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NATOのユーゴスラヴィア爆撃:米国主導のバルカン諸国への違法攻撃が欧州の歴史の流れをどう変えたか(抜粋と補足)

「1999 年にセルビアで起こったことを学ばない限り、ウクライナの現在の出来事を理解することは不可能だ」と云う文章から始まるネボイサ・マリック氏の論説をちょこっと補足しつつ、一部を紹介してみる。

 確かにウクライナ情勢について西側諸国が吐いている嘘と、1990年代にユーゴスラヴィア紛争について吐いていた嘘はよく似ている。前例を知っていれば、似た様な嘘が出て来た時に「ああ、またか」と思い至ることが出来る。ハイブリッド戦争の現実を理解するには、情報操作の前例に学ぶことが何より重要なのだが、困ったことに西側の左派を含めた市民の殆どは、ユーゴ紛争について聞かされて来たことが1から10まで嘘だったと云うことを理解していない。「人道犯罪を止める為には爆撃が必要だった」と云う主張は「イラクの大量破壊兵器の脅威を排除する為にイラクを侵略せねばならない」と云う主張と同じ位馬鹿馬鹿しい大嘘だが、嘘に気が付いていない人は前例に学び様が無いから、同じ様な嘘に何度でも平気で騙される(そして真相を指摘する人に対しては「陰謀論」がどーたらと云うマントラを繰り返し始める)。

 今ロシアを非難しているNATO加盟諸国やその同盟諸国の市民の皆さんは、他国をとやかく言う前に、自分達の国の政府が何をやって来たのかをきちんと学びましょうと云う話である。

 因みにNATOがユーゴを爆撃した理由とロシアがウクライナでの特別軍事作戦を開始した理由は同じく「人道危機」を止める為の「人道的介入」だが、前者が捏造されたものであったのに対して後者は本物だ(確認されているだけでも、8年間で14,000人が殺害されている)。そしてNATOは腐敗した犯罪者集団のコソボ解放軍(KLA)を支援してセルビア政府の抗議にも関わらず勝手にコソボ独立を宣言させたが、クリミアやドンバスの共和諸国がウクライナからの離脱について自発的に平和的に住民投票を行うと、今度は自らの行いを完全に棚に上げてインチキだと騒ぎ立て、住民達の主権よりも自分達が支援する腐敗した犯罪者集団である、2014年以降ウクライナを実効支配しているクーデター勢力の「主権」が優先されねばならないと主張している。西側の偽善は或る意味非常に一貫しているとも言える。
NATO's bombing of Yugoslavia: How the illegal US-led attack on the Balkan state changed the course of European history




 NATOは「アルバニア人に対してセルビア人が民族浄化を行なっている」と云う「人道危機」を捏造し(実際にはセルビア人の方が西側が支援するイスラム過激派の民族浄化や犯罪集団「コソボ解放軍(KLA)」によるテロの対象になっていた)、「保護する責任(R2P)」なる完全に偽善的な概念を発明して「人道的介入」を行い、1999/03/24から78日間の無差別爆撃を行なった。これによりユーゴスラヴィア軍の兵舎と基地のみならず、道路、橋、発電所、列車、病院、家屋、市場、更には難民の車列や公共TVスタジオまで攻撃され、保護対象だった筈のアルバニア人も大勢殺害された。中国大使館に対する「誤爆」を、今でも中国人は許していない。

 これは他民族が平和に共生していた共産主義国ユーゴを地政学的野心から悪意を持って解体する為の紛れも無く邪悪な侵略行為であり、以下に違反する違法行為だ。

 ・国連憲章第2条:武力による威嚇または武力の行使の禁止。

 ・同第53条:如何なる強制行動も安保理の許可が必要。NATOの行動はセルビアとユーゴの領土保全を保証した安全保障理事会決議1244に違反している。

 ・同第103条:国際協定に基く義務より国連憲章に基く義務が優先する。

 ・NATO憲章第1条:武力による威嚇または武力の行使の禁止。

 ・同第7条:国連憲章と国連安保理の優先。

 ・1975年のヘルシンキ宣言:武力不行使、領土保全、紛争の平和的解決etc。

 ・1980年の条約法に関するウィーン条約:国際法全般。「合意は守られねばならない。」

 NATOが設立した「独立委員会」なるものは、この所業を「違法だが正当である」と云う手前勝手な結論を下した。
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川流桃桜

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