シリコンヴァレー銀行崩壊:金融危機がCBDCの台頭を促進する
キット・ナイトリー氏の記事。2023年3月の金融危機は、予め仕組まれたものであるにせよそうでないにせよ(どの道後期資本主義システムに於ては銀行破綻が繰り返されるのは不可避だ)、CBDC(中央銀行デジタル通貨システム)を促進するシナリオに合致している。
The SVB Collapse: How financial crisis boosts the rise of CBDCs
2023/03/10(金曜日)、米国で16番目に大きな銀行であったシリコンヴァレー銀行(SVB)が全面的に破綻した。2008年の金融危機以来、最大の銀行破綻だった。
2日後(日曜日)までには、シルヴァーゲート銀行とシグネチャー銀行がSVBに加わり、完全に破綻した。3つとも現在は連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に安全に置かれている。
FDICは、SVBに預けられている全ての預金を完全に保証すると云う異例の措置を取った。つまり連邦政府は、SVBの顧客全員に対して、税金を投入して補償すると云うことだ。
しかし、被害はそれだけに止まらなかった。当然、他の地方銀行にも圧力が掛かり、第一共和銀行とパックウェスト銀行の2行が、小規模な取り付けに続いて破綻寸前まで追い込まれた。
この週末、ウォール街の4大銀行は550億ドル以上もの価値を失った。世界中の銀行株が値下がりしている。
03/15の時点でクレディ・スイスの株価は史上最低水準に在り、これは世界中の株式が投げ売りされる切っ掛けとなった。
要するに、金融情勢は大きな危機の淵に立たされているのだ。しかし、それは偶発的なものなのだろうか? 若しそうでないとしたら、その背後にはどんな計略が有るのだろうか?
先ずはまぁ、これは偶発的なものではない。それははっきりさせておこう。
ならばこの崩壊は、細部に至るまで計画され、設計されていたと云うことだろうか? そうかも知れないし、そうでないかも知れない。
確かに、少なくとも知る人は知っていた警告は有った。
SVBのCEOとCFOは、破綻の2週間前に合計400万ドルの株を処分し、ピーター・ティール氏のファウンダーズ・ファンドは破綻前日の木曜日にSVBから全資金を引き出している。
カリフォルニア州金融保護&イノヴェーション局が、つい前日の03/09の時点で、SVBは「健全な金融機関」であり、債務超過に陥ったのは、投資家が資金繰りを悪化させた後のことだと認めていたにも関わらず、である。
確かに、これは破綻が意図的なものだったと云う証拠にはならないが、それでも注意すべきことだ。
予知能力の様なものが有る人だったら、週末にプット・オプションで大儲け出来たかも知れない。その様な取引が急増が記録されていたとしたら興味深いことだ。
しかし、こうしたことは全てどうでもいい。何故なら、彼等が「パンデミック」への対応として、3年前から意図的に経済を悪化させて来たことを、我々は知っているからだ。
彼等は食料とエネルギーのコストを吊り上げ、ドル、ポンド、ユーロを何十億も何百億も「印刷」して、我々の通貨価値を破壊した。
だから、仮にこれらの特定の銀行に関して細かく立てられた特定の計略が無かったとしても、銀行の倒産はこの経済破壊行為の必然的な結果だったのだ―――そう、必然的であり、望まれたことだったのだ。
より重要な問いは、「何故?」そして「これからどうなる?」だ。
そう、そのひとつは規制強化になる―――特に暗号通貨に対してだ。破綻した銀行の内、シルヴァーゲートとシグネチャーの2行が暗号の主要投資家であることは偶然ではないだろうし、SVBも暗号と関係が有ることが知られている。
「規制されていない暗号投資は金融システムに危険を齎す」とか「規制されていない暗号は我々の金融機関を経済戦争に対して脆弱にする」とか、そういう主張が出て来そうだ。
我々は既にその様な筋書きに沿った内容の記事を目にしているし、昨年秋にも同じ様な切迫した警告が行われた。
次の段階としては、地方の小さな民間銀行では顧客のお金の安全性を保証することは出来ない、個人にとっては巨大な国際銀行か中央銀行と直接取引する方がより安全である、と云う議論が出て来ることだろう。
既にSVBの崩落以降、バンク・オブ・アメリカへの預金が大幅に増加したことが報じられている。こうした大手銀行の統合プロセスは、今後も続くと思われる。
論理的に考えると、この2本立てのプロパガンダが向かう先は、(少しでも注目している人にとっては)ひとつしかないだろう: 中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency/CBDC)だ。
それ以外には有り得ない程、このシナリオは上手く纏まっている。
今後、CBDCは従来の銀行よりも安全で、「従来の」暗号よりも規制が厳しいと売り込むことが出来る。更に、今やFDICが破綻した銀行の預金を完全に保証しているので、これは実質的にFRBと銀行取引をしている様なものだ。中間マージンがカット出来ていいじゃないか?
彼等がこの様な主張をするであろうと我々が知っているのは、彼等が既に始めているからだ。
今年1月、世界経済フォーラムは、次のようなタイトルの論文を発表した:
「中央銀行デジタル通貨は世界の金融市場を安定させることが出来るのか?」
何を売りにして来るかは明らかだ。
しかしそれ以上に、デジタル通貨の普及を促進する可能性が有ると云う理由で、将来的に取り付け騒ぎが実際に奨励されることも有り得る。
国際決済銀行の報告書に拠ると(強調追加):
「別の一連の研究では、CBDCが預金の移動を容易にすることで、システム全体の銀行危機に対する預金者の感度を高める可能性が有るというリスクに焦点を当てている。弱い銀行と強い銀行の間でデジタル的に瞬時に送金することは既に可能である為、CBDCの利用可能性は個々の銀行経営に大きな影響を与えないかも知れない。
しかし、システム的な銀行危機の際には、銀行預金からCBDCへ送金する時の取引コストは、現金引き出しに関連するもの(ATMに行く、列に並ぶ等)よりも低くなり、中央銀行と云う形で安全な避難目的地を提供することになる。
現金と比較してCBDCに移行するコストが低いと云うことは、システム全体の銀行支払い能力危機が発生する確率が低いと認識されている時であっても、より多くの預金者が迅速に引き出す様になることを意味する。」
彼等は、どの仮説上のCBDCであっても従来の銀行預金よりも安全であり、現金よりも入手し易いので、人々は銀行が取り付け騒ぎを起こした時にそれを使うことを選ぶだろうし、従って銀行の取り付けはより起こり易く、より頻繁になるだろうと主張している。
この意味するところが解るだろうか?
ひとたびCBDCが世に出回れば―――勿論最初は任意だ―――中央銀行は人為的に金融不安を作り出し、地方銀行を破綻させることで、理論的には利用を増やすことが出来る。
義務化するのではなく、飽く迄「安全」にするだけだ。
2022年に英国貴族院が発表した別の報告書では、CBDCを「問題を探すソリューション」と表現している。
どうも彼等は問題を見付けた様だ。だが、どの問題でもそうだが、最善の答えは自分で見付けるものなのだ。
The SVB Collapse: How financial crisis boosts the rise of CBDCs
2023/03/10(金曜日)、米国で16番目に大きな銀行であったシリコンヴァレー銀行(SVB)が全面的に破綻した。2008年の金融危機以来、最大の銀行破綻だった。
2日後(日曜日)までには、シルヴァーゲート銀行とシグネチャー銀行がSVBに加わり、完全に破綻した。3つとも現在は連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に安全に置かれている。
FDICは、SVBに預けられている全ての預金を完全に保証すると云う異例の措置を取った。つまり連邦政府は、SVBの顧客全員に対して、税金を投入して補償すると云うことだ。
しかし、被害はそれだけに止まらなかった。当然、他の地方銀行にも圧力が掛かり、第一共和銀行とパックウェスト銀行の2行が、小規模な取り付けに続いて破綻寸前まで追い込まれた。
この週末、ウォール街の4大銀行は550億ドル以上もの価値を失った。世界中の銀行株が値下がりしている。
03/15の時点でクレディ・スイスの株価は史上最低水準に在り、これは世界中の株式が投げ売りされる切っ掛けとなった。
要するに、金融情勢は大きな危機の淵に立たされているのだ。しかし、それは偶発的なものなのだろうか? 若しそうでないとしたら、その背後にはどんな計略が有るのだろうか?
先ずはまぁ、これは偶発的なものではない。それははっきりさせておこう。
ならばこの崩壊は、細部に至るまで計画され、設計されていたと云うことだろうか? そうかも知れないし、そうでないかも知れない。
確かに、少なくとも知る人は知っていた警告は有った。
SVBのCEOとCFOは、破綻の2週間前に合計400万ドルの株を処分し、ピーター・ティール氏のファウンダーズ・ファンドは破綻前日の木曜日にSVBから全資金を引き出している。
カリフォルニア州金融保護&イノヴェーション局が、つい前日の03/09の時点で、SVBは「健全な金融機関」であり、債務超過に陥ったのは、投資家が資金繰りを悪化させた後のことだと認めていたにも関わらず、である。
確かに、これは破綻が意図的なものだったと云う証拠にはならないが、それでも注意すべきことだ。
予知能力の様なものが有る人だったら、週末にプット・オプションで大儲け出来たかも知れない。その様な取引が急増が記録されていたとしたら興味深いことだ。
しかし、こうしたことは全てどうでもいい。何故なら、彼等が「パンデミック」への対応として、3年前から意図的に経済を悪化させて来たことを、我々は知っているからだ。
彼等は食料とエネルギーのコストを吊り上げ、ドル、ポンド、ユーロを何十億も何百億も「印刷」して、我々の通貨価値を破壊した。
だから、仮にこれらの特定の銀行に関して細かく立てられた特定の計略が無かったとしても、銀行の倒産はこの経済破壊行為の必然的な結果だったのだ―――そう、必然的であり、望まれたことだったのだ。
より重要な問いは、「何故?」そして「これからどうなる?」だ。
そう、そのひとつは規制強化になる―――特に暗号通貨に対してだ。破綻した銀行の内、シルヴァーゲートとシグネチャーの2行が暗号の主要投資家であることは偶然ではないだろうし、SVBも暗号と関係が有ることが知られている。
「規制されていない暗号投資は金融システムに危険を齎す」とか「規制されていない暗号は我々の金融機関を経済戦争に対して脆弱にする」とか、そういう主張が出て来そうだ。
我々は既にその様な筋書きに沿った内容の記事を目にしているし、昨年秋にも同じ様な切迫した警告が行われた。
次の段階としては、地方の小さな民間銀行では顧客のお金の安全性を保証することは出来ない、個人にとっては巨大な国際銀行か中央銀行と直接取引する方がより安全である、と云う議論が出て来ることだろう。
既にSVBの崩落以降、バンク・オブ・アメリカへの預金が大幅に増加したことが報じられている。こうした大手銀行の統合プロセスは、今後も続くと思われる。
論理的に考えると、この2本立てのプロパガンダが向かう先は、(少しでも注目している人にとっては)ひとつしかないだろう: 中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency/CBDC)だ。
それ以外には有り得ない程、このシナリオは上手く纏まっている。
今後、CBDCは従来の銀行よりも安全で、「従来の」暗号よりも規制が厳しいと売り込むことが出来る。更に、今やFDICが破綻した銀行の預金を完全に保証しているので、これは実質的にFRBと銀行取引をしている様なものだ。中間マージンがカット出来ていいじゃないか?
彼等がこの様な主張をするであろうと我々が知っているのは、彼等が既に始めているからだ。
今年1月、世界経済フォーラムは、次のようなタイトルの論文を発表した:
「中央銀行デジタル通貨は世界の金融市場を安定させることが出来るのか?」
何を売りにして来るかは明らかだ。
しかしそれ以上に、デジタル通貨の普及を促進する可能性が有ると云う理由で、将来的に取り付け騒ぎが実際に奨励されることも有り得る。
国際決済銀行の報告書に拠ると(強調追加):
「別の一連の研究では、CBDCが預金の移動を容易にすることで、システム全体の銀行危機に対する預金者の感度を高める可能性が有るというリスクに焦点を当てている。弱い銀行と強い銀行の間でデジタル的に瞬時に送金することは既に可能である為、CBDCの利用可能性は個々の銀行経営に大きな影響を与えないかも知れない。
しかし、システム的な銀行危機の際には、銀行預金からCBDCへ送金する時の取引コストは、現金引き出しに関連するもの(ATMに行く、列に並ぶ等)よりも低くなり、中央銀行と云う形で安全な避難目的地を提供することになる。
現金と比較してCBDCに移行するコストが低いと云うことは、システム全体の銀行支払い能力危機が発生する確率が低いと認識されている時であっても、より多くの預金者が迅速に引き出す様になることを意味する。」
彼等は、どの仮説上のCBDCであっても従来の銀行預金よりも安全であり、現金よりも入手し易いので、人々は銀行が取り付け騒ぎを起こした時にそれを使うことを選ぶだろうし、従って銀行の取り付けはより起こり易く、より頻繁になるだろうと主張している。
この意味するところが解るだろうか?
ひとたびCBDCが世に出回れば―――勿論最初は任意だ―――中央銀行は人為的に金融不安を作り出し、地方銀行を破綻させることで、理論的には利用を増やすことが出来る。
義務化するのではなく、飽く迄「安全」にするだけだ。
2022年に英国貴族院が発表した別の報告書では、CBDCを「問題を探すソリューション」と表現している。
どうも彼等は問題を見付けた様だ。だが、どの問題でもそうだが、最善の答えは自分で見付けるものなのだ。
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