まともなヒーローの必要性
映画の意味の変遷についての動画エッセイ。腐った西洋文明の行き着く先は何処か。
1)モダニズム:古き良きハリウッド。勝つのは善人で、負けるのは悪党。
2)ポストモダニズム:物語のみならず表現自体が自意識と自己言及で満ち溢れ、全てがパロディと化してニヒリズムへ向かう。
3)メタモダニズム:ポストモダニズム(とハイパーモダニズム)への応答として、ポストモダニズムの手法を踏まえながらも、シニカルさを乗り越えて再び真摯に物語を語ろうとする試み(モダニズムへの単純な回帰ではない)。
Why Do Movies Feel So Different Now?
アーノルド・シュワルツェネッガーは、ステロイド浸けでパーツを育てることにばかり注目が集まる現代のボディビルデビングを批判している。昨今のボディビルダーは全体的なバランスによって獲得される美の感覚を忘れ、ボディビルディングとはそもそも「人間の肉体は美しい」と云うメッセージを伝える手段であることを忘れてしまっている。彼等は醜悪だ。
Arnold Schwarzenegger HATES Modern bodybuilding
近年の映画の劣化は、映画ポスターからも見て取ることが出来る。独創的なアーティストが観客の心に長く残る印象を与えるポスターで作品に+αの価値を付け加えた時代は疾うに過ぎ去り、デザイン会社がとにかく作品を売る為の広告としてのポスターを量産した結果、どれもこれも似た様なデザインの独創性のカケラも無い退屈なポスターばかりが出回る様になってしまった。映画が商品である以上、売る為の努力をするのは当然だが、売ることしか考えない作り方は魂の欠落した没個性の時代を生んだ。
What Killed The Movie Poster?
スタートレックTNGは、リベラルなイデオロギーの最上の部分を抽出したフィクションだ。TOSのマチズム的なカーク大佐と違って、TNGのピカード大佐はより洗練されて理性的であり、特に惑星連邦は「他文明の内政干渉及び自然な発展の妨害や干渉を行ってはならない(つまり主権の尊重、内政不干渉)」とする最優先指令(Prime Directive)の問題に何度も取り組んでいる。TNGの登場人物達は、自分達とは異なる他者と平和的に共存する方法について、何度も真剣に悩む。STシリーズの、特にTNGには、製作者ジーン・ロッデンベリーの「私達は一緒に暮らすことを学ばなければなりません。さもなければ、私達は間違い無く全員死ぬでしょう」と云う基本的な(冷戦期の)メッセージが強く込められている。「スタートレックは、民主的な法の支配と多元的な寛容が人間の救いであると云う世俗的な信念に基付いた、リベラルな楽観主義の究極の表現だ。」だがこうした理念の美しさを表面的に利用して、寧ろ真逆のイデオロギーを推進しようしている連中が、人々の頭の中を支配しようと熾烈なプロパガンダ工作を行っている。私達はその真贋を見抜く目を鍛えなければならない。
Art as Propaganda: The Message Embedded in Star Trek
★スター・トレック劇場版第一作 The Motion Picture に対する私の愛の丈を詰め込んだエッセイ。
何故私は展開ののろさなど気にせずに『スター・トレック ザ・モーション・ピクチャー』をこよなく愛するのか
スタートレック・シリーズの思想的変遷を解説した動画。『ネクスト・ジェネレーション』が絶頂期だったが、『エンターブライズ』の辺りから翳り始め、それ以降は本来の楽観主義を失ってどんどん暗くなるが、最新の"Strange New Worlds"になって持ち直す、と云う流れに纏めている。
What Happened to Star Trek
オリジナルのスタートレック・シリーズを作ったジーン・ロッデンベリーと、『スタートレック ディスカバリー』のプロデューサー、アレックス・カーツマンの思想的スタンスを比較した動画。人類全体が貪欲や貧困から解放され、互いに協力して一生懸命に働いて社会を改善して行くと云うロッデンベリーの希望に満ちた楽観的なメッセージが、後者には全く欠けている。単に同じ設定を使えば同じシリーズになる訳ではない。STは人類の醜い面に焦点に当てようとした訳ではなく、人類が誇りに思える様な面を謳いあげようとしたのだ、STは単なるSF冒険活劇とは違うのだ。
Gene Roddenberry Versus Alex Kurtzman / Star Trek Discovery Part 5
ジーン・ロッデンベリーが創造したスタートレック・シリーズと、(STのファンではなかった)J・J・エイブラムズの映画STシリーズがどの様に全くの別物であるかを解説した動画。前者のヒーローが成熟した理性的な大人であるのに対し、後者のヒーローは幼稚で感情的で、まるでガキ。これは他のヒーロー映画についても見られる傾向だが、何故「ヒーローの幼稚化」と云う現象が起きてしまったのか。それは恐らく:
・多様化した趣味を持つ大人より、子供を対象にした方が儲かるから。
・観客の知性を見くびり、幼稚園児でも相手にするかの様にメッセージを構築する風潮。
・作り手自身がガキ。甘やかされて自己中心的で、理性的に問題に対処することの出来ない世代が映画を作っている。
Why Modern Movies Suck - They're Written By Children
『スタートレック ヴォイジャー』でEMH(ドクター)を演じたロバート・ピカードが、シリーズの生みの親、ジーン・ロッデンベリーが1980年にSTにファンに宛てた手紙を読み上げる。「スタートレックのミッションの本質は、発見です。我々の宇宙についてより多くを学び、その知識を人類の為に役立てることです。惑星協会(The Planetary Society)はこの理念を追求しています。私はこの惑星協会と協力していることを大変嬉しく思っています。」
The EMH (Robert Picardo) reads Gene Roddenberry's optimistic letter
ジーン・ロッデンベリーのインタビュー。スター・トレック・シリーズの基本理念のひとつは、自分達とは異なる他者(エイリアン)と理解し合おう、互いに学び合おうと云う前向きな姿勢だ(昨今のキャンセル文化や、形だけ多様性や包摂性を掲げたポリティカル・コレクトネスの潮流とは真逆だ)。
Gene Roddenberry on A.I / Aliens & His Optimistic Vision Versus The Dystopia of Star Trek Discovery
米国の長寿SFシリーズ、スター・トレックの生みの親、ジーン・ロッデンベリーの1976年の発言を聞けば。STシリーズが斯くも多くのファンを惹き付けることが出来た理由を理解出来る。それは「人は成長出来る。分断する力を乗り越えて、より包摂的で建設的な世界を築くことが出来る」と云う、人類全体に対する楽観主義的なメッセージを明確に打ち出していた。それは「世界が憧れる健全なアメリカ像」の再建であり、理性と進歩に対する恥ずかしくなる位に愚直で真っ正直な信仰告白だったのだ。
Gene Roddenberry: The Star Trek Philosophy
★英国BBCの長寿SFシリーズ『ドクター・フー』に関する私のTwitterエッセイ。
非暴力のヒーローのカッコ良さについて
1)モダニズム:古き良きハリウッド。勝つのは善人で、負けるのは悪党。
2)ポストモダニズム:物語のみならず表現自体が自意識と自己言及で満ち溢れ、全てがパロディと化してニヒリズムへ向かう。
3)メタモダニズム:ポストモダニズム(とハイパーモダニズム)への応答として、ポストモダニズムの手法を踏まえながらも、シニカルさを乗り越えて再び真摯に物語を語ろうとする試み(モダニズムへの単純な回帰ではない)。
Why Do Movies Feel So Different Now?
アーノルド・シュワルツェネッガーは、ステロイド浸けでパーツを育てることにばかり注目が集まる現代のボディビルデビングを批判している。昨今のボディビルダーは全体的なバランスによって獲得される美の感覚を忘れ、ボディビルディングとはそもそも「人間の肉体は美しい」と云うメッセージを伝える手段であることを忘れてしまっている。彼等は醜悪だ。
Arnold Schwarzenegger HATES Modern bodybuilding
近年の映画の劣化は、映画ポスターからも見て取ることが出来る。独創的なアーティストが観客の心に長く残る印象を与えるポスターで作品に+αの価値を付け加えた時代は疾うに過ぎ去り、デザイン会社がとにかく作品を売る為の広告としてのポスターを量産した結果、どれもこれも似た様なデザインの独創性のカケラも無い退屈なポスターばかりが出回る様になってしまった。映画が商品である以上、売る為の努力をするのは当然だが、売ることしか考えない作り方は魂の欠落した没個性の時代を生んだ。
What Killed The Movie Poster?
スタートレックTNGは、リベラルなイデオロギーの最上の部分を抽出したフィクションだ。TOSのマチズム的なカーク大佐と違って、TNGのピカード大佐はより洗練されて理性的であり、特に惑星連邦は「他文明の内政干渉及び自然な発展の妨害や干渉を行ってはならない(つまり主権の尊重、内政不干渉)」とする最優先指令(Prime Directive)の問題に何度も取り組んでいる。TNGの登場人物達は、自分達とは異なる他者と平和的に共存する方法について、何度も真剣に悩む。STシリーズの、特にTNGには、製作者ジーン・ロッデンベリーの「私達は一緒に暮らすことを学ばなければなりません。さもなければ、私達は間違い無く全員死ぬでしょう」と云う基本的な(冷戦期の)メッセージが強く込められている。「スタートレックは、民主的な法の支配と多元的な寛容が人間の救いであると云う世俗的な信念に基付いた、リベラルな楽観主義の究極の表現だ。」だがこうした理念の美しさを表面的に利用して、寧ろ真逆のイデオロギーを推進しようしている連中が、人々の頭の中を支配しようと熾烈なプロパガンダ工作を行っている。私達はその真贋を見抜く目を鍛えなければならない。
Art as Propaganda: The Message Embedded in Star Trek
★スター・トレック劇場版第一作 The Motion Picture に対する私の愛の丈を詰め込んだエッセイ。
何故私は展開ののろさなど気にせずに『スター・トレック ザ・モーション・ピクチャー』をこよなく愛するのか
スタートレック・シリーズの思想的変遷を解説した動画。『ネクスト・ジェネレーション』が絶頂期だったが、『エンターブライズ』の辺りから翳り始め、それ以降は本来の楽観主義を失ってどんどん暗くなるが、最新の"Strange New Worlds"になって持ち直す、と云う流れに纏めている。
What Happened to Star Trek
オリジナルのスタートレック・シリーズを作ったジーン・ロッデンベリーと、『スタートレック ディスカバリー』のプロデューサー、アレックス・カーツマンの思想的スタンスを比較した動画。人類全体が貪欲や貧困から解放され、互いに協力して一生懸命に働いて社会を改善して行くと云うロッデンベリーの希望に満ちた楽観的なメッセージが、後者には全く欠けている。単に同じ設定を使えば同じシリーズになる訳ではない。STは人類の醜い面に焦点に当てようとした訳ではなく、人類が誇りに思える様な面を謳いあげようとしたのだ、STは単なるSF冒険活劇とは違うのだ。
Gene Roddenberry Versus Alex Kurtzman / Star Trek Discovery Part 5
ジーン・ロッデンベリーが創造したスタートレック・シリーズと、(STのファンではなかった)J・J・エイブラムズの映画STシリーズがどの様に全くの別物であるかを解説した動画。前者のヒーローが成熟した理性的な大人であるのに対し、後者のヒーローは幼稚で感情的で、まるでガキ。これは他のヒーロー映画についても見られる傾向だが、何故「ヒーローの幼稚化」と云う現象が起きてしまったのか。それは恐らく:
・多様化した趣味を持つ大人より、子供を対象にした方が儲かるから。
・観客の知性を見くびり、幼稚園児でも相手にするかの様にメッセージを構築する風潮。
・作り手自身がガキ。甘やかされて自己中心的で、理性的に問題に対処することの出来ない世代が映画を作っている。
Why Modern Movies Suck - They're Written By Children
『スタートレック ヴォイジャー』でEMH(ドクター)を演じたロバート・ピカードが、シリーズの生みの親、ジーン・ロッデンベリーが1980年にSTにファンに宛てた手紙を読み上げる。「スタートレックのミッションの本質は、発見です。我々の宇宙についてより多くを学び、その知識を人類の為に役立てることです。惑星協会(The Planetary Society)はこの理念を追求しています。私はこの惑星協会と協力していることを大変嬉しく思っています。」
The EMH (Robert Picardo) reads Gene Roddenberry's optimistic letter
ジーン・ロッデンベリーのインタビュー。スター・トレック・シリーズの基本理念のひとつは、自分達とは異なる他者(エイリアン)と理解し合おう、互いに学び合おうと云う前向きな姿勢だ(昨今のキャンセル文化や、形だけ多様性や包摂性を掲げたポリティカル・コレクトネスの潮流とは真逆だ)。
Gene Roddenberry on A.I / Aliens & His Optimistic Vision Versus The Dystopia of Star Trek Discovery
米国の長寿SFシリーズ、スター・トレックの生みの親、ジーン・ロッデンベリーの1976年の発言を聞けば。STシリーズが斯くも多くのファンを惹き付けることが出来た理由を理解出来る。それは「人は成長出来る。分断する力を乗り越えて、より包摂的で建設的な世界を築くことが出来る」と云う、人類全体に対する楽観主義的なメッセージを明確に打ち出していた。それは「世界が憧れる健全なアメリカ像」の再建であり、理性と進歩に対する恥ずかしくなる位に愚直で真っ正直な信仰告白だったのだ。
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