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エチオピア紛争から学ぶべき12の教訓(要点)

2022/11/02、エチオピア政府とティグレ人民解放戦線(TPLF)は共同声明を発表し、2年間の紛争に終止符を打った。この共同声明が、相互に受け入れ可能な妥協点に到善する為の両者の善意の努力を表していることについては、地政学アナリストのアンドリュー・コリブコ氏が丁寧に分析している。
Analyzing The Joint Statement From The Government Of Ethiopia & The TPLF

 コリブコ氏は更に進んで、この終戦合意に至るまでの経緯から学び取れる12の教訓が有ると分析している。全体としては今後のエチオピアのみならず、全てのアフリカ諸国にとって希望が持てる展開だ。
Twelve Lessons To Be Learned From The Ethiopian Conflict




 1)エチオピアの国家構造そのものに深く組み込まれたエリート層は、その特権が脅かされる度に憤慨する。
 能力主義の復活による真の平等を構想したアーメド首相の改革は彼等を憤慨させた。

 2)民族連邦主義は分離主義者の目的の為に悪用される可能性が有る。
エチオピア憲法はあらゆる構成国、国籍、人民に脱退の権利を保障しているが、ティグライの人々の権利は侵害されたことが無いにも関わらず、TPLFは自分達の利己的な分離主義の大義の為にこの条項を悪用した。

 3)情報戦が民族分離主義の炎を煽る。
 TPFLが分離主義の大義をティグライの人々に納得させる方法は、情報戦争によって認識を操作することで、彼等の権利が脅かされていると思い込ませること。TPLFはこの為に外国のシヴィル・ソサイエティ、メディア、支援諸国の広範なネットワークに依存しており、それぞれが裏の動機を持っていた。

 4)外部のアクターは国内の緊張を利用して新冷戦への関心を高める。
 米国主導のゴールデン・ビリオン(黄金の十億)は自分達の利益を促進する為に、TPLFの分離主義を利用した。彼等は中国包囲網に参加せず、中立の原則を守ろうとしたエチオピア政府を罰しようとした。

 5)人道的帝国主義はハイブリッド戦争の最新形態だ。
 事実か嘘か、またはそれらの組み合わせであるかに関わらず、経済制裁や軍事介入(保護する責任)の為に人道問題を兵器化することは、人道的帝国主義と言える。エチオピアの紛争はこのハイブリッド戦争の特徴が顕著だった為、今後研究者達に研究テーマを提供することになる。

 6)フェイクニュースと新帝国主義に立ち向かう草の根運動が有機的に立ち上がった。
 エチオピア紛争に干渉する諸外国の新帝国主義的アジェンダを推進するフェイクニュースに対し、国内外の活動家達が有機的に連帯し、草の根の #NoMore 運動を立ち上げた。この反帝国主義運動は今まで休眠中だったこの種の運動を活性化し、グローバルサウス全体の他の抑圧された人々に希望を齎した。

 7)外国の分断統治計画によって引き起こされる実存的脅威は、国家の団結を強化する可能性が有る。
 アイデンティティ間の緊張は紛争前から存在していたが、それが悪化して外国勢力がこれに付け込んだ結果、エチオピアの多様な人々は逆にこれまで以上に緊密に結び付いた。#NoMore 運動により、既存の諸問題が国家を不安定化させる為に利用されていることに人々が気が付いた為、誠実な愛国心を持つ全ての勢力が、愛する国を守る為に団結する様になった。

 8)市民社会と治安機関の強力な相乗効果が国内の安定を維持した。
 紛争地域以外で治安が保たれていたのは、市民社会と治安当局の強力の相乗効果のお陰で、それが無ければこの国は今頃間違い無く「バルカン化」していただろう。あらゆる階層のあらゆる身分の人々が、心から愛国心を持つ全ての勢力が守るべきエチオピア国家の存在を守るための盾として、国防軍の背後に結集した。

 9)国家の危機は、その国の本当の味方と敵をはっきりさせた。
 民主主義と人権を支持すると主張していた西側諸国は、代理勢力を通じてエチオピアの民主主義と国民の権利を侵害した。他方、ロシア・中国・イラン・トルコ等のグローバルサウス諸国は、犠牲となった同胞を結束して支援した。前者と和解することは可能だが、何が起こったのか、誰も忘れはしないだろう。

 10)善意による地域調停の取り組みは、予期せぬブレイクスルーに繋がる可能性が有る。
 アフリカ連合の仲介による和平プロセスの関係者は、この協議に干渉しようとした西側諸国の様に下心を持たず、積極的な意図を持っていたからこそ予期せぬブレイクスルーを齎した。「アフリカの問題はアフリカが解決する」は、今や単なるスローガン以上のものとなった。

 11)平和、安定、団結には困難な妥協が必要だ。
 終戦の共同声明には、行政、情報、司法、政治、安全保障に関わる微妙な諸問題について、まだ妥協困難と言えるものが含まれているが、これらは平和を達成し、国に安定を取り戻し、国民統合を維持する為には必要なものだ。両サイドの全員を喜ばせるのは不可能だが、より大きな利益の為に為された困難な決断を評価すべきだろう。

 12)エチオピア紛争はアフリカ全体の教訓である。
 エチオピアは、新冷戦下での原則的中立に対する罰として、新帝国主義勢力からハイブリッド・テロ戦争を仕掛けられたが、勝利した。これは他のアフリカ諸国に前向きな先例を与えた。他方、TPLFと同じ様な精神を持つ諸国内の不満分子は、外国勢力と共謀して自国を不安定にすることを躊躇う様になるだろう。



 エチオピア紛争はコンゴ紛争以来最悪のアフリカの悲劇になる可能性も有った。新冷戦下での多極世界システムへの移行に於て、ゴールデン・ビリオンは利己的な地政学的理由から今後もアフリカ大陸で代理戦争を繰り広げるだろうと予想されるが、エチオピアの勝利の先例は、来るべき最悪の危機の幾つかを回避するのに役立つかも知れない。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
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