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スーダンの決着:ブルハーン将軍はスーダンに於けるCIAの手下だとトーマス・マウンテンは語る(要点を再構成)

アフリカの角情勢を得意とする独立ジャーナリスト、トーマス・マウンテン氏による2023年スーダン危機の解説を基に現状を纏めてみた。
Sudan’s fight to the finish: General Burhan is the CIA’s henchman in Sudan, Thomas Mountain says





 スーダン空軍は首都ハルツームを爆撃している。これはスーダンの人々が初めて目にする光景だ。この状況を理解するには、地球で最も重要な戦略地域であるアフリカの角全体で起こっていることを視野に入れる必要が有る。

 あらゆることが急激に変化している。イランとサウジがまさかあっさり和解するなど、一体誰に予想出来ただろうか。地域を不安定化して古典的な分割統治を続けたい米国にとっては、これは実に頭の痛い展開だ。

 米国にとって最も手痛い打撃のひとつは、代理勢力であるTPLF(ティグレ人民解放戦線)を使ってやらせていたエチオピア内戦が、和平交渉によって失敗してしまったことだ。エチオピアは1億2,000万もの人口を持つアフリカ最大の国のひとつであり、TPLFのメンバーが政権を握っていた時にはアフリカの角に於ける米国の前哨基地として機能していたので、この失点は大きかった。

 エチオピア内戦中、スーダンはTPLFへ大量の武器を送る中継点として機能していたが、これを指揮していたのが、エジプトとCIAの支援を受けた(マウンテン氏に言わせれば「CIAの手下」である)ブルハーン(スーダン国軍/SAFの最高司令官)だ。

 エジプト軍は既にスーダン国内に駐留していたことが判明しており、RSFによって拘束されている。エジプトはナイル川のダムを巡って(と云うより口実にして)エチオピアを非難しており、スーダンに軍を展開していたのは、スーダンを拠点にしてエチオピアを脅迫する為の準備だと考えられる。



 他方、アフリカの角では大規模な和解のプロセスが進行中で、エチオピアや、同じく米国の不安定化工作の標的にされ、共闘の経験を通じてエチオピアと固い絆で結ばれることになったエリトリアが希望の星だが、周辺各国も、西洋の利益ではなく自国の利益を第一に考える、と云う(まぁ言ってしまえば至極当たり前の)主権主義の方向に傾きつつある。重要な戦略拠点を失った米国はこの地域での影響力が急速に失われつつある展開に焦りを深めている訳だ。

 今回の紛争でブルハーンと敵対しているRSFの指揮官、ダガロ司令官(通称ヘメティ)は、この地域間での和平協力を支持する側の人間だ。彼はその地位を利用して儲けたりもしているので、聖人君子だと云う訳ではないが、現時点では最善のチョイスだ。3月にはエリトリアに赴いて、両国の関係改善について話し合ったばかりだ。

 ヘメティはまた文民による統治を支持している。2019年にブルハーンと共にアル=バシール大統領を追放した時、ハルツームに降り立った直後にヘメティがしたことは、和平交渉の宣言だった。

 ロシアはアフリカ諸国で人気が高いが、ロシアがスーダンで金の取引を成功させているのも米国の気に食わない。彼等はこの地域の鉱物資源を独占したいのだ。

 ロシアが紅海に海軍基地を建設する交渉を進めた時、モスクワに赴いたのもヘメティだ。これも当然米国は気に食わない。

 米国はこの地域に平和と繁栄は望んでおらず、バルカン化を続けたいと思っているので、手下を使ってヘメティを排除しようとしたのだ。

 その目的の為になら、新たな制裁は既に準備しているし、エジプトに軍事介入をやらせるかも知れないが、エジプトも今や米国のいいなりには動かないので、今後の展開は不透明だ。

 25万のブルハーン軍(SAF)は近代兵器で武装しているが、10万のヘメティ軍(RSF)はピックアップトラックなんかを乗り回している民兵の集まりだ。だがSAFの将校が次々捕虜になったりしており、どうやら勝ちそうなのはヘメティの方だ。

 何れにせよスーダンの人々は争いは望んでおらず、彼等の生活は圧迫されているので、勝ち負けではなく、両者が妥協して合意を目指すのが大事だ。エリトリアが仲介に入る可能性も有る。
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川流桃桜

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