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中国の「スパイ気球」の撃墜

★ベン・ノートン氏の記事の抄訳。2023/02/04に中国の「スパイ気球」とやらが撃墜された事件は、まぁ常識を持ち合わせた人間であれば、こんなものを信じる人が大勢居るのが信じられない様な幼稚な与太話だったが、これが捏造された危機であったことをワシントンが自ら認めた。
中国の気球はスパイ行為をしていなかった。米国政府が危機を捏造した数ヵ月後に認める(抄訳)

コリブコ氏の分析。新たに中国の国防相に任命された李尚福将軍は、ロシアから兵器を輸入したと云う理由でトランプ政権から制裁対象にされていた人物だった。李将軍は中国の軍事近代化プログラムを成功裏に導いた人物と見做されているので、彼が評価されることは不思議ではないが、彼と同等の実力を持つ人物は他にも多い為、この時期にわざわざ制裁対象人物を任命する必要は無かった筈だ。これは気球事件が米中新デタントに致命的な打撃を与えたと云うメッセージであろうと、コリブコ氏は見ている。
Interpreting The Appointment Of A US-Sanctioned General As China’s New Defense Minister

★「中国のスパイ気球撃墜」事件を時系列で追うと、これが如何に馬鹿馬鹿しい空騒ぎなのかが解る。
米国は、中国の気球がコースを外れたのは天候の所為だと認め、200万ドルのミサイル攻撃で趣味用の12ドルの気球を撃墜した(要点)

コリブコ氏は気球撃墜事件については中国と米国、双方の強硬派に責任が有るとの見方をしている。
 ・中国側はコースを外れた物体について米国側に事前に通知しなかった。
 ・米国側は強硬な対応を取ってこれを政治化した。
 その結果ブリンケンの北京訪問は中止され、米中新デタント交渉は大打撃を受けた。
Chinese & American Hardliners Are Likely Responsible For Blinken Postponing His Trip To Beijing

コリブコ氏の指摘。中国の習近平主席が気象観測気球の事故について事前に知っていたことは絶対に有り得ない。何故なら中国は米国と新デタントの交渉の真っ最中であり、この事件の結果(或いはこの事件を口実として)、ブリンケンの北京訪問は無期限延期された。習氏が知っていれば、絶対に米国側に知らせた筈だ。何故わざわざ自国の不利益になる様なことをせねばならないのか?
There’s Absolutely No Way That President Xi Was Aware Of The Chinese Balloon Ahead Of Time

コリブコ氏の疑問。WSJの報道では、中国の「スパイ気球」を最初に発見したのは民間の旅客機だと云うことになっており、当局の発表と食い違っている。こう報じられたのは何故か? そして米軍が自国の領空内に入る前に撃墜しなかったのは、発見する能力が無かったからなのか、それとも意図的に見逃したのか?
Ten Legitimate Questions About Biden's Handling Of The Chinese Weather Balloon Incident

2023/02/04に起きた、米軍が南部サウスカロライナ州の沖合の上空で気球を撃墜してそれを中国の「スパイ気球」だと主張した件については、何故全世界に先駆けて月開発までやろうとしているハイテク先進国の中国が、他国の偵察をするのにナポレオン時代の様な非効率的なローテクに頼らなければいけないのか、私にはさっぱり理解出来ないのだが、少なくとも西洋のメディアではそれは絶対に「スパイ気球」なのだ、と主張されていた異論は許されないらしい。これは一見馬鹿馬鹿しい事件ではあるが、非常に危険な側面を持っている。今まで米帝の対中国の新冷戦プロパガンダは、台湾や香港や新疆等、米国民にとっては自分達の生活に直接関わりの無い、太平洋の向こうの出来事をしか扱って来なかった。だがこの撃墜事件を期に、市民達に直接警戒を呼び掛ける動きが広まっている。つまり冷戦期の「ソ連の核ミサイルが飛んで来る脅威」の様に、「アカの脅威」は米国本土を直接狙っているものと位置付けられた訳だ。ワシントンの新冷戦プロパガンダはフェーズがひとつ引き上げられたことになる。この「気球ゲート事件」の様に、今後何等かの「チャイナゲート事件」がでっち上げられて行く展開が予想される。
The Chinese “Spy” balloon is more DANGEROUS than you think
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同盟国を恐怖させ猜疑心を抱かせるためだと思います。

 現在、世界の過半数以上は欧米を支持せず、ロシア・中国・インド支持です。
 
 少なくともこれまでのようには、アメリカが不当な戦争を堂々と徒党を組んでやるのは難しくなっており、国際世論という点では圧倒的に不利になりました。

 もはや中国のスパイ気球と騒いだところで、欧米以外の国家はアメリカが病的に過剰反応している程度にしか感じないでしょう。

 けれども、日本やヨーロッパなど、アメリカ側の国家においては、アメリカが大騒ぎすれば中国が恐るべき国家だと言う思いを強めるでしょう。
 
 西側にも西側の批判者が存在し、中国やロシアを擁護する人間もいます。アメリカの白人支配者としては、国民から不信感を持たれ、ヨーロッパや日本もアメリカに不信感を抱き、中国よりになってもらっては本当におしまいですから、何でもいいから中国が疑わしい国家だと示して、お仲間が中国に対して懐疑的であり続けるようにしたいのでしょう。
 ただ、アメリカ白人支配層の正体を知った人々は、たとえヨーロッパやアメリカ、日本の人間であろうとも、もはやアメリカの猿芝居には騙されないと思います。
 
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
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