地を完全に破壊した。
その後、攻撃の様子を映した映像がソーシャルメディア上で拡散したが、これに対しウクライナ秘密警察は画像を投稿した容疑者達を逮捕し、今後の同様の行為に対して厳重な警告を発した。何せ数百万ドル分の防空ミサイルが無駄になったことを世界中に知られてしまったのだ。
Russia claims it destroyed Ukrainian Patriot air defence system with hypersonic
他方、米国はパトリオットが損傷を受けたことは認めたが、破壊されたことは否定した。だが実際にその映像を見た人達の間では、その主張は疑惑を逸らす為の強弁であり、ロシア軍の主張の方が正しいのではと思う人が増えている為、これは大衆の認識にとって、極めて重要な転換点だったと言える。
これは、ウクライナでの代理戦争が通常の直接紛争に発展した場合には自国民を守ることが出来ると主張しているNATO諸国にとっては頭の痛い展開だ。この問題は彼等の信用に関わるからだ。
ロシアは現在、極超音速ミサイルを製造し、戦闘で使用した世界初の国であり、このゲームを一変させる軍事技術を独占している。つまり、最悪の場合にはパトリオットを中心としたNATOの防空網を容易に突破出来ると云うことだ。
上記の観察は「ロシアのプロパガンダ」ではない。2023/03/14の記事で、ワシントンのエスタブリッシュメント紙、ザ・ヒルはこの点についてこう述べている:
「米国は、状況を一変させる可能性の有る防衛システムの配備競争に於て、主要な敵国である中国とロシアに後れを取っている為、極超音速ミサイルの開発と調達の推進にフルスロットルで取り組んでいる。」
「国防総省はこの兵器をまだ配備しておらず、工業生産基盤や試験インフラには課題が残っている。」
「現在、米国ですら極超音速ミサイルを撃墜するのに十分な防衛システムを持っていない。 パトリオットや終末高高度地域防衛(THAAD)等の防空システムは、極超音速に達する弾道ミサイルを撃墜することが出来るが、それは狭い地域に限った話だ。」
従って理論的には、仮にロシアが先制核攻撃を実行すれば、西洋の核による第2次攻撃能力を破壊することも出来ることになる。
この現実に直面して、NATOの戦争屋共も背筋が凍り、素面に戻ったことだろう。
このハイブリッド戦争が失敗したら、通常の軍事的手段によって「ロシアをバルカン化」しようと云う考えは、そうなればロシアは自衛の為に西洋諸国を滅ぼすかも知れないと云う可能性を悟って蒸発した。反撃能力の一部が残り、それをロシアに対して使用することは出来るかも知れないが、ロシアがそうせざるを得ない状況にまで追い詰められた場合、西洋にとっては許容限度を超えた損害を与える可能性が有るのだ。
西洋の指導者達は、ロシアを解体する為だったら自分達を犠牲にすることも厭わない程「アタマがおかしい」訳ではない。彼等だって長生きはしたい。よって今彼等は、ネオコンの危険な幻想について再考していることだろう。
実際問題として、NATOが支援するキエフの反攻作戦が次の冬までに終われば、両国は停戦にもっと応じ易くなる可能性が有る。
そうなれば、アフリカ主導の和平ミッションがキエフに合意の条件を呑ませる見込みも高まる。自分達の面子を保つ為に、中国主導による同様の試みを決して受け入れられないNATO、特に米英の枢軸は、アフリカ主導のこの試みを歓迎するかも知れない。
今後の展開を予測するのは時期尚早だが、NATOの指導者達も流石に今回は、事態がエスカレートすることがどれだけ自殺行為であるかを悟っただろうから、この代理戦争からの「出口戦略」を考え始めるかも知れない。
ロシアのキンジャール・ミサイルは、軍事的な形勢を大きく変える存在となると同時に、恐らく近い内に、外交面でも形勢を変えることになるだろう。
NATO Is Panicking After Russia’s Kinzhal Hypersonic Missiles Smashed Kiev’s Patriots
Fake News Alert: It’s Extremely Unlikely That Kiev Shot Down A Hypersonic Missile
先ず、2023/05/04にキエフ軍が米国製のパトリオット防空システムによってロシア軍の極超音速ミサイルを撃墜した、と報じられたのはフェイクニュースだ。
世界中のどの国も(この分野では最先端を行っているロシアであっても)、音速の10倍で移動する飛翔体を撃ち落とす技術は持っていない。
ミサイルが落ちたとすれば精々、事故か故障が原因だろう。キエフ軍が撃ち落としたと云うことは有り得ない。
ところがキエフの方では05/16になって、更に6発を撃ち落としたと云う馬鹿馬鹿しい主張を追加した。
世界中どの国にだって出来ないのだから、キエフ軍が撃墜出来なかったからと云って別に恥ずかしい話ではないのだが、今や軍事専門家達さえこのキエフの荒唐無稽な主張を鸚鵡返しにしている為、この誇大広告を信じた西洋の市民達は、キエフ軍がロシア軍に対して無敵であると期待するまでになってしまった。
クレムリンの方ではそれがソフトパワー面に於て持つインパクトに気が付いており、撃墜される可能性が無いことを承知の上で、最近の攻撃に極超音速ミサイルを組み込んだ。そしてロシア国防省の発表では、05/16にはロシア軍のキンジャール極超音速ミサイルは、米国製パトリオット防空システムの発射台5基と多機能レーダー基地を完全に破壊した。
その後、攻撃の様子を映した映像がソーシャルメディア上で拡散したが、これに対しウクライナ秘密警察は画像を投稿した容疑者達を逮捕し、今後の同様の行為に対して厳重な警告を発した。何せ数百万ドル分の防空ミサイルが無駄になったことを世界中に知られてしまったのだ。
Russia claims it destroyed Ukrainian Patriot air defence system with hypersonic
他方、米国はパトリオットが損傷を受けたことは認めたが、破壊されたことは否定した。だが実際にその映像を見た人達の間では、その主張は疑惑を逸らす為の強弁であり、ロシア軍の主張の方が正しいのではと思う人が増えている為、これは大衆の認識にとって、極めて重要な転換点だったと言える。
これは、ウクライナでの代理戦争が通常の直接紛争に発展した場合には自国民を守ることが出来ると主張しているNATO諸国にとっては頭の痛い展開だ。この問題は彼等の信用に関わるからだ。
ロシアは現在、極超音速ミサイルを製造し、戦闘で使用した世界初の国であり、このゲームを一変させる軍事技術を独占している。つまり、最悪の場合にはパトリオットを中心としたNATOの防空網を容易に突破出来ると云うことだ。
上記の観察は「ロシアのプロパガンダ」ではない。2023/03/14の記事で、ワシントンのエスタブリッシュメント紙、ザ・ヒルはこの点についてこう述べている:
「米国は、状況を一変させる可能性の有る防衛システムの配備競争に於て、主要な敵国である中国とロシアに後れを取っている為、極超音速ミサイルの開発と調達の推進にフルスロットルで取り組んでいる。」
「国防総省はこの兵器をまだ配備しておらず、工業生産基盤や試験インフラには課題が残っている。」
「現在、米国ですら極超音速ミサイルを撃墜するのに十分な防衛システムを持っていない。 パトリオットや終末高高度地域防衛(THAAD)等の防空システムは、極超音速に達する弾道ミサイルを撃墜することが出来るが、それは狭い地域に限った話だ。」
従って理論的には、仮にロシアが先制核攻撃を実行すれば、西洋の核による第2次攻撃能力を破壊することも出来ることになる。
この現実に直面して、NATOの戦争屋共も背筋が凍り、素面に戻ったことだろう。
このハイブリッド戦争が失敗したら、通常の軍事的手段によって「ロシアをバルカン化」しようと云う考えは、そうなればロシアは自衛の為に西洋諸国を滅ぼすかも知れないと云う可能性を悟って蒸発した。反撃能力の一部が残り、それをロシアに対して使用することは出来るかも知れないが、ロシアがそうせざるを得ない状況にまで追い詰められた場合、西洋にとっては許容限度を超えた損害を与える可能性が有るのだ。
西洋の指導者達は、ロシアを解体する為だったら自分達を犠牲にすることも厭わない程「アタマがおかしい」訳ではない。彼等だって長生きはしたい。よって今彼等は、ネオコンの危険な幻想について再考していることだろう。
実際問題として、NATOが支援するキエフの反攻作戦が次の冬までに終われば、両国は停戦にもっと応じ易くなる可能性が有る。
そうなれば、アフリカ主導の和平ミッションがキエフに合意の条件を呑ませる見込みも高まる。自分達の面子を保つ為に、中国主導による同様の試みを決して受け入れられないNATO、特に米英の枢軸は、アフリカ主導のこの試みを歓迎するかも知れない。
今後の展開を予測するのは時期尚早だが、NATOの指導者達も流石に今回は、事態がエスカレートすることがどれだけ自殺行為であるかを悟っただろうから、この代理戦争からの「出口戦略」を考え始めるかも知れない。
ロシアのキンジャール・ミサイルは、軍事的な形勢を大きく変える存在となると同時に、恐らく近い内に、外交面でも形勢を変えることになるだろう。
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