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何故アメリカは北朝鮮にとって帝国なのか(要点と補足)

アメリカ帝国による朝鮮半島征服についての簡潔な解説記事を見付けたので、多少補足しつつ、要点のみ纏めてみた。詳しい話は以下の参考文献を参照のこと。
How the US Empire Was Made in North Korea
  



 米帝のセオドア・ルーズヴェルト大統領は日本帝国に「極東のヤンキー」として「アジア版モンロー・ドクトリン」を実行することを望んでいた。彼が(米国で学んで英語ペラペラだった)金子堅太郎特使にGOサインを出したことで実現したのが、日本帝国による朝鮮半島の侵略だ。従って日本による朝鮮支配は、米帝によるアジア支配戦略の一環として解釈することが可能だ。

 ところが日帝は独自の帝国主義的野心を示し始め、米帝はアジアの別の軍事独裁政権(蒋介石の国民党)を支援していた為に話がややこしくなり、こじれた末に起きたのが太平洋開戦だった。そして蒋介石の国民軍が毛沢東の共産党紅軍に敗れたことで、米帝は中国封じ込め政策に方針を転換し(日本で言う所謂「逆コース」がこれに当たる)、日本はその為の産業経済を発展させることになる一方、40年に渡る日本帝国の植民地支配から漸く解放されたと思った朝鮮人達は、今度は別の独裁者、ダグラス・マッカーサー元帥の圧政に苦しむことになった。

 祖国解放を求める朝鮮人達(=共産主義者達)は、米帝がワシントンから連れて来てやらせ選挙で権力の座に据えた独裁者、李承晩の政権によって残忍に弾圧され、何十万人もが殺害された。抗日ゲリラ戦の英雄、金日成が当選するのが確実と思われた南北朝鮮統一選挙と朝鮮独立の夢は、米帝によって無惨に打ち砕かれた。日本の植民地時代に帝国支配に協力した売国奴達は皆南に逃げ、祖国の独立よりも、新たな帝国に仕えることで私腹を肥やすことを選んだ。

 李承晩政権は更に北に対して度々軍事攻撃を仕掛けたが、金日成に率いられたDPPKは、圧政に苦しむ朝鮮半島の南半分を解放し、祖国から外国軍を追い払うべく、反撃を開始した(米帝ではこれは「ソ連に操られた北朝鮮が或る日突然南へ向けて侵略を開始した」と云うことになっている。ヴェトナムやウクライナでの様に、自分達のやっていることをその儘相手側に投影した訳だ。実際にはソ連は米軍と違って北の朝鮮人達の自主性を尊重し、これまた米軍と違って5年以内に撤退すると云う当初の約束をきちんと守った。西洋市民達の殆どは余りに洗脳され切っているので、「朝鮮人が朝鮮を侵略した」とか言われても何の疑問も抱かない。「共産主義者による世界支配の陰謀」を持ち出せば、どんな奇妙な話でも何となく納得してしまうのだ)。

 南の軍隊は戦意を欠き、離脱者や寝返る者が続出した。勝敗はアッと云う間に決したかに思われた。だが(ヴェトナムやウクライナの様に)米軍が大規模な軍事支援のテコ入れを行ったが為に、全く必要の無かった残虐な戦闘が何年も続くことになった。米軍は太平洋戦争時よりも更に多くの爆弾の雨を降らせてあらゆる都市を破壊し、免責した日本の731部隊の知見を利用して細菌戦等の戦争犯罪も繰り返し、インフラ破壊による人口的な飢饉と云う人道犯罪まで行った。これにより朝鮮人は人口の最大20〜30%を失ったと推定されており、ソ連と中国による緊急援助が無ければ、死と悲惨は更に広範囲に亘った筈だ。

 この朝鮮侵略戦争は米帝自身をも変質させた。反共ヒステリーに支えられて米帝の防衛予算や軍事力は爆発的に増加し、国外に何百もの恒久的な軍事基地を持ち、大規模な常備軍を持ち、国内に恒久的な国家安全保障国家(national security state)を持つ、アイゼンハワーが警告した様な軍産複合体の影響力が非常に強い国に変貌してしまった。日本と西ドイツはこれにより経済的な恩恵を受けたが、その繁栄は朝鮮半島に積み上げられた無数の黒焦げの死体の上に築かれたものだ。
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川流桃桜

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