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ヒューイ・ロングの簡単な紹介

私がヒューイ・ロングと云う異色の政治家に興味を持つキッカケになったのが、1949年の社会派映画『オール・ザ・キングスメン』。主演のブロデリック・クロフォードは、フェデリコ・フェリーニ監督の初期の傑作『崖』で、戦後の貧困に喘ぐイタリアを舞台に、貧しい農民を相手にケチな稼ぎを繰り返す詐欺師を演じたのが印象に残っている人。志高く政界に入ったものの、腐敗した現実に打ちのめされ、権力を手に入れる為ならどんな汚いことにも手を染める様になった「堕ちた英雄」の転落模様を描いている。


 この映画は2006年に同じ『オール・ザ・キングスメン』と云うタイトルでリメイクされたが、人道的帝国主義者ショーン・ペンの怪演が光っている。


 原作はロバート・ペン・ウォーレンの1946年の同名小説。日本では『すべて王の臣』と云うタイトルで訳されている。ウォーレンはこれで翌年のピューリッツァ賞を獲得した。




 タイトルの「オール・ザ・キングスメン」はマザーグースの一節から。

 Humpty Dumpty sat on a wall,
 Humpty Dumpty had a great fall.
 All the king's horses and all the king's men
 Couldn't put Humpty together again.

 ハンプティ・ダンプティが塀に座った
 ハンプティ・ダンプティが落っこちた
 王様の馬と家来の全部がかかっても
 ハンプティを元に戻せなかった

 これは「一度堕ちた英雄は(卵の様に)元には戻せない」と云うことを暗示していると思われるが、この独裁者のモデルとなったルイジアナの上院議員ヒューイ・ロングのアダ名は「キングフィッシュ(まんぼう)」。"Amos 'n' Andy"と云う当時のラジオ番組の登場人物が由来らしいのだが、東部のエスタブリッシュメント層とは違って、如何にも南部の田舎の抜け作の様な風貌が貧しい庶民の共感を呼んだのだろう。それと同時に、彼は「誰もがみんな王様だ(Every Man a King)」と云うスローガンでも知られており、FDRのニューディール政策批判の急先鋒である一方、過激な富の再分配(Share Our Wealth)を公約として掲げ、ロックフェラーの様な大企業やウォール街との対決姿勢を鮮明に打ち出したポピュリスト(人民主義者)だった。


 米国内で最も貧しかったルイジアナ州の知事となり、道路や学校や病院等の生活インフラを次々と作って貧しい庶民の生活を大いに向上させたので、ルイジアナには今でも彼の崇拝者が居るらしいが、他方で小説や映画で描かれた様に激しい腐敗でも知られ、毀誉褒貶が激しく、ファシストのデマゴーグと非難されることも多いが、単純に一面だけを取って評価出来る様な人物ではない。その後上院議員として国政に進出したが、1935年に、他の数々の暗殺事件の様に「一匹狼の暗殺者(lone gunman)」であるカール・ワイスによって暗殺されたのだが(自身のボディガードによって撃たれたとする説も有る)、存命であれば次の大統領選に於けるFDRの有力な対抗馬だった。仮にFDRではなくロングが米大統領になっていたら、第二次世界大戦や戦後の国際秩序の展開は大きく違っていたかも知れない、と考えると感慨深いが、全ては仮定の話に過ぎない。



 日本語で文献を探したら2冊だけ見付かった。『幻の大統領―ヒューイ・ロングの生涯』と、『アメリカン・ファシズム―ロングとローズヴェルト』。
 



 ドナルド・トランプと比較されることも多い様だが、自身大金持ちであるトランプとは大分性格が異なる様に思う。とにかく一言で表現するのが難しい人物で、矛盾の塊。そのイデオロギーを分類するのも難しく、少なくとも彼を「社会主義者」などと呼ぶ人は居ない様だ(貧者のエンパワーメントに力を入れていたにも関わらず、彼は本気で大企業を敵に回す気など無かったと評する人も居る)。とにかく異色の人物。以下、個別の情報はスレッドの方で紹介する。
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川流桃桜

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