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2023/02/06のトルコ・シリア・レバノンの大地震

トルコ・シリア・レバノンの大地震は悲惨な出来事ではあるが、希望を持たせる意外な展開として、シリアとそれまで敵対していた周囲のアラブ諸国との和解の動きが広がっている。色々と確執や思惑が有ったとしても、やはりご近所さんだ、と云うことなのだろうか。これもまた所謂「災害ユートピア」の一種と言えるのかも知れない。それらと比べてみても、西洋諸国の下劣な非人道性は際立っているが、中東は最早連中の言いなりに動く国ばかりではない。この件について述べているスティーブン・サヒオニー氏の記事は2つも邦訳を見付けたので、どちらも紹介しておく。
Bridge of peace and prosperity proposed from the Arab world to Syria
Bridge of Peace and Prosperity Proposed from the Arab World to Syria
シリアの長い夜が明ける
アラブ世界がシリアに提案している平和と繁栄の架け橋

ビジネス・インサイダーは驚いたことに、シリアに対する違法で非人道的な制裁の継続に反対したたった2人の米下院議員について、「トルコ・シリア地震で死亡した50,000人を追悼することに反対票を投じた」と報じた。帝国による経済的な大量殺人を支持しない者は人でなしと云うことか。世界最大の犯罪帝国では道徳面での悍ましい歪曲が罷り通っている。
Marjorie Taylor Greene was one of 2 House Republicans to vote against mourning the 50,000 people killed in the Turkey-Syria earthquakes

米国下院は、大地震の後になっても、シリアに対する違法で非人道的な制裁を継続する決議を、圧倒的多数(414対2!)で可決。シリア・アラブ赤新月社国連専門家が警告を続けているにも関わらず、「制裁は救助活動に影響を与えていない」と言い張っている。
House Overwhelmingly Approves Resolution to Maintain Syria Sanctions After Earthquake

トルコ宇宙省長官セルダル・フセイン・ユルドゥルムは、ずっと以前に戦略研究所で行った会議からの抜粋として、人口的に地震を引き起こして「小さな都市を地図から一掃出来る兵器システム」について言及している。軌道上の人工衛星から10mのチタン合金ロッドを落下させると、これが地中5kmの深さまで貫通し、マグニチュード7~8の地震を発生させるそうだ。但しこのシステムには「断層線を活性化させたり、構造地震を引き起こしたりする機能は有りません。従ってそれは既知の断層線で発生した構造地震であるカフラマンマラシュ災害とは何の関係も有りません。誤解されたくありません」と断っている。
Turkish official says the earthquake was caused by... military satellites!

★ヴァネッサ・ビーリィ氏の記事の要点。大地震で苦しむシリアを、イスラエルは爆撃している。
シリア人が地震の悲劇から復興しつつある時、イスラエルはシリアを爆撃(要点と補足)

2023/02/08、マックス・ブルーメンソール氏の呟き。「西洋諸国による犯罪的な制裁の所為で、国際貨物機はシリアの空港に着陸出来ず、シリア人は Gofundme やクレジットカードを使用出来ません。他方、米軍は国の1/3を占領し、シリアの石油を盗んでいます。これは、食糧や援助を購入する為の重要な収入源です。」

Max Blumenthal @MaxBlumenthal

目撃者の報告では、米軍は2023/02/27に、シリア北東部での石油密輸作戦を再開した。シリアの油田から強奪した石油を、少なくとも34台のタンカーが違法なアル・マフモディヤ国境検問所を通じてイラクの基地まで輸送した。再確認しておくと、米軍のシリア駐留はシリア政府の承認を得ておらず、主権の侵害であり、国際法違反だ。米当局者は「シリア領土の1/3は米軍が所有している」と豪語しており、特に資源が豊富な北東部で資源の強奪を続けている。2022年8月のシリア政府の発表では、これによりシリアの石油・ガス部門が2011年以来被った損失は1,070億ドルに上る。シリアは産油国であるにも関わらず、復興作業に不可欠の重機を動かすのに十分なガソリンさえ調達出来ないでいる。
US army resumes theft of Syrian oil weeks after deadly quake

2023/02/06のトルコ・シリア・レバノンの大地震について、フランスの風刺雑誌シャルリ・エブドがまたやらかした。「戦車を送る必要無し」と云うキャプションと共に、左の画像を公開したのだ。同誌はイスラム教徒に対して差別的な表現をすることで有名だが、このあからさまに人命を軽視する表現に対抗して、Twitterは右の画像で溢れた。表現の自由の名の下に、他者を貶め侮蔑しその存在を軽んじる表現が罷り通っているが、そもそも表現の自由とは何の為に必要なのか。野蛮な憎悪と偏見を掻き立て、啓蒙の理想を自食的に否定させる為か。*因みに私だったら、この「戦車を送る必要無し」と云うキャプションは、ニヤニヤ笑う西洋の政治指導者達の台詞として描く。そうすれば立派な風刺画になる。
 toilet paper charlie hebdo
Turkey-Syria earthquake: Charlie Hebdo sparks outrage over cartoon mocking disaster

★大地震前のシリアの人々の生活は、西洋諸国の制裁の所為で既に生き地獄だった。
国連専門家:「言語道断の」西洋諸国の制裁はシリアを「窒息」させており、恐らくは人道に対する罪だ(要点)

大地震の被害を受け、救助活動も進まず、余震に怯えているシリアは、更に洪水に被害も受けている。2023/02/09にはトルコを水源とするユーフラテス川のハブール支流が、7年振りにトルコ側から北シリアに流れ込み始めたと報じられている。これは米軍が違法占領しているジャジーラ地域の川とダムが、数ヶ月間の旱魃と水不足に続いて、前例の無い水位の上昇を目撃した為であるそうだが、原因は地震ではなく大雨。トルコは今までも、地理的優位性を利用してシリア北部の水へのアクセスを兵器化して来た訳だが、そこへこの洪水が襲って来た為に冬作物が損害を受け、シリアの食糧安全保障を脅かしている。自然災害が人災と組み合わさることで致命的な被害を齎している。

Northern Syria threatened by floods following deadly earthquake

★「人道支援」と云う美名に騙されるな。シリアの人々の為と称する募金活動の幾つかは明らかに嘘であり、寧ろ逆効果だ。
物議を醸すシリアの募金活動は人道支援を危険に曝す(要点)

2023/02/13、シリア当局はシリア北部に2つの新しい国境検問所を公式に開設し、反対派(つまり西洋諸国の傭兵である過激派)が支配する領土の人々に地震救援援助を提供すると発表した。だがこれを受けて過激派グループ、ハヤット・タハリール・アル=シャム(HTS。旧ジャバト・アル=ヌスラ・アル=カイダ支部)の司令官は、シリア政府が保有する領土から援助を受け取ることを公然と拒否。シリアに援助が届かないこと自体も大問題だが、シリア国内で援助が流通するのを妨げているのは、西洋メディアの主張する様にシリア政府ではなく、侵略者達が支援する武装勢力だ。
Damascus opens new border crossings as militants obstruct aid efforts

「トルコ・シリア・レバノンの大地震は人工的に引き起こされたものではないか」と云う主張は現時点では単なる想像に過ぎないとは思うのだが、どうも気になる動きも有る。地震の僅か数日前、西洋諸国9ヵ国が、一斉にイスタンブールの領事館を閉鎖したり、トルコを訪れる市民に渡航警告を発したりしていたのだ。「治安上の脅威」が理由だそうだが、詳細がトルコ側に明らかにされなかったことでトルコの内務省は激怒し、各国の大使を呼び出して、各国が「心理戦」を繰り広げ、トルコの観光産業を破壊しようとしていると非難した。まぁこれらの国々が人工的に地震を引き起こしたとまでは言わなくとも、地震が起こることを予測出来ていたのではないか、と云うことを疑わせる動きではある。因みに9カ国の内訳は米国、オランダ、スイス、スウェーデン、英国、ドイツ、ベルギー、フランス、イタリア。何時ものならず者諸国だ。
Turkey says West failed to share details of security threat

「シリアがなぜ、数十年にわたってシリア人を…殺害してきた集団に助けを求めたりするだろうか。」
イスラエルがシリア地震への援助を表明、シリア政府は援助要請を否定

シリア当局は、シリアから援助の要請を受け取ったとするイスラエルのネタニヤフ首相の主張を真っ向から否定し、その様な要請を行なったことは無いと明言。他の複数のシリア政府筋も、ネタニヤフの主張を否定し、イスラエルのメディアで公開されたものは全てネタニヤフによる「プロパガンダ・キャンペーン」であると語った。匿名の政府情報筋は、若しネタニヤフがその様な要求を受け取ったとしたら、それはダーイシュ(ISIS)やアル=ヌスラ戦線やその他テロ組織等、彼の同盟者や友人達からのものであり、イスラエルの拡大主義的な攻撃を隠蔽する為のものに過ぎないと語っている。
Syria denies asking Israel for quake relief aid

再確認しておくと、シリアに支援を送ろうとする者は国であろうと企業であろうとNGOであろうと、米国議会が定めた国際法違反のシーザー法に引っ掛かって、自分自身が制裁の対象になるリスクを負わなければならない。この非人道的な制裁対象から除外されているのはホワイトヘルメットだけだが、これは西洋のメディアが言う様な人道組織などでは全くなく、英国諜報部が作ったアル=カイダの別働隊だ。彼等の仕事は化学兵器攻撃等の事件を捏造して、シリア政府やその同盟国に人道犯罪者の汚名を着せることであって、ファースト・レスポンダーなどではない。西洋諸国はあろうことか自然災害を利用して、化学兵器攻撃捏造等で評判を落としたホワイト・ヘルメットにテコ入れを行い、テロ攻撃を再稼働しようとしている。人間が同じ人間相手にどうしてここまで邪悪で卑劣なことが出来るのか理解に苦しむのだが、とにかく自由民主主義諸国はあらゆる人間の尊厳に背を向けて、悍ましい帝国主義的戦争を継続する決意を固めている様だ。
Al Qaeda-White Helmets exploit earthquake, Western hypocrisy and politicization of Syrian tragedy


大地震は確かに多くのシリアの人々の命と生活を脅かしたが、そもそも米帝とその同盟諸国は2011年以来12年間も、シリアの人々に対する軍事的・経済的殺戮を繰り広げて来た。地震が起こった後も違法な経済封鎖は解かれておらず、彼等が援助するのはNATO加盟国であるトルコだけ。復興は制裁に妨げられて進まないが、西洋市民の殆どはこの事実を知らない為に、世論も動かない。誤解の無いようにはっきりと再確認すると、西洋の自称自由民主主義陣営はシリアの無辜の人々に対する違法な大量殺戮を行なって来ており、地震もシリアの人々の生活を悪化させる好機としてしか見てない。彼等を表現すべき最も適切な形容詞は「邪悪」だ。
Syrians die, US sanctions still alive - Facts Tell


シリア在住のジャーナリスト、ヴァネッサ・ビーリィ氏のリポート。そもそもシリア人の苦境は2011年に西洋諸国がシリアに侵略戦争を仕掛けた時から始まっている。今も西洋の所謂「人道支援」はシリア政府を通しておらず、殆どはシリア北部を支配しているテロ組織(英国諜報部の資産)の手に渡っているので、実際にはテロ支援にしかなっていない。これはシリアの人々を更に苦しめることにしかならず、シリア人には国連には単に出て行って欲しいと思っている。「シリア政府の妨害によって人道支援が届いていない」と云う西洋の主張は、そもそも北部を支配しているのはシリア政府ではなく、米&トルコ&NATOが糸を引いている武装組織なので馬鹿げている。震災後も米国の違法な経済封鎖の所為で機械を動かせず、人々は文字通り素手で瓦礫を片付けている。今シリアの人々を、単なるフリではなく本当に助ける為に現地に赴いているのは、ロシア・ヴェネズエラ・アルメニア・アルジェリア・チュニジア・レバノン・イラク等の国々だ。彼等は勇敢にも、米国に睨まれることを恐れず人道支援の為に駆け付けているのだ。
Syrians just need the US to get out of Syria!


巨大自然災害にも関わらずシリアに対する経済的ジェノサイドを止めない諸国を、シリアのアサド大統領が非難している。西洋の本質はこの600年変わっていない、彼等は今も昔も人間的感情を持ち合わせておらず、植民地主義は殺戮・略奪・窃盗に基付いているのだそうだが、全くその通りだ。
President Assad in Aleppo visiting earthquake victims


★再確認しておくと、シリアの人々の生活は、12年に及ぶハイブリッド・テロ戦争の惨禍と、米議会の非人道的なシーザー法による経済封鎖と、米軍による天然資源の強奪によって、既に相当追い詰められていた。そしてシーザー法に違反してシリアを征服したくて堪らない米国の逆鱗に触れることを恐れて、西洋諸国からのシリアに対する人道支援は殆ど届いていない。シリアの人々を助けたかったら、先ずは彼等の首を締め上げている帝国の手を離させることが重要だ。
制裁は人を殺すーシリアの生活は生き地獄になった

ロシア科学アカデミー地震予測理論・数理地球物理学研究所は、この大地震を2年前に予測していた。但し「強い地震が発生するおおよその地域は予測できても、その正確な日時を予測することはまだできない」らしい。そして「物理学的に見ても、これほど強い地震が人間の活動によって引き起こされることはあり得ない。人間の採掘活動の大きさとマグニチュード8.0近い地震は比較にならない。人類が蓄積してきた核兵器を一点に集めて爆発させたとしても、そのエネルギーは今回の地震のエネルギーよりも小さいだろう。スケールが全然違う」と云う訳で、これが人工的に引き起こされた可能性は低いと云う見解を発表している。
【視点】トルコの地震発生地域で強い揺れが発生する危険性があることは、2年前の予測で明らか=研究者

大地震で大きな被害を被ったシリアへの支援については、非人道的な制裁を定めた米国のシーザー法の扱いを巡って、国際社会の対応が大きく分かれている。シリアへ人道支援を行うことは、シリア侵略を諦めておらずシリア人を徹底的に痛め付けたいアメリカ帝国の逆鱗に触れるのだ。その為西洋諸国では支援を表明したのはフィンランドとスウェーデンだけ。「(NATO加盟国である)トルコには人道支援物資を積んだ航空機が何十機も到着しているが、シリアについては欧米諸国からの支援はわずかなものに留まっている。」そして一時的にせよ制裁を解除せよなどと云う主張は何処からも出て来ない。他方、数多くのアラブ諸国(サウジ、カタール、オマーン、バーレーン、アラブ首長国連邦、アルジェリア、レバノン)、それにロシア、アフガンのタリバン、中国等は、政治的な違いを乗り越えて支援を送ったり、その意思表明を行なっている。どちらが人として立派な振る舞いをしているだろうか。
【視点】シリアとトルコを襲った地震 なぜ欧米はシリア人を無視し、トルコ人だけを助けるのか

コリブコ氏の指摘。シリアの大地震について驚くべき展開のひとつは、それまで公に反シオニズム的立場を取っていたシリア政府が、今までシリアに爆撃を仕掛けて来た宿敵であるイスラエルに対してロシア経緯でイスラエルに支援を要請し、イスラエルのネタニヤフ首相がそれを承認したと報じられたことだ。ロシアの仲介によるトルコとの和解に続いて、シリアはイスラエルとも和解する路線を選ぶことにしたのかも知れない。そうなればシリアに対するイランの影響力は弱体化するかも知れないが、イスラエル軍によるシリア爆撃の口実が無くなるかも知れない。
Alt-Media Is Speechless After Syria Reportedly Requested Quake Aid From Israel Via Russia

02/06の大地震を、02/03の時点で予測していた人が居る。フランク・フージャービーツと云う方で、SSGEOSと云う研究機関の方。この組織は余震は数日から数週間続き、M6を超える可能性も有ると予測している。
Frank Hoogerbeets20230203
Frank Hoogerbeets @hogrbe
 こちらは本人のインタビュー。
HE PREDICTED THE EARTHQUAKE IN TURKEY, SYRIA, LEBANON - Frank Hoogerbeets



ヴァネッサ・ビーリィ氏のリポート。2023/02/06にトルコ・シリア・レバノンで起きた大地震は、ダマスカスへの影響は警備だったが、シリア北西部では壊滅的な被害を齎した。だがそれ以前から、人々の生活は11年に及ぶ西洋のテロ侵略戦争(西洋では「内戦」だと称されている)の影響と非人道的な経済制裁、そして米軍とその傭兵たるテロ組織の天然資源強奪によって破壊されて来た。救助活動をしようにも、そもそも機械や暖房用の燃料が無く、多くの人が元々ホームレス状態で食料も足りておらず、病院もまともに稼働していない。そして自然災害の被害を拡大させた当事者である西洋諸国は02/07の時点で、どの国も支援など寄越していない。地震は自然災害かも知れないが(それにしてはどうも帝国主義勢力にとって都合良すぎる状況にも思えるが)、その被害は人災の部分が大きい。
Devastating earthquake in Syria compounded by Western sanctions
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