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「天安門事件」の「目撃証言」の信憑性

先ずは、天安門事件に関する個人的回想から

 今までも何度か述べて来たが、私は所謂「天安門事件」、つまり1989/06/04に天安門広場に集まった大勢の学生達が、何百人だか何千人だか知らないが、中国人民解放軍によって大勢虐殺された、と言われている出来事について、最初からその信憑性を疑っていた。

 まぁこんな立場の日本人は恐らく超少数派だろうと思うので、こんなことを言うとアタマがオカシイとか思われるかも知れないが、何故私がそんな奇妙なことを思うに至ったかを先ず説明しておこうと思う。

 当時私は中国の天安門広場で起こっていることについて、その背景事情も、どう云う文脈の中で起こっていることなのかも、抗議者達が具体的に何をしたがっているのかも、殆ど理解してはいなかった。ニュース報道の解説を聞いたり読んだりしても、それが具体的にどう云うことなのか、生身の人間達のドラマとしてのイメージがさっぱり湧かない。但、何百人だか何千人だかが虐殺されたと云うショッキングなニュースを耳にしたので、訳が分からなくともとにかく今起こっていることを目撃して「歴史の証人」に成らなければ、と思って、TVに齧り付いた。

 そこには「虐殺って具体的にどう云うことをやるんだろう。映画やドラマでならともかく、現実の虐殺って見たこと無いんだけど」と云う、一種の不謹慎な怖いもの見たさの心理も混じっていた。なので私は半ばハラハラドキドキ待ち構えながらニュース映像を見ていた。

 が、待てど暮らせど、虐殺の映像は一向に放送されない。何だか大勢がワーワーキャーキャー騒いでいて、何か大きな混乱が起こっていることは判る。でもそれは断片的なバラバラの情報がごた混ぜになったもので、具体的にどう云う文脈で起きたどう云う出来事を捉えた映像なのか、さっぱり判らない。何人か怪我人が出たのは事実だろうとは判る。でもそれも兵士に殴られたのか自分で素っ転んで怪我をしただけなのか判らないし、「何人かが怪我をした」と云うニュースは「数千人が虐殺された」と云うニュースとは全く別のものだ。「これは虐殺の一場面です」と言われればまぁそう見えないことも無い映像はやたらと有るが、虐殺の決定的瞬間を捉えた映像は、どのチャンネルを回してみても、ひとつもお目に掛かれなかった。期待外れもいいとこだ。若しこれが推理小説で、犯人を追い詰める決定的証拠がこの程度のものだったとしたら、間違い無く駄作認定されることだろう。

 これはどう云うことなのだろう。全く腑に落ちない展開だった。当時天安門広場での出来事は国際的な注目を集めており、広場には諸外国からの大勢の特派員達が張り込んでいた(実はその多くは事件の直前には撤退していたことは後で知ったが、それでも結構な数の報道員やジャーナリスト達が残っていた筈だ)。彼等は事件の最中、一体何処で眠り込んでいたのだろう? こう云う瞬間を逃さず全世界に伝える為に、彼等はそこに居たのではなかったのか? 何故兵士達が機関銃で学生達を一掃したり、戦車が学生達を踏み潰す決定的瞬間を捉えた映像や写真がひとつも存在しないのだろうか? それとも、彼等は本当はそうした証拠を持っているが隠しているのだろうか?(揃いも揃って中国政府から脅迫を受けてビビったとか?)

 温情主義的な日本のメディアは視聴者が衝撃的な映像を見て心臓麻痺を起こさないよう、御親切に検閲を行って下さることがよく有る。この件もその類いで、虐殺の瞬間は意図的にカットしているのかも知れない、とも考えた。だがそれ程衝撃的でない映像や写真を選んで紹介することは、本当に不可能だったのだろうか? 本当にそんな事件が起こったのであれば、世界中から来たカメラマン達が何百枚も何千枚も写真を撮りまくっていたに違い無いが、そのどれもこれもが、肝っ玉の小さい日本の視聴者に見せるには余りに血生臭いものばかりだったのだろうか?

 この疑問は後に諸外国のメディア報道に接することによっても解消されなかった。他の国々のメディアも日本のメディアと同じだったのだ。

 今に至るまで、私は「天安門広場での、人民解放軍兵士達による抗議学生達の一方的な大量虐殺」の決定的瞬間を捉えた、議論の余地の無い映像や写真を、ひとつも見たことが無い。

 なので私は近年に至るまで、「天安門事件」については、「TVや新聞は虐殺が有ったと主張しているが、本当のところはよく分からない出来事」と云うカテゴリーに分類して、判断を保留して来た。これは正しい態度だったと、今振り返ってみても思う。「分かったつもり、知ったつもり」は、自分にとっても他者にとっても、非常に危険なものだ。

 「ニュース報道を通じて虐殺を目撃した」と信じている人は大勢居る様だ。だが全ては、映像の切り貼りによる編集と、ナレーションによる印象操作の結果だ。「虐殺が行われた」と云う主張を裏付けるものは、幾つものコトバしか無い。それは単なる主張であって、それだけでは本当かどうかは判らない。少なくとも、比較的動かぬ証拠であると言える映像や写真による裏付けはひとつも存在しない(一例として、有名な「タンク・マン」の映像を見てみると良い。人民解放軍の戦車隊は立ちはだかった見たところ丸腰の男性一人を、踏み潰すどころか踏み潰さないように、彼がどくまでわざわざ全隊停止して辛抱強く待っている。虐殺の主張とは整合しない出来事が起こっていることが見て取れる筈だ)>

 念を押しておくが、予備知識が全く無かったとしても、一般常識を働かせて、メディア報道の行間をきちんと読みさえすれば、ここまでのことは誰だって解る(現に今よりずっと無知だった当時の私は解った)。嘘だと思うのであれば、どれでも良いから「天安門広場で虐殺が起こった」と主張するニュース映像をしっかり見て、「虐殺の決定的瞬間」が何処に有るのかを探してみれば良い。何処にも無いことが判るだろう。

 全ては言葉、言葉、コトバ………「虐殺」の主張を裏付けるものは、最終的には「虐殺を目撃した」と主張する人々の「証言」に行き着くことになる。この記事では、それらの「目撃証言」の主要なものについて、全て信憑性が疑わしいことを示してみようと思う。

 出典は、「1989/06/04、中国北京の天安門広場で、武装した中国人民解放軍兵士達が非武装の平和的に抗議する学生達を一方的に虐殺した」と云うデマに関するデバンキングを行った記事や本の、虐殺の目撃証言に関する部分。全体は非常に長いので、個々のソースを確認したり、より詳細に知りたい方は、機械翻訳でも何でも良いので元記事を当たってみて欲しい(まぁ「そんなのは嘘に決まってる!」と決め付ける方々はそもそも事実検証になんか興味は無いだろうが、そう云う人達のことは私は知らん。何でも自分の好きなことを信じて一生を終えれば良い)。

 「天安門広場の虐殺」について虚心坦懐に事実を知りたいと思う人は、まぁ私の様な野良犬が言うことなんかは別に信じる必要は無い。私はしょっちゅう間違えてばかりいるので、無闇に信じられても困る。責任は持てない(まぁ間違えたことにすら気付かず、それ故反省も成長もしない人達に比べたらマシだとは思うが)。

 真実に辿り着きたければ、自分が検事になったつもりで、或いは推理小説でも読んでいるつもりで、虐殺を証明する、法廷でも通用する様なハードなエビデンスが一体何処に有るのかを、自力で確認してみれば良いと思う。突き詰めれば、その人にとって何が有無を言わせぬ事実として映るのかは、その人にしか決められない。あなたが納得する証拠は、あなたにしか見付けられない。私は私が現時点で見付けたと思っている証拠を提示してみるだけだ。

Let’s Talk About Tiananmen Square, 1989
1989 Tiananmen Square "Student Massacre" was a hoax
  



「天安門事件」についての主要な「目撃証言」を検証してみよう

 それでは、「天安門広場で虐殺が行われた」と云う主張の基になっている主要な「目撃証言」をリストアップして、その信憑性を検証してみよう。





 ・多くの外国人(主に米国人)ジャーナリストが、北京ホテルから銃撃や学生達の死体の山について実況中継を行っていた。

  → 他の外国人ジャーナリスト達が後に指摘したことだが、北京ホテルからは天安門広場は見えない。遠視能力を持った超能力者ならともかく、普通の人は見えていないものを実況中継することは出来ない。彼等は一体何を「実況中継」していたのか?

 反対に、スペインのTV局、TVEチャンネルのクルーは、最後に残った数千人の学生達が平和裡に広場を後にする光景をカメラに収めており、虐殺が起こっていれば撮影した筈だと証言している。

 そしてまた、当時現地に居た多くの記者やジャーナリスト達が、銃撃や暴力や学生達の死に関する報告の信憑性を否定している。天安門広場での虐殺や大量殺人など起こらなかった、或いは自分は目撃していなかったと認めている西洋のジャーナリスト達には以下の者達が含まれる:

 ・ニューヨーク・タイムズのニコラス・クリストフ(1989/06/13):「国営TVは、広場から平和的に行進して退去する学生達の映像さえ放映した。」

 ・ワシントン・ポストのジェイ・マシューズ(1998年):入手可能な証拠は、事件の最中に学生達は死亡しなかったことを示している。

 ・クリスチャン・サイエンス・モニターのロバート・マーカンド(2004年):「そこで学生達が虐殺されたとする信頼出来る目撃証言は存在しない。学生達が集まっていた人民英雄記念碑に居た目撃者達は、誰も虐殺など見ていない。広場に『血の川』は流れなかった。」

 ・CBSのリチャード・ロス(2009年):「要するに、虐殺が最近その場所で起こったことを証明するどころか示唆するものさえ、何も見なかったのだ。」

 ・BBCのジェームズ・マイルズ(2009年):「天安門広場での虐殺は無かった。軍が到着した時に広場にまだ残っていた抗議者達は戒厳令部隊と話し合った後、広場から立ち去ることを許可された。」

 ・ロイターのグラハム・アーンショウ(2019年):彼の回想録は、虐殺については何も触れていない。彼は戦車や装甲車がテントやゴミを踏み潰していたことにも触れており、これが眠っていた学生達を踏み潰したのだと云う主張については、「あんな夜の後でまだテントの中で眠っていられた者など居る筈が無い」と一蹴している。その他の点は後述。



 ・事件直後に中国の大学生と称する男性が香港メディアに書いた記事が当時広く流布したが、それは広場の人民英雄紀念碑の前で機関銃が学生達を薙ぎ倒したと述べている。

 → 当時そのモニュメントの前ではロイターのグラハム・アーンショー記者が学生達と静かに談笑していたが、彼は回想録でその銃撃のことについては何も触れていない。


 
 ・学生指導者の一人、ウーアルカイシ(吾爾開希)は、何百人または何千人もの学生達が機関銃で薙ぎ倒されるのを目撃したと主張した。

  →  外国のジャーナリストが確認したところ、彼は同時刻、北京の反対側に居たところを目撃されていた。彼は事件が起こったとされる時刻の何時間も前にその場を離れていた。現場に居なかったのにどうやって彼は事件を「目撃」出来たのか? 彼もまた遠視能力の持ち主なのか?



 ・別の指導者のチャイ・リン(柴玲)は、兵士達が20人の学生達を虐殺したと主張した。

 → 彼女と彼女の夫はその前夜に北京を離れていたことが、Wikipediaの記事にすらはっきり書かれている。現場に居なかったのにどうやって(以下略)。

 因みにウーアルカイシとチャイ・リンの両名はMI6とCIAの「イエローバード作戦」によって香港経由で中国を脱出し、それぞれハーヴァードとプリンストンと云う米国のエリート大学に入学し、前者は台湾の独立活動家になり、後者はコンサルタント企業Bain&Co.に就職した。



 ・米国大使ジェイムズ・リリーは事件の翌日北京の病院を訪れ、数百名の学生達が虐殺されたと推定したと発表した。

 → リリー自身が07/04に米国本国に送った秘密通信の内容が2011年にWikiLeaksによって暴露されたが、その通信は天安門広場では虐殺は無かったと述べている。またこの通信は、チリ大使館の第二秘書夫妻も当時現場を目撃し、銃声と赤十字に運ばれる負傷した学生達は見たが、大規模な虐殺は起こらず、兵士達の殆どは暴徒制圧用の装備しか持っていなかったと証言していることについても触れている。



「平和的」で「非武装」の学生達?

 そして、語られるべきではなかったのに過剰に語られた話が有る一方で、語られるべきだったのに殆ど語られなかった事実が有る。「虐殺」されたのは、「平和的」で「非武装」の学生達だったと云うことになっているが、それを真っ向から否定する情報が、「天安門広場で虐殺は起こった」と主張する記事からさえ読み取れる。

 例えばロイターの北京支局長だったガイ・ディンモアは2009年に「抗議者達は石や火炎瓶(ガソリン弾)で武装していた」と証言している。この記事は軍による弾圧についても触れているが、例によって写真や動画はひとつも掲載されていない。そして当時ガソリンは配給制だったのに、抗議者達はどうやって火炎瓶用の大量のガソリンを手に入れたのか? 人を焼き殺せる凶器を持った人物を、普通「平和的」で「非武装」とは言わない。

 また、米国の国家安全保障アーカイヴから1999年に機密解除された文書集の文書15、16は、最初に装甲車で入った人民解放軍兵士が学生達によって殴り殺されたことが、待機していた他の兵士達が発砲する切っ掛けになった様だと述べている。また、装甲車の一部が学生達によって破壊されたり鹵獲されたりしたことにも触れている。こう云うことをやる人は普通はテロリストとか過激派とか武装勢力とか呼ばれるものだ。

 そして、「武装した抗議者達による非武装の人民解放軍兵士達の虐殺(書き間違いではない!)やテロ行為や破壊活動」については、映像や写真による証拠が多数存在する。かなり画質が悪いが、当時中国側で把握していた映像をここに紹介する。
換個角度看六四 八九天安門事件解放軍縂政治部資料片(一)

換個角度看六四 八九天安門事件解放軍縂政治部資料片(二)

換個角度看六四 八九天安門事件解放軍縂政治部資料片(三)


 西洋大手メディアの報道を鵜呑みにせず、代替メディアによって2019年の香港暴動をウォッチしていた人であれば、両者の暴力の類似性に気が付くかも知れない。この暴力が何を意味するのかについてはまた別の機会に。
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