ミンスク合意は策略に過ぎなかったとメルケルが認めた。紛争が長引くことは確実だ。(要点)
プーチンとメルケルの関係についての、地政学アナリスト、アンドリュー・コリブコ氏の分の要点。コワモテのイメージとは違って、プーチンには或る意味能天気と言える程、割とナイーヴな所が有る。
Merkel’s Admission That Minsk Was Just A Ruse Guarantees A Protracted Conflict
2022/12/07にドイツのメルケル前首相が、ミンスク合意はウクライナの軍事力強化の為の時間稼ぎの策略だったと白状したことを受け、彼女に対するプーチンの態度を説明している。東独でキャリアを高め、ドイツ語を流暢に話すプーチンは、自分自身の「リスボンからウラジオストクまで」と云う欧州統一構想の夢を彼女に投影していた。メルケルはプーチンをおだてて彼が聞きたいことを聞かせてのけたが、協力関係は結局表面的なものに過ぎず、彼女は寧ろ、一撃も発砲せずに欧州を支配すると云う、ドイツのエリート層の100年越しの野望を実現する為に動いていたことは今や明白だ。
プーチンは現実主義者だったので、辛抱強く交渉すればドイツを説得することが出来るだろうと云う希望的観測の下、ドンバスのロシア人が払わされる犠牲には8年間目を瞑り、その犠牲は最終的には報われるだろうと踏んでいた。プーチンは合理的な計算に基付いて判断を下す人間だが、合理的な人間は往々にして、「自分は合理的に判断出来るのだから、相手も合理的に判断するだろう」と信じがちで、非合理的な人間の言動を理解出来ない傾向が有る。だがメルケルは合理的に見えながらも、大局的にはゼロサムで計算するイデオローグだった。
共存共栄の欧州統合市場を心から望む政治指導者は、結局のところプーチン一人しか居なかった。プーチンがメルケルの芝居に騙され続けたのは、プーチンが合理的な正真正銘の政治家だったからであって、彼はプラグマティックな経済的的先見性を相手に投影し、ドイツの首相たるものは大国の合理的な指導者である筈だと云う確証バイアスに陥っていた。
今になってメルケルが正体を現したのは、最早失うものが何も無くなったからだ。彼女は、ミンスクの和平プロセスに協力しなければ、「プーチンは当時(ウクライナを)簡単に制圧出来た」と自慢し、彼の信頼を裏切ったことを厚かましくも認めている。ギリギリまで待ち続けて到頭自分がずっと騙されていたことに気が付いたプーチンが、西側の指導者を信頼することは二度と無いだろう。
このことは偶然にも、メルケルが自分の裏切りを白状したのと同じ日に、プーチンが「ウクライナ紛争は長いプロセスになるかも知れない(実際、この戦争が始まったのは2014年だ)」と発言したことを説明している。ロシアは軍事的膠着状態が続いた儘でも戦略的には勝利することが可能だが、プーチンはこれが多極化秩序へ向けた世界的なシステム移行の行く末を巡る闘争であることを、今や正しく理解している。
その目的の為にロシアは和平プロセスを再開させるだろうが、痛ましい教訓を学んだ今となっては、プーチンの善意の意思表示に西洋が付け込む様なことはもう起こらない。ロシアは欧州よりもBRICSやSCOを中心としたグローバルサウス諸国とのパートナーシップの方に重点を置いており、2022/09/30に行った革命的宣言で述べられている様に、より民主的で、平等で、公正な国際秩序の構築を目指している。
インドを中心とする多極化プロセスの為の時間稼ぎをせねばならないから、ウクライナ紛争はどうしたって長引く。プーチンが目を覚ますのは8年遅かったと批判する人も居るかも知れないが、彼は今漸く腰を据えて長期戦の構えを整えている。
Merkel’s Admission That Minsk Was Just A Ruse Guarantees A Protracted Conflict
2022/12/07にドイツのメルケル前首相が、ミンスク合意はウクライナの軍事力強化の為の時間稼ぎの策略だったと白状したことを受け、彼女に対するプーチンの態度を説明している。東独でキャリアを高め、ドイツ語を流暢に話すプーチンは、自分自身の「リスボンからウラジオストクまで」と云う欧州統一構想の夢を彼女に投影していた。メルケルはプーチンをおだてて彼が聞きたいことを聞かせてのけたが、協力関係は結局表面的なものに過ぎず、彼女は寧ろ、一撃も発砲せずに欧州を支配すると云う、ドイツのエリート層の100年越しの野望を実現する為に動いていたことは今や明白だ。
プーチンは現実主義者だったので、辛抱強く交渉すればドイツを説得することが出来るだろうと云う希望的観測の下、ドンバスのロシア人が払わされる犠牲には8年間目を瞑り、その犠牲は最終的には報われるだろうと踏んでいた。プーチンは合理的な計算に基付いて判断を下す人間だが、合理的な人間は往々にして、「自分は合理的に判断出来るのだから、相手も合理的に判断するだろう」と信じがちで、非合理的な人間の言動を理解出来ない傾向が有る。だがメルケルは合理的に見えながらも、大局的にはゼロサムで計算するイデオローグだった。
共存共栄の欧州統合市場を心から望む政治指導者は、結局のところプーチン一人しか居なかった。プーチンがメルケルの芝居に騙され続けたのは、プーチンが合理的な正真正銘の政治家だったからであって、彼はプラグマティックな経済的的先見性を相手に投影し、ドイツの首相たるものは大国の合理的な指導者である筈だと云う確証バイアスに陥っていた。
今になってメルケルが正体を現したのは、最早失うものが何も無くなったからだ。彼女は、ミンスクの和平プロセスに協力しなければ、「プーチンは当時(ウクライナを)簡単に制圧出来た」と自慢し、彼の信頼を裏切ったことを厚かましくも認めている。ギリギリまで待ち続けて到頭自分がずっと騙されていたことに気が付いたプーチンが、西側の指導者を信頼することは二度と無いだろう。
このことは偶然にも、メルケルが自分の裏切りを白状したのと同じ日に、プーチンが「ウクライナ紛争は長いプロセスになるかも知れない(実際、この戦争が始まったのは2014年だ)」と発言したことを説明している。ロシアは軍事的膠着状態が続いた儘でも戦略的には勝利することが可能だが、プーチンはこれが多極化秩序へ向けた世界的なシステム移行の行く末を巡る闘争であることを、今や正しく理解している。
その目的の為にロシアは和平プロセスを再開させるだろうが、痛ましい教訓を学んだ今となっては、プーチンの善意の意思表示に西洋が付け込む様なことはもう起こらない。ロシアは欧州よりもBRICSやSCOを中心としたグローバルサウス諸国とのパートナーシップの方に重点を置いており、2022/09/30に行った革命的宣言で述べられている様に、より民主的で、平等で、公正な国際秩序の構築を目指している。
インドを中心とする多極化プロセスの為の時間稼ぎをせねばならないから、ウクライナ紛争はどうしたって長引く。プーチンが目を覚ますのは8年遅かったと批判する人も居るかも知れないが、彼は今漸く腰を据えて長期戦の構えを整えている。
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