米国がバングラデシュでレジームチェンジを企んでいるのは何故か?(要点)
アンドリュー・コリブコ氏の分析の要点。バングラデシュに米国のレジームチェンジの魔手が迫っている件は、近隣地域での展開と合わせて考える必要が有る。
Why’s The US Scheming To Carry Out Regime Change In Bangladesh?
2023/04/10、バングラデシュの長期政権を率いるシェイク・ハシナ首相は、米国が与党アワミ連盟に政権交代を求めていると非難した。
「彼等(米国)は民主主義を排除し、民主的な中身を持たない政府を導入しようとしています。」
「彼等はどの国の政府も打倒出来ます。特にイスラム諸国は厳しい状況に直面しています。」
2023/02/15に米国国務省参事官デレク・コレットは、「バングラデシュに於ける民主主義の衰退」について懸念を表明した。
ハシナ氏は2009年に首相に復帰して以来、大規模な経済ブームを監督したが、一部の活動家や米国政府は彼女が権力を中央集権化させ、野党を抑圧し、投票を騙し取ったと非難して来た。
にも関わらず米国はバングラデシュとの関係を強化して来た。その理由は同国が世界的な繊維ハブとして重要であることと、ベンガル湾が地政学的に重要な意味を持つことだ。ベンガル湾はインドと中国が互いに影響力を競い合っている場所だ。
バングラデシュはこれまでのところ、米印中、それにロシアとの間で上手くバランスを取ることに成功しているが、国が不安定化すれば全てが台無しになる。
この状況は、隣国タイが5月に総選挙を控える中で、ミャンマーでのテロ組織掃討作戦についての認識が西洋メディアによって操作されていると云う背景と同時に考える必要が有る。
中国と親しいタイでの選挙で米国の代理人が返り咲くか、或いはカラー革命の試みが為された場合、それは隣国ミャンマーに対する米国の軍事介入の余地を拡大することになる。これはバングラデシュでのレジームチェンジと同時進行した場合、ベンガル湾を深刻に不安定化させる可能性が有る。
つまりバングラデシュ、ミャンマー、タイに対する一連の不安定化工作は、印中関係を悪化させ、米国にとっては戦略的に優位な状況を作り出すのだ。
バングラデシュは今後、ハシナ政権を中傷する情報攻撃、制裁、カラー革命、非正規戦争の組み合わせによるハイブリッド戦争の標的になる可能性が有る。
だがバングラデシュはこれらの手口に精通しており、過去10年に亘って、対ハイブリッド戦争の民主的安全保障の強化に多大な努力を払って来た。
だが、「兵器としての大量移民(Weapons of Mass Migration)」が使用された場合はゲームチェンジャーになる可能性が有る。バングラデシュはインドとは同盟相手だが、西洋の「NGO」(諜報部のフロント組織)がバングラデシュからインドへの不法移民を奨励すれば、インドは地元コミュニティを守る為に懸念を強めるかも知れない。またバングラデシュはミャンマーとの間にはロヒンギャ問題を抱えているが、ミャンマーからバングラデシュへ流入するロヒンギャの中に西洋のテロリスト・セルが潜り込んでいれば、紛争の火種と成り得る。
タイやミャンマーとは違って、バングラデシュの不安定化はインド北部(セブン・シスターズ)にまで波及する可能性が有る。2月中旬にBBCがモディに関する挑発的な「ドキュメンタリー」を放送した後、カラー革命の大家ジョージ・ソロスは、ミュンヘン安全保障会議に於てインドに対して実質的にハイブリッド戦争を宣言している。
George Soros on Climate Change and Rising Authoritarianism
ここに財政が不安定なスリランカの要因を加えれば、ベンガル湾が新冷戦の主要な戦場のひとつに躍り出たことは明らかだ。野党バングラデシュ民族主義党が与党アワミ連盟にどんな不満を持っていようと、それらは一旦脇に置いて、米国のレジームチェンジ工作によって国が不安定化しないよう、最善を尽くす必要が有る。
Why’s The US Scheming To Carry Out Regime Change In Bangladesh?
2023/04/10、バングラデシュの長期政権を率いるシェイク・ハシナ首相は、米国が与党アワミ連盟に政権交代を求めていると非難した。
「彼等(米国)は民主主義を排除し、民主的な中身を持たない政府を導入しようとしています。」
「彼等はどの国の政府も打倒出来ます。特にイスラム諸国は厳しい状況に直面しています。」
2023/02/15に米国国務省参事官デレク・コレットは、「バングラデシュに於ける民主主義の衰退」について懸念を表明した。
ハシナ氏は2009年に首相に復帰して以来、大規模な経済ブームを監督したが、一部の活動家や米国政府は彼女が権力を中央集権化させ、野党を抑圧し、投票を騙し取ったと非難して来た。
にも関わらず米国はバングラデシュとの関係を強化して来た。その理由は同国が世界的な繊維ハブとして重要であることと、ベンガル湾が地政学的に重要な意味を持つことだ。ベンガル湾はインドと中国が互いに影響力を競い合っている場所だ。
バングラデシュはこれまでのところ、米印中、それにロシアとの間で上手くバランスを取ることに成功しているが、国が不安定化すれば全てが台無しになる。
この状況は、隣国タイが5月に総選挙を控える中で、ミャンマーでのテロ組織掃討作戦についての認識が西洋メディアによって操作されていると云う背景と同時に考える必要が有る。
中国と親しいタイでの選挙で米国の代理人が返り咲くか、或いはカラー革命の試みが為された場合、それは隣国ミャンマーに対する米国の軍事介入の余地を拡大することになる。これはバングラデシュでのレジームチェンジと同時進行した場合、ベンガル湾を深刻に不安定化させる可能性が有る。
つまりバングラデシュ、ミャンマー、タイに対する一連の不安定化工作は、印中関係を悪化させ、米国にとっては戦略的に優位な状況を作り出すのだ。
バングラデシュは今後、ハシナ政権を中傷する情報攻撃、制裁、カラー革命、非正規戦争の組み合わせによるハイブリッド戦争の標的になる可能性が有る。
だがバングラデシュはこれらの手口に精通しており、過去10年に亘って、対ハイブリッド戦争の民主的安全保障の強化に多大な努力を払って来た。
だが、「兵器としての大量移民(Weapons of Mass Migration)」が使用された場合はゲームチェンジャーになる可能性が有る。バングラデシュはインドとは同盟相手だが、西洋の「NGO」(諜報部のフロント組織)がバングラデシュからインドへの不法移民を奨励すれば、インドは地元コミュニティを守る為に懸念を強めるかも知れない。またバングラデシュはミャンマーとの間にはロヒンギャ問題を抱えているが、ミャンマーからバングラデシュへ流入するロヒンギャの中に西洋のテロリスト・セルが潜り込んでいれば、紛争の火種と成り得る。
タイやミャンマーとは違って、バングラデシュの不安定化はインド北部(セブン・シスターズ)にまで波及する可能性が有る。2月中旬にBBCがモディに関する挑発的な「ドキュメンタリー」を放送した後、カラー革命の大家ジョージ・ソロスは、ミュンヘン安全保障会議に於てインドに対して実質的にハイブリッド戦争を宣言している。
George Soros on Climate Change and Rising Authoritarianism
ここに財政が不安定なスリランカの要因を加えれば、ベンガル湾が新冷戦の主要な戦場のひとつに躍り出たことは明らかだ。野党バングラデシュ民族主義党が与党アワミ連盟にどんな不満を持っていようと、それらは一旦脇に置いて、米国のレジームチェンジ工作によって国が不安定化しないよう、最善を尽くす必要が有る。
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