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マイダンの谺:ジョージアには西洋が資金提供する巨大なNGO部門が存在し、暴力的な抗議活動が定期的に発生している。その関連は?(要点と補足)

ジョージアには実際「外国のエージェント」がわんさか居る。反ロシア感情を煽っている抗議者達はこうした人達だ。
Echoes of Maidan: Georgia has a huge Western-funded NGO sector and regular outbreaks of violent protest, is there a link?




 2023年3月、ジョージアで「外国の代理人」の登録を義務付ける法案に反対して抗議者達が国会議事堂前に集結し、警官隊と衝突したが、抗議者達はよく組織され、スキーゴーグルや保護マスクを装備し、モロトフ・カクテルを警官隊に投げ付けた。彼等は一般市民ではなく、法案が通ってしまうと生活が脅かされる人々だ。
 
 この法案の話が最初に出たのは2022年の夏だが、西洋諸国が資金提供する幾つかのNGOは自分達が存亡の危機に立たされていることを察知し、「事実上の暫定政府」の設立を発表し、当局に最後通牒を突き付け、拒否すれば「平和革命」を行うと脅迫した。

 2019年時点で、ジョージア国内に存在するNGOの数は12,800だったが、その大多数は外国から資金提供を受けていた。2022年春の時点で、外国人の創業者が国内で事業を行っている企業は7,972社。外国のNGOの総人口は370万人で、1団体毎に約460人が住んでいる計算になる。比較すると、2022年11月の時点で米国で登録されている活動中の
「外国のエージェント」は500を超える程度。ジョージアの人口は400万に満たないので、NGOのこの比率は驚くべき高さだ。

 これらのNGOは2003年のカラー革命「バラ革命」や、現与党「ジョージアの夢党」が2012年に発足した際にも積極的な役割を果たし、サーカシュヴィリ政権や現与党政権で上級職に就いた。

 1991年の独立後、米国はジョージアに多額の支援を行っている。
 ・1990年代は年間平均9,600万ドル。
 ・2000年代は年間1億 3,500万ドル
 ・2008年の短い戦争の後には増額し、2008〜09年の様々な支援の合計額は10億4,000万ドルに上る。  
 ・2010〜16年には年間7,700万ドル。
 ・2017年以降は平均1億2,300万ドル。
 ・2020年には米国務省とUSAIDを通じて1億2,000万ドルが計画されていた。

 ソロス財団やNED等のNGOの予算は中規模の営利企業の売上高に匹敵するが、NGOバブルの外に居るジョージア人の経済状況は苦しく、2021年での1人当たりGDPは5,000ドルに過ぎなかった。

 問題の法案は野党から「ロシア的」と非難されているが、ロシアの法とは若干異なる(ジョージアの方が緩い)。資金の20%以上を外国から受け取っている全てのNPOとメディア組織は登録せねばならないのだが、外国のエージェントであることを明らかにする声明を各テキストや音声メッセージに添付する義務は課していない。また、「外国のエージェント」ではなく「外国の影響力を受けているエージェント」と表現を緩めている。

 この法案は与党が発案したものではなく、元ジョージアの夢党議員が作った「人民の力」運動が発案したものだ。同運動は法案の目的はNGOやメディアの活動を制限することではなく、「知らせる」ことだと主張しており、法案の作成に当たっては(ロシア版ではなく)米国版を参考にした。

 野党とメディアは与党とその法案を「親ロシア的」「非西洋的」「権威主義的」「有害な親ロシア路線」「反民主的で違憲」などと非難した。米国とEUはこの法案を非難して、採択すればEUやNATO加盟の道は絶たれると脅迫した。

 欧州委員会はジョージアのEU加盟に際して2つの勧告を行っているが、それによればジョージアは「自由で、専門的で、多元的で、独立したメディア環境を確保する為のより積極的な取り組み」をせねばならず、また「あらゆるレヴェルでの意思決定プロセスへの市民社会の関与」を確保しなければならないとしている。要は西洋のプロパガンダを流す環境を整え、NGOを通じてジョージアの内政に干渉する権限を与えろ、と云うことだろう。
 
 ジョージアの現大統領サロメ・ズラビシュヴィリもまた法案に反対し、「誰もこの法律を必要としない」、「モスクワの口述で書かれた」、「この法律は無効です。拒否します」と主張しているが、ロシアのペシュコフ報道官は「ロシア連邦とは何の関係もない」と発言し、黒幕の米国が反ロシア要素を煽っていることを示唆した。

 混乱を受けて、2023/03/09には法案の撤回が表明され、内務省は133人の被拘留者の内132人を釈放し、和解声明を出した。

 法案に対する抗議は終わったが、03/10になると今度は軍退役軍人のグループが、政府の辞任と議会選挙の早期実施を求め始めた。まぁレジームチェンジ工作は大体こうだ。目先の要求が呑まれても必ずエスカレートする。
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川流桃桜

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一介の反帝国主義者。
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