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ウクライナ難民の同化にウクライナが反対しているのは極めて偽善的だ(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2024/04/12、ウクライナのドミトリー・クレバ外相は、国外に逃れたウクライナ人達が受け入れ先の国に同化しないことを望むと発言したが、これはキエフの自国内のロシア人少数派に対する扱いを考えると、あからさまな二重基準だ。
Ukraine’s Opposition To The Assimilation Of Its Refugees Is Extremely Hypocritical



 ウクライナのメディアに拠ると、紛争開始以降、約500万人がウクライナから国外へ逃れたが、その殆どはドイツとポーランドで暮らしており、これらの移民の内最大230万人が二度と帰国しない可能性が有る。

 2024/04/12、ウクライナのドミトリー・クレバ外相はキエフで行われたフォーラムでこの状況について警告し、国外に居住するウクライナ避難民が余りに早く受け入れ国に同化していることについて懸念を表明し、彼等が同化しないようにすることが現在のウクライナ外交の最優先課題のひとつとなっていると述べた。そして国外に居住するウクライナ人が「ウクライナ人であり続ける」よう協力すべきだと主張した。

 彼ははっきりと言っている訳ではないが、これら国外に逃れた数百万のウクライナ人達が最終的には祖国に戻って来ることを望んでいることが行間から読み取れる。

 一方、キエフを拠点とする経済学者アレクセイ・クシュチはインタビューで、紛争終結後のウクライナの人口は2,500万人になるだろうと語っている。これには1,000万人の高齢者、500万人の子供、社会保障を受けている200〜300万人の障害者と退役軍人が含まれるが、経済の中核を占めることになる働く大人は約700~800万人しか居ない。

 そしてまた04/11に新たに採択された動員法案に休暇を与える条項が盛り込まれなかったことを受けて、兵士達は「裏切られた」と感じていると報じられたが、アレクサンドル・ドゥビンスキー議員はこの決定はキエフにとって「後戻り出来ない点」であり、国民と政府との間に楔を打ち込むものだと警告した。

 つまりウクライナは戦争を進める以前に国家として成立するのが危ぶまれる程人口減少危機に見舞われている訳だが、この状況に於てクレバは、受け入れ国に同化していないウクライナ避難民達が西洋から歓迎されていないと感じてウクライナに帰国して戦場で挽肉になり、且つ紛争後は国を再建してくれると云う、ひたすら政権にとって都合の良い展開を期待しているのだ。

 だが、キエフ自体の少数派に対する扱いを思い出すなら、彼の言い分は極めて偽善的だ。

 以前の分析でも指摘しておいたが、2023/11/09、キエフの欧州統合担当副首相オルガ・ステファニシナは、ウクライナにはロシア人の少数民族は存在しないと述べ、11/20にはウクライナ議会のルスラン・ステファンチュク議長が、ウクライナは国内のロシア人を少数民族として認めたり、それに相当する権利を与えるつもりは無いと明言している。

 つまりクレバ外相が、ウクライナ避難民が受け入れ社会に同化せずウクライナの文化を守り続けるべきだと主張する一方で、議会議長はウクライナ国内にロシア人の少数派が存在すること自体を否定し、彼等の権利を剝奪している。キエフは自国内でロシア人がロシアの文化や言語を守り続けることを許していないのだ。

 これらはあからさまな二重基準だが、西洋の主流メディアはキエフのファシスト政策については隠蔽を続けているので、彼等がこの問題を論じることは無いだろう。

 難民や移民が自分達のアイデンティティを維持することや、国家が同化や統合政策を推進すること自体には何の問題も無い。だがキエフが採用している二重基準は、そこにイデオロギー的動機が隠されていることを暴露している。
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米国の40の大学にガザ抗議行動が広まる(抄訳)

2024/04/27のヌリ・ヴィタチ氏の解説動画の抄訳。多少補足した。普通の米国人は基本的に戦争を望まないものだが、アメリカ帝国の戦争中毒は一貫していて途切れたり逆転したりすることが無い。
US university protest camps spread to 40 campuses




 2024/04/25にガザの病院で400以上の遺体が埋められた集団墓地が発見されたことを受けて、米国の40の大学で抗議行動が広まった

 警官隊はこれらのデモを弾圧し、催涙弾や空気銃も使用して、500人以上を逮捕した(比較の為に言うと、2019年の香港のデモはこれより遙かに暴力的だったが、最初の週に香港警察が逮捕したのは僅か約30人だった)。警官達が理不尽な暴力を揮う場面も数多く動画に収められており、弾圧は学生だけでなく教授陣にも及んでいる。
US riot police clash with pro-Palestine protesters on college campuses


 抗議者達は米国政府が虐殺を続けるイスラエルに資金と兵器を供給し続けていることに激怒している。
 
 最初に抗議が始まったのはコロンビア大学だが、警官隊はこれを解散させることにまだ成功していない。共和党のマイク・ジョンソン下院議員はここを訪れて「教室に戻って馬鹿げたことを止めろと言いたい。我々は言論の自由を尊重します。我々は意見の多様性を尊重します。ですがそれは合法的にやらなければいけません。こんなやり方はいけない」と、まるでデモは合法的な言論の自由の行使には当たらないかの様な発言を行った。中国やロシアが抗議行動を取り締まるのは(仮令その抗議行動が暴力的なものだったり外国から支援されたものであったとしても)「弾圧」だが、「我々」がそれをやれば、秩序を守る為の正当な行為だと云う訳だ。
Arrests as police clash with students demonstrating at US universities against war in Gaza


 バイデンはイスラエルに新たに950億ドル相当の軍事援助パッケージを約束したが、これは国内問題に取り組む為に使うことも出来たであろう金だ。イスラエルを支援し続ける米国の指導層と、それに対して不満を持つ国民との間には、深い分断が広がりつつある。

ポーランドに配備されたパトリオット防空システムがウクライナ西部を守る為に使用されたら驚きだ(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。多少補足した。2024/04/14、ウクライナのクレバ外相はポーランドのパトリオット防空システムがウクライナ西部の防衛に使用される可能性について仄めかしたが、英米枢軸が事態のエスカレーションを望んでいないので、このシナリオは実現しないだろう。
It Would Be Surprising If Polish Patriot Systems Were Used To Protect Western Ukraine



 2024/04/14、ウクライナのクレバ外相はポーランドのパトリオット防空システムがウクライナ西部の防衛に使用されるかどうか質問された際、「あらゆることが有り得ます(Everything is possible)」と主張した。

 この前の04/12にはフィナンシャル・タイムズが、ウクライナがロシア軍の攻撃によってエネルギー網が破壊されたことを受けて、ポーランド、スペイン、ルーマニアにパトリオット防空システムを要求していると報じている(EUは100以上のパトリオット防空システムを保有しており、これまでに米国、ドイツ、オランダが数台をウクライナに引き渡している)。

 だが英米枢軸はウクライナのこの要求を跳ね除けている。04/15にはキャメロン英外相が、イスラエルがイランのドローンやミサイルを撃墜するのには協力するのに、ウクライナがロシアのドローンやミサイルを撃墜するのには協力しない理由をこう説明している。

 「あなたの提案の難しいところは、より広範なヨーロッパの戦争と云う観点から、事態のエスカレーションを避けたいかどうかと云うことだと思います。避けなければならないことのひとつは、NATO軍がロシア軍と直接交戦することだと思います。それはエスカレーションの危険性が有ります。」

 同じく04/15にホワイトハウスのカービー報道官も同様のことを述べている。

 「いいですか、異なる紛争、異なる空域、異なる脅威の状況。 (バイデン大統領は)初めから、米国は戦闘的な役割でその紛争に関与するつもりは無いことを明確にして来ました。」

 ポーランドがウクライナ上空でロシアの飛翔体を一方的に撃墜してしまったり、或いはウクライナの一部上空に「飛行禁止空域」を設定して危機を引き起こしたりした場合、英米がポーランドを見捨てるとは考え難いが、両国とも明らかに、ポーランドがそうすることは望んでいない。それは事態のエスカレーションに繋がるし、幸運にも第3次世界大戦が勃発しなかった場合でも、少なくとも西洋の金融市場を不安定化させるかも知れないし、それによって米国は景気後退に陥るかも知れない。そうなると既にこの代理戦争にうんざりしている米国民のバイデンや民主党に対する反発が強まり、バイデン再選の見込みは更に遠のくことになる。イスラエルに対するイランの報復攻撃はエスカレーションを避ける為に事前に調整されていた可能性が有るが、そうした動機も同じ計算に基付いている。

 だがイスラエル同様、ポーランドも米国から譲歩を引き出す為に、大規模紛争を引き起こすリスクを敢えて冒すかも知れない。但しイスラエルは依然として主権を有しているが、ポーランドは今やドイツの傀儡に過ぎない。

 従って、ポーランドのパトリオット防空システムがウクライナ西部を守る為に使用される可能性は極めて低い。そんなことが実現したら驚きだ。クレバもそれは承知しているが、国内の士気の更なる低下を防ぎつつ西洋に圧力を掛ける試みとして、その可能性についてはわざと曖昧な表現で濁している。

 とは言え、このシナリオが全く有り得ないと云う訳ではない。ロシアが接触線を突破した場合、米国はそれに応じて事態をエスカレートさせることを決定するかも知れず、制空権を掌握した後でポーランドを介入させる、と云う可能性も排除は出来ない。

 しかし現状ではこのシナリオが実現する可能性は非常に低い。ポーランドが英米枢軸の意向を無視して独断で介入する可能性は更に低い。

 そうした理由から、クレバの提案は恐らく無駄に終わるだろう。唯一の可能性は、ロシアの接触線突破に対して米国が無謀な決断をした場合だけだ。

世論調査で国外への永住を希望するロシア人の数が記録的な低さに(要点)

2024/04/12のサイモン・サラジャン氏の記事の要点。多少補足した。レバダ・センターが2024/03/21〜27に実施した全国世論調査の結果。
Polls Show Record Low Number of Russians Willing to Permanently Move Abroad


 CIAのフロント組織であるNEDから資金提供を受けているモスクワに拠点を置く世論調査機関、レバダ・センターが2024/03/21〜27に実施した全国世論調査に拠ると、他国に永住する為にロシアを離れたいと考えているロシア人の割合は1990年の調査開始以来最低に達した。


 「プーチンのウクライナ侵攻を嫌ってロシアから脱出したがるロシア人が増えている」と西洋市民は思っているかも知れないが、現実は真逆で、外国に永住したがるロシア人は2022年3月の時点で10%に過ぎず、その後11%に微増したが、9%にまで落ち込んだ。

 逆に外国への移住を望まないロシア人は79%から過去最高の90%にまで増加した。

 これはロシア国営のロシア世論調査センターの結果と略一致しており、そちらでは外国移住を望むロシア人は過去最低の5%、望まない人は過去最高の93%に達している。

 2022〜24年にロシアを離れた人は最大92万人だが、その多くは若く、2023年3月の或る調査では平均32歳だった。但し若いロシア人でもロシアに留まりたい人の方が圧倒的多数派で、レバダの調査では、18〜24歳と25〜39歳のグループでは、移住を望むのは15%だった。

 また、動員されることに対する不安は低く、ロシアを離れる理由としては10位(16%)に過ぎなかった。

 移住を希望する理由の上位3つは以下の通り。

 1)子供達にまともな未来を保証したい:43%
 2)ロシアの政治情勢:36%
 3)ロシアの経済状況:36%

 希望する移住先は、

 1)米国:11%
 2)ドイツ:8%
 3&4)イタリアとトルコ:それぞれ6%

 ロシア人が移住したい上位11ヵ国の内、7ヵ国が西洋諸国だった。つまりロシアを出たがる人は西洋の目先の豊かさに惹かれたか、西洋かぶれした人である可能性が高い。

 但し、移住を希望していると回答した人が移住に向けた具体的な努力をしているかと云うとそうではない。

 ・出国に向けて必要書類を集めて準備している:0%
 ・出国すると固く決意している:0%
 ・移住先を検討している:約3%
 ・時々移住について考える:7%
 ・移住は考えていない:89%

 従って実際にロシアを離れる人は、「ロシアを離れたい」と答えた人の割合よりもかなり少ないものと推測される。

 ロシアを離れる人々に対するロシア人全体の感情は厳しく、彼等をどう思うかと尋ねたところ、

 ・「売国奴」:43%
 ・「賢く、教養が有り、才能の有る人達」:13%
 ・彼等は子供達の未来を保証したい:13%

 「ロシア人に祖国を嫌わせてロシアを弱体化する」と云う西洋のソフトパワー攻撃は全体的に見て成功していない様だ。プーチンと大統領の座を争ったことも有るセルゲイ・グラジエフは、2022年に起こると自らが正確に予測していたこの戦争について、「何よりも先ず人々の意識の支配を巡る戦争です。従って主たる前線は情報と認知の前線です」と説明しているが、アメリカ帝国が築き上げた人類史上最悪のプロパガンダ・システムも、ロシア人の魂を打ち砕くことは出来なかったと見える。

あらら!米軍の戦争兵器の多くで中国の部品が使われているってさ(抄訳)

2024/04/24のヌリ・ヴィタチ氏の解説動画の抄訳。若干補足した。
Oops! Chinese components used in many US war machines




 2024/04/18、米国のマイク・ワルツ下院議員は金属のボルトの入った袋を掲げて怒った。この部品は米国では一袋100ドル程度するが、米空軍はこれに何と平均9万ドルも払っていると云うのだ! 米軍は常識外れの無駄遣いで有名だが、端的にそれを示す一例だ。
Rep Mike Waltz: $90,000 For A Bag Of Bushings!!!!


 米国防総省は2023年は「6年連続で会計監査に不合格」と報じられており、極めて杜撰な会計が行われていることを米国当局自身が認めている。

 中国のSNSではこのニュースに便乗してちゃっかりしたビジネスマンが、「私の店ではこの9万ドルの商品をたった7.89人民元(約1.11米ドル)で販売しております。2つ買えば5%引き!」と宣伝した。

 だがこれは単なる笑い話では済まない。2023/07/17に防衛技術分野の商用データ大手企業Goviniが発表した「2023年国家安全保障スコアカード」に拠ると、「バイオテクノロジーから指向性エネルギーに至るまで、評価されるあらゆる技術分野に亘って、米国連邦政府のプログラムと活動は中国の供給業者に依存している」と評価された。米軍に関しては例えば以下のものが含まれる。

 ・国防総省の兵器システムや関連施設で使用される半導体は40%以上が中国から来ている。

 ・2005〜20年で、米国の防衛産業のサプライチェーンに於ける中国のサプライヤーの数は4倍になった。

 ・2014〜22年で、中国の電子部品に対する米国の依存度は600%増加した。


 「中国経済をデカップリングせよ!」と云う戦略はこっそり撤回されようとしているが、米国は中国と戦争したければ中国から大いに助けて貰わねばならず、米国もまたこの現実を悟っているのだ。1970年代から脱産業化を進めて来た米国には、最早自国の産業だけに頼って戦争を遂行する能力は無い。



 これに関連して、「報道ビフォー&アフター」の事例を幾つか紹介しよう。

 ・FOXニュースは2022年には「(ウクライナ)戦争はここ2〜3週間の内に決着が付くだろう」と報じたが、2024年には「ウクライナ戦争は負けたが、ハリウッドと米国政府はそれを知らない様だ」と報じた。

 ・BBCは2022年には「ロシアは新たな制裁によってどれだけの大打撃を受けるのか?」と報じたが、2024年には「ロシアは他の先進諸国よりも速く経済成長する」と報じた。

 ・ビジネス・インサイダーは2023年に「ロシアは地上部隊の87%、戦車の2/3を失った」と報じたが、2024年には「ロシア軍は侵略前より15%も大きくなっている」と報じた。

 ・フォーブスは2017年に「日本がインドを高速鉄道時代に押し進める一方、中国は遅れを取っている」と報じたが、2024年時点で両国が稼働させた高速鉄道の距離はインドが0mなのに対して、中国は2022年の時点で既に40,000kmを突破している。

 まぁ、世界情勢を知る為にどんなメディアを読もうとそれは個々人の勝手だけれども、西洋大手メディアがロシアや中国について報じる時には、見出しとは正反対のことが真実であったことが後になって判明することがよく有る。

カティンの虐殺に関する新たに機密解除されたクレムリンのアーカイヴの証拠を分析する(抄訳と解説)

2024/04/11に新たに機密解除された文書について、アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。多少補足して解説を加えた。

 「カティンの森虐殺事件」の真相については、私も詳しいことは知らないし、はっきりとした答えを持っている訳でもない。公式見解とは異なる解釈も色々と出ている様ではあるが、私にはソ連のアーカイヴを読み込む様な力は無いので、今だに判断保留状態だ。だがソ連の非道行為や人道犯罪が数多く捏造・誇張・歪曲されて来た膨大な前例が有るし、この記事でも触れている様に「ブチャの虐殺」の様にナチスによる偽旗だった可能性だって無いとは言い切れない。この点に関しては結論を急がず、更に研究が進むまでは心をオープンにしておこうと私自身は思っている。

 今回の機密解除に関しても、恐らく少数派ながら、「やはりナチスの捏造だったのだ!」と云う結論に惹かれている人達も居るし、或いは逆に、「今回新たな機密解除された記録は捏造に決まっている!」と断言する人も居る様だ(但し後者の場合、同じソ連のアーカイヴから出て来た記録であっても、ソ連の有罪を裏付ける証拠は真正のものだと見做す一方で、ソ連の有罪に疑問を投げ掛ける証拠は捏造だと決め付けている訳だから、そう判断する根拠は何なのか、自分の偏見以外に客観的に検証可能な論拠を提示出来るのかどうかが問われなければならないだろう。それが出来ない人ややろうとしない人は当然のことながら、結論ありきで恣意的に二重基準を濫用しているとの誹りを免れない。またよく見られる「ソ連が100%有罪であると云う説に疑問を投げ掛ける様な証拠はでっち上げに決まっている。何故ならソ連は100%有罪に決まっているからである」と云う主張に関しては、初歩的な循環論法なので論じるに値しない)。

 「スターリンについて非難されていることはあれもこれも嘘だった」と云う研究を精力的に進めていて、従って当然のことながら主流派の歴史家達からは黙殺されるか「歴史修正主義者」と罵倒されているグローヴァー・ファーと云う方が居るのだが、彼の一連の主張について、私は「信じて」いる訳ではなく(繰り返す様に私にはこれらの主張を独自に検証する様な能力は無い)、歴史の異なる解釈の可能性を示してくれる興味深い参考意見として読んでいるのだが、彼の解釈に拠れば、ポーランド人の一部は確かにソ連赤軍によって殺害されたものだが、残りは後年ナチスが自分達の犯罪を隠蔽する為に証拠を捏造した。そしてソ連に殺害された者の、少なくともその一部には死刑判決を受けた以下の者達が含まれていた。

 1)1919〜21年にソ連軍捕虜に対する虐待または殺害(或いは絶滅)に関与していた者。
 2)ソ連とポーランドの労働者達に対する犯罪に手を染めたポーランド刑罰機関の職員。
 3)ソ連領内で集団強姦、犯罪的暴行、殺人等の重大な一般犯罪を犯した人々。

 3)に関しては、1985年に証言した元ソ連指導部のラザール・カガノヴィッチは、彼等を文字通り「クソ野郎、強盗、人殺し」云々と罵倒していたそうだ。実際、所謂「スターリンの粛清」の対象となったのは、西洋では全員が政治犯だったかの様な主張が罷り通っているが、多くは刑事犯罪者だったのであり、実際、内戦と諸外国の侵略で荒れた1920〜30年代のソ連の治安は非常に悪かった様だ(治安が悪くなった責任の一端は間違い無く西洋諸国に在るし、日本だってそうだ。ソ連の治安対策を頭ごなしに批判する前に、先ずはその歴史的事実を念頭に置いておくべきだろう)。
 
 つまりソ連赤軍がポーランドで行ったのは、少なくともその一部に関しては(死刑判決を受けたのは3,196人)、政治的な動機に基付く「虐殺」ではなく、死刑判決を受けた者達の死刑執行だった、と云う主張が成り立つ訳であって、一概に理不尽な戦争犯罪だと断じることは出来ない。

 こうした点を無視して「カティンの森虐殺時件に於て、ソ連は100%弁護の余地無く有罪だった」とする解釈は、表面的に見れば日本の南京虐殺否定論の真逆の主張の様に思えるが(有った虐殺を無かったことにするのではなく、無かった虐殺が有ったことにされた)、「ファシスト勢力による戦争犯罪の隠蔽」と云う点に着目すれば、どちらも同じ様なものだと見ることも出来るだろう。ファシスト陣営が偏執狂的なまでに自らの道徳的優越性に拘り、その為になら嘘を吐くことも何とも思わない、寧ろ嘘によって自らの正当性と、敵が道徳的に劣っていることを「証明」する為であれば、事実を否定したり捻じ曲げたり捏造したりすることは寧ろ正しいことであるとさえ信じていることは、現在のウクライナ情勢を巡るNATO陣営の呆れ果てた膨大な嘘の数々を見ても解るだろう。

 勿論、この死刑執行が国際法的に見て完全に合法だったと言えるのか、大量処刑にしても一寸多過ぎるのではないか、死刑にまでする必要が有ったのか、死刑判決を受けていなかった犠牲者達はどうなのか、等の疑問は有り得るだろうが、結論を急ぐ前に、少し立ち止まって全体的なコンテクスを踏まえて再考してみる必要が有るのは確かだろう。西洋には「ソ連やロシアの悪口を言う為だったら事実など知ったことか!」と云う差別主義者も多い様だが(「敵=自分達がいじめる標的が自分達より道徳的に絶対的に劣っていると信じていなければ死んじゃう病」を患った人達)、節度と良識を備えた真っ当な人間だったら、相手に応じて判断基準を恣意的に変える様な真似はせず、自分の偏見や思い込みよりも事実を優先し、論理的に思考するものだろう。

 また改めて言うまでも無いことだろうが、仮に2万人以上のポーランド軍人等を殺害した責任を全てソ連が負うべきだったとしても、その種の情報に接する度に鬼の首を取った様に大はしゃぎする西洋の面々は、自分達自称自由民主主義陣営の多くがソ連とは桁の違う殺戮(しかもその多くは非武装の民間人を含む)を繰り返して来たことを、少しは思い出してみるべきだろう(日本人だったら米国が日本の諸都市に対する無差別爆撃や原爆投下について賠償どころか謝罪すらしていないことを真っ先に思い出して然るべきだろう)。

 またもう一点指摘しておくと、事件そのものとは別の話として、「プーチンはスターリンを崇拝している」とか「プーチンはソ連の復活を目論んでいる」と云う主張は現実から全く乖離した荒唐無稽なものだが、これはカティンの森虐殺事件の取り扱いひとつを見てもはっきり嘘だと判る。旧冷戦末期以降のソ連/ロシア指導部は「ソ連の人道犯罪」について一貫して厳しい態度を取って来たのであり、元々親西洋であり、スターリンやソ連を繰り返し非難するプーチンやメドベージェフの歴史観は、その点で極めて西洋にとって都合の良いものだったと言える。プーチンは2015年にグラーグを記念する博物館まで建てさせているが、彼は自国の過去の罪業と向き合う上で極めて真摯な姿勢を貫いていることがここからも判る(米国が、アメリカ原住民を略絶滅させたことを記念する博物館を建てることなど想像出来るだろうか?)。ところが西洋はこれすらも「反省の仕方が足りない」と言ってプーチンを非難する材料に変えている。

 これらの「ソ連の過去の罪業を反省する」動きを主導して来たのは「メモリアル」と云う人権団体/運動だが、旧冷戦後のロシアでノーベル平和賞を受賞した5つの個人・団体は全て、何等かの形でこの団体・運動に関与している(メモリアル自体も2022年に受賞している)。これはロシア当局から正式に「外国のエージェント」に指定されており、2021年には外国代理人法違反の容疑でメモリアル人権センターが閉鎖されている。西洋の諜報部は旧冷戦末期からその後に掛けて旧ソ連諸国に雨後の筍の様に「NGO」を設立し、旧共産主義社会をソフトバワーを使って改造しようとして来たので、恐らくこの「メモリアル」もその流れの中に位置付けるべきだろう。

 ここから先は純然たる推測でしかないが、その場合、メモリアルの使命は「今まで隠蔽・抑圧・改竄されて来た旧ソ連の罪業を明るみに出す」ことではなくて、ソ連が如何に非人道的な国だったかを「証明」することで、収奪的な西洋のシステムに組み込まれることこそが歴史の必然であり、それ以外の選択肢は有り得ない、と旧ソ連諸国の市民達に信じさせることだったろう。そしてその際、歴史的「証拠」は歪曲・誇張、或いは捏造された可能性も考えられる。これは前例の無いことではないし、共産主義諸国だってやっている。殆どクーデターの様な形で権力を掌握した日和見主義者のフルシチョフは、自らの統治の正当性を高める為に前任者のスターリンを誹謗中傷したし、中国の鄧小平も、自身の新自由主義的な改革を正当化する為に毛沢東の人民公社(コミューン)制度を全否定したが、その際少なからず事実の歪曲・誇張・捏造を行ったのではないかと信じるべき証拠が多数存在する。腐敗が蔓延したゴルバチョフの「解放」政策時代以降のソ連/ロシアに於ても、事実の歪曲や隠蔽や捏造は容易だったろう。

 ロシアの政治家と雖も、所謂「専門家」の権威には弱いことは、例えばCOVID-19詐欺を見ても判る。ソ連/ロシアの指導部はこれらの「証拠」の信憑性や妥当性について、自分達で疑問を差し挟むこと無しに、「歴史の反省」をしたのかも知れない。そうではないかも知れない。まだ明らかにされていない事実が有るのかも知れない。だがそれは時の経過と共に少しずつ明らかになって行くだろう。私はこの点で楽観的に考えているが、はっきりした結論を下すのはまだ早いのではないかと考えている。

 前置きが少々長くなってしまったが、以下本文。
Analyzing The Kremlin’s Newly Declassified Archival Evidence About The Katyn Massacre



新たな機密解除

 2024/04/11、ロシア連邦保安庁は、1944年から1945年にかけてソ連軍の対諜報機関スメルシュ(「スパイに死を」。007シリーズ原作の悪役としてお馴染み)が入手したカティンの森虐殺に関するアーカイヴ文書を機密解除した。
Katyn Massacre Case: Epilogue


 これは2023/09/11にヴャチェスラフ・ヴォロディン下院議長が、この犯罪に関するアーカイヴに必要な情報を要求する為に、全ての政治派閥の代表者とロシア軍事歴史協会の会員をこのグループに含めることを提案したことを受けて9ヵ月後に実現した。

 「我々は自分達の歴史を尊重しており、幾つか間違いが有った場合には、それを客観的に評価しようと努めています。そして、若しこの客観性が存在しないと判ったなら、我々はこれに立ち返り、再考し、結論を出す必要が有ります。」



ロシアの公式の立場

 新たに判明した事実を分析する前に、この問題に関するロシアの公式の立場を振り返っておこう。

 1990年、当時のソ連指導者ミハイル・ゴルバチョフは、スターリンが1940年初頭にロシア西部の町カティン郊外の森で数千人のポーランド人兵士達の殺害を命令したことを認め、ポーランド側に有罪を示す文書を手渡した。

 ソ連はこれ以前は、1943年にこれらの集団墓地を初めて発見してソ連を非難したナチスを非難していた。

 1952年の米下院特別委員会の調査報告書は、ソ連が有罪だと結論した。

 ゴルバチョフの決断は「グラスノスチ(情報公開公開)」政策の一環であり、これはゴルバチョフ後のロシアの後継者達にも引き継がれた。彼等は更に多くの文書を公開することで、ポーランドとの和解の遺産を築き上げた。

 その後、約22,000人のポーランド人兵士がソ連全土の様々な場所で殺害されたことが判明したが、この事件は国際的にはカティンの虐殺と呼ばれ続けた。

 更なる調査により、カティンは「(スターリンの)粛清」として一般に知られているソ連の政策の犠牲者数千人が埋葬されている場所であることが判明し、この場所はポーランド人とロシア人にとって共通の悲嘆の場所となった(約4,500人のポーランド人が埋葬されたが、埋葬されたソ連人の数はその2倍に上った)。

 2000年半ばに記念碑が建設された。2010/04/10、和解を進める為にここへ向かっていたポーランド大統領専用機が操縦ミスにより墜落し、ポーランド大統領夫妻を含む乗客乗員96人全員が死亡すると云う衝撃的な事件が起こり、この場所は二重の意味で悲劇の象徴となった。


 当時首相だったウラジーミル・プーチンは2010/04/07にポーランドのドナルド・トゥスク首相と会談し、史上初めて、共同で70周年を記念する追悼式典に出席したばかりだった。

 当時プーチンはこの犯罪に於けるスターリンの役割を強く非難し、スターリンが自ら指揮したポーランド・ソ連戦争後、ポーランドの捕虜となって死亡した32,000人以上の赤軍兵士達への復讐としてこの作戦を実行したのではないかと推測した。

 当時のドミトリー・メドベージェフ大統領はこの後更なる文書の公開を承認した。この結果、カティンでのポーランド人虐殺がソ連の最高レヴェルで承認されたことを示す極秘文書が公開され、メドベージェフはこれをポーランド側に引き渡した

 2010/11/26、ロシア議会は「カティンの悲劇とその犠牲者達について」と云う声明を採択した。これは「ポーランド市民の大量絶滅」を非難し、多くのソ連市民も迫害した「全体主義国家の身勝手さ」の所為だと主張した。

 2020/11/27、外務省のマリア・ザハロワ報道官は、この問題については「語り尽くされた」とし、これ以上議論の余地は無いことを認めた。



これまでの公式見解を引っ繰り返す機密解除文書

 ところが、新たに機密解除された文書の内容は、今までの結論に深刻な疑問を呈すものだった。TASS通信の関連する記事を紹介しておく。

 FSB declassifies archival evidence on Nazi executions of Poles, Katyn case
 FSB declassifies testimony on WWII forest massacre of Polish soldiers inside Russia
 FSB declassifies testimony Nazis forged forensic examination in Katyn case
 France, Denmark, Sweden questioned conclusions of Katyn massacre investigation — archive
 Nazi Germany’s Gestapo officers accompanied Katyn commission

 これらの記事の内容を要約するとこうだ。

 1943年3月に西洋諸国の医師と法医学検査官で構成される委員会が現地を訪れ、集団墓地を掘り起こしたが、実質的にチームを率いていたナチス・ドイツの悪名高い法医学者ゲルハルト・ブッツ教授は少なくとも2回証拠を偽造して、遺体が実際より遙かに長期間墓の中に放置されていた(つまりソ連が1940年に殺害した)かの様に見せ掛けた。

 フィンランド、ハンガリー、スペインの代表者達はドイツの出した結論に同意したが、フランス、デンマーク、スウェーデンの代表達は、犯罪が行われたのは確かだが、加害者が誰かまでは特定出来ないとの結論に達した。だが委員会には親ファシスト政党や組織のメンバーが含まれており、参加者達にはソ連有罪説に同意するよう圧力が掛けられた。

 ポーランド人の目撃証言には、「殆どの遺体は一目見ただけで、極く最近の犠牲者であることが分かりました」、「衣服には腐敗の兆候は見られませんでした」、スモレンスクでのポーランド軍兵士や将校達の殺害にソ連が関与していないと発言した人がナチスに射殺された事件が、少なくとも7件有った、等の、ソ連犯行説に疑問を呈する様な内容が幾つも含まれていた。

 また、1943年1月、ドイツ軍がソ連のスモレンスク地方で約1,000人のポーランドの兵士と将校達を射殺し、遺体をカティンの森に埋葬したと云う証言も有るが、これはソ連赤軍がスモレンスクを解放した後、ソ連の特別委員会が独自に行った調査の結果(「1941年、ドイツ占領軍によってポーランド軍人達が射殺された」)と一致している。



考え得る真相

 これらの内容が正確であり、イデオロギー的な動機から歪曲・捏造されたものではないと仮定した場合、ここから導かれる「カティンの森虐殺」の真相は2通りだ。

 a)ソ連が虐殺を行った3年後、ナチス・ドイツも独自の虐殺を実行し、その犯罪を隠蔽する為に証拠を改竄して、全てがソ連の犯行であったかの様に偽装した。

 b)ソ連は無実であって、犯行は100%ナチスによって行われた。


 b)のシナリオが正しかった場合、今まで虐殺はソ連の犯行だったと認めて来たロシアの政府、治安機関、指導部の評判は取り返しの付かない程損なわれることになる。それはゴルバチョフ、エリツィン、プーチン、メドベージェフ政権下のロシア連邦保安庁(FSB)が、虐殺はスターリンが命令したことを示す「証拠」をでっち上げ、議会や元FSB長官やプーチンさえも騙すことに成功した、と言っているに等しいからだ。或いは、ゴルバチョフ、エリツィン、プーチン、メドベージェフ、議会、ロシア外務省、これら全てがポーランドとの関係を改善したいと必死になる余り、捏造された証拠に基付いてこの犯罪の責任はソ連に在ると云う自己中傷的な嘘に足並みを揃えた、と云う可能性も有る。

 騙されただけにせよソフトバワー上の動機に基付く確信犯だったにせよ、これらの陰謀論は説得力が無い。ロシア軍事歴史協会のミハイル・ミャグコフ科学部長は、カティンの虐殺事件はキエフがブチャで行った偽旗作戦に似ていると発言しているが(所謂「ブチャの虐殺」が100%キエフの捏造による偽旗作戦だったことについては既に十分な証拠が出揃っている)、カティン虐殺が100%偽旗だったと信じるのは些か無理が有る。虐殺事件は間違い無くスキャンダルだが、虐殺の捏造もまた同様にスキャンダラスだ。

 従って合理的に考えれば、a)のシナリオの方がより説得力が有る。

 今回の文書がもっと早くに機密解除されなかった理由は、ポーランドとの関係悪化を懸念していたと云うことで説明が付く。若しもっと早くに公開されていたら、ポーランドはロシアがナチスに責任をなすり付けようとしているのではないかと疑い(ロシアは公式に責任を認めていたにも関わらず)、それによって両国の和解は損なわれていたことだろう。

 だが近年改善していた両国関係は、ポーランド側がNATOナチ陣営に与することで損なわれてしまったので、ロシアにはこれ以上両国関係の悪化を懸念する必要が無くなった。従ってヴォロディン下院議長は後世の為に、真相を明らかにすることを決定したのだ。

カティンの森虐殺事件の謎

★2024/04/11に新たに機密解除された文書について、アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。多少補足して解説を加えた。
カティンの虐殺に関する新たに機密解除されたクレムリンのアーカイヴの証拠を分析する(抄訳と解説)

アンドリュー・コリブコ氏の分析では、カリーニングラードをクロレヴィエツと呼び変えると云うポーランドの決定は、この地域のリーダーシップを巡ってドイツと張り合い、且つ、自分達がナショナリスト-保守であることを有権者達にアピールしたい与党「法と正義」の思惑によるものだ。
Poland’s Official Renaming Of Kaliningrad Is Driven By Domestic & Regional Calculations

2023年5月、ポーランド当局がロシアの飛び領地であるカリーニングラードを、この地域が15世紀にポーランドの支配下に在った時の「クロレヴィエツ」と云う名で呼ぶことを法的に義務付けたことを受けて、ロシア側ではこれを狂気の沙汰だと非難。カリーニングラードの名の由来になったソ連の共産党政治家ミハイル・カリーニンは所謂「カティンの虐殺」の責任者と云うことになっているので、自国民を殺されたポーランド人にとってはこの名は侮辱的だ、と云うことらしい。
Polish renaming of Russian city is ‘madness’ – Kremlin

2023/04/27のウォルター・デュブラニカ氏の記事。カティンの森虐殺事件を理解する上で参考になる、第2次世界大戦の全体像を描いている。
覚えておこう、第2次世界大戦でロシアが払った犠牲(と、現代のファシスト共があなたに忘れていて欲しい幾つかの不愉快な事実)

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プーチン再考

ソ連時代のグラーグについては、プーチンは完全に西洋の主流の見解を踏襲している。2017年にスターリン主義の弾圧の犠牲者達を追悼する記念碑「悲しみの壁」が公開された時の演説では、「これらの犯罪には何の正当性も無い」と厳しく非難している。
Putin says nothing can justify political persecution as Russia commemorates Stalin victims

西洋の一般市民の間ではプーチンは強硬派だとか反西洋だとかソ連の復活を目論んでいるとか云うデマが平然と信じられているが、実際にはロシアの指導者達の中では彼は断然穏健派で親西洋派で、ソ連についてはあれこれ批判している。その中のひとつとして、ソ連厳しく批判したソルジェニーツィンを彼は何度も「ロシアの真の愛国者であり、文明的な良い意味でのナショナリスト」として賞賛している。
Russian nationalist and staunch anti-Soviet: The legacy of Solzhenitsyn 50 years after his deportation from the USSR

スコット・リッター氏による二部作の記事。西洋によるプーチンの悪魔化と、それを行っている西洋のプロパガンディスト達(マイケル・マクフォール、アン・アップルバウム、アンドレア・ケンドール=テイラー、フィオナ・ヒル等)が西洋市民の目から隠蔽しようとしている1990年代の「民主主義」ロシアの悍ましい現実について解説している。
On Speaking Plain ‘Putin’: Any Retrospective on the Russian-Ukraine Conflict Begins with a Modicum of Interest in How Moscow Defines the Conflict. Scott Ritter
On Speaking Plain ‘Putin’: Because of Their Grossly Inaccurate Assessments of the Russian President and His Country, “Putin Whisperers” in the West Have Ukrainian Blood on Their Hands. Scott Ritter

2023/12/14の恒例の記者会見で、プーチン大統領は若い頃の自分に助言するなら何と言うかと問われて、「過度な騙され易さ」を警告するだろうと発言した。彼は最初の大統領任期中にワシントンとその同盟諸国をそれ程信頼すべきではなかったと認め、 「世間知らず」だった、寧ろロシア国民に真正面から信頼を置くべきだったと、反省の念を口にした。尤もな反省だと私も思う。彼は最初はNATO加盟を打診したりアフガン戦争に協力したり、或いは世界経済フォーラムのプログラムに参加したりと、何とか西洋の観心を買おうと色々と試みたが、結局西洋のロシア侵略計画を思い止まらせることは出来なかった。恐らくもっと早くに西洋の対決姿勢を示すべきだったと思っているロシア人は多いことだろう。
Putin reveals what he would advise his younger self
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私は西側を甘くみていた―プーチン

西洋の政治指導者達は基本的に外国語はカタコトしか喋れない、が、プーチンはその気になれば流暢に英語で話すことが出来る。
Hear Vladimir Putin speaking English


★1999/12/31からの20年間のプーチンの施政を振り返るコリブコ氏の記事の要点。プーチンは西洋の経済的・政治的侵略を受けていたロシアを主権国家として再確立し、経済と社会と安全保障を立て直し、世界の平和と繁栄の為に様々な貢献をして来た。
プーチンの20年:その国内&外交政策の主たる業績(要点)

2022/12/26〜30に1,600人を対象にして実施された全ロシア世論調査センターの調査に拠ると、ウラジーミル・プーチン大統領に対するロシア市民の信頼度は、過去1週間で0.1ポイント低下して78.4%に。ロシア大統領の仕事に対する支持率は74.3%で変わり無し。自由民主主義ナチ陣営の政治指導者でこれ程高い支持率を得ている者が誰か居るだろうか。
Poll reveals scale of Russian public’s confidence in Putin

ロシアの世論調査では、プーチンを信頼する人は63.5%、ロシア連邦大統領としての彼の仕事を評価している人は58.8%。最近の人気低迷にも関わらず、西側の自称民主主義諸国と比べたら彼の方が余程自国民の支持を得ている。
ейтинги доверия политикам, оценки работы президента и правительства, поддержка политических партий

ソ連崩壊後の90年代、資本主義による侵略を受けたロシア人が被った悲惨は西側市民には想像が難しいが、プーチンはその苦境から人々を救い、グローバリスト達の野望にNOを突き付け、多極化世界に向けて駒を進めた。だからグローバリスト達はプーチンを憎む。
30 Years After Communism Fell, Putin Offers Alternative to Globalism. That's Why Our Ruling Class Hates Him

プーチンが権力を握った経緯については謎なのだが、そのヒントとなるのが機密解除されたクリントン政権時代の米文書。NATOの東方拡大や米帝の介入を支援した7人の銀行家による寡頭体制を率いたベレゾフスキーは、プリマコフ首相との確執の中でプーチンを誤解していた。
Enemy Within: Declassified U.S. Documents Show Russian Oligarchs Supported NATO Expansion

ドイツのDie Zeitに掲載されたプーチン大統領の声明。西側の狂った様なNATO拡大路線をやんわりと非難し、「共通の価値観と利益によって団結した大ヨーロッパを構築する」と云う理想を掲げて公平な協力を呼び掛けている。極めて辛抱強い穏健な態度だと思う。
Vladimir Putin's view on the 80th anniversary of the Nazi invasion of the Soviet Union: Being open, despite the past

プーチン大統領のNBCのインタビュー、全文書き起こし。日本のマスコミのゴミの様なまとめ記事より百倍参考になる。自らが大量の嘘によって作り上げた妄想の世界の中でジタバタしているアメリカ帝国と、冷静に事態の推移を見極めているロシアとの対比が際立つ。
Full transcript of exclusive Putin interview with NBC News' Keir Simmons

バイデンに無礼にも人殺し呼ばわりされた後、プーチンは紳士らしく彼の健康を祈り、ライブでのオンライン公開対談を提案。プーチンの発言を検閲で切り刻めないとしたら、西側大手メディアは発狂するだろう。
Putin offers Biden public talks after U.S. president says he thinks he is a killer

新自由主義諸国のマフィア共は決して認めないだろうけど、プーチンは彼等の誰よりも、1%ではなく99%の側に立って世界を見ることの出来る指導者。彼の「異常」さは、その余りのまともさに在る。
Putin Blasts World Economic Forum “Honchos” at Davos “Gabfest”

★クリス・カンタン氏の記事。2017年の記事だが、今でも通用する内容だ。プーチンが西洋大手メディアから悪魔化されるのは、それが米国の一極覇権秩序(つまり米国が法秩序など気にせず世界中で好き勝手に振る舞って他国に自分の意志を押し付けても許される世界)を脅かしているからだ。
米御用メディアがプーチンを悪魔化せねばならない8つの理由(要点)

西側諸国の権力者達のロシアに対する態度には、常に地政学的な関心が潜んでいる。ここ200年間ずっとそう。実際に弾丸が飛び交っていない時でも、ロシアの為政者は常にハイブリッド戦争による侵略を警戒していなければならない。
WHY THE WEST HATES PUTIN – WHAT YOU’RE NOT BEING TOLD

冷戦後の90年代、西側の経済的・政治的侵略を受けたロシアがどんな惨状に陥ったか、西側諸国では殆どまともに報道されなかった。だがこの流れを理解しなければ、ロシアを建て直したプーチンの凄さは理解出来ない。

WHY THE US-RUSSIA RELATIONSHIP WENT SOUR AFTER THE 1990S
 私がざっくり紹介しただけの記事を、寺島メソッド翻訳NEWSさんのところで全訳を出して下さったので紹介する。日本で出ているプーチン関連本は見渡す限り新冷戦路線の中傷本しか無いので、こうした記事は貴重。
1990年代ロシアの惨状を振り返えってみよう―国民がなぜ西側に不信感を持ち、プーチンを支持するかがわかる

プーチンを非難するのは簡単だが、西側市民の多くは冷戦後のロシアが西側諸国からどんな仕打ちを受けたかを知らない。無能で邪悪な共産主義者達が勝手に自滅したとか思っている。この状態から国を建て直し、立派に運営しているプーチンの手腕は並々ならぬものだ。
AMERICA HAS LOST ITS PROXY WAR IN UKRAINE

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 東欧・南欧の人口動態危機(経済的ジェノサイド)

ソ連とソ連解体再考

ソ連は世界で最も多くの本を発行していた国としてそのスジでは有名だが、1968〜91年にアラビア語、英語、フランス語で発行された季刊誌『ロータス』は、グローバル・サウス諸国の進歩的な執筆陣の声を世界中の数千万の人々に届け、反戦運動にも大きな影響を与えた。RTのこの記事はこの雑誌が廃刊されてしまったことを慨嘆し、「文章の力が有れば、イスラエルが現在行っているガザ戦争で何千もの命を救えたのではないかと思わずにはいられない」と書いている。
Lotus awakening: How a Soviet magazine could give a new voice to Palestinians

スコット・リッター氏による二部作の記事。西洋によるプーチンの悪魔化と、それを行っている西洋のプロパガンディスト達(マイケル・マクフォール、アン・アップルバウム、アンドレア・ケンドール=テイラー、フィオナ・ヒル等)が西洋市民の目から隠蔽しようとしている1990年代の「民主主義」ロシアの悍ましい現実について解説している。
On Speaking Plain ‘Putin’: Any Retrospective on the Russian-Ukraine Conflict Begins with a Modicum of Interest in How Moscow Defines the Conflict. Scott Ritter
On Speaking Plain ‘Putin’: Because of Their Grossly Inaccurate Assessments of the Russian President and His Country, “Putin Whisperers” in the West Have Ukrainian Blood on Their Hands. Scott Ritter

1993年、資本主義化を進めて国の経済をズタボロにしたエリツィン政権に反対するロシア人達の光景。エリツィンはゴルバチョフと並んで、ロシア人からは最も人気の無い政治指導者だが、この2人は国民の圧倒的多数の意見(1991年の国民投票では76%がソ連の存続を望んだ)を退けてソ連を解体した。
1993: Russians defending the Soviet Union


★TASS通信の記事の抄訳。西洋はプーチンを悪魔化して有ること無いこと好き放題に言い触らしているが、プーチン登場前のロシアがどうだったのかを知れば、何故彼等がプーチンをそれ程毛嫌いしているかの一端を知ることが出来る。要するにソ連崩壊後の飲んだくれエリツィン政権下のロシアは実質的に米国の属国だったのであり、西洋はロシアを、プーチン登場前の状態に戻したがっているのだ。ここでは、プーチン大統領自身の言葉で当時の状況が語られている(ロシアにとって恥でしかないことについて、彼がわざわざ嘘を言う理由は無い)。
1990年代半ばには、CIA職員がロシア政府内で働いていた———プーチン(抄訳)

マイケル・パレンティ氏の1996年頃の講演。ソ連が打倒(「解体」ではない)され自由市場へと開かれたことは、社会主義の恩恵に与っていた人々にとって災厄でしかなかったことを解説している。或るジョークが有る。「資本主義は共産主義には70年掛かっても不可能だったことを、たった1年で成し遂げた。答:共産主義をよく見せること。」日本では数十年掛かったが、東欧ではたった1年でそれ以上の経済崩壊が起こった。
Michael Parenti - Reflections on the Overthrow of Communism


★2016/11/18〜21に、ロシア48の地域の137箇所で18歳以上の1,600人を対象に行われた世論調査の結果から、幾つかポイントを整理してみた。データは過去の分も記載されているが、取り敢えず最新のものを参考にした。西側大手メディアが描き出すステレオタイプに収まらない、微妙な力学が交錯する現状が窺える。
ソヴィエト連邦の崩壊について(世論調査の要点)

マシュー・エレット氏の論説。他の国でもそうだが、ロシアでは冷戦以降、売国奴と工作員が大手を振って国を乗っ取って来た。こう云う輩は国から出て行ってくれた方が寧ろ国全体にとっては良い。主権が無い状態は、右だの左だの言う以前の問題だ。属国の地位から脱出しようとすると当然帝国からハイブリッド戦争を仕掛けられるが、それに勝利しなければ自分達の足で立つことは出来ない。ロシアはプーチンの指揮の下でそれに成功した。
Russia: A New Purge of Fifth Columnists Approaches
ロシアにいる米国シンパ(第5列)といかに闘うか。

★1990年代にロシアがどんな目に遭ったかについてのエッセイを訳してみた。今ロシアがやらかしていることに怒っている人達は高確率で、この30年間西側諸国がロシアに対してやらかして来た恥知らずな所業について殆ど知らないのではないかと思う。
マクシム・アルテミエフ:西側は1990年代にロシアの弱さに付け込んだが、それが引き起こしたトラウマを理解することが出来ていない

ソ連とワルシャワ条約機構が消滅し冷戦が表向き終了すると、存在理由を失った筈のNATOは解体するどころか寧ろグローバル化と言っても良い拡大を続けた。ロシアを騙してこの路線を進めたのがクリントン政権。ビルは現在の米帝のナルシシズム的覇権に直接的責任が有る。
How the Clinton Admin Started a Cold War With a Pro-Western Russia

機密解除された文書は、NTO東方拡大問題についてクリントンがエリツィンを騙していたことを更に裏付けている。この件は証拠が豊富なので陰謀論ではなく現代史の事実。「軍事的脅迫を行って来たのは我々であって彼等ではない」と認識出来る西側市民はどれだけ居るのか
Declassified documents show how US lied to Russia about NATO in 1990s

ロシアの世論調査に拠れば、ソ連時代で人気の有る人物は上からガガーリン、ジューコフ、スターリン。人気が無いのはゴルバチョフ、ベリア、フルシチョフ、スターリン。若い世代程スターリンやレーニンに対する否定的な感情が強い様だ。
Память об СССР: Гагарин против Горбачева

ポール・ロビンソン教授の見解。ソ連解体は共和諸国が望んだことではなく、ロシアからのトップダウンによって行われた。これは新自由主義的「ショック療法」によるロシアの経済破壊を強行する為、その障害の排除を目論んだエリツィン=ガイダルの陰謀だった。
The plot to kill off the Soviet Union

実は本家よりも大規模だったソ連版オリンピック、「スパルタキアーダ」(叛乱奴隷スパルタクスに因む)。ソ連は1952年まで五輪には出場出来なかったが、「西側こそが国際社会」と思い込んでいると、東側には全く違う光景が広がっていた現実を理解出来なくなる。
ソ連版オリンピックは本家を凌いでいた

ロシア議会元議長ルスラン・ハズブラトフは、エリツィンは大統領在任中100名以上のCIAエージェントに取り囲まれており、決定は彼等が下していたと発言。「多くのロシア人は彼が西側の資本家共に国を売った酔っ払いだと信じている」とはRTの評だが、的確。
Boris Yeltsin had entourage of ‘hundreds’ of CIA agents who instructed him how to run Russia, claims former parliamentary speaker

ヴルチェク氏の記事。ソ連についての評価を難しくしているのは、西側が大量にバラ撒いた反共プロパガンダによる歴史の歪曲だ。私にはとてもその全容を検証分析するだけの知識は無いが、昨今の反共洗脳の酷さを前にして、これは過去ではなく現在の喫緊の問題なのだと思う。
Some Italian Thinkers Are Now Resisting Lies About The Soviet Union And WWII

旧ソ連に生まれチェコで育ったヴルチェク氏の回想。旧共産圏の若者達は西側の反共プロパガンダに洗脳され、祖国を嫌悪していた。自分達が騙されていたことに気付いた時には、祖国はふたつとも破壊されていた。香港の若者達は同じ過ちを繰り返してはならない。
How We Sold Soviet Union And Czechoslovakia For Plastic Shopping Bags

ウィリアム・ブルムの『アメリカ侵略全史』よりの抜粋。西側帝国主義勢力はソ連誕生当時から軍事的侵攻を試みたが、反共プロパガンダによる情報攻撃は苛烈を極めた。架空の敵を作り出すことによって可能となった西側の軍拡は、人々の無知と相俟って大成功を収めた。
A Brief History of the Cold War and Anti-communism

エドワード・ハーマン氏の記事。NYタイムズ等の米主流メディアがロシア等の公敵に関してフェイクニュースを流す伝統は、遅くとも1917年まで遡る。「ボルシェビキ政権は間も無く崩壊する」とタイムズは3年間で91回以上予測した。今はプーチンが嘘によって攻撃されている。
Fake News on Russia and Other Official Enemies

反共プロパガンダ全般の嘘について、大変為になる参考文献リスト。
r/communism

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 東欧・南欧の人口動態危機(経済的ジェノサイド)
 叩き売られるウクライナ
 ウクライナの歴史

スターリン再考

★サイード(エドワード・サイード氏でのことではない、Saed)氏の2018年の記事の2023/08/10のアップデート版で、「独裁者スターリン」のイメージに真っ向から異を唱える記事を紹介する。
スターリンとプロレタリアート達の、民主主義の為の闘い(と少しのエッセイ)

Ludo Martens著"Another View of Stalin"に拠ると、最初にスターリニズムとファシズムを同列に置いたのはトロツキー。だが彼はボリシェヴィキ政権を打倒する為、ヒトラーをけしかけ、赤軍によるクーデターを計画していた。ソースが弱い記事ではあるが驚き。
Trotsky’s Support for Fascism (1938)

世論調査会社レバダ・センターの2017年の調査では、「最も傑出した著名人」のトップはスターリン(38%)だった。2位はプーシキンとプーチン(34%)。以下はレーニン(32%)、ピョートル大帝(29%)。上位20までには非ロシア人は3人しか含まれておらず、ナポレオン、アインシュタン、ニュートンだけ。
Stalin Named World's 'Most Remarkable' Public Figure — Poll

世論調査会社レバダ・センターの2019年の調査に拠ると、ロシア人の70%が、スターリンがロシアにとって積極的な役割を果たしたと回答している。これはスターリンの支持率の過去最高記録の2016年の54%と云う数字を塗り替えた。スターリンを否定的に見ている人は32%から19%に減少。スターリンを嫌う、恐れる、または憎むと答えた人は合計13%に過ぎず、スターリンの犯罪は不当だと答えたロシア人は、2008年の60%から45%にまで減少した。スターリンの評価は、2000年代は肯定的意見と否定的意見が同程度だったが、2008〜2014年にはより中立的な意見が増え、否定的・中立的な見方は2015年から低下。「血塗られた独裁者」から「傑出した指導者」へと評価が変わりつつある。
Stalin’s Approval Rating Among Russians Hits Record High – Poll

★グラーグ制度について、「フィンランドのボリシェヴィキ」氏の解説動画の要点。
グラーグについての議論(要点)

★スターリンの死を巡る謎と、その後のフルシチョフの権力掌握劇の真相についての一仮説。
フルシチョフのクーデター(スターリンの死とフルシチョフの権力掌握)

スターリンのボディーガードだったアレクシス・リュビンの証言集からの抜粋。笑い話や心温まる話も多いのに、何故か不安気が音楽が流されている。
Stalin's Bodyguard Talks About Stalin


「スターリンを排除せよ」と云うレーニンの「遺言」が疑わしいとする解説動画。当時レーニンは口述すら可能かどうか判らない状態で、口述内容の正確な内容は何度も変わっている上、ソ連のアーカイヴには、通常の口述記録であれば手書きなのに、この「遺言」についてはタイプ原稿しか残っていない。そしてスターリンが言われる様な「ソシオパス」かどうか、20年来の付き合いでよく知っていた筈のカーメネフはこの件でスターリンを支持した。スターリンが権力に飢えているだけの人物だったら、舞台裏では共産主義の仮面など脱ぎ捨てる筈だが、オフレコでも彼は共産主義のことばかり語っている。つまり、スターリンは見せ掛けではなく心底から共産主義者だった。
Stephen Kotkin: Stalin's rise to Power & Faked "Testament of Lenin"

 文章による解説はこちら。「『レーニンの遺言』の偽造」。この偽造は文書はブハーリンによってクラーク階級を救う為に利用され、フルシチョフによってスターリンのテーゼを批判する為に利用され、ゴルバチョフによって社会主義に対する人々の希望を打ち砕く為に利用された。
The Forgery of the 'Lenin Testament'

★第二次世界大戦前のソ連外交について2冊の著書の有るマイケル・ジャバラ・カーリー教授のインタビュー。ナチスドイツの拡大政策(世界征服計画と言っても良い)を止める意志と能力が有った国はソ連だけだった。
集団安全保障について: マイケル・ジャバラ・カーリー氏へのインタビュー(要点と補足)

ソ連のアーカイヴに当たってスターリンに関する様々な神話をソ連側の視点から検証した Stalin's Wars と云う本を書いた歴史家のジェフリー・ロバーツ氏のインタビュー。スターリンはナチスドイツを倒す上で戦時指導者として極めて有能であり、平時に於ける政治指導者としても高い見識を持っており、本物の知識人だった。
Stalin's Wars: From World War to Cold War, 1939-1953 with Author Geoffrey Roberts



「スターリンに浴びせられた非難は全て嘘だ」と云う大胆な主張をする数々の本を発表しているグローバー・ファー氏の2017年の講演。どうも彼は弁の立つ人とは言い難いが、彼の主張の大枠は大体知ることが出来る。新たな証拠や知見に基付く歴史の「修正」(改竄と云う意味ではなく)については私は余り首を突っ込みたくないテーマなのだが、プーチン悪魔化キャンペーンを筆頭として日々白昼堂々と偽の物語が紡がれて行っている現状を目の当たりにすると、過去の歴史についても何処までが真実で何処までが嘘なのか、改めて疑問を抱かずにはいられない。私は特に反共プロパガンダの問題は思っていたより深刻かも知れないと数年前から考えているので、なるべく心を様々な仮説に対してオープンな状態に保っておきたいと思う。
Grover Furr on the revolutionary role of the Soviet Union


★現在スターリンの悪虐非道についての権威とされているティモシー・スナイダーは信頼出来るのか?
ティモシー・スナイダーは信頼出来るのか?

ソ連について数多くの著書の有るジェフリー・ロバーツ教授による、祖国と世界をナチズムの脅威から救った比類無き戦争指導者としてのスターリンの解説。スターリンについては当時の状況を全く無視して好き勝手に言われていることが多過ぎるので、歴史的文脈を理解することが何より重要だ。
Stalin's Wars: From World War to Cold War, 1939-1953 with Author Geoffrey Roberts


ショスタコーヴィチを反共主義として描こうとする潮流に対する反論記事。彼はスターリン的官僚主義には反対したが、10月革命の理想そのものは信じていた、とするものだが、2006年の記事なので近年の研究の成果は取り込まれておらず、スターリンに対する記述にはかなりの嘘が含まれていると思う。私もショスタコーヴィチの伝記は何冊も読んで来たが、この辺に関して十分に納得出来るものにはまだお目に掛かったことが無く、ずっと不満に思っている。

Shostakovich, the musical conscience of the Russian Revolution

1941年のバルバロッサ作戦についての嘘と誤解を正すPauwels博士の分析。(西側の歴史家の主張と違って)独軍が大打撃を被ったのはロシアの冬将軍の所為ではなく、赤軍が十分に応戦体制を整えていたから。

スターリンの過ちに関する3つの不当評価:
 ・独ソ不可侵条約と東ポーランド併合 → 独軍侵攻までの時間&空間稼ぎをする為。
 ・粛清による赤軍司令部の弱体化 → 陰謀勢力を排除していなかったらもっと大きな被害が出ていた。
 ・重工業重視路線 → やらなかったら応戦体制を整えられなかった。
History of World War II: How “General Winter” Did Not Save the Soviet Union in 1941

スターリンの赤いテロル伝説をデバンクした動画。私達はソ連は血に飢えた狂人に支配された国だったと教わる訳だが、その主張の多くに嘘や誇張が含まれ、現実の複雑さを無視したものであると考えるべき根拠が色々有る。人の数だけ見える現実は異なる。
Stalin: The Red Terror? Responding to Biographics


スターリンは
 ・血に飢えた暴君
 ・駄目な司令官
 ・信心深かった
 ・ロシア民族主義者で反ユダヤ主義者
 ・レーニン一派を殺害した
と云う5つの「神話」を論駁した動画。


西側市民がソ連のグラーグ(刑務所)について抱くイメージは誇張され歪められたものだが、CIAはそのことを(まぁ当たり前だが)把握していたことが文書からも明らかになっている。多くの資本主義諸国の刑務所より基準は寧ろ上だった。
History: The Truth About the Soviet Gulag, Surprisingly Revealed by the CIA

第二次世界大戦の原因をスターリンになすりつけようとする反共主義プロパガンダが今また活発化しているが、大戦の惨禍を拡大させたのは正にその反共主義。新たな戦火を避ける為には、過去をきちんと分析することが肝要。
On Roosevelt and Stalin: What Revisionist Historians Want Us to Forget

ヒトラーを封じ込める為に真剣な努力を払ったのはスターリンのみだが、英仏の非協力によって敢え無く挫折。英米資本主義勢力は民主主義や共産主義を打ち砕く為に寧ろ世界各地のナチやファシズム勢力を支援した。この辺の歴史的総括を放置して来たツケが今噴出している。
US Destroys Anti-fascist Forces, Stalin’s Failed Efforts to Align with West

「スターリンは自国を何千万人も殺した大量殺戮者でヒトラーの友達で極悪非道の悪党だった」と云う言説に疑問を投げ掛ける動画。(えらい早口の)英語で13分半。当時の状況を冷静に見直して、そして鏡を見るべきだ。
Was Stalin REALLY that bad!?! [Unlisted]


ロシア革命にカラー革命の要素が有ったことは、ロシア革命やそれに関わる諸人物(レーニン、トロツキー、スターリン等々)に対する単純な評価を難しくしている。西側諸国の資本家や銀行家、諜報部や活動家等との関わりは今後研究が進められねばならないテーマだろう。
Trotsky, Stalin, & the Cold War: The Historic Implications & Continuing Ramifications of the Trotsky-Stalin Conflict

Ludu Martens著、ANOTHER VIEW OF STALIN
全世界をファシズムの脅威から救ったスターリンについては、ファシストのみならずトロツキストや資本主義陣営等様々な勢力が悪魔化を試み、その過程で膨大な嘘がバラ撒かれて来た。今や彼についてのストレートな事実を知ることは殆ど不可能に近い。それ故評価も難しい。
ANOTHER VIEW OF STALIN

Domenico Losurdo著、STALIN: THE HISTORY AND CRITIQUE OF A BLACK LEGEND
スターリンが死去した時、世界中が彼に敬意を払った、だがフルシチョフが嘘だらけの弾劾を始めた途端、堰を切った様にスターリン悪魔化の政治利用が流行した。彼に関する歴史の改竄や歪曲は現在進行形で続いている。
STALIN: THE HISTORY AND CRITIQUE OF A BLACK LEGEND

反共プロパガンダ全般の嘘について、大変為になる参考文献リスト。
r/communism

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川流桃桜

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