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スーダンの12月革命が5年目に入る中、反クーデター政権デモで更に数百人が負傷(要点)

スーダンの2018年に開始された12月革命は5年目に突入した。これまでの経緯を簡単に振り返る記事の要点を纏めておく。
Hundreds more injured in anti-coup protests in Sudan as December Revolution enters fifth year



 スーダンでは2022/12/19の"March of Millions"では3つの都市で499名が治安部隊の攻撃によって負傷した。一人は失明したが、「目を狙う」、「催涙ガス弾を直接頭に向ける」、「催涙ガスで目が眩んで窒息している抗議者に対してスタングレネード攻撃を行う」等の蛮行は組織的だったとの証言が有る。この1週間後の12/26に再び大規模なデモが起こり、軍事クーデター政権の打倒と起訴を要求した。

 これまでの経緯を並べると、
 ・2018/12/25、スーダンを30年近く支配して来た独裁者、オマール・アル=バシールを打倒する12月革命が開始
 ・2019/06/03の虐殺により100人以上が死亡。
 ・2019/07/17、軍事政権と右翼野党FFC(Forces of Freedom and Change)とが権力分担協定を締結。
 ・2019/08/21、軍民合同移行政府が発足。
 ・2020/10/03、スーダンの暫定政府と武装反乱同盟であるスーダン革命戦線(SRF)が和平協定であるジュバ合意に調印。ダルフール、青ナイル、南コルドファンでの紛争の終結が期待された。
 ・2021/10/25、軍事クーデターによって文民指導者から権力が奪われる。
 ・2021/12/05、軍とFFCとで再び枠組み協定が締結される。
 ・2022/11/03、FFCが分裂し新たな同盟が発足する。

 これ以降抗議行動が続いており、主導しているのはレジスタンス委員会(RC)。そのネットワーク組織は5,000を超えるが、抗議行動に対する取り締まりによってこれまで数千人が負傷し、120人以上が死亡している。

 バシールは現在国際刑事裁判所でジェノサイド、戦争犯罪、人道に対する罪で裁判に掛けられている最中だが、彼の下で組織されて内戦中にダルフールで残虐行為(2019/06/03の虐殺)を犯した高速支援部隊(RSF/Rapid Support Forces)は、鉱物資源の豊富なダルフールで人口削減(depopulation)キャンペーンと呼ばれている作戦を継続中で、ハルツームのデモ隊の取り締まりにも関与している。2019年以降、デモ隊は一貫して統一軍の結成と、RSFを含む全ての民兵の武装解除と解散を要求している。

 RSFはフロント企業と銀行を通じて10億ドル以上の秘密の財源を持っており、これらはスーダンの軍からも民間部門からも独立している。ダルフールの紛争は2020年10月のジュバ合意によって終結する筈だったが、その後もRSFとそれが支援するダルフールの民兵による虐殺で数十万人が避難し、数百人が殺害された。虐殺、レイプ、その他の残虐行為は合意前よりも悪化している。

 米英+EUは通常は御し易い軍事独裁政権を好むが、スーダンの場合は抗議行動の強さを目の当たりにして方針を変え、FFCに圧力を掛けて国内の権力を安定させる為に軍との枠組み合意に署名させた。一応首相の任命から2年で選挙が実施されることにはなっているが、犯罪者達の裁判も紛争の終結も抜きで選挙だけ行なっても、トップの顔が文民に変わるだけで中身は変わらない。

 2022年11月にはFFCの一部が離反し、公然と枠組み合意に反対して抗議に参加する党員も出て来た。外国勢力の利害は一致している訳ではなく、UAEは枠組み合意の後、スーダンと紅海に港を建設する60億米ドル相当の契約を結んだが、これはサウジアラビアとエジプトの利益には反する。軍内部も統一されておらず、陸軍将校達は、RSFとの統合に対して慎重。RSFの方では何等か理由で、軍から停職中の将校を募集している。

 レジスタンスの成功は団結出来るかに懸かっている。現在レジスタンス委員会は政治活動と労働組合(スーダンにはこれを規定した労働法は存在しない)組織運動との調整を進めている。
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報告:CIAはロシア国内で破壊工作攻撃を命じている(要点)

2022/12/24、ジャーナリストのジャック・マーフィー氏の個人のウェブサイトに重大なスクープ記事が掲載された。その要点を纏めてみる。
THE CIA IS USING A EUROPEAN NATO ALLY’S SPY SERVICE TO CONDUCT A COVERT SABOTAGE CAMPAIGN INSIDE RUSSIA UNDER THE AGENCY’S DIRECTION, ACCORDING TO FORMER U.S. INTELLIGENCE AND MILITARY OFFICIALS.
 Antiwar.comの紹介記事。
Report: The CIA Is Directing Sabotage Attacks Inside Russia

 マーフィー氏が3人の元米情報当局者と2人の元米軍当局者に確認したところでは、CIAは欧州のNATO加盟諸国の諜報機関を利用して、ロシア国内で秘密の破壊工作活動を行なっている。2022/02/24のロシア軍の特別軍事作戦以降、ロシア国内では軍事施設、発電所、鉄道で一連の不可解な爆発事件が起こっているが、これはロシア国内に潜んでいたスリーパーセルが秘密通信で指示を受けて活動を開始した結果。4月下旬にロシアの航空宇宙防衛軍の中央研究所で起こった火災では20人以上が死亡しており、CIA報道官は公式には関与を否定しているが、これも諜報員が関与していた可能性が有る。

 この秘密作戦自体が開始されたのは少なくとも10年以上前で、鉄道や送電線がよく狙われたが、これらは必ずしも統一された指揮の下で展開されていた訳ではなく、重複する工作が同一の標的を狙った為に互いに支障を来し、ロシアの治安部隊との銃撃戦で死亡者が出たことも有ったと云う。元々はCIAが関与していなかったスパイ・サーヴィスが活動していたのだが、2014年のマイダン・クーデターの後にCIAはスリーパーセルを侵入させる計画を立て始め、2016年のロシアゲート狂言の後で実際に潜入を開始した。これらの秘密作戦を支援するプラットフォームとして設立されたフロント企業の「広範なネットワーク」が存在するが、その中には20年近く前のものも有る。

 スリーパーセルの優先事項は2つ:
 1)ロシアの治安部隊に発見された時の為に「尤もらしい否認」を用意しておく。
 2)ロシアの民間人へのリスクを最小限に抑え、民間人の死者を出さない。

 これらのロシア全土に展開するスリーパーセルが秘密指令を受けて活性化されたのは、ロシア軍の特別軍事作戦開始の2日前。2022/02/26にロシア軍の戦車がウクライナ国境を超えた時には、スリーパーセルは既に待ち構えていた。最初の鉄道への破壊工作はベラルーシで行われた。これらの秘密作戦は航空監視支援を受けており、彼等すら知らされていない無人偵察機が、ウクライナとロシアの空域を徘徊している。CIAの指示抜きで混乱を作り出す「レジスタンス・ネットワーク」も活性化され、更にその後ウクライナの諜報機関と特殊作戦部隊が独自の作戦を展開している。

 米国政府はロシアで相続いている謎の火災や爆発事件について慎重に沈黙を守っているが、キエフの連中はもっと軽率で、Twitterで度々冗談を言ってクレムリンを挑発している。
 ・Defense of Ukraine @DefenceU:「不快なまでに暑い夏休みを望むのでない限り、大切なロシアのお客様にはウクライナのクリミアを訪問しないことをお勧めします。日焼け止めを幾ら塗っても、許可されていない場所での喫煙による危険な影響を防ぐことは出来ないからです。」
 ・Defense of Ukraine @DefenceU:「喫煙は人を殺します!」
 ・Defense of Ukraine @DefenceU:「ロシアのベルゴロド地域で『熱気により』また弾薬が爆発。ロシアの弾薬が寒さで爆発する可能性が有るかどうかは、数か月以内に分かるでしょう。ロシアに於ける突然爆発の主な原因は、冬、春、夏、秋、喫煙の5つです。」
 
 ウクライナ当局はロシアやロシア占領(解放)地域でのゲリラ攻撃を示唆しており、8月にウクライナの高官はNYタイムズに、クリミアのロシア空軍基地への攻撃を行なったのは「パルチザン」であり、ロシアの弾薬庫を爆破したのはウクライナの「エリート軍事部隊」だと発言している。

 これらの攻撃は戦略的と云うより戦術的なもので、ロシアの軍事的選択肢を制限するがそれ自体で大局に影響を与える可能性は低い。但しこうした不用意な挑発行為が紛争をエスカレートさせ、核の衝突に繋がる可能性は残っている。戦争が長引くにつれて一部のNATO加盟諸国はこうした秘密作戦から手を引いたが、米国と主要なNATO同盟諸国は攻撃的な姿勢を保っている。



 上述した様にこの記事はマーフィー氏の個人サイトに掲載され、何故大手のメディアに載っていないのかについては詳細は説明されていないものの、諜報部の指示で検閲を受けたことが仄めかされている。ロシア政府は公式にはこうした妨害工作に気が付かないフリをしてはいるが、勿論誰がその背後に居るのかをちゃんと把握している。

コソボのNATO主導の「平和維持部隊」KFORは、コソボで「平和」を確立する用意が出来ている(要点と補足)

現在のコソボ情勢についての危険性の一端を解説したカート・ニモ氏の記事の要点と補足。
Kosovo’s NATO-led “Peacekeeping Force” KFOR Ready to Establish “Peace” in Kosovo

 コソボでの緊張の高まりについて、緊張を高めている張本人であるコソボ首相アルビン・クルティは、プーチンがセルビア人を煽って緊張を高めていると非難した。他方、NATOのKFOR(コソボ治安維持部隊)は、1999年の国連決議1244に基付いて状況に介入する用意が出来ていると発表した。現地でのKFORの実績を考えると、介入した場合は道路を封鎖したセルビア人達から猛烈な(恐らく物理的な)反発を食うことだろう。

 このKFOR(コソボ治安維持部隊)なるものがどう云う存在かと言うと、1999年にビル・クリントン政権の米軍率いるNATO軍は、国連憲章やNATO憲章に違反して無差別爆撃を行って数千人を殺害し、主権国家ユーゴスラヴィアを解体した訳だが、この後安保理決議1244に基付いて「平和を維持する」と云う名目でコソボに派遣したのがKFOR。

 ところがこれは平和を維持するどころか、コソボに於ける性的人身売買、強制売春、拷問の急速な増加に繋がった。女性達は主にモルドバ、ブルガリア、ウクライナからセルビア経由でコソボに輸入され、同時にコソボ内部でも盛んに売買が行われ、KFOR兵士の相手をさせられた。

 因みに爆撃当時「共産主義の独裁者と戦う自由の闘士」と西側に紹介されたコソボ解放軍の指導者達は、今ではハーグ国際法廷で人身売買、麻薬密売、殺人、拷問、迫害、強制失踪等の罪で有罪判決を受けている。

 2022/05/05、コソボの人身売買についてのアムネスティ・インターナショナルの報告書。
Kosovo (Serbia and Montenegro): “So does it mean that we have the rights?” Protecting the human rights of women and girls trafficked for forced prostitution in Kosovo

 2004/05/07、KFORがコソボの人身売買を増大させている件についてのガーディアンの記事。
Nato force 'feeds Kosovo sex trade'

人体通信

ピーター・ケーニッヒ氏の記事。2004/06/22、マイクロソフトは米国特許6,754,472 B1を取得。この特許のタイトルは「人体を使用して電力とデータを送信する為の方法と装置」。これは電磁特性を持つ酸化グラフェンを持つCOVID-19ワクチンが既に世界の半数以上に対して接種されている現状を考えると重要な意味を持って来る。
Look Up! Wake Up, People! You Are Being “Suicided in Warp Speed”.

2020/08/06に公開された、WEFの "Shaping the Future of the Internet of Bodies: New challenges of technology governance(人体のインターネットの未来を形成する:テクノロジー・ガヴァナンスの新たなる挑戦)"。人体を埋込み・摂取・取付け等の様々な方法でインターネットに接続し、膨大な量の生体認証&人間行動データをやり取りすることで、健康研究と健康産業が変革されるだけでなく、職場でのIoBの採用や新たな娯楽、そしてまた雇用、教育、財政、健康保険社会的資源の分配等、社会生活全般に亘って新たな次元が開かれることになる。
The Internet of Bodies Is Here: Tackling new challenges of technology governance

2020/06/04、WEFの記事。埋込み型・飲み込み型・着用型等の様々なタイプのデバイスによる人体のインターネット(Internet of Bodies/IoB)を使って人体を四六時中モニターして様々な健康データを集めることを推奨している。2018年の世論調査でも(下図)、医療消費者はデジタル技術が大好きなことが明らかになっているので、需要は有るのだ。但しこの記事では「プライヴァシーの問題から実用的なハードルまで、多くのリスクと課題」が山積していることを認めている。

Tracking how our bodies work could change our lives

2014年のChem-Stationの記事。光遺伝学(オプトジェネティクス)を使えば、外部から行動をコントロールしたり、記憶をON/OFFにしたり書き換えたりすることが出来る。
光で脳/神経科学に革命を起こす「オプトジェネティクス」

特定のニューロンのグループを遠隔操作する技術として有望な候補は「光遺伝学(オプトジェネティクス/optogenetics)」(レーザー光のパルスでニューロン・グループをON/OFFにする)や「化学遺伝学」(デザイナードラッグによって活性化され、特定の細胞型を狙うことの出来る人工蛋白質を使用する)だが、前者は侵襲的で、光が高密度の脳組織を透過する範囲は厳しく制限されており、後者は神経細胞を活性化するのに数秒を要する生化学反応を誘発する。これらの欠点を克服する最近の研究は、遺伝子操作によって"磁気(Magneto)"蛋白質を合成し、これを磁気によって活性化させ、神経インパルスを生成する技術を提示している。
“Magneto” Protein: Genetically Engineered To Control Brains And Behavior
 ガーディアンの元記事。
Genetically engineered 'Magneto' protein remotely controls brain and behaviour
 関連する2016年の動画。ゼブラフィッシュの幼虫が、局所磁場に反応してコイル状の挙動を示している。
In vivo manipulation of zebrafish behavior using Magneto2.0


人間が「ハッキング可能な動物」となって操作可能な対象に堕し、従来の民主主義の概念が根底から覆される事態が出現することを警告するユヴァル・ノア・ハラリ。彼は最近WEFのお気に入りなので、穿った見方をすれば、「この先こう云う現実が待っているんだからそうした考えに慣れておけ」と言っている様にも読める。
"The idea of a Soul, Free Will -- these are Over!" - Technocracy explained by Prof Yuval Harari


WEFはメガネや補聴器と同じ感覚でインプラント技術を使える様にしようと宣伝している。これは周囲の器具や装置等とも連動した話であり、体の各部位にインプラントを埋め込んで視覚や聴覚に指向性を持たせることから、脳にチップを埋め込んで医療用に使うことまで、様々な可能性が考えられる。拡張現実は倫理的な問題を孕んでいるが、「適切な支援とヴィジョンと大胆さ」が有れば、これらの革新的なテクノロジーが可能になるそうだ。
Augmented tech can change the way we live, but only with the right support and vision
 WEFはとにかく人間のサイボーグ化を猛烈プッシュしたいらしい。
How do we build an ethical framework for a technologically augmented society?


CIA等のマインド・コントロール実験に関する1979年のABCのドキュメンタリー。LSD等の薬物や睡眠剥奪や催眠術等の技術が取り上げられているが(インフォームド・コンセント無しで様々な後遺症を引き起こした非人道的な人体実験が繰り返されて来た)、53分位に、ラジコンの様に闘牛用の牛を電波で操る技術のことが触れられている。
Mission Mind Control (1979)


WEFは「超音波ステッカー」を宣伝している。通常超音波スキャンは数秒しか持続せず、技師が手で固定して、スキャンされる方はじっとしていなければならないが、整体接着性超音波(bioadhesive ultrasound/Baus)技術を使えば、切手大のステッカーを皮膚に貼り付けるだけで、48時間、臓器や筋肉の活動をモニターすることが可能になる。現在は機械に接続しないと使えないが、ワイヤレス版も開発中で、将来的にはどの薬局でも手に入る様にしたいのだとか。スマホと接続すれば、ずーっとモニターすることも出来る様になる。
Ultrasound Stickers Can See Inside The Body

★2019年にカナダの政府機関が発行した、デジタル技術と生物学的システムの融合についての白書の概要。
バイオデジタル収束の探究(概要)

ノキアCEOのペッカ・ルントマルクは世界経済フォーラムに於て2030年までには6Gがやって来ると発言したが、その際、2030年までには我々の知っているスマートフォンは最も一般的なインターフェースではなくなり、多くは我々の肉体に直接組み込まれることになるとも言っている。つまり24時間直接ネットに繋がれ、逃げることが許されなくなる未来がやって来るのか?
What Nokia has about the Future of Smartphones - World Economic Forum - CEO Speech


ファイザーCEOアルバート・ブーラの2018年のダボス会議(第四次産業革命の製薬に対するインパクトを論じている)での発言。服用の状態をチェックする「電子錠剤(胃で溶けると信号を発する)」について言及している。


運動エネルギーを利用してバッテリーを充電するウェアラブル装置は、将来的には「個人の移動行動に関する情報を一貫して確実に収集し、都市設計、リアルタイムの移動計画、人間活動のモニタリング、CO2排出、ターゲットを絞った広告等に情報を提供する」ことが出来る様になることが構想されている。この記事で取り上げられている研究チームは他にも人間の活動認識、歩数カウント、カロリー消費量の推定、ユーザー認証、列車のルートの識別、「ホットワード」の検出等についての研究を行なっている。適切な管理運営が可能であれば素晴らしい可能性を秘めた技術ではあるが、問題は、現在の後期資本主義社会でそんなものが可能なのかと云うことだ。
Kinetic Energy Harvesting Lighting the Way for Urban Planning

人体で発生する熱や電気を変換してIoT用のエネルギーに変えるテクノロジーのCM。自己治癒、リサイクル、レゴの様な再構成が可能なハイテクのウェアラブル装置によって、人体発電がグリーン・エネルギーとして注目されるかも?
New wearable device turns the body into a battery


食物と一緒に摂取して体内(血中)に入り込み、脳をマッピングしたり脳と「対話」したり、健康状態を常にチェックするナノボットやナノコンピューターは想像されるだけでなく実際に企業によって開発されている。
Nanobots in Your Blood and Brain and Pill-Like “Ingestible Computers”

米軍DARPAの資金提供により、皮膚の下に埋め込んだバイオセンサーを使ってインフルエンザの様な感染症を、症状が出るよりずっと前に検知する研究が行われているらしい。仮に実際にそんな性能が無かったとしても、色々使い道が考えられそうな技術。
A Military-Funded Biosensor Could Be the Future of Pandemic Detection

資産総額推定2,560億ドルの世界一の大金持ちイーロン・マスクは、FDAによる試験計画の承認を待って、2022年中にニューラリンク脳チップを人間に移植する予定であると発表。最初の治験対象は重度の脊髄損傷を負った人達になる。
Elon Musk nears human testing of brain chip

筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されたオーストラリアの62歳の男性が、"Stentrode"なるブレイン=コンピューター・インターフェースを脳にインストールすることで、自分の思考を直接ツイッターに投稿した。
Paralyzed man with brain chip posts ‘first direct-thought’ tweet

脳にマイクロチップ(ニューログレイン)を埋め込んで神経活動を検知する技術についての記事。チップを細い針で頭蓋骨の内部に入れる方法や更なる小型化も研究中。人体とコンピュータを直接接続する試みは既にあちこちで行われている。
次世代のブレイン・コンピューター・インターフェイスになる? 脳に埋め込む微細なチップが秘めた可能性

1991年の記事。ロシア国防省から資金提供を受けて開発された、高周波放射を使ったマインドコントロール装置「サイコトロニック・バイオジェネレーター」なるもの、がキエフで大量生産が開始された


1977年、NYタイムズの記事。CIAは25年で2,500万ドルを費やし、3つの民間研究財団を通じて人間の心を操作する技術の(多くは非人道的な)実験を行って来た。当時は薬物や催眠術を使ったものが多く、洗脳技術が関心の中心だった。
PRIVATE INSTITUTIONS USED IN CAL EFFORT TO CONTROL BEHAVIOR

神経系に介入することによって人間の知覚、感情、思考、記憶、行動等を操作する技術は現実に存在し、研究も進んでいるが、それらに関する国際的な規制は現在存在しない。
Is Mankind Able to Prevent Abuse of New Technologies Against Democracy and Human Rights?

CRISPR技術を応用し、電気信号を使って細胞のゲノム内の転写ネットワークを接続・制御する技術についての解説。将来的には電気遺伝学的プロモーター回路がヒト細胞に挿入され、平たく言えば人体が遺伝子レヴェルでインターネット化することが期待されている。
Internet of Bodies (IoB)- Using CRISPR to electrically connect with and control the genome

ウェアラブル装置と埋込型装置間の送信に電磁場を利用した放射通信を使用した場合、盗聴される可能性が有るが、人体そのものの含水量の高さを利用した人体通信(HBC)だとその怖れは無い。低出力だが電子準静的人体通信(EQS-HBC)にはこれで間に合う。
Enabling Covert Body Area Network using Electro-Quasistatic Human Body Communication

ディック・チェイニーは除細動器を心臓に埋め込んでいたが、担当医は2007年の交換の際、ハッキングを恐れてワイヤレス機能を無効にした。除細動器にワイヤレスでハッキングして心臓発作を起こさせることは技術的に可能らしい。
Cheney's defibrillator was modified to prevent hacking

人々が本当に薬を服用したかどうかをチェックする為、錠剤に生物学的チップを埋め込んで、胃で溶けたら信号を発信する様にさせることを提案している、第四次産業革命の推進者達。医療や介護の人件費を切り捨てつつ「自己責任」で終わらせない為、お優しいビッグブラザーが私達の肉体を監視してくれる。

Cory Morningstar @elleprovocateur

人体をワイヤレスで接続すると云う発想は今や医療機器にまで及び、「肉体のインターネット(IoB)」と云う概念まで存在する。人体を通信チャネルに変える技術は現在ブルートゥースを中心に研究開発が進められている。
 ・「あなたの体はスマートホームです。」:「肉体のインターネット(Internet of Bodies)」ネットワークを構成する様々な機器の概念図。BluetoothやWiFiを通じて、誰もが何時でも何処でも繋がる様になる。
 ・「ボディ・ランゲージ」:IoB装置の通信チャネルとして人体を利用すると、電気信号を皮膚の下に留めることで、BluetoothやWiFiの技術的問題を回避出来る。人体内に2つの回路ループを作成し、電位差を生み出すことで、装置同士で信号を送信出来る様になる。
TURNING THE BODY INTO A WIRE

RFIDなるデジタルID技術、本当に色んな分野で実際に使われている様だ。世界最小のものは900 × 900μmサイズなので、注射針なんか余裕で通るだろう。こう云う状況でなければワクワクする話だ。
RFID_トップ

2007年の時点で注射針の内径の1/5の大きさだった「RFIDチップ」なる技術が存在し、コロナワクチンに含まれているのはそれではないのか?と云う説。技術的にはワクチンにIDタグを混入させるのは可能な様だ。そしてパンデミック詐欺の黒幕連中には機会と動機も有る。
電子タグチップは、注射器に仕込んであった? 注射液と一緒に流し込む?

「コロナワクチン接種者がブルートゥースに反応するって本当?」を実地で確認してみた人の記事。メカニズムは不明なれど、現象としてそう云うことが起きている。
5.ワクチン接種で、ブルートゥース接続? ザウルスの実地調査 (1)
 遺伝子ワクチン接種者がブルートゥースに反応すると云う件、或る中学校教師が実地で検証してみたらしい。素人ながらちゃんと確認の為の手順は踏んでいるし、現時点ではこれをデマや思い違いだと判断する根拠は無い様に思う。とにかく何もかもブラックボックスなのだから。
中学校で「ブルートゥース実験」! 300件検出!

「コロナワクチン接種者がブルートゥースに反応する」と云う荒唐無稽な話も、どうやら事実らしいと云う情報がちらほら。この記事ではビル・ゲイツの依頼で作られたナノプロセッサーがワクチンに含まれていてデジタルIDを接種者に刻んでいると云う説に触れている。
ワクチン接種とブルートゥース

神経学、生化学のジェームズ・ジョルダーノ教授の2018年の陸軍士官学校での講演の紹介記事。指向性エネルギー装置、医薬品、経頭蓋神経調節、ブレイン・マシン・インターフェイス、生化学物質等、脳に介入する様々な方法が模索されている。
Biological weapons, Chemical weapons, Brain machine interfaces … and that’s just the Covid-19 injections.

ニューロハッカー(治療目的でないインプラントを装着する人々)でなければ二流の人間と呼ばれる日が来る?『攻殻機動隊』みたいなのが日常になる?技術者は社会全体のことなど考えずに日々可能性を追求している。
p @OdNezu
Biotechnologe: „Ohne Gehirnchip wird man ein Mensch zweiter Klasse sein“

「ニューラリンク」を立ち上げたイーロン・マスクは、脳に電極付きワイヤやチップを縫い付けることでコンピュータ等と接続し、やがてはテレパシーすら可能になると予告している。
イーロン・マスクはかくして人間の脳にコンピューターを縫い付ける

イーロン・マスクは脳細胞と通信出来る頭蓋骨インプラントを埋め込んだ豚の映像を公開。記憶喪失、失明、発作、脳卒中、薬物中毒等の様々な「重要な脳と脊椎の諸問題」の治療に繋がると云うのが宣伝文句の様だ。
High-tech dystopia or evolution leap? Elon Musk rolls out working Neuralink brain implant prototype embedded in live pig (VIDEO)

イーロン・マスクのマインド・マシン・インターフェース開発会社ニューラルリンクは、手を使わず脳だけでビデオゲームをプレイする猿の映像を公開。マスクは今年後半には人体実験を希望している。
WATCH: Monkey hooked up to Elon Musk’s Neuralink plays MindPong with just its thoughts

ビッグテック等はニューラルリンクをマッピングするブレイン・コンピュータ・インターフェイス(BCI)装置の開発に資金提供しているが、これは監視資本主義を加速させる危険性を孕んでいる。早急に規制を整備しないと、既成事実がどんどん積み上げられることになる。
Cyberpunk 20**? Researchers warn of ‘bleak’ future with companies owning private thoughts & world divided between cyborg and human

ここで一寸意外な人物が。「5Gテクノロジーによって人々の思考を読み取り、更には思考を植え付けることが可能になる」と、チリのピニェラ大統領が熱弁を揮っている。
President Piñera: "Machines will be able to insert thoughts and feelings through 5G"

DARPA(米国防高等研究計画局)は非侵襲的な手法を用いたブレイン・マシン・インターフェイスを開発中。N3と呼ばれる技術が注目を集めているが、要になるのは磁気。成功すればコンピュータが脳と直接リンクして「書き込む」ことが出来る様になる。
Magnetism Plays Key Roles in DARPA Research to Develop Brain-Machine Interface without Surgery

遺伝子操作により磁気化された蛋白質を用いて脳細胞を非侵襲的に活性化し、行動をリモートコントロールする研究は既に行われている。この記事は2016年のものなので、当然現在では研究も当時より進んでいる筈だ。
Genetically engineered 'Magneto' protein remotely controls brain and behaviour

一寸話がずれるが、マウスを使った東大医科学研究所の研究。DNA組み換え酵素であるCreリコンビナーゼを利用し、LED等の光を照射することによって、効率良く様々な臓器に遺伝子組み換えを起こさせることが可能。
生体内の遺伝子組み換えを光で操作するマウス系統の開発

「生きた動物における特定の脳回路を磁場で遠隔操作」する技術は既に存在する。細胞内の磁場に反応するハイブリッド蛋白質を作り出し、その遺伝子を挿入し、適宜活性化させてやれば、行動を制御することが出来る。
磁力で行動を変える「マインドコントロール」に成功:研究結果

合成遺伝子と磁気を用いて外部からマウスや魚の行動をコントロールする実験は既に成功している。仕組みは「細胞に磁場の存在を感知させることができる遺伝子を設計して、遺伝子をそれで組み換え、「注射」するだけ」。
合成遺伝子と磁気を用いた「外部からの生物の感情のコントロール」に関する論文から「磁石のつく世界」という迷宮に入りこんでしまいました

コールマン医師に拠ると、電気的刺激を用いて動物、ひいては人間の行動や感情を操作する研究は1977年から行われていた。一番のネックは受信機を人体に埋め込んだり注入したりする方法(例えばそう、ワクチンとか?)。
Agenda ID2020 of the “One World Order”: The 101 to Understanding Its Implications

新しい研究は、ワクチン非接種者は交通事故を起こす可能性が高いと主張———批判者はこの調査結果を「冗談」と呼んでいる(要点と補足)

ディフェンダーの記事の要点と補足。以前からCOVID-19ワクチンを接種した人が交通事故を起こしたケースが多数報告され、SNS上で因果関係が有るのではと云う噂が飛び交っていたのだが、その逆を行く様な研究が行われ、COVID-19ワクチンを注射しない人は交通事故に遭う確率が高いことを「証明」した。
New Study Claims Unvaccinated More Likely to Crash Cars — Critics Call Findings ‘a Joke’



 2022/12/02に発表されたカナダの研究に拠ると、COVID-19ワクチンを接種していない人が交通事故に遭う確率は、接種した人より72%も高くなる。年齢、性別、社会経済的地位、その他の病状等の他の変数を調整してやると48%にまで低下するが、それでもやはり優位に高い。この論文の研究者等はワクチン忌避者の心理的な要因を挙げている。

 しかしジョン・キャンベル医師等、この論文を精査した人は、以下の様な欠点を挙げて「馬鹿げている」と批判している。

 ・COVID-19ワクチン接種を行っていない人は公共交通機関を利用出来ず、従って車を利用する機会が多かったが、その点が考慮されていない。社会的条件が同等ではないものを比較している。

 ・COVID-19感染率が高くワクチン接種率が低い地位に住んでいるエッセンシャルワーカーは通勤し続けなければいけなかったのに対し、ワクチン接種を受けた人々はリモートで働くか退職する傾向が強かった。この点でも、非接種者の方が車を利用する割合が高い。

 ・大半の事例では事故に遭ったのは運転者ではなく同乗者か歩行者だった(6.682件の衝突事故の内、運転者は2,856件のみ)。気を付けていないと、全て「車を運転していて事故に遭ったケース」だとミスリードされてしまう。

 ・ワクチン接種を受けてから14日以内の人は「非接種」に分類されている(この研究では602人がそのケースに該当する)。接種して14日以内に事故を起こせば、それは「非接種者の事故」にカウントされる。

 ・事故現場で心臓その他の事象が原因で死亡した場合、この研究ではカウントされていない。接種者は心不全等の症状を起こす確率が優位に高いことが知られているが、この可能性は意図的に除外されたと云うことだ。

 ・政府のデータベースには無い非接種者がカウントされておらず、分母が人為的に小さく設定されている(この点を指摘したクレア・クレイグクレア・クレイグ博士に拠ると、同じ計算方法を使えば、非接種者の方が寄付したりリサイクルしたりクリスマスプレゼントを買う確率が高いことを「証明」出来る)。



 ワクチンマフィアはこの様に常習的に統計操作(情報ロンダリング)行い、日々ワクチンの必要性・有効性・安全性の「証明」に勤しんでいる訳だが、ここまで馬鹿馬鹿しいケースは流石に珍しい。今回のケースでは、この論文は「観察されたリスクは、将来のドライバー保険契約の変更も正当化する可能性が有る」と結論付けているので、その目的を推測するのに大した想像力は必要としない。つまり接種を受けていない人の保険料値上げに対して、この論文は科学的なお墨付きを与えた訳だ(その内、「COVID-19ワクチンを接種すると交通事故に遭う確率が下がる」とか言われるかも知れない)。ディフェンダーのこの記事では、これは健康保険業界の個人データの大量収集やデジタル監視&管理の流れの一環だと位置付けている。

ガーナ

経済危機が深まるガーナの現状についての解説。アフリカの新植民地主義経済の典型的な例だと思う。ガーナ政府は「危機を解決する為に何かしている」と云うポーズを国民に見せる為に、IMFへの協力を呼び掛けているが、IMFが「解決」に乗り出したのはこれで18回目。これまでに行われた「解決」では、毎回大規模失業が起こり、公共サーヴィスが削減され、叩き売りと言っても良い民営化が行われて、国民の生活の質の向上には一切役に立っていないどころか、寧ろ状況を悪化させて来た。ガーナはココアの産出量では世界一だし、金等の鉱物資源も豊富だが、「債務の罠」の所為で予算が一向に建設的なことに向けられておらず、企業は人々の生活の質になど全く関心を持っていない。ウクライナ危機やCOVID-19「対策」によって危機が始まったとする主張は全く馬鹿げており、新自由主義的政策とセットになった債務の罠と、ドルに支配された通貨的植民地主義はずっと前から続いている。
Kwesi Pratt Jnr: Nobody believes IMF deal will solve Ghana's crisis

ワクチン忌避者の分析

★ワクチンマフィアは、「COVID-19ワクチンを接種しない人は交通事故に遭う確率が高い」とか言い始めたので、そのデバンキング記事の要点を纏めてみた。
新しい研究は、ワクチン非接種者は交通事故を起こす可能性が高いと主張———批判者はこの調査結果を「冗談」と呼んでいる(要点と補足)

ブルッキングス研究所の世論調査に拠ると、米国市民はCOVID-19の危険性をCDCの公式の数字よりも81倍過大評価している。まぁ現実が正確に見えていないからこそ危険なワクチンに飛び付く人が多い訳ですな(因みにこの動画は「誤情報」としてYoutubeの検閲対象)。
People Think COVID is 81x More Dangerous Than it Actually Is

カイザー・ファミリー財団の世論調査では、コロナワクチン非接種の米成人の53%が、ワクチンは新型コロナ自体より危険と考えているが、接種済みの88%は感染が招く健康障害はワクチンより深刻だと回答。洗脳済みの人とそうでない人とではっきり現状認識が分かれている。
未接種者の53%、ワクチンはコロナより危険 米調査

カーネギーメロン大学とピッツバーグ大学の新しい研究に拠ると、最高学歴者はワクチン忌避率が高い。低学歴者の忌避率は徐々に下がっているが、高学歴者の場合はそのまま。プロパガンダの影響を受けるかどうか、自分の判断に自信が有るかどうかの違いだろう。
 
Study Finds Most Highly Educated Americans Are Also the Most Vaccine Hesitant

MITの研究に拠ると、コロナ懐疑論者/ワクチン忌避者は論理的・合理的であることが多く、科学的な知識を持ち、公式のデータを使用して公式の政策とは異なる結論を導き出している(陰謀論ではなくリスク計算の結果)。議論を拒否する傾向が強いのはワクチン支持者の方。
MIT Study: Vaccine Hesitancy Is 'Highly Informed, Scientifically Literate,' and 'Sophisticated'

24ヵ国を対象とした調査で明らかになったワクチン忌避者の特徴(意訳):
・陰謀論的発想
・生意気
・お注射怖い
・我儘でヒエラルキー志向
Insights on vaccine hesitancy
FIRST DRAFTから現在この文書は削除されている。画像は私が残しておいたスクリーンショット。

モンゴル

モンゴルとロシアの関係を解説した記事。モンゴルは「西洋の価値観を共有する国」のひとつと見做されており、例えばフリーダムハウスのランキングでは世界210ヵ国中57位。西洋はモンゴルを「ロシアと中国と云う権威主義的な隣国に挟まれた民主主義の島」として描き出し、ロシアとモンゴルを敵対させようとしているが、世論調査に拠ると、モンゴルの人々はロシアと米国に対して同程度の肯定的な感情を示している。モンゴルには西洋のメディアやNGOが浸透しているにも関わらず、西洋の価値観はモンゴル人の政治的嗜好と合致している訳ではなく、今尚伝統的な文化的・家族的価値観が大きな比重を占めている。それにイデオロギーは安全保障や経済発展と云う具体的な関心より優先度が低く、ロシアはモンゴルにとっても最も重要なパートナーだと考えられている。幾つかの苦い経験にも関わらず、モンゴルにはソ連時代からの親交の歴史が有り、モンゴルの中の西洋的な側面は、ロシアではなく寧ろ中国と敵対している。
Why the Values of “Western Democracy” Are Not Supplanting Pro-Russian Sentiment in Mongolia

ペルーのクーデター: 元CIAエージェントの米国大使は大統領打倒の前日に国防相と会談していた(要点と補足)

ペルーの違法なクーデターの流れを解説したベン・ノートン氏の記事の要点と補足。
Peru coup: CIA agent turned US ambassador met with defense minister day before president overthrown




 CIAに9年務めたペルー駐在米国大使のリサ・ケナは、民主的に選出された左派のペドロ・カスティーヨ大統領がクーデターによって打倒され、裁判抜きで投獄される正にその前日に、国防相と面会していた。CIAは、1954年のグアテマラのハコボ・アルベンス大統領から1973年のチリのサルバドール・アジェンデ大統領まで、中南米で民主的に選出された左派指導者に対して多くのクーデターを組織したが、これはその最新版。世界一の無法国家アメリカ帝国の暴挙は止まることを知らない。

 リサ・ケナは2020年にトランプ大統領によってペルー駐在大使に選ばれたが、この時発表された国務省の「能力証明書」は、彼女が9年間CIAに務めたことを証明している。だがこの事実は国務省公式ページの彼女の略歴には何故か書かれていない。トランプ政権下で、ケナは国務省の事務局長も務め、元CIA長官で自他共に認める嘘吐きであるマイク・ポンペオ国務長官の「上級補佐官」だった。その他の経歴は以下の画像の通りで、国防総省にも勤務している。

Kawsachun News @KawsachunNews

 起こったことを時系列でまとめるとこうだ:

 2022/12/06、ケナは前日に国防相に正式に任命されたばかりのペルー軍退役准将グスタボ・ボッビオ・ロサスと面会した。


 ペルー憲法第113条には、議会が大統領を罷免するプロセスについて定めた項目が有る。議会は大統領の「道徳的無能力」を宣言する投票だけでその人を罷免することが出来る。
 「共和国大統領が空位となるのは次の時である:
  1)共和国大統領が死去した時。
  2)彼の永続的な道徳的または身体的無能力が議会によって宣言された時。
  3)議会が辞任を受諾した時。
  4)議会の許可無く国の領土を離れるか、または定められた期間内に領土に戻らない時。
  5)憲法第117条に定める何れかの違反行為により罰せられ、解雇された時。」
 
 最近ではアルベルト・フジモリの末息子のケンジ・フジモリが刑務所入りすることになった"Mamanivideos"スキャンダルが有名だが、アルベルト・フジモリのファミリーが率いる極右の人民勢力党(Fuerza Popular)が支配するペルー議会は極度の腐敗で知られており、富裕層(オリガーキー)が議会の票を買収するのは容易だ。2021/07/28にカスティーヨが大統領に就任した時にも直ぐに買収工作が開始された。

 議会は2022年9月の時点では僅か7%の支持率しか得られていなかったが、2022/12/07、つまり米国大使が国防相と面会した翌日、議会は前述の憲法第113条を持ち出して、カスティーヨに対するクーデターを開始した。このクーデターの試みは実は初めてではなく、この1年強で3回目だった。

 カスティーヨはクーデターを防ぐ為に議会を解散させることで対応したが、その法的根拠となったのは、ペルー憲法第134条
 「共和国大統領は、議会が2つの閣僚理事会(内閣)に対して問責または信任を拒否した場合、議会を解散する権限を有する。
  解散令には、新議会の選挙を求める内容が含まれる。この選挙は、解散の日から4ヵ月以内に行われるが、既存の選挙制度は変更されない。(以下略)」
 つまりカスティーヨ大統領の措置は憲法に規定されていた合法的なものだった。彼はこの法的根拠を明示した上で、解散が一時的なものであって、新しい議会選挙が出来るだけ早く実施されると約束した。

 ボッビオ国防相は即座に大統領の行動を非難し、辞任を表明する動画を公開した(つまり彼は3日間しかその職に居なかった)。彼はカスティーヨが「クーデターの試み」を開始していると主張し、ペルー軍に対して大統領を支持しないよう呼び掛けたが、今説明した様にカスティーヨの措置は合法的なものであったので、この時点でクーデターを教唆していたのはポッピオの方だ。

 米国は即座にこれに反応し、ケナはTwitterで、カスティーヨの行為を違憲行為だと主張して非難し、「ペルーの民主的機関が憲法に従って機能することを許可するよう強く要請」した。まぁ毎度の話だが、「何が合法で何が違法かは我々が決める。その国の憲法なんぞ知ったことか」と云う訳だ。その後米国大使館はケナの発言を公式に裏付けた。つまり議会の違法なクーデターに対してゴーサインを出した訳だ。

 カスティーヨは裁判無しで投獄され、その僅か数時間後に、議会はディナ・ボルアルテ副大統領を後任に任命した。ボルアルテは議会で、右翼と協定を結ぶことを約束した。因みにボルアルテは2022年1月の選挙前に、カスティーヨ支持の社会主義政党、ペルー・リブレ党(Perú Libre)から追放されており、社会主義政党の「イデオロギーを受け入れたことが無い」と公言している人物。

 2022/12/08、米国務省は早くもボルアルテを大統領として公式に認める声明を発表した。その一方でクーデターを非難する人々が通りを埋め尽くしたが、警察はこれを暴力的に取り締まり、数人を殺害した。

 2022/12/13、ケナはボルアルテと面会し、この選挙で選ばれていない新指導者に対するワシントンの全面的支持を表明し、「両国の関係を強化したいと考えている」と付け加えた。同日、米国務省のネッド・プライス報道官(彼もまた元CIAエージェント)はクーデター政権への揺るぎ無い支持を表明し、抗議者達に対する警官の暴力については、「我々はペルーの機関や市民団体が民主主義的安定を守っていることを称賛するものです」と発言し、「暴力的なデモ」を非難した(これが中国かロシアでの話だったら、180度違うことを言った筈だ)。

 2022/12/14、クーデター政権は30日間の全国的な「非常事態」を宣言し、カスティーヨに18ヵ月の刑を宣告する予定であると発表した。同日、米国務省のラテンアメリカ担当トップであるブライアン・ニコルズは、ペルーの人々に、厚かましくも「暴力を拒否する」ようツイート。他方メキシコ、アルゼンチン、ボリビア、コロンビアは、共同声明でカスティーヨ大統領への支持を表明し、「反民主主義的な嫌がらせ」を非難した。



 2020/07/23の議会指名公聴会で、リサ・ケナは「公職に就いている期間が長くなる程、私は、アメリカが世界で最も例外的な国であると云う確信を深めています」と発言している。まぁ確かに、ワシントンの連中達が、自分達は他国の法を全く蔑ろにしても構わない程、世界にとって「例外的」なのだと信じていることは確かだろう。ここまで恥知らずな所業は、「自分達は何をやっても決して罰せられない」と云う確信が無ければ実行出来ない筈だ。

ヴァシリー・ネベンジア: 「真の多国間世界秩序を構築すると云う課題に代わる選択肢は有りません」(抜粋)

2022/12/14、国連安保理討論会「国際平和と安全の維持:改革された多国間主義の新たな方向性」に於ける、ロシア常任代表ヴァシリー・ネベンジアの声明が素晴らしかったので大事な箇所を抜粋してみた。まぁ「ロシアのウクライナ侵略!」とか言っている人達にとっては「何言ってんだコイツ」程度の話なのかも知れないが、世界を見渡せば「正に言うべきことを言ってくれた!」と感じる人達もまた大勢居るだろう。
Vassily Nebenzia: “There is No Alternative to the Task of Building a Truly Multilateral World Order”
 ロシアの公式記録。
Statement by Permanent Representative Vassily Nebenzia at UNSC debate "Maintenance of international peace and security: New orientation for reformed multilateralism"



 「西洋諸国は、不可分の安全保障の原則を犠牲にしてNATOの拡大権を絶対化し、全世界を『炎上』させるかも知れない対立の危機にヨーロッパ大陸を追いやったのです。更に、NATOは世界的な野心を持っていす。」



 「『ルールに基付く』秩序」は、その本質に於て歪んだ世界像を提示しています、それは複雑な国際的プロセスを、民主主義国家対権威主義国家と云う原始的な対立構造にまで矮小化するものです。西洋は、この『独裁国家に対する十字軍』に出来るだけ多くの国家を巻き込もうと苦心しています。」



 「安保理も国連も、何としてでも今日の現実に適応する必要が有ります。そうでなければ、真の意味での代表制、多国間主義、加盟国間の関係に於ける平等は有り得ません。このことは強調しておきたいのですが———安保理の民主化は、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ諸国の代表を増やすことによってのみ可能です。

 今、国連はこれまで以上に、責任有る加盟諸国の保護を必要としています。我々は国連をあらゆる対立的なものから解放し、率直な議論と、互いに受け入れ可能・尊重可能な解決策を模索するプラットフォームとしての評判を回復し、誰もが国連憲章の目標と原則を明確に再確認出来るようにする必要が有るのです。

 この目的を念頭に置いて、2021年7月に『国連憲章を守る友の会(Group of Friends in Defense of the Charter of the United Nations)』が創設されました。」



 「真の意味での多国間世界秩序を構築すると云う課題に代わる選択肢は有りません。しかし、諸国家が互いに切り離され、信頼が危機を迎え、世界情勢に於ける対立の可能性が高まっている時、これを実現するのは非常に困難です。人類はその失敗から学ばねばなりません。インディラ・ガンディーが語った歴史の『不真面目な生徒達』が、自分達だけに適した解決策を傲慢にも全員に押し付けようとするのを受け入れる訳には行きません。

 我々は、来るべき世代が安全で調和の取れた発展を遂げる為の諸条件を整えると云う、共通の責任を自覚しなければなりません。真に包括的な多国間主義の発展、そしてまた多中心的な世界秩序の形成、国連の変革———これらが相互に関連したプロセスであることを、我々ははっきりと理解する必要が有ります。我々は、恐怖症、固定観念、地政学的ゲームを拒否せねばなりません。事態が紛争にまでエスカレートしてしまってからではなく、警鐘が慣らされている時点で、我々は互いに耳を傾け、互いの利益と『レッド・ライン』を尊重する必要が有ります。ロシアはこれまでも、そしてこれからも、その用意が出来ています。他の国々がそれに続くことを期待します。」
プロフィール

川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
全体像が知りたい場合は「カテゴリ」の「テーマ別スレッド一覧」を参照。

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