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新冷戦を支持しているのは世界の13%だけ(要点と補足)

2022/09/21のマルチポラリスタのベンジャミン・ノートン氏の記事の要点。西側大手のエスタブリッシュメント層に属するメディア、ニューズウィークに掲載された記事、「社説:世界の90%近くはウクライナに関して我々に従わない(Nearly 90 Percent of the World Isn't Following Us on Ukraine | Opinion)」を解説したもの。NWは無論西側のプロパガンダ・システムの一部であって親ロシア的なことを主張する傾向など1ミリも無いのだが、元米外交官のマイケル・グフォーラーとデビッド・H・ランデルの両氏はこの記事の中で、マルチポラリスタの様な反帝国主義者達の主張していることが全て正しいことを認めている。以下、元記事の内容を補足しつつ要点を簡潔に纏めてみる。
87% of world doesn’t support West’s new cold war on Russia


 「米国と欧州とアジアの最も近い同盟国(つまり日本)がモスクワに厳しい経済制裁を課す一方で、世界人口の87%は我々に従うことを拒否している。」

 つまり反ロシア冷戦を支持しているのは世界人口の13%でしかない。大政翼賛化したメディアを使って「俺達こそが/だけが国際社会」とイキがっている帝国主義勢力は、地図で見ればこんな感じだ。領土が広いのでそれなりに多く見えるかも知れないが、国の数で言えば圧倒的少数派だ。


 エネルギーは通貨の様に印刷すれば幾らでも魔法の様に出せる訳ではない。エネルギー市場に於ては欧米の覇権の衰退は明らかだ。サウジ、中国、イラン、インド等は何もロシアとの取引を止めていない。上海協力機構やBRICS等の新しい多国間機関が成長しており、特に中国の野心的な一帯一路構想はグローバル・サウスの国々に新しい機会を提供している。ロシアもアフリカとの連携強化に成功している。

87% of world doesn't support West's new cold war on Russia


 ドルは依然として基軸通貨であり「世界経済秩序の柱」だが、帝国自身による度重なる違法行為(制裁による資産押収=強奪や契約の一方的破棄等の帝国主義的犯罪行為)によって信頼は損なわれており、脱ドル化を求める声が高まっている(これはマイケル・ハドソン氏が主張して来たことと同じだ)。NWはドルの覇権を支えるペトロダラーの仕組みがサウジによって拒否される可能性すら示唆しているが、米ドル覇権の衰退もマルチポラリスタが取り上げて来た話題だ。

 「グローバリゼーションが機能するのは、殆ど参加者がグローバリゼーションが自らの利益を促進すると信じている場合だけだ。若し西側諸国が自分達の利益の為にシステムを不当に利用していると他の国々が信じるなら、『ルールに基付く国際秩序』は崩壊し、代替案が出現することだろう。」

 グローバル・サウスでは反西洋感情が高まっている。ウクライナ戦争についても、多くのグローバル・サウス諸国が、ロシアではなく米/NATOの所為だと非難している。NW以上にエスタブリッシュメント紙であるNYタイムズもまた4月の記事「反ロシア同盟は大きなブロックを失っている:発展途上世界」で、この不都合な真実を認めている。ロシアを孤立させようとする西洋諸国は、「インド、ブラジル、南アフリカと云った民主主義諸国を含む世界最大の発展途上諸国からの反発に直面している。」

 フィナンシャル・タイムズの様な他の西側大手メディアはこの現実を前にして、「今世紀でウクライナ戦争程、西側諸国と『残り』の考え方の違いを浮き彫りにした出来事は無かった」と、グローバル・サウスをあからさまに見下す様な差別的な社説を掲載した。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
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