スーダンの12月革命が5年目に入る中、反クーデター政権デモで更に数百人が負傷(要点)
スーダンの2018年に開始された12月革命は5年目に突入した。これまでの経緯を簡単に振り返る記事の要点を纏めておく。
Hundreds more injured in anti-coup protests in Sudan as December Revolution enters fifth year
スーダンでは2022/12/19の"March of Millions"では3つの都市で499名が治安部隊の攻撃によって負傷した。一人は失明したが、「目を狙う」、「催涙ガス弾を直接頭に向ける」、「催涙ガスで目が眩んで窒息している抗議者に対してスタングレネード攻撃を行う」等の蛮行は組織的だったとの証言が有る。この1週間後の12/26に再び大規模なデモが起こり、軍事クーデター政権の打倒と起訴を要求した。
これまでの経緯を並べると、
・2018/12/25、スーダンを30年近く支配して来た独裁者、オマール・アル=バシールを打倒する12月革命が開始。
・2019/06/03の虐殺により100人以上が死亡。
・2019/07/17、軍事政権と右翼野党FFC(Forces of Freedom and Change)とが権力分担協定を締結。
・2019/08/21、軍民合同移行政府が発足。
・2020/10/03、スーダンの暫定政府と武装反乱同盟であるスーダン革命戦線(SRF)が和平協定であるジュバ合意に調印。ダルフール、青ナイル、南コルドファンでの紛争の終結が期待された。
・2021/10/25、軍事クーデターによって文民指導者から権力が奪われる。
・2021/12/05、軍とFFCとで再び枠組み協定が締結される。
・2022/11/03、FFCが分裂し新たな同盟が発足する。
これ以降抗議行動が続いており、主導しているのはレジスタンス委員会(RC)。そのネットワーク組織は5,000を超えるが、抗議行動に対する取り締まりによってこれまで数千人が負傷し、120人以上が死亡している。
バシールは現在国際刑事裁判所でジェノサイド、戦争犯罪、人道に対する罪で裁判に掛けられている最中だが、彼の下で組織されて内戦中にダルフールで残虐行為(2019/06/03の虐殺)を犯した高速支援部隊(RSF/Rapid Support Forces)は、鉱物資源の豊富なダルフールで人口削減(depopulation)キャンペーンと呼ばれている作戦を継続中で、ハルツームのデモ隊の取り締まりにも関与している。2019年以降、デモ隊は一貫して統一軍の結成と、RSFを含む全ての民兵の武装解除と解散を要求している。
RSFはフロント企業と銀行を通じて10億ドル以上の秘密の財源を持っており、これらはスーダンの軍からも民間部門からも独立している。ダルフールの紛争は2020年10月のジュバ合意によって終結する筈だったが、その後もRSFとそれが支援するダルフールの民兵による虐殺で数十万人が避難し、数百人が殺害された。虐殺、レイプ、その他の残虐行為は合意前よりも悪化している。
米英+EUは通常は御し易い軍事独裁政権を好むが、スーダンの場合は抗議行動の強さを目の当たりにして方針を変え、FFCに圧力を掛けて国内の権力を安定させる為に軍との枠組み合意に署名させた。一応首相の任命から2年で選挙が実施されることにはなっているが、犯罪者達の裁判も紛争の終結も抜きで選挙だけ行なっても、トップの顔が文民に変わるだけで中身は変わらない。
2022年11月にはFFCの一部が離反し、公然と枠組み合意に反対して抗議に参加する党員も出て来た。外国勢力の利害は一致している訳ではなく、UAEは枠組み合意の後、スーダンと紅海に港を建設する60億米ドル相当の契約を結んだが、これはサウジアラビアとエジプトの利益には反する。軍内部も統一されておらず、陸軍将校達は、RSFとの統合に対して慎重。RSFの方では何等か理由で、軍から停職中の将校を募集している。
レジスタンスの成功は団結出来るかに懸かっている。現在レジスタンス委員会は政治活動と労働組合(スーダンにはこれを規定した労働法は存在しない)組織運動との調整を進めている。
Hundreds more injured in anti-coup protests in Sudan as December Revolution enters fifth year
スーダンでは2022/12/19の"March of Millions"では3つの都市で499名が治安部隊の攻撃によって負傷した。一人は失明したが、「目を狙う」、「催涙ガス弾を直接頭に向ける」、「催涙ガスで目が眩んで窒息している抗議者に対してスタングレネード攻撃を行う」等の蛮行は組織的だったとの証言が有る。この1週間後の12/26に再び大規模なデモが起こり、軍事クーデター政権の打倒と起訴を要求した。
これまでの経緯を並べると、
・2018/12/25、スーダンを30年近く支配して来た独裁者、オマール・アル=バシールを打倒する12月革命が開始。
・2019/06/03の虐殺により100人以上が死亡。
・2019/07/17、軍事政権と右翼野党FFC(Forces of Freedom and Change)とが権力分担協定を締結。
・2019/08/21、軍民合同移行政府が発足。
・2020/10/03、スーダンの暫定政府と武装反乱同盟であるスーダン革命戦線(SRF)が和平協定であるジュバ合意に調印。ダルフール、青ナイル、南コルドファンでの紛争の終結が期待された。
・2021/10/25、軍事クーデターによって文民指導者から権力が奪われる。
・2021/12/05、軍とFFCとで再び枠組み協定が締結される。
・2022/11/03、FFCが分裂し新たな同盟が発足する。
これ以降抗議行動が続いており、主導しているのはレジスタンス委員会(RC)。そのネットワーク組織は5,000を超えるが、抗議行動に対する取り締まりによってこれまで数千人が負傷し、120人以上が死亡している。
バシールは現在国際刑事裁判所でジェノサイド、戦争犯罪、人道に対する罪で裁判に掛けられている最中だが、彼の下で組織されて内戦中にダルフールで残虐行為(2019/06/03の虐殺)を犯した高速支援部隊(RSF/Rapid Support Forces)は、鉱物資源の豊富なダルフールで人口削減(depopulation)キャンペーンと呼ばれている作戦を継続中で、ハルツームのデモ隊の取り締まりにも関与している。2019年以降、デモ隊は一貫して統一軍の結成と、RSFを含む全ての民兵の武装解除と解散を要求している。
RSFはフロント企業と銀行を通じて10億ドル以上の秘密の財源を持っており、これらはスーダンの軍からも民間部門からも独立している。ダルフールの紛争は2020年10月のジュバ合意によって終結する筈だったが、その後もRSFとそれが支援するダルフールの民兵による虐殺で数十万人が避難し、数百人が殺害された。虐殺、レイプ、その他の残虐行為は合意前よりも悪化している。
米英+EUは通常は御し易い軍事独裁政権を好むが、スーダンの場合は抗議行動の強さを目の当たりにして方針を変え、FFCに圧力を掛けて国内の権力を安定させる為に軍との枠組み合意に署名させた。一応首相の任命から2年で選挙が実施されることにはなっているが、犯罪者達の裁判も紛争の終結も抜きで選挙だけ行なっても、トップの顔が文民に変わるだけで中身は変わらない。
2022年11月にはFFCの一部が離反し、公然と枠組み合意に反対して抗議に参加する党員も出て来た。外国勢力の利害は一致している訳ではなく、UAEは枠組み合意の後、スーダンと紅海に港を建設する60億米ドル相当の契約を結んだが、これはサウジアラビアとエジプトの利益には反する。軍内部も統一されておらず、陸軍将校達は、RSFとの統合に対して慎重。RSFの方では何等か理由で、軍から停職中の将校を募集している。
レジスタンスの成功は団結出来るかに懸かっている。現在レジスタンス委員会は政治活動と労働組合(スーダンにはこれを規定した労働法は存在しない)組織運動との調整を進めている。
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