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共産主義・社会主義再考

ソ連の経済システムがどれだけ優秀だったかを解説する動画。最近では殆ど妄想によって形作られたロシアや中国やその他旧共産主義/社会主義諸国について好き勝手に語るのが流行りだが、こう云う傾向は本当に危ないと思う。今は学術本を一冊も読んだことの無い様な人でさえ平気で情報発信しているし、メディアの劣化も甚だしいので、現実と云うものはもっと複雑でニュアンスに富んだものだと指摘する声は解り易い怒鳴り声の前に掻き消されてしまう。ソ連は決してユートピアなどではなかったが、昨今の反共主義者達が妄想する様なディストピアでもなかった。そして様々な点に関して資本主義経済よりも優れた点を幾つも持っていた。そんな筈は無い!と脊髄反射的に反応する人は大抵、資本主義陣営の実態が見えていないし、共産主義陣営が置かれていた社会的・経済的コンテクストを無視している。事実に基付く批判や議論なら大いに結構だけれど、そんなものを今の日本語環境で目にすることは至難の業だ(とにかく口を開く前に本を読め!)。
https://www.youtube.com/watch?v=Hcl3R-yARX8&list=PLQCK70Y0dwYbYrCdt6n3KTvZnlr5I8YIG&index=99


大多数の人々の生活の質と云う点から見れば、社会主義は資本主義よりも優れている。資本主義の目的が利益の追求であり、従って人々の生活を向上させる実体経済の成長は必要とされないのに対し(第二次大戦後の先進諸国で起こった様な、大多数の人間が成長の恩恵に与れるタイプの経済成長は、歴史的・地政学的に見て例外的な事象だ)、社会主義は人間が社会的な存在であることを踏まえた上で、より害の少ない(社会主義はユートピアを意味する訳ではない)経済発展を志向する。
Socialism Is Better Than Capitalism...Right?


人々の生活の質に着目した場合、社会主義体制は資本主義体制よりも優れていることが科学的に証明されている。言っておくが西側資本主義陣営自身のデータを使って分析するとそうなると云う話なので、これは「社会主義陣営のプロパガンダ」などではない(確かに、定義については多少の混乱は有るが)。社会主義国の多くはスタート時点で分の悪い国が多く、しかも資本主義諸国から絶えず制裁・暗殺・外交的非難・侵略・爆撃・サボタージュ等々の干渉を受けつつその様な成果を上げているのだ。そもそも社会主義が失敗を運命付けられているのなら、何故資本主義諸国はそれらの国々を放っておいて自滅するのを待たずに、ここまで必死になって失敗するよう努力しているのだろうか?
Socialism is just better, scientifically

 この動画で言及されているのはこの論文。健康、医療サーヴィス、栄養指標(乳児死亡率、子供の死亡率、平均余命、医師1人当たり人口、看護師1人当たり人口日、1日分の1人当たりカロリー供給、教育の尺度(成人の識字率、中等教育への就学率、高等教育への就学率)等の生活の質について資本主義国と社会主義国を比較したところ、30の比較の内28件で、社会主義国の方が良い成績を収めている。
Economic development, political-economic system, and the physical quality of life.

★ソ連経済はダメダメだった、とする解説に対する反論動画の要点を纏めてみた。
ソ連経済の解説(『経済解説』に対する反論)(要点)

1986/04/15にマイケル・パレンティ氏がコロラド大学で行なった講演、「米国の介入主義、第三世界、そしてソヴィエト連邦」。彼が批判しているのは冷戦末期で新自由主義台頭期のレーガン政権の、外交政策に於ける違法で非道な介入主義と、国内政策に於ける弱者切り捨てだが、同じ指摘は21世紀の現在には当て嵌まることだ。両者は同じコインの裏表であり、レーガンはアホではなく、彼の階級の利害の為に合理的に動いているが、それは大多数の一般庶民の利害とは完全に相反している。アメリカ帝国主義者達によって共産主義者と言われている人達は単に自分の生活を向上させたい(字が読める様になりたい、病院や学校が利用出来る様になりたい、産業を発展させて米国と友好関係を結んで自由で公平な貿易を行いたいetc)と思っている人達のことに過ぎず、彼等は愛(例えば「親米/反米」)などと云う移ろい易い基準によって物事を判断している訳ではなく、愛よりも強く持続的な自己利害に基付いて判断している。単なる抽象的なステレオタイプではなく具体的な歴史的現実に基付いて他者を理解することが出来れば、この「自己利害」と云うものが如何に強固なものかも理解出来る様になる(私の見るところ、この「具体的な他者の現実」を見たくない、薄っぺらで飲み込み易い他者像しか受け入れたくないと云う現代日本人の欲望は非常に強く、最早自滅的なレヴェルにまで達している。自らの生存を懸けて苦闘する他者の現実を理解する努力は、スイッチ一つで「不愉快な他者」から逃れられる便利な時代には歓迎されない。世界の広さに合わせて自分の視点を一次停止する位なら、自らの視野に合わせて世界を切り取る方が遙かにラクだ。洞察力に満ちた社会学者ニール・ポストマンの表現を借りるなら、現実の複雑さや他者の不快さに耐える位なら、「愉しみながら死んで行く」方がマシだと考える人が実に多い)。
Michael Parenti lecture (1986)


★Michael Parenti著、Blackshirts and Reds: Rational Fascism and the Overthrow of Communismのレビュー。
反共主義の嘘と迷妄をざっくり暴く快著
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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