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米国がソマリ人国家の為の闘争を粉砕した手口(要点)

グレイゾーンのアン・ギャリソン氏による記事の要点。アフリカの角研究所会長のアブディワハブ・シェイク・アブディサマド博士のインタビューに基付いている。アメリカ帝国やその同盟諸国が如何にしてソマリアの民主主義と主権を潰して来たかを解説している。
How the US crushed the struggle for a Somali natio



 ソマリアは1991年に国家として崩壊以来、米国と西洋諸国は同国に対する弱体化工作を続けて来た。具体的には:
 ・米軍の駐留
 ・ドローンによる爆撃
 ・首都モガディシュに「グリーン・ゾーン」を設定。
 ・役立たずの国連「平和維持軍」の監督
 ・ハッサン・シェイク・モハメドの傀儡政権を支援
 ・AFRICOM(アメリカ・アフリカ軍司令部)との軍事同盟
 ・EU海軍が沿岸をパトロール
 ・AFRICOMのジブチに軍事基地を持っているが、手狭になった為、中仏日伊+サウジから土地を借りている。

 ソマリアの分離主義運動はジュバランド、プントランド、ソマリランドに多く、モガディシュの連邦議会に代表者を派遣している。ソマリランドは30年に亘って独立国家としての承認を求めており、国連もどの加盟国もこれを認めていないが、米国の2023年の国防認可法は、この分離国家との直接的な軍事協力の計画を概説することによって、事実上ソマリランドの独立を非公式に認めている。これはソマリアの主権に対するあからさまな侵害だ。

 現在、ソマリア議会のメンバーは氏族の長老達によって選ばれている。米国とその同盟諸国はソマリアで普通選挙が行われるのを妨害して来たが、それは1人1票の国政選挙が実現すれば、モハメド傀儡政権のメンバーが全員失脚し、自国の主権を守る軍達を構築し、外国軍を自国の領土から追い出したがっている国民に大人気のモハメド・アブドゥラヒ・モハメド元大統領、別名ファルマジョが圧勝するのが確実だからだ。西洋はソマリア人の民主主義を望んでいない。

 1991年の国家崩壊に続く32年間の内戦を経て、ソマリア人の40~50%は都心部や国内避難民キャンプに住んでいる。彼等が投票に行くのは簡単だ。僻地の農村や漁村の住人は多少ハードルが上がるが、投票は出来る。だが、米英+EU+NATO、ケニアとUAE、多国籍企業、そして腐敗した氏族はファルマジョが当選することを望まず、選挙を否定している。

 ケニアとUAEはそれぞれ、ソマリアの略奪や併合を望んでいる。ケニアはソマリアから湾岸諸国に木炭を密輸しており、湾岸諸国やその他の近隣諸国は、ソマリアの港を支配しようとしている。ケニアは、国際司法裁判所がソマリアに属すると判断した海域での石油掘削契約を結んだ。

 ウガンダとブルンジは、アル=シャバーブと戦うことになっている国連平和維持活動に軍を派遣することで、多くの利益を上げている。従って両国はアル=シャバーブの打倒を望んでいない。

 「グリーン・ゾーン」の民間軍事企業は、違法な採掘と密輸を行っている。

 エジプトとUAEはソマリアの3,000人の貧しい若者達を傭兵として雇った。エジプトははナイル川の水域とグランド・エチオピア・ルネッサンス・ダムを巡ってエチオピアと対立している為、エジプトがこれらの傭兵をエチオピアの不安定化の為に利用する可能性が有る。

 しっかりした軍を持っているエリトリアと違い、ソマリアは1992年以来、国連が武器禁輸措置を課している為、非常に弱く、武装も不十分。この措置は2022年に更新されたが、ロシア、中国、ガボン、ガーナは棄権し、ソマリアとアフリカ連合を支持した。

 米軍駐留の口実となっているアル=シャバーブは、エチオピアに於ける米国の代理勢力であるティグレ人民解放戦線(TPLF)がソマリアを侵略・占領した結果として生まれたものであり、多くのソマリア人は、アル=シャバーブは文字通り米国によって組織されたと信じている。彼等は禁輸措置にも関わらず、十分に武装している。

 ソマリアが自国の沿岸を支配すれば、世界で最も地政学的に重要な水域で、エリトリアとソマリアが約3,000マイルの連続した海岸線を支配することになる。これは西洋諸国にとって最悪の悪夢にひとつだ。2018年のエチオピア=ソマリア=エリトリア間の包括的協力に関する共同宣言に米国が反対した主な理由もこれだ。

 現在の議員選出制度である4.5氏族システムは、1991年後の内戦中に出現したものだが、2000年、米国が支援するエチオピアのTPLF政権とジブチのイスマイル・オマール・ギール大統領が、ソマリア氏族間の分裂を広げ、戦争を長引かせる為に、この4.5式をソマリアに課した。

 但しこの「氏族」は民族を意味する訳ではなく、大部分のソマリア人はひとつの言語、文化、宗教を共有しているので、エチオピアの様な民族紛争は起こらない。氏族は曾て遊牧民の領土防衛の役割を果たしていたが、今ではソマリアの略全域で人々は自由に行き来出来る様になっている。氏族制度は1960年の独立時、そして1969年の科学的社会主義政策による近代化によって崩壊した。従って氏族同士の分裂や緊張は、権力や資源や土地を巡って古い氏族制度を悪用する政治家やエリートから来ている。

 ファルマジョは修士論文の中で、ソマリアが生き残る為には、ソマリアの市民権が氏族のアイデンティティと同盟に取って代わらねばならないことを強調している。ソマリアの主権と領土の完全性を守る為には、氏族ではなく政府が権力を持たなくてはならない。その為には1人1票の普通選挙が不可欠だ。

 2019年から2020年に掛けて、ソマリアでは普通選挙に関する法整備が進められていたが、西洋諸国はファルマジョを脅迫してこれを諦めさせた。その結果、所謂「モガディシュ・モデル」と呼ばれる氏族による選出制度を受け入れねばならないことになったが、西洋諸国が資金提供している分離勢力との間で合意には至らず、衝突は武力紛争にエスカレートした。政治的膠着状態を避ける為にファルマジョが任期を2年延長すると、米国は直ぐ様これを非難し、制裁と援助削減をちらつかせた。

 2021年12月、米国務省は1人1票の選挙制度には全く触れずに、「信頼出来、透明で、包括的な議会選挙と大統領選挙」を要求した。またソマリア系米国人下院議員イルハン・オマールが、これまた普通選挙問題には触れずに、ソマリアに「適切な選挙」を行うよう圧力を掛ける為の「アメとムチ」アプローチを展開するよう要請した。

 2022年1月には米国は再び制裁の威嚇を行い、2月には選挙の遅れを理由に制裁を課した。IMFもまた氏族制選挙を実施しなければ資金提供を削減すると脅迫した。

 2022年4月、漸く議会選挙が終了し、5月には腐敗したハッサン・シェイク・モハメドが大統領に選出された。

 ファルマジョは愛国者、ナショナリストであり、彼は連邦議会を強化し、連邦加盟諸国の権限を縮小した。統一された軍の構築に着手し、UAEの密輸を阻止し、内政干渉の理由でケニア大使を追放した。彼はまた欧州連合海軍のパトロールに反対し、魚の略奪と有毒物質の投棄を止めるよう求めた。

 彼は2007年以来その目的を達成していない国連平和維持軍の撤退についても交渉していたが、彼が権力を座を逐われたことで、2022年12月に予定されていた人員削減は再延長された。彼はまたソマリアはソマリア人に属していると主張して米国企業との石油取引を阻止したが、これはファルマジョ退任後僅か1週間で合意が結ばれた。彼はまたソマリアの債務免除を成功させた。

 そして現大統領や氏族システムと異なり、ファルマジョは腐敗していなかった。彼は私腹を肥してはいなかったので裕福ではなかったが、彼が下野した時、ソマリアの人々は彼が首都で政治的活動を続けられるよう、GoFundMe キャンペーンを組織した。
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川流桃桜

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