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係争中のブータン領土を中国が支配すれば、インドの国家安全保障が脅かされるかも知れない(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。中国もインドも戦争は望んでいない。だが中国がブータンと接近し、その結果としてドラクム高原が中国に割譲されれば、中国はインドのアルナーチャル・プラデーシュ州に対する領有権の主張を強めるかも知れない。その結果中印関係は急速に悪化し、新たな戦争のリスクが高まるだろう。
Chinese Control Over Disputed Bhutanese Territory Could Imperil India’s National Security
Chicken’s Neck



中国とブータンが接近
 
 2023/10/23、中国とブータンは北京で外相会談を行った。両国は正式な国交樹立を目指している。

 中国の王毅外相は、長年に亘る国境紛争を解決する準備が出来ていると述べた。
 
 ブータンのタンディ・ドルジ外相は、ブータンは「ひとつの中国」の原則を支持すると誓い、中国のグローバル開発構想、グローバル安全保障構想、グローバル文明構想の取り組みを称賛した。

 中国とブータンの接近は相互に利益を齎す。が、これはインドには深刻な影響を与えるかも知れない。

 インドは中国とブータンとの国境紛争の解決に懸念を抱いている。この結果として中国がドクラム高原(中国では洞朗/Donglang として知られる)を支配することになれば、中印間で再び戦争が起きた場合、中国がインドに対して軍事的に優位に立つかも知れないからだ。

 この領土の細長い一部は、インド本土と「七姉妹」と呼ばれるインド北東部の7州を結ぶ「シリグリ回廊」を見下ろしている。ここは最も狭い部分の幅が僅か12〜14マイルである為、「鶏の首」と云う渾名が付けられている。



インドの抱えるジレンマ

 インドは2017年夏、ブータンとの数十年に及ぶ防衛協力に従って、この紛争地域での中国による道路建設を阻止する為に軍隊を派遣した。当時ブータンはこれは中国による一方的な現状変更であると主張していた。

 相互の緊張緩和策により危機は終息したものの、これは3年後に係争中のガルワン川渓谷で勃発した中国とインドの衝突の舞台を整えることになった。この衝突の後、両国は公然と反目し合う様になり、それがBRICSやSCOの様な多極フォーラムに於ける協力を大きく妨げている。両国共通の戦略的パートナーであるロシアが、相違点を埋めるか、少なくとも相違点の拡大を減速させようと努力しているが、これは実を結んでいない。

  従って、双方とも望んでいないとしても、ここ1年の両国の安全保障上のジレンマは悪化するばかりだったので、誤算によって新たな中印戦争が起こる可能性は排除出来ない。

 中国はインドのアルナーチャル・プラデーシュ州が「南チベット」を構成するとして領有権を主張し続けている為、インドの方では再び戦争が勃発した場合、「七姉妹」が再び戦場になるのではないかと懸念している。そのシナリオでは、中国はドクラムからシリグリ回廊を通るインドの供給ラインを脅かす可能性が有る。そしてバングラデシュがインドの通過権をすんなり認めるとは考えられない。仮にバングラデシュを通過出来たとしても、反インド分子が壊滅的な抗議活動を組織し、車列を攻撃する可能性さえ有る。

 インドが道路建設を阻止する為に軍を派遣したのはこれが理由だ。インドはブータンがドクラムを中国に譲渡するかも知れないことを非常に懸念しているのだ。

 中国が物議を醸した年次地図を発行した8月にもその地域に対する領有権を再確認したことを考えると、ドクラム高原の割譲要求を取り下げると期待する理由は無い。

 他の紛争地域の主権を認めるのと引き換えにブータンがドクラム高原を中国に引き渡した場合、インドは苦しい立場に置かれることになる。シリグリ回廊に於ける軍事的優位性が確保されれば、中国はアルナーチャル・プラデーシュ州への領有権の主張を強化させるかも知れない。そうなればインドは同地域の主権を中国に認めさせるのと引き換えに、他の係争地域の主張を取り下げることになるかも知れない。

 この様に中国がインドに圧力を掛けていると云う見方は、来春の選挙に向けて、与党インド人民党が弱腰だと野党が非難する為に悪用される可能性も有る。特に隣国モルディブが親中派の指導者を選出したばかりなので、野党がドラクム割譲で「ドミノ効果」の恐怖を煽る可能性も有る。またインドに友好的なバングラデシュ政府が来年1月の選挙後に西洋のハイブリッド戦争の結果退陣するかも知れないので、その頃には、この物語はより多くの有権者にとって説得力の有るものになるかも知れない。

 中国とブータンの接近が成功すれば、ブータンがドクラムを中国に譲渡するかも知れず、それはインドに軍事的・政治的影響を与えることになる。だがそうした協定は主権国家同士で結ばれるものなので、インドがこれを阻止する為に出来ることは殆ど無い。その場合、中印関係は以前よりも更に急速に悪化することになるだろう。



中国が強気になる理由

 中国がドラクム平原の支配を確立したら、シリグリ回廊で軍事的優位性を得たことによってアルナーチャル・プラデーシュ州に対する主張を強化するであろうと予想される理由が3つ有る。

 1)中国は、新たな危機が勃発した場合に発展途上諸国にどちらの側に付くか選ぶよう圧力を掛けることによって、「グローバル・サウスの声」を自称するインドの役割の信用を落としたいと考えている。発展途上諸国の多くは、単に中国が最大の貿易相手国だと云うだけの理由で中国を支持するかも知れないが、それだけでもインドのリーダーシップの主張は傷付けられることになる。

 2)中国はアルナーチャル・プラデーシュ州を巡る危機を利用して、ここを諦める代わりのと引き換えに別の係争地域(中国が支配する「アクサイ・チン」と呼ばれる地域。インドでは「ラダック」)への主張を強化するかも知れない。但しこれは危険な賭けであって、逆効果になるかも知れない。

 3)若しドクラムの支配権を獲得すれば中国は、インドが妥協を拒否した場合、与党インド人民党は来春の選挙を前にして弱腰になっていると云う物語を広めるかも知れない。これについて非常に危険なのは、人民党が中国の予想よりも強力に反応する可能性が有ることだ。これは再び致命的な衝突を引き起こし、最悪の場合は戦争に繋がる可能性が有る。



高まる中印戦争のリスク

 中国もインドもお互い、再び戦うことは望んでいない。だが中国がドラクムを支配する様になれば、それはインドの与党にとっては、妥協を強いるか先制的な軍事行動を検討するかのどちらかに追い込むゲーム・チェンジャーとして認識される可能性が有る。これにより安全保障上のジレンマは悪化する。

 中国は戦争を望んでいない。何故ならそれは中国が新たな「悪の枢軸」の一部であると云う米国の主張を強化することになるからだ。

 他方で、ウクライナとイスラエルへの支援が既に限界に達しているため、インドは必要な場合に米国の支援に頼ることは出来ない。

 にも関わらず、中国とブータンの接近が再び戦争の可能性を高めるであろうことは確実だ。これら3ヵ国間の相互作用を、誰もが注意深く観察する必要が有る。

 ウクライナに於けるNATOとロシアの代理戦争、最新のイスラエル・ハマス戦争、それに加えて再び中印戦争が起これば、世界は完全な混乱に陥るかも知れない。これは可能な限り避けるべきシナリオだ。
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イスラエル・ハマス戦争を巡る左派/右派の激しい対立は、派閥の競合が原因だ(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。多極化へ向けたグローバルなシステム移行により、左派/右派と云う二分法は益々無意味になって来ている。最新のイスラエル・ハマス戦争を巡る各陣営の激しい分裂からもその兆候は見て取ることが出来る。
Fierce Divisions Within The Left & Right Over Israel-Hamas Are Due To Competing Factions



 多極化へ向けたグローバルなシステム移行が進行している現在、伝統的な左派/右派の二分法は殆ど意味を成さなくなった。何故ならこれらの陣営はそれぞれどちらも、西洋の一極秩序と、グローバル・サウスの台頭によって出現した多極秩序の両方を支持しているからだ。

 だが、社会文化や経済的問題に関しては依然として幾つかの顕著な違いが存在しているので、これは多くの人にとって便利な参照枠だ。この記事ではこの問題を掘り下げてみる。

 2023/10/07以降、イスラエルとハマスを巡って各陣営内で激しい分裂が勃発している。

 Israel Violence Underscores the G.O.P. Divide on Foreign Policy(NYタイムズ)
 The generational rift that explains Democrats’ angst over Israel(ポリティコ)
 The left faces a reckoning as Israel divides Democrats(NBC)
 MAGA Divides Grow as Israel War Intensifies(ニューズウィーク)
 MAGA Influencers Tearing Each Other Apart Over Israel-Hamas War(Yahoo!)
 On Israel, Progressive Jews Feel Abandoned by Their Left-Wing Allies(NYタイムズ)

 これは恐らく、各陣営の支配権を巡って競合する派閥が争った結果であり、その根幹には地政学と原則の問題が横たわっている。



左派内の亀裂

 広い意味で左派と呼べる陣営は、伝統的に抑圧された人々を支援して覇権と戦いたいと思っている。西洋でもグローバル・サウスでも、この陣営は伝統的にパレスチナを支援している。

 但し西洋支部の内部では、その戦術を巡って論争が起きている。

 欧米の左派、特にユダヤ人の左派は、パレスチナ人によるテロ行為を拒否している。それは彼等の原則に反していると彼等は考えており、イスラエルを罰しパレスチナを助ける為には、政治的/経済的手段、具体的には強い非難とBDS(Boycott, Divestment and Sanctions)運動にのみ頼るべきだと信じている。

 彼等はアンティファやBLM(Black Lives Matter)がハマスのテロ攻撃を非難しないことに、当然ながら衝撃を受けている。

 アンティファとBLMがテロを容認しているのは驚くべきことではない。この両者は2020年のジョージ・フロイドの死後に「目覚めた」エリート達によって奨励されたアメリカに対するハイブリッド・テロ戦争中に、全国的なパワープレイの一環として同じ戦術を(致死性は遙かに低かったが)使用したからだ。

 これらとハマスとの類似性に気付いた人は殆ど居なかったが、これには当時は彼等を支持していたが今では彼等に仰天している「目覚めた」カルト信者達も含まれる。彼等の目にはパレスチナ人は抑圧された、覇権に対抗する自由の戦士であり、従ってその大義は正義である。しかし同時に、その大義の名の下にハマスによって殺戮された民間人達もまた犠牲者である。

 だがこの派閥の支配層グループの感じ方は違う。彼等にとってイスラエルに住むヨーロッパ系ユダヤ人は皆、当然の報いを受けた植民者と映る。この違いが、原則を巡って両派閥間に修復不可能な亀裂を生み出している。



右派内の亀裂

 同様の分断は広い意味での右派内にも認められる。こちらは伝統的に西洋の一極性を支持し、イスラエルと連帯して来た側だ。

 多くの右派は、イスラエルはイスラム教徒が大多数を占めるパレスチナ人に比べて、文明的に遙かに自分達に近いと考えており、西アジアに於て西洋の覇権を永続させる為の「不沈空母」としてのこの国の役割を高く評価している。

 だが右派のMAGA(Make America Great Again)派閥の一部(これは国によって呼び方が異なるが、保守的でナショナリスト的な利益を優先すると云う点で共通している)はこの世界観に挑戦している。彼等は多極化は不可避だと信じているので、政府は衰退しつつある一極秩序を維持する為に貴重な人命を浪費したり、無益な戦いをしたりすべきではないと考えている。

 この派閥はそう云う訳でイスラエルに対する西洋の軍事的・経済的援助には反対しているが、ハマスに共感している訳ではない。米国に於けるMAGA運動の代表格であるドナルド・トランプの様にイスラエルに共感する者も居るが、この派閥の言うなれば「革命的」サブ・グループは、ハマスをアンティファやBLM、DSA(Democratic Socialists of America。サンダース支持者の受け皿)と並ぶ「目覚めた」ヒドラの頭のひとつに過ぎないと考えている。

 ハマスをアンティファやBLMと同列に置くと云うこの発想は、2021年6月にハマスの指導者がジョージ・フロイドを追悼する映像(フロイド事件にもパレスチナ問題にも同じ人種差別が横たわっていると指摘している)が再び出回り始めてから一般的となった。多くのMAGA信者は、フロイドの死はアメリカを乗っ取る為に「目覚めた」者達によって悪用されたと信じているからだ。


 その保守ナショナリスト的原則に従って、彼等は当然のことながら決してハマスを支持したりはしない。特にハマスはBLMと同じ「脱植民地化」と云うレトリックによってテロ行為を正当化したので、次は自分達もまた標的にされるのではないかという不安を抱いているのだ。

 こうした懸念が、この派閥と、ハマスに同情的にMAGA信者達との間に修復不可能な亀裂を生じさせている。そして当然ながらこれらの「革命的」2派閥と、イスラエルを支持するMAGAサブグループ、それに支配層右派との間にも、修復不可能な亀裂が生じている。



結論
 
 こうした洞察は幾つかの興味深い観察に繋がる。

 左右両陣営の米国支配層は(極度に「目覚めて」いるのでテロ戦術の使用を含めてハマスを支持している民主党の「分隊」を除けば)イスラエルを支持している。

 他方、EUとグローバル・サウスの左派支配層はハマスを支持している。

 そしてプーチンモディに代表されるグローバル・サウスの多極右派支配層は、中立を貫いている。

 MAGA多極派には、ロシアとインド同様にバランスの取れた立場を取る者も居る。グローバル・サウスの「目覚め」てはいない左派の一部(全員ではない)も同様だ。

 だが他の「目覚め」てはいない左派とMAGA多極派の中には、テロ戦術の使用を含めてハマスを支持する者も居る。

 対照的に、トランプに代表されるMAGA一極派はイスラエルを支持しており、これは左右両陣営の米国支配層と同じ立場だ。

 何だかもうしっちゃかめっちゃかだが、以上見て来た様に、多極化へ向けたグローバルなシステム移行により、左派/右派と云う二分法は益々無意味になって来ている。

米国に於けるメディア報道への信頼度は史上最低に

 2023/10/19、ギャラップ社が世論調査結果を発表した。9月に1,016人を対象とした調査で、米国に於けるメディア報道への信頼度を調査したものだ。
Media Confidence in U.S. Matches 2016 Record Low
Confidence in US news media hits record low – poll

 メディア報道を「かなり」「割と」信頼すると答えた割合は、過去最低の2016年と並んで32%にまで落ち込んだ。他方、「全く信頼していない」割合は過去最高の39%を記録した。
Americans Trust in Mass Media, 1972-2023

 支持政党別に見ると、民主党支持者のメディア報道への信頼度は常に共和党支持者を上回っている。米国のメディアが全体的にリベラル寄りだと云うことを裏付けている様だが、これはフェイクニュースだらけのメディア報道を鵜呑みにする割合は民主党支持者の方が高いことを示唆している。民主党支持者では信頼度は58%、無党派層では29%、共和党支持者では11%と云う有様だ。
Partisans Trust in Mass Media, 1972-2023

 有権者達が信頼出来る適切な情報に十分にアクセス出来ることは、健全な民主主義制度が成り立つ上での必須条件だが、その意味では米国の民主主義は理想とは程遠い状態に在ると言えるだろう。但しこれは裏を返せば、メディアがどれだけデタラメだらけの存在なのかに気が付く市民が増えていることの証でもあるので、その意味では喜ばしい展開だと言えなくもない。

 因みに2022年の調査結果はこんな感じだった。

 比較の為に日本の状況を挙げておくと、2022年11月の新聞通信調査会の調査に拠ればこんな感じ。総務省の調査だともう少し下がるのだが、全体的に見て、米国に比べてかなりおめでたい状況になっている。英語圏だと非常に質の高い代替メディアが発達しているので大本営報道とは異なる情報に接するチャンスもそれだけ多いのだろうが、日本の代替メディアは基本的に(残念ながら私のブログを含めて)素人レヴェルの質の低いものが殆どだ。そもそもジャーナリズムが発達していないのが問題なのだろうが、報道の行間を読み解く読者の目も恐らく育っていない。この点でも日本は所詮属国の域を出ていないと言えるだろう。頭の中を他者に支配された儘で自立だの主権だの有り得ない。報道に対する関心の稀薄化の傾向も指摘されているし、日本人はどんどんガラパゴス化した世界観の中で現実に背を向けて生きて行くことになるのだろう。無論こんな認知的ひきこもりが蔓延する状況では民主主義など夢のまた夢だ。

インドが支配する係争地域の中国による最近の名称変更は大きな展開だ(要点)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の要点。アルナーチャル・プラデーシュ州の領有権を巡る中印の論争は、2023年4月現在、当面は解決する見込みは無い。
China’s Latest Renaming Of Indian-Controlled Disputed Territory Is A Major Development



 2023/04/03、中国は、中国では南チベット、インドではアルナーチャル・プラデーシュ州と呼ばれている国境紛争地域の名称を標準化して再確認することを発表した(ここ6年間で3度目)。

 他方インドのジャイシャンカル外相は2023/03/18に、国境問題が解決されるまで、中国との関係は正常にならないだろうと発言している。

 アジアの政治文化では面子が非常に重要なので、北京の方からデリーに折れる可能性が低いことが改めて確認された訳だが、どちらかが、或いは両者が譲歩しなければこの問題は終わらない。

 ロシアがRICプラットフォームを通じて両国を調停しようとしているが、領土交渉の可能にするには、安全保障上のジレンマに関して両者を安心させることが先ず必要だ。

 大英帝国の植民地支配の負の遺産を精算するにはまだ時間が掛かる。

China Renames 11 Places In Arunachal Pradesh State, Calls It Zangnan Part Of Chinese Territory

COVID-19のニュースピーク:定義を変えて知覚を変える(要点)

パトリシア・ハリティ氏の記事の要点。多少翻案した。COVID-19パンデミック詐欺では重要な用語の定義が恣意的に変更されたことで、大規模な大衆心理操作が可能になった。
COVID NEWSPEAK: Altering Definitions to Alter Perceptions


 
 COVID-19パンデミック詐欺では様々な大衆心理操作のテクニックが動員されたが、言葉の定義の変更もそのひとつだ。以下の言葉は、どれも素朴で疑うことを知らないコロナカルト信者達が信じているのとは全く違う意味で現在は使われている。



 ・「パンデミック」

 殆どの2009年のH1N1型インフルエンザの「パンデミック」の1ヵ月前に、WHOがパンデミック」と云う言葉の定義を変更したことを知らない。

 2009年以前の定義:
 「インフルエンザのパンデミックは、人類が免疫を持たない新しいインフルエンザ・ウィルスが出現した時に発生し、その結果、世界中で複数の同時流行が起こり、膨大な数の死者と病気が発生する。」

 2009 年以降の定義:
 「人類が免疫を持たない新しいインフルエンザ・ウィルスが出現すると、インフルエンザのパンデミックが発生する可能性が有る。」

 「パンデミック」と聞くと大抵の人は大勢の人が死に重症患者が大勢出る事態を連想する。だがWHOは被害の規模や程度についての項目を定義から外した。これにより、死亡や病気の重症度に関係無く、「検査」によって多数の偽陽性反応が出ただけで何時でも好きな時に「パンデミック」を宣言することが出来る様になった。何しろ完全に健康な無症状の人であっても「病気」に分類出来るので、人為的に幾らでも数字を膨らませることが出来るのだ。そしてウィルスの「変異」など極く日常的に起こっていることなので、何の変哲も無い普通の風邪であっても、政治的な都合で「新たな変異種」の出現を宣言し、それを口実にワクチンを含む「パンデミック対策」を課すことが可能になった。



 ・「集団免疫」

 従来の「集団免疫」の定義に従えば、自然に集団免疫が獲得されているのであればワクチンは不要と云うことになる。だがWHOは遺伝子ワクチンを販売する為に自然免疫の概念を完全に無視し、ワクチンによって誘発される免疫より劣ると主張し始めた。

 元の定義:
 「集団免疫とは、ワクチン接種または以前の感染によって獲得された免疫によって集団が免疫を獲得した時に起こる、感染症からの間接的な防御である。」

 2020年に更新された定義:
 「集団免疫はワクチン接種に使用される概念であり、ワクチン接種の閾値に達すれば集団を特定のウイルスから守ることが出来ると云うものだ。集団免疫は人々をウイルスに曝すのではなく、ウィルスから守ることによって達成される。」

 つまり進化の過程で獲得された自然な免疫システムは無視して構わない、自然に集団免疫が獲得されている(つまりワクチンはそもそも必要無い)と云う証拠が山積みしている場合であっても、それは今後は集団免疫とは見做さない、数多くの前科を持つ巨大グローバル企業によって製造されたワクチンを使わなければ集団免疫は達成されたと見做さないと言っているのだ(この概念に従えば、人類はワクチンが発明される前は集団免疫は一度も獲得したことが無いと云う奇怪な歴史観が導き出される)。ワクチンによって誘発される抗体は非常に狭い範囲の防御しか提供しないことも有れば、その持続期間が非常に短い場合も有る。対照的に自然免疫は多面的で広範囲に亘り、持続期間が長く、ワクチン免疫よりも遙かに優れていることが知られている。



 ・「ワクチン」

 従来の定義に従えば、COVID-19用の遺伝子ワクチンは「感染症を予防する」機能は最初から持っていないので、ワクチンとは呼べず、「実験段階の遺伝子治療装置」と呼ぶべきだ。だがそれでは殆どの人は接種しないだろうから、WHOは遺伝子ワクチンを「ワクチン」と呼んでイメージアップを図る為に、ワクチン(接種)の定義の方を変更した。

 2015年以前の定義:
 「病気を予防する為に、死滅させた、または弱らせた感染性微生物を注射すること。」

 2015〜21年の定義:
 「特定の病気に対する免疫を生成する為にワクチンを体内に導入する行為。」

 2021年9月の定義:
 「特定の病気から身を守る為にワクチンを体内に導入する行為。」

 定義がかなり曖昧にされたことで、死滅または弱らせた感染性微生物を利用していない「実験段階の遺伝子治療装置」であっても、「ワクチン」と呼ぶことが可能になった。また「病気を予防する」機能は必要無くなり、「ワクチン」と呼ぶ為に必要なのは「免疫の生成」と「防御の生成」だけになった。これにより、その「ワクチン」が抗体反応を誘発しさえすれば、それを「有効」であると見做しても良いことになった。その際、これらの抗体が実際に防御的であるかどうかは問題にはされないし、抗体依存性増強(ADE)の様に抗体が害を齎す場合であっても、「有効」であると主張しても構わない。そしてワクチン接種をして何か問題が起こったとしても、メーカーは最初から免責されていて賠償金を支払う責任は無いので、完全に接種者の自己責任だと云うことになる。



 巨大な嘘が横行するこの時代を生き抜くには、「科学に従う」ことが重要だ。その際、政治によって決定されプロパガンダに基付くカネで買われた科学と、現実のデータや知見に基付く科学を区別することは死活問題になる。

国防総省スパイ局の元長官が米国の対ロシア・スパイ戦争計画を明らかに(要点)

アンドリュー・コリブコ氏の記事の要点。米国防情報局(DIA)の元局長が米国の対ロシア心理戦の実態を明らかにした。
The Former Head Of The Pentagon’s Spy Agency Revealed The US’ Psywar Plans Against Russia



 戦争は物理的な衝突だけではなく情報の戦いでもあるが、米帝が他の諸国に対して心理戦を繰り広げていることは公然の秘密だ。

 特に米国防情報局(DIA)の元局長デヴィッド・R・シェッドは、ポリティコに発表した記事に於て、ロシアに対する心理戦の手口を紹介している。
 *ポリティコの記事、「ロシアに対して心理戦を仕掛ける」。
Opinion | Waging Psychological War Against Russia

 メインは、従来の様に「アメリカン・ドリームをロシア人に売り込む」ことではなく、過去20年間のプーチン大統領の印象的な業績の信用を傷付ける為に可能な限りのことをすること。

 もう少し具体的には、西側からのロシアの「孤立」を強調し、所謂ウクライナでのロシアの損失を誇張し、汚職問題に拘り、民族分離主義者の感情を煽り、影響力の有る代理人を雇うこと
を提案している。

 ここで触れられている「ロシアのバルカン化」と云う政治的幻想は「西側はロシアを破壊しようとしている」と云うロシア側の主張が正しいことを裏付けているし、ソーシャルメディアのインフルエンサーを積極的に採用しろと云う提言は、クレムリンが外国のエージェントを取り締まる法律を公布した理由を説明している。

 多極的世界秩序を支持する者は、こうした心理戦が現に行われていることを念頭に置いて、事実を広め嘘を暴くことに専念すべきだ。

英国諜報部がスンニ派聖職者階級を兵器化する手口(要点)

キット・クラレンバーグ氏の記事の要点。英国外務省はイスラム教スンニ派のインフルエンサー層を利用してプロパガンダ・キャンペーンを繰り広げている。
How British intelligence weaponizes the Sunni clergy class



 The Cradleが入手したリークされた文書に拠ると、英国外務省は「暴力的過激主義への対抗」と云うキャンペーンの支援の下に公然と、イスラム教スンニ派のイスラム学者、イマーム、信徒に資金を提供し、訓練し、影響を与えようとして来た。

 より具体的には:

 ・表向きは「独立」したメディアやソーシャルメディア資産によるオン/オフラインの多チャンネルプロパガンダ活動。

 ・「人工芝(草の根に見せ掛けた)NGOやキャンペーン・グループの創設。

 ・過激派のメッセージに対する、事前に承認された「対抗物語(counter-narratives)」を公に広めるコミュニティ・リーダーへの資金提供。



 これらの支援は決して公にされず、参加者自身も自分が利用されていることに気が付いていないことが多い。

 2016年、"Imams Online"の親会社は英国政府の支援を受けているのではと云う疑惑に対してこれをきっぱり否定したが、これは全くの嘘だった訳だ。

 メッセージの目的は一例としてはパレスチナ問題に関するもので、西洋が支援するイスラエルの民族浄化に対する正当な大衆の怒りを「宗教的義務としての非暴力と平和の追求」と云った美辞麗句によって抑え、シオニスト国家に対する暴力的な報復を抑止することだった。

 冷戦時代には同様の、宗教的指導者に対する信徒達の信頼を利用した「宗教活動の兵器化」プログラムによって中東の反共プロパガンダが広められたことが確認されている。

 外務省の請負業者のひとつは、スーダンだけで「300人以上のイマームを訓練」したことを自慢しているので、全体として相当広範なプロパガンダ・ネットワークが張り巡らされていると推測される。

パンデミックに於て人々に「対策」の必要性を信じさせるには(マーク・ヴァン・ランスト)

2019/01/22にチャタム・ハウスが開催した"Joining forces in influenza pandemic preparedness"での、ベルギーの 公衆衛生医師にして、インフルエンザのパンデミックに備える為の省庁間委員であるマーク・ヴァン・ランスト医師の発言の要点。
Joining forces in influenza pandemic preparedness
 ↑上記のファイルはアクセス不能になっているので、関連リンクを貼っておく。
ESWI Summit 2019: Joining forces in influenza pandemic preparedness
Communication and public engagement MARC VAN RANST



 パンデミックに於て人々に「対策」の必要性を信じさせるには、コミュニケーションが最重要だ。その為には、

 ・メッセージはひとつに(大衆には複雑なことを考えさせるな。社会全体に確実にメッセージが届くようにせよ)。

 ・非政治性を演出せよ(「専門家」の肩書きの持つ権威が、そのメッセージが政治から独立した中立なものであるかの様な印象を演出する)。

 ・露出はしつこく(同じメッセージを頻繁に繰り返し大衆の頭に叩き込め)。

 ・肝心なのはワクチン接種であることを強調せよ(自分達がすべき一番大事なことが何なのか、大衆に忘れさせるな)。

シリア———プロパガンダ事例研究(要点)

クリス・カンタン氏の記事の要点。シリア戦争報道に学ぶ、戦争プロパガンダ5つの秘訣。
Syria – A Case Study in Propaganda



 西洋のあらゆる大手メディアがシリア侵略について大衆洗脳を行った際のプロパガンダ5つの秘訣:
 
 ・メッセージはシンプルに。

 ・感情に訴えろ。

 ・議論を許すな。

 ・反対派を悪魔化しろ。

 ・メッセージを繰り返せ。

 これは色んな問題に応用出来る。ワクチンPRは戦争プロパガンダと地続き(「邪悪な独裁者」とか「人道危機」やらが「殺人ウィルス」に変わっただけ)なので、ワクチン・プロパガンダについて理解したければ、現代に於ける戦争プロパガンダの手口について学ぶのが非常に参考になる。

 腹を括ろう、今は戦時だ。

ロシアは恐らくイスラエルによるシリア空爆を止めない(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。イスラエルが第二戦線が開かれるのを阻止する為にシリアを爆撃したとしても、ロシアはそれを黙認するだろうと予想される。
Russia Isn’t Expected To Stop Israel’s Strikes In Syria




 以前、ロシアは最新の紛争の拡大を望んでいないので、「ロシアが最新のイスラエル・ハマス戦争にシリアを巻き込ませる可能性は低い」と分析したのだが、ロシアはシリアを支配している訳ではないので、この件に関して出来ることは限られている。従ってこの分析でも、シリアがロシアの意向に反して紛争に関与した場合(そしてそれをロシアが止められなかった場合)、ロシアは「自国とユダヤ人を守る為に必要と思われる方法でイスラエルに対応させる可能性が高い」と予測した。

 この予測はこれまでにも何度か裏付けが取れている。イスラエルはイランの武器輸送を妨害すると云う口実で、10/12と10/14にシリアの空港を爆撃したが、これに対してロシアは介入しなかった(後でイスラエルを非難はしたが)。ロシアにとってはこれが可能な限り最もプラグマティックな立場なので、今後もこの姿勢を維持するだろう。

 その観点からすれば、シリアにはイランと軍事協力する権利が有るが、イスラエルにも、第二戦線が開かれるのを阻止する権利が有ることになる。

 ロシアがイスラエルの国際法違反には抗議するが、再発防止の為には何もしようとしないのはこれが理由だ。ロシアは、イランがイスラエルに対して第二戦線を開くと云うシナリオに比べれば、イスラエルがシリアを攻撃する方がまだマシだと考えているのだ。

 だが、レバノンから第二戦線が開かれる可能性は依然として残っているので、それがイスラエルと米国の共同による大規模爆撃作戦を促す可能性が有る。それは正にロシアがシリアに対して起こって欲しくないと思っていることだ。大規模爆撃が実施されれば、ロシア軍が2015年以来積み上げて来た対テロ作戦の成果は全て一瞬で覆されるかも知れない。そうなればISISや他のテロ組織が息を吹き返すかも知れない。2015年以前の安全保障上の脅威が復活してしまうのだ。

 但し、レバノンに対する大規模な爆撃は同様の脅威を齎す可能性が有るが、その隣国であるイスラエルとシリアは外国人戦闘員の参戦を認めていないので、多少は上手く管理出来る筈だ。

 シリアがイスラエルに対して第二戦線を開くことにロシアが強く反対しているもうひとつの理由は、それが齎す政治的圧力だ。第二戦線が開かれれば、西洋大手メディアはロシアがこれに関与していたと主張するだろうし、それによってゼレンスキーが主張していた「ハマスのテロ攻撃の背後にはロシアが居る」と云う陰謀論に塩を送ることになるだろう。

 そしてまたイスラエルがシリアを破壊している時にロシアが傍観していれば、グローバル・サウスの目には映りが悪いことをロシアは理解している。

 シリアに於ける自国の安全保障上の利益を守る為だけに、イスラエルの同盟国である米国を敵に回して第三次世界大戦のリスクを冒すつもりはロシアには無い。だからこそ、ロシアがこのシナリオを阻止する為に軍事介入する可能性は低いと予測される。だが評判を落としてソフトパワー上の悪影響が出るのも避けたいところだ。

 従ってロシアは、イスラエルがシリアに在るイランの資産を爆撃することを黙認し続けるだろうと予想される。これは第二戦線が開かれるのを阻止するのが目的であり、紛争拡大はロシアの利益に反している。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
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