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マヨット島:「部門化は完全な社会的事実です。」(要点と補足)

10年に亘ってフランスの「海外県」、マヨット島を調査した社会学者で、Une situation postcoloniale:Mayotte ou le gouvernement des marges の著者であるニコラス・ロインサール氏のインタビューから、前半のポイントを抜き出してみた。
Mayotte. « La départementalisation est un fait social total »



 ロインサール氏の著書の中では、マヨットは「最も若く、最も貧しく、最も不平等で、移民の影響を最も受けている 」フランスの領土であり、今日では「火薬樽」だと認識されていると描かれている。

 マヨットは曾てのフランスの植民地であり、法的には非植民地化されていることになっている。マヨットは国連の観点からすればコモロ連合(マヨットも含まれるコモロ諸島の他の3島から成る)の一部の筈なのだが、植民地統治に特有の法的例外状況を連想させる、国家レヴェルでの差別的な扱いを受けている。現地のマホライ族の人々は、自分達が二級市民であるかの様に感じている。

 「脱植民地化せずに植民地を去る」ことは、フランス第5共和制の特徴で、フランスは植民地を去った後も政治的影響力を保持している為、完全に植民地化を解除する訳ではない。これは大統領に権力が集中しているフランスの政治体制にも関連しており、エマニュエル・マクロンが地元で選出された役人に演説する時や、マヨットの様な海外県で選出された役人に演説する時に、この実態の一旦を観察することが出来る。
 
 「部門化法(Loi de départementalisation)」とは1946年に採択された法律で、フランスの海外植民地を「部門」に設定するものだ。植民地をフランスの国家体制の中に正式に組み込むと云う意味を持つものだろう。

 今日のマヨットに於て、部門の地位を獲得することは平等を手に入れることと同義だと言う者も入れば、部門化は同化と同義だと言う者も居る。ロインサール氏の調査結果に拠れば、マヨットには2つの社会が併存している。
 ・部門化とコモン・ローの社会:共和国学派、公式の市場経済、公用語としてのフランス語等。
 ・マヨット社会:宗教的結婚、非公式の仕事、現地語の優位性等。
 これは、乗り越えられない矛盾に繋がる。

 1980年代に民族学者ソフィー・ブランシーが研究したマヨット社会は、深刻な対立や社会的緊張がなく、誰もが社会に於ける自分の役割と場所を知っているという意味で統合された社会だった。

 逆に、近年観察された非行の増加は、社会の統合が弱まっていることを示している。不平等と社会的変化が深刻化する中で、社会は最早共生にルールを課すことは出来ない。若い世代は特定の慣習や宗教的規則から離れており、女性の解放も起こっている。現在のマヨットは、フランス、バントゥー、イスラムが同時に存在する社会だ。
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川流桃桜

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