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2023年のタイ総選挙で、米国の代理勢力が勝利:中タイ関係は危機に瀕し、不安定性が忍び寄る………(要点と補足)

2023/05/14のタイの総選挙結果を受け、タイ在住のアナリスト、ブライアン・バーレティック氏の解説動画の要点と補足。
US Proxies Win Thai 2023 General Elections - Thai-Chinese Relations at Risk, Instability Looms…




「親民主主義の為の選挙」?
 
 タイの状況を理解する為の押さえておくべき背景として、ウクライナ西洋の代理戦争が進行中だ。西洋市民は大規模な洗脳攻撃を受け、自分達自身にとっても破壊的な影響を齎すそれらの戦争を支持するよう、心理的に仕向けられている。対ロシア制裁は欧州経済を損ねているが、米国は欧州を犠牲にして自国の戦略目標を達成しようとしている。こうした状況ではアジアでも同じだ。

 米国はタイそのものに執着している訳ではない。下図の様な中国包囲網の中にタイを埋め込みたいだけだ。


 西洋の大手メディアがこの選挙をどうフレーミングしているかは明白で、「親民主主義的」な野党の方を勝たせたいのだ。

 アトランティックはこの選挙を、「グローバルな民主主義の取り組みに関するバイデンのストレス・テスト」と呼び、こう論じている:「日曜日、タイの有権者は真の民主主義に住みたいのか、それとも軍部が支配するタイ政府が作り上げた偽りの民主主義に固執するのかを決めることになる。選挙は最初から不正に操作されており、軍の支援を受けた現状に挑戦する民主化政党にとって不条理なほど不公平なハードルが設けられている。」

 無論こんなものは与太話で、彼等の言う「親民主主義」とは要するに、米国の命令に服従すると云う意味だ。民主主義は関係無い。タイ貢献党の事実上の指導者、タクシン・チナワットも、前進党の事実上の指導者であるタナトーン・ジュンルンアンキットも、共に米国の利益の為に働く腐敗した億万長者だ。



タイの「親民主主義」野党の正体

 2001〜06に首相を務めたチナワットは、首相になる前はカーライル・グループの諮問委員であり、首相時は国有企業を外国に売り渡し、米軍のイラク侵略に加担して軍を送った。また彼が実施した「麻薬戦争」に関しては、普段は彼を支持している西洋大手メディアでさえ、90日間で路上で正規の逮捕手続きを取らずに「2,500人以上が殺害された」と批判している。

 ジュンルンアンキットは2018年に米国を訪れた際に、米国政府、議会、国務省、USAID、フリーダム・ハウスと面会を行っている。そして2019年の総選挙では彼の未来前進党はあからさまな選挙法違反を行った為に解散させられたので、彼はその後継の前進党では表に出ず、事実上の指導者の地位に留まっている。
US Meddling in Thai Elections: Seek to Create a Hostile Anti-China Proxy


 野党が政権を運営する上では幾つもの困難が控えているが、どちらの実質的指導者も歴とした犯罪者なので、裁判所がその気になれば、どちらか或いは両方の政党に、何時でも合法的に解散命令を下すことが出来る。但し裁判所がそうすることは無い。2人共西洋がバックに付いているからだ。2019年にジュンルンアンキットが騒乱罪等で警察に出頭を命じられた時には、米英やEUの大使館の各代表が大挙して文字通り警察署に押し掛け、彼は我々の側の男だから手を出すなとタイ政府に警告した。無論普通はこの様な他国の司法に対する干渉は許されないことだ。

 CIAのフロント組織であるNEDがタイの「民主主義」の為にどれだけの資金を注ぎ込んでいるかについては、公表されている部分については公式サイトで確認出来る。タイの政党、政治組織、メディア、タイ憲法の書き換えを請願している法的組織、選挙に直接関与する人々等々が、NEDを通じて米国から資金提供を受けている。無論これらもまたタイの内政に対する干渉だ。

 その一例が東南アジアの若き指導者構想(Young Southeast Asian Leaders Initiative/YSEALI)で、これは東南アジアの若者達を米国に連れて行って教化し、米国にとって都合の良い政策を推進する様な人材としてそれぞれの自国に戻すプロジェクトだ。戻った若者達は各国の政治体制の中に入り込み、西洋の政治・教育ネットワークと連携して、内側から西洋の利益を代表する者達として機能することになる。つまりローマ帝国が各地域の部族を支配する為に、若きエリート達を教化して支配させていたのと同じ仕組みだ。

 米国のこの代理勢力システムは長年機能しており、選挙への介入もこれが初めてではない。タクシンの妹であるインラック・チナワットが2011年に首相に当選した時も、当時タイから逃亡してドバイとロンドンに拠点を移していたタクシンは、タイの法を書き換えて自らの罪状を全て帳消しにさせ、権力を奪還しようとした。最終的にタイの人々がこの事実に気が付いて抗議し、司法や軍の力に訴えて彼等を権力の座から追い出したが、社会全体に対するダメージは残った。



裏切られる希望を克服する

 2023年の総選挙は一言で言うと、タイの人々に、自らの利益に反して投票を行うように仕組まれたものだ。これは欧州で起きていることと同じで、選挙で選ばれた腐敗した彼等の代表は、自国民の利益に反して米国に奉仕する様な政策を遂行している。

 タイの最大の貿易相手、投資者、旅行客の出身地、インフラ建築のパートナー、軍事装備の最大の供給者は、中国だ。中国の台頭は他のアジア諸国の台頭を意味する。米国がこの地域に招かれ、中国を不安定化・分断・破壊することは、地域全体の平和と安定と繁栄が引っ繰り返されることを意味する。この代理戦争では、欧州と同じ様に、誰もが苦しむことになる。

 米国がどうやってタイの有権者達の行動を操作するかと云うと、そう難しい話ではなく、「民主主義を推進する為の」反中国プロパガンダ・キャンペーンによって中国の印象を悪化させるのだ。米国は「中国共産党に対抗する為の独立ジャーナリズムを支援する」などと矛盾することを(他国の支援を受けたジャーナリストが何で「独立しているものか!」)主張しているが、要するに米国はアジア全域に亘って、中国を中傷する情報プロパガンダを大規模に展開している。そして「中国は悪だ。タイは中国と協力するのは止めて、西洋と協力すべきだ」と人々に信じ込ませるのだ。

 ジュンルンアンキットは2018年に大物実業家から政治家に転身した時、軍政権が進めていたタイ-中国高速鉄道を批判し、まだ実用化の段階ではなかったハイパーループ(真空チューブ列車)を推奨している(2023年の時点でもまだ実用化には至っていない)。彼は機会を捉えては、タイは中国と協力すべきではなく、西洋とその同盟諸国と接近すべきだと主張し続けている。米国に支配されたタイのメディアも同じだ。

 一例として、COVID-19パンデミックの時に中国がタイに中国製遺伝子ワクチンであるシノヴァクを供与した時、野党は抗議してファイザーやモデルナを政府に要求した。

 最近のタイの若者抗議行動についても同じ話で、下の写真でタイの若者達と一緒に写っているのは、新疆、チベット、香港、台湾の分離主義勢力の旗だ。こんなものを若者達が自発的に支持する訳が無いので、これはメディアと野党が若者達の頭に反中国プロパガンダを吹き込んだ成果だ。彼等は選挙の時になれば、自分達の利益に反した投票を行うよう誘導されることになる。


 こうした世論操作の事例はミャンマー、マレーシア、フィリピン、ウクライナ、欧州と、世界中で幾らでも見ることが出来る。米国が支援する候補に投票した人々は、何れ彼等がの期待が裏切られる現実を目にすることになる。

 この先タイに政治的不安定と暴力の嵐が吹き荒れるかどうかはまだ判らない。だがタイは今までも生き残ったし、これまで騙された経験から教訓を学んだ人々は増えている筈だ。

 米国の干渉を克服することは可能だ。ロシアや中国な大国は、米国の干渉を禁じ、独自のメディアを作り上げることで対抗しているが、ヴェトナムやカンボジアの様に、小国であっても米国が支援する野党を撲滅することに成功した国も有る。ロシアや中国と協力するのも有効だ。BRICSや上海協力機構(SCO)は、協力してカラー革命に対抗する手段を探っている。

 こうした努力が続けられれば、タイの様な国にも有効な選択肢を用意してやることが出来る。タイが国家主権を完全に回復して初めて、タイはタイの人々の為の国として生まれ変わることが出来る。誰が政権に就くことになろうとも、それがワシントンではなくタイにとっての最善の利益を追求することこそが重要なのだ。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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