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ソ連とソ連解体再考

マイケル・パレンティ氏の1996年頃の講演。ソ連が打倒(「解体」ではない)され自由市場へと開かれたことは、社会主義の恩恵に与っていた人々にとって災厄でしかなかったことを解説している。或るジョークが有る。「資本主義は共産主義には70年掛かっても不可能だったことを、たった1年で成し遂げた。答:共産主義をよく見せること。」日本では数十年掛かったが、東欧ではたった1年でそれ以上の経済崩壊が起こった。
Michael Parenti - Reflections on the Overthrow of Communism


★2016/11/18〜21に、ロシア48の地域の137箇所で18歳以上の1,600人を対象に行われた世論調査の結果から、幾つかポイントを整理してみた。データは過去の分も記載されているが、取り敢えず最新のものを参考にした。西側大手メディアが描き出すステレオタイプに収まらない、微妙な力学が交錯する現状が窺える。
ソヴィエト連邦の崩壊について(世論調査の要点)

マシュー・エレット氏の論説。他の国でもそうだが、ロシアでは冷戦以降、売国奴と工作員が大手を振って国を乗っ取って来た。こう云う輩は国から出て行ってくれた方が寧ろ国全体にとっては良い。主権が無い状態は、右だの左だの言う以前の問題だ。属国の地位から脱出しようとすると当然帝国からハイブリッド戦争を仕掛けられるが、それに勝利しなければ自分達の足で立つことは出来ない。ロシアはプーチンの指揮の下でそれに成功した。
Russia: A New Purge of Fifth Columnists Approaches
ロシアにいる米国シンパ(第5列)といかに闘うか。

★1990年代にロシアがどんな目に遭ったかについてのエッセイを訳してみた。今ロシアがやらかしていることに怒っている人達は高確率で、この30年間西側諸国がロシアに対してやらかして来た恥知らずな所業について殆ど知らないのではないかと思う。
マクシム・アルテミエフ:西側は1990年代にロシアの弱さに付け込んだが、それが引き起こしたトラウマを理解することが出来ていない

ソ連とワルシャワ条約機構が消滅し冷戦が表向き終了すると、存在理由を失った筈のNATOは解体するどころか寧ろグローバル化と言っても良い拡大を続けた。ロシアを騙してこの路線を進めたのがクリントン政権。ビルは現在の米帝のナルシシズム的覇権に直接的責任が有る。
How the Clinton Admin Started a Cold War With a Pro-Western Russia

機密解除された文書は、NTO東方拡大問題についてクリントンがエリツィンを騙していたことを更に裏付けている。この件は証拠が豊富なので陰謀論ではなく現代史の事実。「軍事的脅迫を行って来たのは我々であって彼等ではない」と認識出来る西側市民はどれだけ居るのか
Declassified documents show how US lied to Russia about NATO in 1990s

ロシアの世論調査に拠れば、ソ連時代で人気の有る人物は上からガガーリン、ジューコフ、スターリン。人気が無いのはゴルバチョフ、ベリア、フルシチョフ、スターリン。若い世代程スターリンやレーニンに対する否定的な感情が強い様だ。
Память об СССР: Гагарин против Горбачева

ポール・ロビンソン教授の見解。ソ連解体は共和諸国が望んだことではなく、ロシアからのトップダウンによって行われた。これは新自由主義的「ショック療法」によるロシアの経済破壊を強行する為、その障害の排除を目論んだエリツィン=ガイダルの陰謀だった。
The plot to kill off the Soviet Union

実は本家よりも大規模だったソ連版オリンピック、「スパルタキアーダ」(叛乱奴隷スパルタクスに因む)。ソ連は1952年まで五輪には出場出来なかったが、「西側こそが国際社会」と思い込んでいると、東側には全く違う光景が広がっていた現実を理解出来なくなる。
ソ連版オリンピックは本家を凌いでいた

ロシア議会元議長ルスラン・ハズブラトフは、エリツィンは大統領在任中100名以上のCIAエージェントに取り囲まれており、決定は彼等が下していたと発言。「多くのロシア人は彼が西側の資本家共に国を売った酔っ払いだと信じている」とはRTの評だが、的確。
Boris Yeltsin had entourage of ‘hundreds’ of CIA agents who instructed him how to run Russia, claims former parliamentary speaker

ヴルチェク氏の記事。ソ連についての評価を難しくしているのは、西側が大量にバラ撒いた反共プロパガンダによる歴史の歪曲だ。私にはとてもその全容を検証分析するだけの知識は無いが、昨今の反共洗脳の酷さを前にして、これは過去ではなく現在の喫緊の問題なのだと思う。
Some Italian Thinkers Are Now Resisting Lies About The Soviet Union And WWII

旧ソ連に生まれチェコで育ったヴルチェク氏の回想。旧共産圏の若者達は西側の反共プロパガンダに洗脳され、祖国を嫌悪していた。自分達が騙されていたことに気付いた時には、祖国はふたつとも破壊されていた。香港の若者達は同じ過ちを繰り返してはならない。
How We Sold Soviet Union And Czechoslovakia For Plastic Shopping Bags

ウィリアム・ブルムの『アメリカ侵略全史』よりの抜粋。西側帝国主義勢力はソ連誕生当時から軍事的侵攻を試みたが、反共プロパガンダによる情報攻撃は苛烈を極めた。架空の敵を作り出すことによって可能となった西側の軍拡は、人々の無知と相俟って大成功を収めた。
A Brief History of the Cold War and Anti-communism

エドワード・ハーマン氏の記事。NYタイムズ等の米主流メディアがロシア等の公敵に関してフェイクニュースを流す伝統は、遅くとも1917年まで遡る。「ボルシェビキ政権は間も無く崩壊する」とタイムズは3年間で91回以上予測した。今はプーチンが嘘によって攻撃されている。
Fake News on Russia and Other Official Enemies

関連スレッド。
 プーチン再考
 東欧・南欧の人口動態危機(経済的ジェノサイド)
 叩き売られるウクライナ
 ウクライナの歴史
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