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ジョージアの抗議:米国はロシアに対して第二戦線を開こうとしている(要点)

ジョージアの「外国の影響力」法案の撤回を巡る展開について、ブライアン・バーレティック氏の解説。
Georgia Protests: US Seeks to Open 2nd Front Against Russia

 書き起こし記事とその邦訳も見付けたので追加しておく。
US Sparks Turmoil in Georgia to Open New Front Against Russia
ロシアに対する新しい代理組織を打ち立てようと米国はジョージアでの騒乱に火付け


 外国から20%以上の資金提供を受け取っているNGOやメディア組織に登録義務を課すと云う法案に対して、ジョージアでは抗議行動が起こっている。西洋のメディアはこの法案を「ロシア式」と呼んでいるが、この種の規則は地球上のどの国であっても普通に採用しているものだ。米国の規則はジョージアの法案よりもっと厳しい。

 抗議者の一人は「我が国はロシアの影響下に有る」とコメントしているが、この抗議行動は米国の影響下で組織されたものだ。

 抗議者達が懸念しているのは、ジョージアのEU加盟と「西洋的価値観と自由」が脅かされることだそうだが、問題の法案は外国のエージェントについての透明性を求めるものであって、透明性は西洋的価値観のひとつだ。抗議者達は、自らが信奉すると称する西洋的価値観に反対している。

 法案はジョージアの内政に対する米国の影響力を制限するものだが、そもそも国連憲章に、内政干渉は国際法違反だと明確に定められている。ロシアが本当に違法な内政干渉を行なっていたとしたら勿論問題だが、米国が内政干渉をしたら違法ではなくなると云う訳ではない。

 透明性をより高めるこの措置に反対する意見としてBBCの記事が引用しているのは、その名も Transparency International と云う組織だが、資金提供者一覧を見れば判る通り、この組織自体が西洋諸国の政府や諸機関、財団等から資金提供を受けて成り立っている組織だ。
  
 CNNの記事は、この法案を「外国の影響力」法案と呼んでいるが、例えば2014年に米国がウクライナで行った、クーデターを起こさせて政権を打倒して憲法を書き換えさせる様な真似を、ロシアや中国が米国でやったとしたらどうなるかを考えてみれば良い。外国の影響力を禁止したいと思うのは主権国家として当然だ。

 米国が2004年の「オレンジ革命」でも介入したことは西洋大手メディアでも報じられている。「米国政府が資金提供し、米国のコンサルタント企業、世論調査企業、外交官、米国の二大政党と政府諸機関が展開したキャンペーン」は、2000年に投票でスロボダン・ミロシェヴィッチ大統領を打倒する為に行われた。同じ手口がグルジア(ジョージア)でエドゥアルド・シェワルナゼ大統領を打倒する為、ベラルーシでアレクサンドル・ルカシェンコ大統領を打倒する為に使われた。ベラルーシでは失敗したが、ウクライナのレオニード・クチマ大統領を倒すのには成功した。何れのケースでも米国大使が鍵となる役割を果たした。

 ジョージアの米国の傀儡政権は2008年にロシアに対して攻撃を仕掛け、逆に手痛い反撃を食らったが、西洋諸国ではこれは一般には「ロシアによるジョージア侵攻」として報じられた(リンクを見れば判るが、この真相を報じているのはロシアではなく西洋御用メディアのロイターで、この件を確認したのはEUの報告書だ)。

 この様に、米国がNGOやメディア組織を隠れ蓑に使って違法な内政干渉を繰り返していることは既に十分に証明され文書化されている。今回のジョージアの一件も同様で、米国は抗議行動を組織することで自らの影響力を維持し、ロシア周辺を不安定化しようとしている。

 このシナリオが信じられないなら、ペンタゴンのシンクタンク、ランド研究所の報告書「ロシアを張り詰めさせる」を読んでみれば良い。ウクライナを武装させる戦略についても述べられているし、NATOをジョージアやアゼルバイジャンに接近させてロシアに軍事的圧力を掛ける戦略についても述べられている。

 勿論米国の代理勢力としてロシアとの緊張を煽ることは、ジョージアの人々にとっては全く何のメリットも無い。ランドの報告書も、2008年の挑発は大失敗だったと認めている。同様に米国の捨て駒として利用されたウクライナが2014年以来どうなったかを見てみれば良い。ウクライナの人々にとっては全く何のメリットも無い展開だ。

 米国は公然とこの法案を非難して制裁を課すと脅迫し(これまた国際法違反の内政干渉だ)、更に抗議者達に物理的な暴力を加えさせて法案を撤回させたが、これと正に全く同じシナリオが、バーレティック氏の在住しているタイでも進行している。

 ジョージアやタイの措置は、自国の主権を守る為の極く当たり前の措置なのだが、米国が主導する「ルールに基付く秩序」はそれを許さない。米国の手先として国の主権を掘り崩すNGOやメディア組織を好き放題に跋扈させていたのでは、同じことが繰り返されるだけだ。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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