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US-EU-NATOがソマリランド分離主義者と会談(抄訳と補足)

西洋諸国に弄ばれるソマリアの現状と、西洋諸国の偽善についてのアン・ギャリソン氏の記事の抄訳と補足。
US-EU-NATO Meet with Somaliland Secessionists




 2023/04/17、西洋諸国の代表者が、ソマリアからの分離独立を掲げてスール、サナーグ、カインの民族主義者に対して攻撃を仕掛けているソマリランドの政権と電話会談した。ベルギー、カナダ、デンマーク、欧州連合、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、トルコ、英国、米国の15の代表だ。

 このグループの出した声明は、表面的には敵対行為の停止を要求し、双方に座って話し合うよう促しているが、根本的なところでは、ソマリランドの分離主義政権に西洋が事実上承認を与えることを再確認している。彼等は紛争に反対しつつも、その紛争の根本原因は放置するどころか寧ろ支持し続けると言っている。つまり西洋諸国はソマリアを更に崩壊させ、ソマリア国家の主権を蔑ろにすることを改めて宣言したのだ。

 ウクライナのドンバスの分離主義に対しては、西洋諸国は一環してその人民自決の権利を否定し続けており、しかもドンバスはソマリランドと違って攻撃を仕掛けている側ではなく、2014年以来文字通り毎日キエフ軍の砲撃を受けている側だ。西洋のこの二重基準は全く呆れ果てたものだ。

 ソマリランドは2020/02/26には台湾と「外交関係」を結んでいる。ソマリランドも台湾も、国際的に承認された国家ではないので、これは政治的な茶番でしかない。因みに台湾政府(中華民国)を承認している国々は年々減少し続けており、アフリカ大陸では、アフリカ最後の絶対君主制国家、エスティワニ(旧スワジランド)しか無い。

 声明の最後はこう締め括られている:

 「パートナー諸国は、大統領閣下がラスカヌードに集まっているソマリランド軍の撤退を約束しなかったことに失望した。」

 ここで言われている「大統領」とは、ソマリアの正式な大統領であるハッサン・シェイク・モハムドのことではなく、ソマリア(正式名称は「ソマリア連邦共和国」)を構成する7つの共和国の内のひとつであるソマリランドのムセ・ビヒ・アブディ大統領のことを指している。



 モハムド大統領はこの会談には招待されなかったが、彼は文句を言わなかった。数百人が死亡し、10万人が家を追われているこの状況で彼がした唯一の反応は、双方が話し合って解決に努めるべきだと呟いただけだった。

 ソマリアはまだ国旗と国連議席を持っているが、1969〜91年のシアド・バーレ政権が崩壊して以来、それ以外には何も無くなってしまった。2000〜07年にはイスラム法廷が安定を確立することに成功したが、2006年には米国が支援するエチオピアがイスラム法廷を打倒して過激主義を刺激し、テロ組織アル=シャバーブの台頭を齎した。アル=シャバーブはソマリアを苦しめると同時に、米軍が「対テロ戦争」の一環としてソマリアをドローン爆撃し、ソマリアに駐留し続ける口実として役立って来た。

 ソマリア沿岸は世界で最も重要な戦略地政学的な場所のひとつで、世界で最も豊富な未開発の石油埋蔵量の可能性が指摘されている。 世界の貿易の約12%がスエズ運河を通過し、石油の約50%がスエズ運河ホルムズ海峡を通過する。ここに米軍が駐留しているのは「テロ退治」以上の意味を持っている。

 米軍のドローンは罪の無い遊牧民、農民、家畜(農民にとっては家の富全てを意味することが多い)を頻繁に攻撃している。駐留米軍は増加しており、バレドグル飛行場(ドローン司令センターであり、米国から訓練・指揮・支払いを受けている特殊作戦部隊であるダナブ旅団の訓練センターでもある)は拡張計画が出ている。

 国連の平和維持活動(ATMIS、旧AMISOM)は2007年以来続けられているが、その使命を果たすことには失敗し続けている。

 これら全てに、モハムド大統領は異議を唱えていない。

 ソマリアの学者であり、アフリカの角研究所の創設者であるアブディワハブ・シェイク・アブディスサマド氏に拠れば、「モハムド大統領は外国のプロジェクトであり、国に対するヴィジョンも使命も持ち合わせてはいません。彼には守るべき政治哲学が無いのです。彼がそこに居るのは、単に自分の懐を潤す為です。」



 前大統領モハメド・アブドゥラヒ・モハメド(通称ファルマージョ。2017〜22年)は全く違った。彼は困難な状況の中で、米国や他の外国軍の撤退を交渉し、主権国家ソマリアを守ることが出来る主権を持ったソマリア軍を構築する為に懸命に努力していた。

 だからこそファルマージョは去らねばならなかった。米国とそのEU/NATO同盟諸国は、強力な主権を持つソマリアが、自国の広大な石油資源と地政学的な海岸線を支配し、隣国エチオピアとエリトリアと、地域の貿易・文化・安全保障上の同盟を結んでいる光景を見たくはなかったのだ。

 2022年、米国はIMFを利用して、腐敗した氏族ベースの選挙を実施するようソマリアに強要した。ファルマージョとナショナリスト(別名組合主義者)運動は、普通選挙権、1人1票の選挙を求めて奮闘したが、力及ばす、ファルマージョは権力の座を逐われた。そして2012〜17年に大統領を務め、外国企業から直接現金支援を受けたモハムドが返り咲いた。腐敗したモハムドは就任7ヶ月にして、その任期の半分を国外への旅行に費やしている。


 
 ソマリア人が再びまともに機能する国家を持てる可能性は非常に低い様に見えるが、ソマリアの組合主義者達は決意を固めている。幸いなことに、植民地主義者が恣意的に引いた境界線が原因で言語・文化・宗教を異にする人々がひとつの国に住まねばならないことから来る、アフリカ諸国の多くが悩まされている民族的分裂の問題からは、ソマリアは自由だ。

 ソマリア人はひとつの言語を話し、ひとつの文化を共有し、ひとつの宗教を実践している。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
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