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一人っ子政策と人口動態危機

61年振りの人口減少を報じるグローバルタイムズの記事。短期的には人口ボーナスは失われるが、長期的には回復すると云う専門家の見解を載せてはいるが、この様に子供達の心身の健康を本気で考えているのかどうか疑問に思わざるを得ない写真を掲載している。ユニバーサルマスクの害は直ぐには判り難いのかも知れないが、3年も経って今だにこのザマなのでは、日本人と大差無い。一人っ子政策と並んでCOVID-19「対策」は科学を全く無視した愚策の塊だが、今後これをどう軌道修正して行くのかを抜きにしては、中国の人口動態問題は語れないだろう。

Chinese mainland population records negative growth for first time in 61 years, decreasing by 850,000 in 2022

人口動態の変化パターンは数年でそう急激に変化するものではないので、他の複雑な事象に比べて予想は比較的容易な筈なのだが、世紀の愚策としか言い様の無い一人っ子政策を中国政府が完全に撤廃したのは2016年にもなってから。軌道修正の素早さは中国の長所のひとつだが、人口問題に関しては遅過ぎた(就職氷河期の救済や出産奨励政策が殆ど進んでいない日本とどちらが酷いかは判断に悩むところだ)。労働人口の減少、消費の減少、高齢者介護の負担、この記事では触れられていないが男女比率の不均衡も大問題で、短期的に今直ぐどうこうと云うことにはならないだろうが、長期的にはこれは本物の社会危機や経済的凋落に繋がる可能性を孕んでいる。
China’s declining population cannot be easily reversed

中国社会科学院は2019年、中国の人口は2029年にピークを迎え、2030年に減少に転じると予測した。だが最新のデータは、人口減少が予想より8年早く始まったことを示している。
China’s Population Decline Casts Shadow on Global Economy

2023年、中国は1961年の飢饉以来初めての人口減少を発表。だが人口学者Yi Fuxian氏等は、減少はもっと早くから起こっていた可能性を指摘する。一人っ子政策を導入した鄧小平が復活させた腐敗の文化を考えると、統計データが操作されていたり不正確だったりする可能性も十分考えられるだろうが、検証するのは難しいだろう。
China records first population fall in decades, over 1 million fewer babies in 2022

★中国の一人っ子政策を批判して来た人口学者Yi Fuxian氏の著書『空の巣の中の大国』(初版2007年)からの抜粋。
金持ちに課せられた一人っ子政策(抜粋)

★ハン・ドンピン氏による一人っ子政策の解説を、多少補足してみた。
中国の人口動態危機:農民達は発言権を持つべきだ(要点と補足)

【推奨】中国に一人っ子政策(新マルサス主義。優生学。人口削減論)が70〜80年代頃に導入された背景の解説を含む記事。中国の「近代化/西洋化」の暗黒面。
How China’s Gorbachev Was Flushed in 1989

中国の強制的な一人っ子政策は現在取り返しの付かない人口動態危機を引き起こしているが、人口研究所の2001年の調査に拠れば(反中捏造証言が含まれている可能性が有るが)、これにはUNFPA(国連人口基金。西洋の優生思想の影響を受けている)が大きく関与していた。
Full Report on UNFPA’s Involvement in China

壊滅的な一人っ子政策時代には、「『新人口論』を著した馬寅初を批判した毛沢東は、中国の人口爆発に責任が有る」とする批判が為されたが、これは3つの点で誤り。
 1.毛は何度も避妊の普及に尽力している(但し一人っ子政策の様に強制的なものではなかった)。
 2.人口爆発の主因は多産ではなく死亡率の低下(つまり人々の生活レヴェルの向上)。
 3.その後の人口動態危機を見れば、現実が新マルサス主義者の予測よりも複雑であることは明らか。似非科学に耳を貸さなかった点で毛沢東は正しかった。
(一人っ子政策を批判するYi Fuxian等の考察を参照)
馬寅初


中国の社会主義理論システム研究センターによる2,905人を対象とした調査では、Z世代の結婚願望は益々低くなり、男性より女性で、地方より都市部でこの傾向が顕著。未婚化の最大原因はやはり経済的な余裕の無さで、結婚・出産・育児のコストへの不安が大きい。
青年婚恋意愿调查:面对婚姻,年轻人在忧虑什么?

日本でも中国でも、人口動態危機は幾ら強調してもし足りない。国際問題等は不確定な要素も多いが、これは比較的予測が可能な、確実に訪れる危機だ。中国規模の国で日本と同じ様な失敗をしてしまったらどうなるか。
日本で高齢化が深刻に、中国も今後同様の事態を迎える=英紙

日本は超高齢化を含めた人口動態変動への対処に既に完全に失敗しているが、中国の高齢化はこれから本格化する。これに男女比率の不均等や少子化の問題が加わって、周到で大規模な対策が必要とされる。
中国の高齢者は2050年に約5億人 高齢化の挑戦にいかに対処すべきか

中国の一人当たりの平均居住空間は世界平均の1/3。史上空前の都市移動に住宅事情が追い付いていないのだろう。住宅問題は都市計画や人口動態予測とセットにして考えないと、日本の様に悲惨なことになる。とにかく市場任せでは絶対駄目。
Come Together: Chinese people's ever-increasing quality of living
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一人っ子政策は間違っていない。

 中国での人口爆発が、多産によるのか死亡率低下によるものか、いずれが原因であるにせよ、もしもまだ中国が豊かではなかった時代に人口が抑制されなければ、飢餓その他で死ぬのは乳幼児を中心とした小児でしょう。一人っ子政策が実施されていなければ、取り返しのつかない事になっていたはずです。インドがいい例です。
 むろん、先進国化し、教育にお金が掛かるようになった現在の中国が少子化に向かうのは自然な流れですから、3人まで子供を作れるようにしてももう子供の数は増えません。けれども一人っ子政策当時にそこまで先を読む事は不可能です。
 生産性を高めて国際競争力を高め、戦争をしなければ、何とか高齢者を養えるかも知れませんが、ない袖は振れませんから予算が得られなければ高齢者福祉を維持する事は困難です。
 日本自体が超少子高齢化が起きて崩壊しているのに、殊更中国の一人っ子政策が失敗だと吹聴するのはただの印象操作であり、中国の政策は正しかったと考えます。現在必要なのは過去の政策を失敗だとするねじくれた発想などではなく、対策です。
 富が末端にまで公正に配分されれば、仮に福祉が抑制されても仕方がありませんが、それを国民が納得するかどうかです。同時に、富が不当に富裕層に独占されれば、少子高齢化が悲惨な結果をもたらしますが、日本が典型例でしょう。儲かっている企業への法人税をある増額して末端に回すしかありませんが、儲けがなければ絶望的です。さらに天安門事件のように欧米が虎視眈々と中国の崩壊と戦争を画策していますから、それに注意すべきですが、中国が戦争などするわけがありませんからその点は楽観視しています。
 アフリカや南米、アジアと仲良く貿易すれば食料は確実に得られるでしょうから、その点はむしろ欧米より中国の方が有利でしょう。
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川流桃桜

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一介の反帝国主義者。
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