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東アフリカ共同体の急速な拡大には長所と短所が伴う(要点と補足)

東アフリカ共同体の急速な拡大について、アンドリュー・コリブコ氏の分析の要点と補足。
The East African Community’s Rapid Expansion Carries With It Pros & Cons



 ・東アフリカ共同体(East African Community/EAC)は1967年に設立され、10年後に一度崩壊した。
 ・2000年、EACはケニア、タンザニア、ウガンダを創設メンバーとして再開した。
 ・2023年時点で、EACメンバーはブルンジ、ケニア、ルワンダ、南スーダン、タンザニア、ウガンダの6ヵ国だったが、2023/03/29にコンゴ民主共和国(DRC)が新たにこれに加わって7ヵ国になった。今後これにソマリアとエチオピアが追加される見通しで、事務総長は「世界で最も統合された地域経済ブロック」になるだろうとの楽観的な見通しを語っている。

 EACは急速に拡大を続け、一地域の連帯から汎アフリカ主義へ近付いている為、最早ブランド変更を必要としている。またこれは2019年のアフリカ大陸自由貿易地域(African Continental Free Trade Area/AfCFTA)の創設と相俟って、より多くの外国投資を引き付ける可能性が有る。

 これらは一見結構な展開の様に見えるが、加盟諸国の利害は一致している訳ではない。特に1996年以降「アフリカの世界大戦」に苦しめられて来たDRCの状況は剣呑で、ルワンダは再び、資源が豊富なDRC東部に(フランスから密かに支援を受けて)侵入したとして非難を浴びており、事態のエスカレーションが懸念される。また南スーダンの安定は当てに出来ないので、少なくとも南スーダンとDRCの加盟は時期尚早だったと言える。ソマリアについては言うまでも無い。

 加盟諸国同士での経済的、政治的、安全保障上の意味での包括的な統合が実現されていなければ、善意の努力が実を結ぶのは難しい。拡大が悪いと云う訳ではないが、確たる基盤が形成されない内に規模を拡大してしまうと、麻痺や崩壊、逆転の危険性が有る。

 DRCがルワンダを、テロ組織M23を密かに支援して侵略を行っていると非難している現状を考えると、DRCでの東アフリカ共同体地域軍(East Africa Community Regional Force/EACRF)でのミッションが継続されたことは、EACの多国間安全保障協力の見通しの試験になるだろう。成功するかどうかは不確実だが、若し成功すれば、より緊密な安全保障統合が促進され、南スーダンやソマリアでも同じ手法が採用される可能性が有る。

 逆に、DRCでのミッションが失敗し、DRCとルワンダとの関係が悪化すれば、EACメンバーは両国のどちらかの側に立つことを余儀無くされるかも知れない。そうなるとEAC自体が分裂するか、ルワンダ以外のメンバーが団結してルワンダが孤立する、と云う展開になるかも知れない。どちらの展開も、EACの目的にとっては望ましくない。

 またエチオピアの加盟はメンバー同士の関係を完全に変えてしまう可能性が有る。情勢不安が続く人口1億のDRCが加盟することと、内戦を終結させて安定した人口1億2,000万のエチオピアが加盟することは全く別の話だ。他方、南スーダンはその1/10の人口しか持たない。

 地域協力の理想は素晴らしいが、基盤が出来ていないのに急拡大してしまうと、崩壊するリスクも大きくなる。
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川流桃桜

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