エフゲニー・プリゴジン
プリゴジンの死に際して、プーチン大統領は「彼はその障害に於て大きな過ちを犯したが、結果黙した」と、一面的には評価出来ないことを明らかにした。或る人物を捕まえて敵か味方かに二分し、全否定または全肯定する幼稚な風潮が強まっている中で、こうした複雑さを受け入れる態度は、複雑な現実を理解する上では必要なものだろう。
Putin comments on Prigozhin plane crash
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。参考リンクは私が抄訳した分に合わせて多少変更した。プリゴジンの死にプーチン大統領が関与したと云うシナリオは、凡そ有りそうにないし、ワグナーのアフリカでの活動はこれによって妨げられないだろう。
プリゴジンの飛行機事故:陰謀とその結末(抄訳)
★アンドリュー・・コリブコ氏の分析の抄訳。南アフリカ共和国でのワグナーの救出劇は、同グループが中国人鉱山労働者達を虐殺したと云う報道がフェイクニュースであり、またプリゴジンのクーデター未遂後にワグナーが解散させられるのではと云う推測が誤っていることを証明した。
ワグナーが中央アフリカ共和国の中国人鉱山労働者達を救出。幾つかの虚偽の主張が暴かれる(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。プリゴジンを暗殺したところでロシアにとっては何ひとつ良いことは無いが、キエフにとっては良いことだらけだ。
プリゴジン暗殺を計画しているのはロシアのFSBではなくキエフのGURである可能性が高い(抄訳)
2023/06/30、ベラルーシのルカシェンコ大統領はベラルーシの独立記念日の会合で、自国に追放されて来たロシアの民間軍事会社ワグナーを擁護した。「彼等は戦争を見て来た人達です。彼等は正常な文明の為に世界中で戦った人達です。西洋は彼等の精神を憎んでいます。」「若し彼等の教官が我々の所へ来て、彼等の戦闘経験を我々と共有してくれれば、我々は喜んで彼等から学びます。」
Lukashenko answers important questions about Wagner PMC
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。クーデター未遂後にプーチンがプリゴジンやワグナー指導部と会談したのは、ワグナーがロシアの国家安全保障分野に於て余りにも重要な存在だからだ。プリゴジンのクーデター未遂については様々な推測が出回っているが、「これは見掛け通りの裏の無い事件である」と云うコリブコ氏の分析が妥当である様に私には思われる。
クーデター失敗後にプーチンがワグナーの指導者達と会うことに、陰謀論はお呼びではない(抄訳)
M・K・バドラクマール氏の記事。「プーチンは何故プリゴジンを厳しく罰しないのか」と疑問に思っている人が多い様だが、プーチンは1990年代に祖国を散々食い物にした腐敗した売国奴のオリガルヒ達に対しても、「ロシア国家の権威に屈し、ロシアの統治や国内政治の邪魔をしない」と云う条件で、過去の数々の犯罪を見逃すと云う寛大な処置を取っている。協定を破った者達は大きな代償を支払うことになったが、大人しくしている者達は贅沢な暮らしを続けることが許された。
The rise and fall of a Russian oligarch
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。プーチンの対応が違っていたら、ロシアは内戦に陥り、その隙にNATOがベラルーシに侵攻し、キエフは再征服の為の反攻作戦を進めていたことだろう。そしてロシアが主権を守る為に止む無く開始した特別軍事作戦によって急激に加速した世界全体の多極秩序への移行は、ここで突然終わりを迎えたことだろう。
プリゴジンは西洋にとって「役に立つバカ」だった(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。プリゴジンに対する処罰が甘いのではないかと云う疑問から、多くの人がクーデター未遂は偽旗作戦だったのではないかと疑っているが、プーチン大統領が下した処分は、実際にはロシアの利益に適うものだ。
プリゴジンとその協力者達をベラルーシに追放することはロシアの利益に適っている(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の記事の抄訳。多少補足した。クーデター未遂後にワグナーのトップ、エフゲニー・プリゴジンが公開した音声メッセージのファクトチェック。
プリゴジンのクーデター失敗後の最初の音声メッセージは案の定、真実を捻じ曲げている(抄訳)
2023/06/27、プーチン大統領はロシア軍とその法執行機関が内戦の危機を回避したことを称賛した。
Russia avoided civil war – Putin
プーチン大統領、クレムリンで演説 反乱時に法秩序守った部隊へ
2023/06/26、プーチン大統領は声明を発し、これ以上の流血を避ける決断を行ったことを明らかにすると同時に、ワグナーのしたことが「裏切り」であることを再確認した。
Putin addresses Wagner ‘betrayal’
流血の回避の決断を下した=プーチン大統領
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。プリゴジンのクーデターには何か深い裏が有るのか? そんなものは無い、プリゴジンは西洋諜報部の傀儡でもプーチンの傀儡でもない、自身の利害に基付いて行動している、と云うのがコリブコ氏の現時点での見立て。
プリゴジンのクーデター未遂に関する陰謀論トップ2のデバンキング(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。プリゴジンとその部下達に最後のチャンスを与えたのは、プーチンの「弱さ」の表れではない、その逆だ。
プーチン大統領が慈悲深く彼の命を救う最後のチャンスを与えた後、プリゴジンは観念した(抄訳)
一部の西洋メディアはプリゴジンの反乱未遂を受けて、自国の安全保障をワグナーに依存している国々の政府は、ロシア政府がワグナーを弾圧する可能性を懸念していると主張している。これを受けて2023/06/26、ロシアのラブロフ外相は、「これらのアフリカ諸国とロシアとの関係にパニックや変化の兆しは見られない」、「この状況がロシアとアフリカのパートナー諸国との戦略的関係を変えることは有り得ない」と確証した。
No panic in Africa over Wagner revolt, Lavrov tells RT
2023/06/26、ロシアのラブロフ外相は、プリゴジンのクーデター未遂を受けてフランスのマクロン大統領が、ロシアの政権と軍の「分裂と脆弱さ」を見て取ったと発言していることを指摘し、マクロンが今回の件を、ウクライナがロシアに戦略的打撃を与えるチャンスだと見ていると述べた。
Macron saw opportunity to deal Russia strategic blow in mutiny — Lavrov
2023/06/25のCNNの情報筋による報道では、米国はワグナーのクーデター未遂に対してもっと抵抗が有るものと予想していた。「もっと暴力的で血生臭いものになるだろうと我々は判断していた。私はそのことを知っている。」そう予想しつつも米国はロシアに対して警告を行わなかった訳だ。
US expected "a lot more bloodshed" in Russia, official says
Washington expected more bloodshed from Wagner mutiny – CNN
信頼の置けるアナリストとして評判の高いラリー・C・ジョンソン氏は、「プリゴジンのクーデター」はマスキロフカ(茶番)であり、プリゴジンは実は国防省と結託していて、NATOを油断させて軍備増強ではなくクーデター阻止の名目でロシア軍を北部戦線に移動させるのが目的だと云う推測を開陳している。が、これに対するコリブコ氏の反論の方が私には説得力が有る様に思われるので、紹介だけしておく。
RUSSIA’S ACADEMY AWARD WINNING PERFORMANCE FOR BEST COUP, PRIGOZHIN SCORES BEST ACTOR
It’s Unlikely That Wagner Will Open Up A Northern Front After Prigozhin’s Failed Coup
★アンドリュー・コリブコ氏の記事の抄訳。プリゴジンの反乱未遂についてはまだ解らないことだらけだが、はっきり断言出来ることも有る。「にっくきプーチンに反旗を翻した」と云うだけの理由でプリゴジンを応援しているロシア差別主義者の人達は、状況を全く理解していない底無しの間抜けだと云うことだ。彼等は自分達が実際には第三次世界大戦を応援していることに気が付いていない。
プリゴジンを応援する西洋人は第三次世界大戦を望んでいる(抄訳)
★プリゴジンの反乱未遂事件について、アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。
特別作戦についてどんな意見を持っていようとも、プリゴジンの反乱は容認出来ない(抄訳)
日本語による割と丁寧な解説動画を見付けた。未確認情報だが、プリゴジンの反乱の背景動機として、ワグナーは国防省から数十億ルーブル相当の兵器を買い取ろうとしていたが、国防省はこれを拒否した。保安局がワグナー本社を家宅捜索した際に数十億ルーブルの現金が見付かったことと考え合わせれば、ワグナーは何処からか裏金を手に入れていたのではないか(例えばキエフ軍に兵器を転売する等)と云う噂が信憑性を帯びて来る。
【ロシアニュース解説】ワグナー•プリゴジンの乱を深掘り‼️〜ウクライナ反転攻勢のその後
ヴェネズエラ、キューバ、ニカラグアは、ワグナーのクーデター未遂に勝利したプーチン大統領への支持と連帯を表明した。そらまぁ、どの国も似た様な痛い目を散々経験して来ていますからな。
Putin ‘victorious’ in Wagner uprising – Maduro
2023/06/24の夜遅くには、ラブロフ外相はイランの外相と電話会談し、イラン側はワグナーの反乱について、ロシア指導部への支持を表明した。
Lavrov discusses Wagner revolt with Iranian counterpart
★2023/06/24、ワグナー・トップのエフゲニー・プリゴジンによる武装反乱未遂を受けての、元ロシア大統領候補セルゲイ・グラジエフ氏のテレグラム投稿(私はロシア語は不得手なので、自動翻訳を多少調整した)。外部の介入が有ったに決まっていると云うのは些か先走りではないかとは思うが、プリゴジンの行為を戦時に於ける裏切りとしてボルシェビキ革命と同列に並べている点は興味深い。
プリゴジンによる武装反乱未遂を受けたセルゲイ・グラジエフ氏のテレグラム投稿
2023/06/24の、匿名の当局者達の証言を引いたNYタイムズの記事に拠れば、米国の諜報機関は、プリゴジンがロシア政府に大規模な行動を計画しているのでないかと強く疑っており、バイデン政権と軍司令官達は06/21にはワグナーが準備を進めている件について説明を受けていた。翌06/22には別の説明会で更なる詳細が明らかにされた。
What’s happening in Russia? Here’s what we know.
US knew of Wagner coup plans in advance – NYT
2023/06/24、ポリティコは、ロシアでのクーデター未遂でクレムリンが多忙になれば、これまで何の成果も得られていないウクライナの反攻にとって好機が得られるだろうと云う論説を発表した。その翌日、RTがこの記事について報じた。
U.S. evaluating what Wagner Group rebellion means for Ukraine war
US believes coup attempt in Russia provides ‘opportunity’ for Kiev – Politico
ワグナーの反乱未遂の要点。
Highlights of aborted Wagner revolt in Russia
2023/06/24〜25のプリゴジン関連の出来事の時系列纏め。
Wagner PMC ‘armed coup’ attempt in Russia: All the latest news
2023/06/24、プーチン大統領はトルコのエルドアン大統領と会談し、ワグナーによる反乱未遂について協議した。
Putin discusses ‘attempted rebellion’ with Erdogan
2023/06/24のクレムリン発表では、プリゴジンに対する刑事訴訟は取り下げられ、プリゴジンはロシアを離れてベラルーシに向かう予定。
Kremlin reveals details of Wagner deal
2023/06/24、ロシアのRTはプリゴジンのクーデター未遂に関する西洋大手メディアの報道について報じている。当然、西洋による情報戦を疑っているのだろう。
‘Staggering’: How Western media is responding to Prigozhin’s coup attempt
2023/06/24、ロシア外務省は声明でワグナーによる武装反乱未遂を非難し、「陰謀を企てた者達の冒険主義的な野心は、事実上、ロシア情勢を不安定化し、我々の団結を壊すことを目的としている。(中略)従って、反乱はロシアの外敵の思う壺だ」と述べ、西側諸国に対し、現状況に付け込まないよう警告を発した。
Russia issues warning to the West amid Wagner rebellion
2023/02/24、ワグナーの反乱未遂を受けて案の定ゼレンスキーは大はしゃぎ。「悪の道を選ぶ者は自らを滅ぼす」とか「お前が言うな」発言をテレグラムに投稿したりしている。ワグナーはキエフ軍に大打撃を与えた相手だと云うことすら綺麗さっぱり忘れ去ってしまったらしい。
Ukrainian officials jubilant over coup attempt in Russia
★2023/06/24、プリゴジンの武装蜂起未遂を受け、プーチン大統領は国民に向けて演説した。
民間軍事会社ワグナーのクーデター未遂の最中、プーチン大統領の国民向け演説の要点(要点)
2023/06/23、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の報道機関が、プリゴジンとの交渉が成功したと発表した直後、プリゴジンの部隊は反逆を起こしてモスクワまで200kmの所まで迫った後、「野戦キャンプ」に戻ったと発表された。
Wagner boss confirms cancellation of advance on Moscow
2023/06/23、ロシアの反テロ委員会は、民間軍事会社ワグナー・グループのトップ、エフゲニー・プリゴジンが政府に対する反乱を扇動した容疑で捜査を受けていると発表した。またプリゴジンの主張は全て「全く根拠が無い」と述べ、連邦保安局(FSB)が「武装反乱を呼び掛けたとして刑事捜査を開始した」と付け加えた
FSB opens criminal case after Wagner boss calls for ‘armed rebellion’
2023/06/23、ロシアの領土から民間軍会社ワグナーの基地のひとつがミサイル攻撃されたと主張する動画がソーシャルメディアで出回った。これを受けてロシア国防省は、ワグナーのトップのエフゲニー・プリゴジン氏が虚偽を広めたとして非難した。「全てのメッセージと動画は現実に対応しておらず、情報挑発である。」
Wagner chief spreading misinformation – MOD
関連が有るかも知れないので紹介しておく。ロシアのイーゴリ・ストレルコフ氏率いる「怒れる愛国者クラブ」が2023/04/24に発表した39の公開質問リストの英訳。かなり長いし扱っている問題も非常に多岐に亘るので詳しくは触れないが、ロシアの「ターボ愛国者」達は、ウクライナでの特別軍事作戦の展開に非常に不満を持っており、ロシア上層部が相当程度腐敗しているのではないかと疑っている。
39 questions about the war in Ukraine
コリブコ氏の分析。「ワグナーはアルチョモフスクで包囲に直面した」と云うプリゴジン氏の主張に対して、ショイグ国防相はこれまでの報道全てを「現実と一致していない」と却下した。翌05/12、プリゴジン氏は皮肉を込めてショイグ国防相に直接アルチョモフスクを視察するよう要請した。国防省は現状維持、ワグナーは変化を望んでおり、どちらが正しくてどちらが間違っているかはともかく、対立する両者はどちらも引き下がろうとしていない。この対立を解消するにはプーチン大統領の介入を必要とするかも知れない。
Prigozhin Isn’t Backing Down After The Defense Ministry Pushed Back Against His Latest Claims
コリブコ氏の分析。2023/05/09、プリゴジン氏はロシア国防省のヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長を名指しで批判し、「個人的に全ての数値を修正し、10分の1に減らした」と主張した。つまりプリゴジン氏は事実上、プーチン大統領に自分とゲラシモフのどちらかを選択するよう迫っている。
Prigozhin Is Practically Forcing Putin To Choose Between Him & Gerasimov
コリブコ氏の分析。プリゴジン氏の告発以来、以下の重要な進展が見られた。
1)ワグナーには必要なだけの弾薬と武器を約束された。
2)必要と判断した場合にはアルチョモフスクでの戦闘を継続するよう指示された。
3)特別軍事作戦の副司令官であるセルゲイ・スロビキンが、今後ワグナーとロシア国防省との関係問題を担当する。
これらはプーチンの介入無しには起こらなかったことだろう。これは彼がプリゴジン氏の主張を受け入れ、ワグナーの苦境の原因が国防省トップの不正であると信じたことを意味する訳ではないが、少なくとも深刻なコミュニケーション上の問題が有ったことを示唆している。結果を見れば、プリゴジンは少なくとも要求した改革の一部は達成した訳で、これはロシアの官僚機構内で何かを変えることが如何に難しいかを考えると、非常に印象的だ。
It Appears That Putin At Least Partially Agreed With Prigozhin’s Plea For Help
コリブコ氏の分析。兵站を巡って以前からロシア国防省と対立しているプリゴジン氏の発言の意図が純粋に愛国的なものなのか、それとも権力闘争の一環なのかは現時点では不明だが、彼が安全保障分野について抜本的な改革を要求していることは間違い無い。プリゴジン氏は恐らくプーチン大統領に対して、イワン雷帝の粛清部隊(オプリーチニナ)の現代版を創設するよう要求している。ロシアの愛国的歴史観に於ては、反逆分子の脅威を取り除くことはロシアの統一、ひいては国家としての存続を守る為に必要なことだったと評価されており、恐らくスターリンもこの解釈を採っていた。
Will Putin Agree To Prigozhin’s Implied Plea For A Modern-Day Oprichnina?
ペペ・エスコバル氏による「プリゴジン・ファイル」の解説。プリゴジン氏の発言は真剣な告発か情報戦かどちらかだが、ロシア国防省の腐敗した官僚主義に怒っているのは彼だけではない。「怒れる愛国者クラブ」のイゴール・ストレルコフ氏は2023/04/19に同様の告発動画(Youtubeによってその後削除された)を公開し、05/02には更にテレグラムへの投稿で、クレムリンはこの戦争に真剣に勝とうとしていないと痛罵している。
The Prighozin File: Twilight of the Gods or Maskirovka?
プリゴジン氏のインタビューは長いが、要点を纏めた記事はここで読める(それでも情報量が多いが)。ロシア国防軍の官僚主義と無能さ、支援不足を痛烈に批判し、これまでの勝利はワグナーの貢献に拠るものであって、ロシア軍は規律も士気も無く、嘘だらけのプロパガンダによって過大に評価されていると述べている。この主張が何処まで真実なのかは確認し様が無いが、少なくともここまで正面切ってロシア国防軍に対してロシア国内の関係者から批判が行われたことは前代未聞だ。
Wagner's Prigozhin Issues Most Dire Warning Yet Ahead of Ukrainian Counterattack
2023/05/05に公開された、ロシアの民間軍事企業ワグナーのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏が痛烈なロシア国防軍批判を行なったインタビュー動画はこれ。
Большое разоблачение: Пригожин о предательстве и амбициях ЧВК
Putin comments on Prigozhin plane crash
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。参考リンクは私が抄訳した分に合わせて多少変更した。プリゴジンの死にプーチン大統領が関与したと云うシナリオは、凡そ有りそうにないし、ワグナーのアフリカでの活動はこれによって妨げられないだろう。
プリゴジンの飛行機事故:陰謀とその結末(抄訳)
★アンドリュー・・コリブコ氏の分析の抄訳。南アフリカ共和国でのワグナーの救出劇は、同グループが中国人鉱山労働者達を虐殺したと云う報道がフェイクニュースであり、またプリゴジンのクーデター未遂後にワグナーが解散させられるのではと云う推測が誤っていることを証明した。
ワグナーが中央アフリカ共和国の中国人鉱山労働者達を救出。幾つかの虚偽の主張が暴かれる(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。プリゴジンを暗殺したところでロシアにとっては何ひとつ良いことは無いが、キエフにとっては良いことだらけだ。
プリゴジン暗殺を計画しているのはロシアのFSBではなくキエフのGURである可能性が高い(抄訳)
2023/06/30、ベラルーシのルカシェンコ大統領はベラルーシの独立記念日の会合で、自国に追放されて来たロシアの民間軍事会社ワグナーを擁護した。「彼等は戦争を見て来た人達です。彼等は正常な文明の為に世界中で戦った人達です。西洋は彼等の精神を憎んでいます。」「若し彼等の教官が我々の所へ来て、彼等の戦闘経験を我々と共有してくれれば、我々は喜んで彼等から学びます。」
Lukashenko answers important questions about Wagner PMC
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。クーデター未遂後にプーチンがプリゴジンやワグナー指導部と会談したのは、ワグナーがロシアの国家安全保障分野に於て余りにも重要な存在だからだ。プリゴジンのクーデター未遂については様々な推測が出回っているが、「これは見掛け通りの裏の無い事件である」と云うコリブコ氏の分析が妥当である様に私には思われる。
クーデター失敗後にプーチンがワグナーの指導者達と会うことに、陰謀論はお呼びではない(抄訳)
M・K・バドラクマール氏の記事。「プーチンは何故プリゴジンを厳しく罰しないのか」と疑問に思っている人が多い様だが、プーチンは1990年代に祖国を散々食い物にした腐敗した売国奴のオリガルヒ達に対しても、「ロシア国家の権威に屈し、ロシアの統治や国内政治の邪魔をしない」と云う条件で、過去の数々の犯罪を見逃すと云う寛大な処置を取っている。協定を破った者達は大きな代償を支払うことになったが、大人しくしている者達は贅沢な暮らしを続けることが許された。
The rise and fall of a Russian oligarch
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。プーチンの対応が違っていたら、ロシアは内戦に陥り、その隙にNATOがベラルーシに侵攻し、キエフは再征服の為の反攻作戦を進めていたことだろう。そしてロシアが主権を守る為に止む無く開始した特別軍事作戦によって急激に加速した世界全体の多極秩序への移行は、ここで突然終わりを迎えたことだろう。
プリゴジンは西洋にとって「役に立つバカ」だった(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。プリゴジンに対する処罰が甘いのではないかと云う疑問から、多くの人がクーデター未遂は偽旗作戦だったのではないかと疑っているが、プーチン大統領が下した処分は、実際にはロシアの利益に適うものだ。
プリゴジンとその協力者達をベラルーシに追放することはロシアの利益に適っている(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の記事の抄訳。多少補足した。クーデター未遂後にワグナーのトップ、エフゲニー・プリゴジンが公開した音声メッセージのファクトチェック。
プリゴジンのクーデター失敗後の最初の音声メッセージは案の定、真実を捻じ曲げている(抄訳)
2023/06/27、プーチン大統領はロシア軍とその法執行機関が内戦の危機を回避したことを称賛した。
Russia avoided civil war – Putin
プーチン大統領、クレムリンで演説 反乱時に法秩序守った部隊へ
2023/06/26、プーチン大統領は声明を発し、これ以上の流血を避ける決断を行ったことを明らかにすると同時に、ワグナーのしたことが「裏切り」であることを再確認した。
Putin addresses Wagner ‘betrayal’
流血の回避の決断を下した=プーチン大統領
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。プリゴジンのクーデターには何か深い裏が有るのか? そんなものは無い、プリゴジンは西洋諜報部の傀儡でもプーチンの傀儡でもない、自身の利害に基付いて行動している、と云うのがコリブコ氏の現時点での見立て。
プリゴジンのクーデター未遂に関する陰謀論トップ2のデバンキング(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。プリゴジンとその部下達に最後のチャンスを与えたのは、プーチンの「弱さ」の表れではない、その逆だ。
プーチン大統領が慈悲深く彼の命を救う最後のチャンスを与えた後、プリゴジンは観念した(抄訳)
一部の西洋メディアはプリゴジンの反乱未遂を受けて、自国の安全保障をワグナーに依存している国々の政府は、ロシア政府がワグナーを弾圧する可能性を懸念していると主張している。これを受けて2023/06/26、ロシアのラブロフ外相は、「これらのアフリカ諸国とロシアとの関係にパニックや変化の兆しは見られない」、「この状況がロシアとアフリカのパートナー諸国との戦略的関係を変えることは有り得ない」と確証した。
No panic in Africa over Wagner revolt, Lavrov tells RT
2023/06/26、ロシアのラブロフ外相は、プリゴジンのクーデター未遂を受けてフランスのマクロン大統領が、ロシアの政権と軍の「分裂と脆弱さ」を見て取ったと発言していることを指摘し、マクロンが今回の件を、ウクライナがロシアに戦略的打撃を与えるチャンスだと見ていると述べた。
Macron saw opportunity to deal Russia strategic blow in mutiny — Lavrov
2023/06/25のCNNの情報筋による報道では、米国はワグナーのクーデター未遂に対してもっと抵抗が有るものと予想していた。「もっと暴力的で血生臭いものになるだろうと我々は判断していた。私はそのことを知っている。」そう予想しつつも米国はロシアに対して警告を行わなかった訳だ。
US expected "a lot more bloodshed" in Russia, official says
Washington expected more bloodshed from Wagner mutiny – CNN
信頼の置けるアナリストとして評判の高いラリー・C・ジョンソン氏は、「プリゴジンのクーデター」はマスキロフカ(茶番)であり、プリゴジンは実は国防省と結託していて、NATOを油断させて軍備増強ではなくクーデター阻止の名目でロシア軍を北部戦線に移動させるのが目的だと云う推測を開陳している。が、これに対するコリブコ氏の反論の方が私には説得力が有る様に思われるので、紹介だけしておく。
RUSSIA’S ACADEMY AWARD WINNING PERFORMANCE FOR BEST COUP, PRIGOZHIN SCORES BEST ACTOR
It’s Unlikely That Wagner Will Open Up A Northern Front After Prigozhin’s Failed Coup
★アンドリュー・コリブコ氏の記事の抄訳。プリゴジンの反乱未遂についてはまだ解らないことだらけだが、はっきり断言出来ることも有る。「にっくきプーチンに反旗を翻した」と云うだけの理由でプリゴジンを応援しているロシア差別主義者の人達は、状況を全く理解していない底無しの間抜けだと云うことだ。彼等は自分達が実際には第三次世界大戦を応援していることに気が付いていない。
プリゴジンを応援する西洋人は第三次世界大戦を望んでいる(抄訳)
★プリゴジンの反乱未遂事件について、アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。
特別作戦についてどんな意見を持っていようとも、プリゴジンの反乱は容認出来ない(抄訳)
日本語による割と丁寧な解説動画を見付けた。未確認情報だが、プリゴジンの反乱の背景動機として、ワグナーは国防省から数十億ルーブル相当の兵器を買い取ろうとしていたが、国防省はこれを拒否した。保安局がワグナー本社を家宅捜索した際に数十億ルーブルの現金が見付かったことと考え合わせれば、ワグナーは何処からか裏金を手に入れていたのではないか(例えばキエフ軍に兵器を転売する等)と云う噂が信憑性を帯びて来る。
【ロシアニュース解説】ワグナー•プリゴジンの乱を深掘り‼️〜ウクライナ反転攻勢のその後
ヴェネズエラ、キューバ、ニカラグアは、ワグナーのクーデター未遂に勝利したプーチン大統領への支持と連帯を表明した。そらまぁ、どの国も似た様な痛い目を散々経験して来ていますからな。
Putin ‘victorious’ in Wagner uprising – Maduro
2023/06/24の夜遅くには、ラブロフ外相はイランの外相と電話会談し、イラン側はワグナーの反乱について、ロシア指導部への支持を表明した。
Lavrov discusses Wagner revolt with Iranian counterpart
★2023/06/24、ワグナー・トップのエフゲニー・プリゴジンによる武装反乱未遂を受けての、元ロシア大統領候補セルゲイ・グラジエフ氏のテレグラム投稿(私はロシア語は不得手なので、自動翻訳を多少調整した)。外部の介入が有ったに決まっていると云うのは些か先走りではないかとは思うが、プリゴジンの行為を戦時に於ける裏切りとしてボルシェビキ革命と同列に並べている点は興味深い。
プリゴジンによる武装反乱未遂を受けたセルゲイ・グラジエフ氏のテレグラム投稿
2023/06/24の、匿名の当局者達の証言を引いたNYタイムズの記事に拠れば、米国の諜報機関は、プリゴジンがロシア政府に大規模な行動を計画しているのでないかと強く疑っており、バイデン政権と軍司令官達は06/21にはワグナーが準備を進めている件について説明を受けていた。翌06/22には別の説明会で更なる詳細が明らかにされた。
What’s happening in Russia? Here’s what we know.
US knew of Wagner coup plans in advance – NYT
2023/06/24、ポリティコは、ロシアでのクーデター未遂でクレムリンが多忙になれば、これまで何の成果も得られていないウクライナの反攻にとって好機が得られるだろうと云う論説を発表した。その翌日、RTがこの記事について報じた。
U.S. evaluating what Wagner Group rebellion means for Ukraine war
US believes coup attempt in Russia provides ‘opportunity’ for Kiev – Politico
ワグナーの反乱未遂の要点。
Highlights of aborted Wagner revolt in Russia
2023/06/24〜25のプリゴジン関連の出来事の時系列纏め。
Wagner PMC ‘armed coup’ attempt in Russia: All the latest news
2023/06/24、プーチン大統領はトルコのエルドアン大統領と会談し、ワグナーによる反乱未遂について協議した。
Putin discusses ‘attempted rebellion’ with Erdogan
2023/06/24のクレムリン発表では、プリゴジンに対する刑事訴訟は取り下げられ、プリゴジンはロシアを離れてベラルーシに向かう予定。
Kremlin reveals details of Wagner deal
2023/06/24、ロシアのRTはプリゴジンのクーデター未遂に関する西洋大手メディアの報道について報じている。当然、西洋による情報戦を疑っているのだろう。
‘Staggering’: How Western media is responding to Prigozhin’s coup attempt
2023/06/24、ロシア外務省は声明でワグナーによる武装反乱未遂を非難し、「陰謀を企てた者達の冒険主義的な野心は、事実上、ロシア情勢を不安定化し、我々の団結を壊すことを目的としている。(中略)従って、反乱はロシアの外敵の思う壺だ」と述べ、西側諸国に対し、現状況に付け込まないよう警告を発した。
Russia issues warning to the West amid Wagner rebellion
2023/02/24、ワグナーの反乱未遂を受けて案の定ゼレンスキーは大はしゃぎ。「悪の道を選ぶ者は自らを滅ぼす」とか「お前が言うな」発言をテレグラムに投稿したりしている。ワグナーはキエフ軍に大打撃を与えた相手だと云うことすら綺麗さっぱり忘れ去ってしまったらしい。
Ukrainian officials jubilant over coup attempt in Russia
★2023/06/24、プリゴジンの武装蜂起未遂を受け、プーチン大統領は国民に向けて演説した。
民間軍事会社ワグナーのクーデター未遂の最中、プーチン大統領の国民向け演説の要点(要点)
2023/06/23、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の報道機関が、プリゴジンとの交渉が成功したと発表した直後、プリゴジンの部隊は反逆を起こしてモスクワまで200kmの所まで迫った後、「野戦キャンプ」に戻ったと発表された。
Wagner boss confirms cancellation of advance on Moscow
2023/06/23、ロシアの反テロ委員会は、民間軍事会社ワグナー・グループのトップ、エフゲニー・プリゴジンが政府に対する反乱を扇動した容疑で捜査を受けていると発表した。またプリゴジンの主張は全て「全く根拠が無い」と述べ、連邦保安局(FSB)が「武装反乱を呼び掛けたとして刑事捜査を開始した」と付け加えた
FSB opens criminal case after Wagner boss calls for ‘armed rebellion’
2023/06/23、ロシアの領土から民間軍会社ワグナーの基地のひとつがミサイル攻撃されたと主張する動画がソーシャルメディアで出回った。これを受けてロシア国防省は、ワグナーのトップのエフゲニー・プリゴジン氏が虚偽を広めたとして非難した。「全てのメッセージと動画は現実に対応しておらず、情報挑発である。」
Wagner chief spreading misinformation – MOD
関連が有るかも知れないので紹介しておく。ロシアのイーゴリ・ストレルコフ氏率いる「怒れる愛国者クラブ」が2023/04/24に発表した39の公開質問リストの英訳。かなり長いし扱っている問題も非常に多岐に亘るので詳しくは触れないが、ロシアの「ターボ愛国者」達は、ウクライナでの特別軍事作戦の展開に非常に不満を持っており、ロシア上層部が相当程度腐敗しているのではないかと疑っている。
39 questions about the war in Ukraine
コリブコ氏の分析。「ワグナーはアルチョモフスクで包囲に直面した」と云うプリゴジン氏の主張に対して、ショイグ国防相はこれまでの報道全てを「現実と一致していない」と却下した。翌05/12、プリゴジン氏は皮肉を込めてショイグ国防相に直接アルチョモフスクを視察するよう要請した。国防省は現状維持、ワグナーは変化を望んでおり、どちらが正しくてどちらが間違っているかはともかく、対立する両者はどちらも引き下がろうとしていない。この対立を解消するにはプーチン大統領の介入を必要とするかも知れない。
Prigozhin Isn’t Backing Down After The Defense Ministry Pushed Back Against His Latest Claims
コリブコ氏の分析。2023/05/09、プリゴジン氏はロシア国防省のヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長を名指しで批判し、「個人的に全ての数値を修正し、10分の1に減らした」と主張した。つまりプリゴジン氏は事実上、プーチン大統領に自分とゲラシモフのどちらかを選択するよう迫っている。
Prigozhin Is Practically Forcing Putin To Choose Between Him & Gerasimov
コリブコ氏の分析。プリゴジン氏の告発以来、以下の重要な進展が見られた。
1)ワグナーには必要なだけの弾薬と武器を約束された。
2)必要と判断した場合にはアルチョモフスクでの戦闘を継続するよう指示された。
3)特別軍事作戦の副司令官であるセルゲイ・スロビキンが、今後ワグナーとロシア国防省との関係問題を担当する。
これらはプーチンの介入無しには起こらなかったことだろう。これは彼がプリゴジン氏の主張を受け入れ、ワグナーの苦境の原因が国防省トップの不正であると信じたことを意味する訳ではないが、少なくとも深刻なコミュニケーション上の問題が有ったことを示唆している。結果を見れば、プリゴジンは少なくとも要求した改革の一部は達成した訳で、これはロシアの官僚機構内で何かを変えることが如何に難しいかを考えると、非常に印象的だ。
It Appears That Putin At Least Partially Agreed With Prigozhin’s Plea For Help
コリブコ氏の分析。兵站を巡って以前からロシア国防省と対立しているプリゴジン氏の発言の意図が純粋に愛国的なものなのか、それとも権力闘争の一環なのかは現時点では不明だが、彼が安全保障分野について抜本的な改革を要求していることは間違い無い。プリゴジン氏は恐らくプーチン大統領に対して、イワン雷帝の粛清部隊(オプリーチニナ)の現代版を創設するよう要求している。ロシアの愛国的歴史観に於ては、反逆分子の脅威を取り除くことはロシアの統一、ひいては国家としての存続を守る為に必要なことだったと評価されており、恐らくスターリンもこの解釈を採っていた。
Will Putin Agree To Prigozhin’s Implied Plea For A Modern-Day Oprichnina?
ペペ・エスコバル氏による「プリゴジン・ファイル」の解説。プリゴジン氏の発言は真剣な告発か情報戦かどちらかだが、ロシア国防省の腐敗した官僚主義に怒っているのは彼だけではない。「怒れる愛国者クラブ」のイゴール・ストレルコフ氏は2023/04/19に同様の告発動画(Youtubeによってその後削除された)を公開し、05/02には更にテレグラムへの投稿で、クレムリンはこの戦争に真剣に勝とうとしていないと痛罵している。
The Prighozin File: Twilight of the Gods or Maskirovka?
プリゴジン氏のインタビューは長いが、要点を纏めた記事はここで読める(それでも情報量が多いが)。ロシア国防軍の官僚主義と無能さ、支援不足を痛烈に批判し、これまでの勝利はワグナーの貢献に拠るものであって、ロシア軍は規律も士気も無く、嘘だらけのプロパガンダによって過大に評価されていると述べている。この主張が何処まで真実なのかは確認し様が無いが、少なくともここまで正面切ってロシア国防軍に対してロシア国内の関係者から批判が行われたことは前代未聞だ。
Wagner's Prigozhin Issues Most Dire Warning Yet Ahead of Ukrainian Counterattack
2023/05/05に公開された、ロシアの民間軍事企業ワグナーのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏が痛烈なロシア国防軍批判を行なったインタビュー動画はこれ。
Большое разоблачение: Пригожин о предательстве и амбициях ЧВК
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