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新たに開始されたサウジと米国のスーダン和平プロセスから導かれる5つの結論(抄訳)

スーダン紛争後の初の協議に関するアンドリュー・コリブコ氏の分析。この紛争に於ける米国の立ち位置を確認している。
Five Takeaways From The Newly Commenced Saudi-US Peace Process For Sudan



 2023/05/06、スーダン国軍(SAF)と迅速支援部隊(RSF)の代表がサウジのジェッダに代表を送り、4月の軍事衝突開始から初の協議を行った。

 だが、ここで話し合われたのは人道的停戦のみであって、スーダンのディープステート戦争の終結を目的とした交渉ではなかった。

 これを受けてサウジと米国は共同声明を発表し、この和平プロセスによって紛争を出来るだけ早く終結させるよう両当事者に要請した。

 これらの展開で押さえておくぺきポイントは5つだ。

 1)米国は、「アフリカの問題はアフリカが解決すると」と云う原則を無力化することに成功した。これはスーダンの重要な利害関係者であり、イランと接近したことで米国側で不信感を募らせているサウジの協力で可能となった。

 2)サウジと米国はスーダン紛争を終わらせる為に協力している訳だが、両者の思惑は異なっている。前者はアラブ世界での自称リーダーシップを再確認したいと考えているが、ワシントンの方ではロシアのようなライヴァルがこの紛争で何等かの役割を果たすのを阻止すると同時に、自分達が支援しているSAFパートナーを救いたいと望んでいる。

 3)SAFもRSFも徹底交戦を宣言していたにも関わらず、人道的条件に関しては留保を付けることが確認された。これは十字砲火に巻き込まれた民間人にとっては天の恵みだが、双方ともこれまでの数回の停戦を完全には尊重していないと云う信頼出来る報告も有る。それでも、前向きな展開ではあり、停戦が無いよりは明らかにマシだ。

 4)3)を拡大した観察として、両者とも停戦を心底望んでいた訳ではなさそうなのに、少なくとも部分的には従うよう、米国から強い圧力を掛けられたのであろうことが確認出来る。これは米国がこの紛争に於て最も影響力の有る外国のアクターであることを物語っている。

 5)ロシア米国の主流メディアも認めている通り、この紛争を引き起こしたのは米国だが、バイデン政権はこの紛争に関して最新の制裁によって両当事者に更に圧力を掛けようとしている。だがこれは無視無欲に平和を求めて公布された訳ではなく、戦争が長引けば、ワシントンのパートナーであるSAFがRSFに敗北する危険性が出て来るからだ。彼等はスーダンに於ける米国の影響力を保持したいのだ。

 以上のことを再確認すると、
 ・この紛争を引き起こした責任は米国に在る。
 ・米国はこの紛争に於て最も影響力を持つ外国のアクターであり続けている。
 ・米国は軍事戦略力学が米国の利益に反して変化した為、現在はこの紛争を阻止しようとしている。
 ・米国の注目は、米国がこの紛争の結果を如何に重要視しているかを示しており、紛争が長引けば軍事介入を行う可能性も有る。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
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