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COVID-19パンデミック詐欺直前のCEOの大量辞任

★参考として、世界的金融再編は2020年ではなく2019年後半から始まっている。
中央銀行家達による2019年の「レジーム・チェンジ」 と「グレート・リセット」(要点)

昨年辞任したCEOの数は、リーマンショック時よりも更に多い。気になるのはこの大量辞任現象がコロナパニックの後からではなく、前から起こっていることだ。偶然の結果だ、誤差の範囲内だ、と見ることも確かに出来ない訳ではないが。


CEOの辞任ブームについて、日本語の記事も有った。現在は憶測を巡らせる以上のことは出来ないのだが、怪しいと言えば怪しい。
米:昨年から先週までに大量のCEOが辞任していました。

CEOの辞任ブームについて、これも大体同内容の記事。怪しいが、彼等が何か悪事を働いたと云う証拠は無い。偶々人並み.外れて先見の明に恵まれたCEOが多かっただけかも知れない。単なる偶然なのか、何かの作為が働いていたのか。コロナウィルス・パニックによって大儲けした連中が居るのは確かだが、現時点では憶測以上のことは出来ない。
Why Did Hundreds Of CEOs Resign Just Before The World Started Going Absolutely Crazy?

最近の辞任劇で思い出されるのはやはりビル・ゲイツ。こちらはコロナウィルス・パニックが始まってしまってからなのでCEO大量辞任と関係が有るのかどうか判らないが、彼が取り組むと言っている環境ビジネスには胡散臭さしか感じない。
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CNBCも報じている。
2019 had the most CEO departures on record with more than 1,600

年代別に見ると、CEOの大量離職は通常の動きの範疇内で説明が付きそうにも見えなくもない。2019年は企業の成績は好調だったのに、このCEOの離職の増加をどう見るか、だなぁ。元記事に拠れば昨年辞職したCEOの総数は1,640人になっている。FortRussの記事の一寸小さい数字は何処から出て来たんだろう。

2019 Year-End CEO Report: 160 CEOs Out in December, Highest Annual, Quarterly Totals On Record

こちらの記事はCEOが大量辞任した理由として、倫理的理由(コンプライアンスを求める取締役会の声)なんかを挙げているが、そんなものは俄かには信じ難い。やはり株の暴落は人為的に引き起こされたものではないかと云う疑いが拭えない。
Why have more than 1,300 CEOs left their post in the past year?

CEOの大量辞任の件は検索してみると2020年2〜3月分だけでもやたらと引っ掛かる。まぁ「彼等は全員人並み外れた先見の明の持ち主でした」でも説明は付いてしまうのだけれども。
The great CEO exodus of 2020

別の記事でも確認が取れた。CEOの歴史的大量辞任や自社株の売却は、コロナウィルス・パニックの後ではなく先に起こっている様だ。彼等は全員、素晴らしい先見の明に恵まれていたのだろうか?
CEOs Quitting in Record Numbers Could Signal Total Stock Market Collapse

2019年末までに辞任した企業のCEOの数は過去最高の1,480人。1月だけでも219人、2月は172人。株の暴落前に数十億ドル相当の自社株売却も行われている。何だこりゃ。これが本当なら怪しいなんてものじゃないぞ。
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肺炎

2022/03/25、IVT-15肺炎球菌ワクチンの概要。Inventpriseが独占権を持つ新規の linker platform 技術と云うものが使われているらしいが、詳細は不明。
IVT-25 Pneumococcal Vaccine

肺炎ワクチンIVT PCV-25の治験の報告書(最終更新2022/11/09)。
Study to Evaluate a 25-Valent Pneumococcal Conjugate Vaccine (IVT PCV-25)

WHOの実質的な最大の出資者として世界のワクチン業界に君臨する(再確認しておくと医者でも医学や公衆衛生の訓練を受けた訳でも何でもない)ビル・ゲイツは、2022年9月の時点では、「毎年670,000人以上の子供を殺す急性呼吸器疾患である肺炎」を対象とするワクチン開発を支援している。IVT-PCV25と呼ばれるこの新しいワクチンは、25種類の異なる種類の肺炎球菌から保護するように設計されている、「独自の技術」を使ったワクチンで、Inventpriseと企業が開発を担当している。
A promising new vaccine candidate to protect children from their #1 killer
 公式CM。
A promising vaccine candidate to protect children from their #1 killer

大英帝国は40年間で1億6,500万のインド人を殺害した:植民地主義がファシズムに影響を与えた方法(要点)

ベン・ノートン氏の記事の要点。最新の学術研究に拠ると、大英帝国の植民地支配が原因で、1880〜1920年の間にインドでは1億6,500万人が死亡した。これには人為的に引き起こされたベンガル飢饉によって亡くなった300万人は含まれていないが、この数字はナチスドイツのホロコーストと第二次世界大戦を合わせた死者数よりも更に多い。インド人の平均余命は戦後に独立を果たすまで、近世イギリスの水準(35.8歳)にすら達していなかった。まぁインド人は「価値有る犠牲者」のカテゴリーには含まれないので、肌の黒い人々がどれだけ死のうと、自分達だけの自由と民主主義と人権を重んじる白人や名誉白人の皆さんは一向に気にしない。何時もの様に。崇高なる「白人の重責」を果たす為には、多少の犠牲には目を瞑って構わないのだ。

British empire killed 165 million Indians in 40 years: How colonialism inspired fascism

 こちらが元となった論文。16世紀以降の実質賃金、人間の身長、死亡率を世界規模で分析している。
Capitalism and extreme poverty: A global analysis of real wages, human height, and mortality since the long 16th century

 こちらはアルジャジーラの記事。資本主義のお陰で、インドの極度の貧困率は、1810年の23%から、20世紀半ばの50%以上にまで増加した。
How British colonialism killed 100 million Indians in 40 years

 これに関連して、或るエコノミストの推定では、2世紀に及ぶ植民地支配の間に、大英帝国はインドから少なくとも約45兆ドルの富を盗んだ。まぁ大英帝国が強盗大国であることは大英博物館を見れば誰でも解る。21世紀になって英米の諜報部や軍の支援を受けたジハード主義者達がイラクやシリアでやらかした略奪や破壊行為は、大英帝国がインドや中国で行ったことを再現している様なものだ。
British Raj siphoned out $45 trillion from India: Utsa Patnaik

British empire killed 165 million Indians in 40 years: How colonialism inspired fascism

「何が見えているか」ではなく、「何が見えていないか」の方がずっと重要

Charles W. Mills著、The Racial Contract のレビュー。




 どうも差別と云うものは人によって気付き易かったり気付き難かったりする様で、振り返るに、私は前者のタイプだった。日本は差別の無い国だと言われることも有るが、私に言わせれば年齢による差別、性別による差別、地域による差別、収入による差別、人種や出身地による差別………そんなものは身の回りを見渡せば幾らでもゴロゴロしている訳で、まぁこれは大人になってから気が付いたことだが、差別の存在に気が付かない人は一生気が付かない儘生活しているらしい。

 差別が甚だしい分野は特にマスコミ報道で、例えば或る国に関する報道姿勢と、別の国(例えば自国やその同盟国)に関する報道姿勢とがまるで違っているなどと云うことがよく有る。二重基準は日々のニュースを見れば至る所に転がっているのだが、これも気が付かない人は全く気が付かない。私は元々普遍志向の強い子供だったので、或るルールや法や基準のことを考える場合、それは何時何処で誰に対しても等しく同じ様に適用されなければならない、と云うことに強い拘りが有った。なのでひとつのルールが状況に応じて別様に使い分けられているのを見ると、そこに偽善や欺瞞、不平等と差別的な眼差しを見て取った。日々のニュース報道が読者や視聴者のものの見方を差別的な方向に誘導しようとしていることは私から見れば火を見るよりも明らかだったのだが、気が付かない人はこうした偏向に対して全く何も疑問に思わないらしいことは、大人になるにつれて徐々に知って行った。そして日本のマスコミの堕落と偏向っぷりは改善されるどころか、9.11や第二次安倍政権による言論統制強化、資本の集約やテクノロジーの進歩によるメディア形態の変化を経て、益々悪化して行った。

 二重基準を適用されて非難や批判を受けたり、或いは黙殺されたり過小評価されたりする対象には多くの場合共通点が有って、それは帝国主義や新植民地主義や新自由主義の被害者や犠牲者だと云うことだ。私達の国はその加害者サイド。加害者が被害者を悪魔化するのには長い伝統が有って、西洋植民地主義の歴史を遡れば、アメリカ大陸の先住民達の周りに「野蛮な人食い人種」の神話が張り巡らされた事例なぞが解り易いが、私はよくこれを西部劇に例えている。「野蛮なインディアンが善良な開拓民を襲撃し、勇敢な騎兵隊が救援に駆け付ける。」これは情報の切り取りと歪曲によって主客を転倒させる認知操作の企てだ。大局的に見れば無論侵略者や略奪者は白人の方であって、「インディアン」は騙されて土地を奪われてジェノサイドと奴隷制とアパルトヘイトの対象となった被害者だ。だが西武劇的な物語は屢々大量の嘘を交えてこの構図を逆転させ、「インディアン」は野蛮なのだから「騎兵隊」が介入や弾圧を行なって、白人による適切な管理を行なってやらねばならない、と云う話に繋がる。「野蛮なインディアン」にされた側からすればこれはとんでもない偽善でしかないのだが、「善良な開拓民」の側からすれば至極当然のことであって、「我々」が「彼等」を見下すのは極く自然な物事の秩序として正当化されている。従ってこの嘘に気付けるかどうかは、「被害者の視点に立って物事を想像してみることが出来るかどうか」に懸かっている。

 最近の例で顕著なものはウクライナ紛争で、西側大手メディア報道が描き出すロシア像は、正に「野蛮なインディアン」そのものだ。挑発されてもいないのに領土的な野心だか何だかに駆られていきなり侵略戦争をおっ始め、戦略的な意味は全く無いのに民間人を標的にしたり捕虜を拷問したりし、それどころか自軍が管理する地域にミサイルや砲弾を撃ち込んだり、所謂「親ロシア派」と言われる人達をも虐殺したりと、破壊と殺戮と征服以外に何をしたいのか、全く訳が分からない。対話も交渉も通じない、完全に理解不能の、血に飢えた狂ったモンスターだ。この戦争が2022年になっていきなり始まった訳ではなく、短期的に見ても少なくともこの8年ずっと続いて来たことを知っており、日々呆れ返る程大量の反ロシア・フェイクニュースが認知戦争の一環として垂れ流されていることを知っている少数派にとっては、状況の構図は全く違ったものに見えているが、そうでない人々にとっては、ロシアのプーチン大統領は全人類の敵、邪悪を体現した様な人物に映るだろう。

 これは無論「大規模な知覚管理・心理操作によって騙されているに過ぎない」と言われればその通りなのだが、知覚管理は騙される方にもその心理的な下準備が出来ていなければ可能にならない。「ロシアは訳の分からない、理性も合理性も欠落させた理解不能の国である。ロシア人は『我々』とは全く異なった存在であり、人間以下の人間である」と云うメッセージを送られてそれを素直に受け取ってしまうのは、ロシアやロシア人をそうした相手と見做しても構わない、と云う差別的な姿勢が、騙される方にも備わっていなくてはならない。

 これは一部は冷戦期に大量に振り撒かれた「共産主義者は世界征服を企んで世界中に陰謀を張り巡らせている」と云う反共プロパガンダによる洗脳の遺産だと言うことも出来るだろうが、この洗脳を振り払うことはそれ程難しくない筈だ。例えば「NATOを東方へ拡大しないと云うゴルバチョフとの約束を破った件について、欧米は全く後悔も反省もしていないし、それが引き起こした結果に責任を取るつもりも無い」と云うことを当事者達自身(ビル・クリントンやアンゲラ・メルケル)が認めているとか、「2014年の米国が仕掛けたクーデーター以降、ウクライナはナチの天下になった」と云う情報は広く報道されている訳ではないので、深く掘り下げた考察はそうした情報にアクセスしている一部の者にしか出来ないかも知れないが、それでも「ワルシャワ条約機構が解体されたのに、何故NATOは解体しないのか?」「NATOが冷戦後やっていることは加盟諸国の防衛とは全く関係の無いことばかりではないか?」「何の為にNATOは執拗に狂った様に拡大を続けているのか?」「国連憲章違反は戦争犯罪を繰り返す米軍やNATOは何故不処罰の儘なのか?戦争犯罪者や大量殺戮者が何故野放しになっているのか?」と云う程度の疑問は、中高生程度の一般的な社会的知識が有れば持つことが出来る筈だ。少なくとも西側とロシアを対等な主権国家と見做し、それぞれがぞれぞれの国益に従って行動している、と云う視点を確保出来ていれば、この不自然で不均衡な状態を疑問に思わないことなど有り得ない。それが出来ないと云うことは、そもそもそうした疑問を持つことを禁じる不可視の認知的な枷によって、人々の視野が狭く偏った領域の内部に閉じ込められていると云うことだ。「共産主義/ロシアは絶対的な悪である」と云うプロパガンダが人々の精神に於て内面化され、「我々」とロシアに対しては別の基準を用いることが自然なことなのだ、と云う暗黙の前提が広く共有されているのでなければ、今日の様な反ロシア感情の昂まりは説明出来ない様に思う。

 別の事例を挙げよう。2019年に香港で起こったことは、「旧植民地が植民地主義の遺産のひとつである実質的な治外法権状態の一部を改正しようとしたところ、旧宗主国とその同盟国の諜報部の大規模な妨害工作を受け、犯罪者達の避難所としての汚名を返上する折角の機会をフイにしてしまった」と云う風に纏めることが出来るかと思うが、私が興味深いと思ったのは、当時の沖縄県民の反応だ。日米地位協定の所為で日本全土はまぁ実質的な治外法権状態に置かれおり、特権を与えられた犯罪者達の多くが野放しになっている訳だが、その被害を最も被っているのは沖縄だ。両者の置かれている状況を考えれば、米軍の無法に憤っている沖縄県民達は、同じく治外法権状態を何とかしようと奮闘する香港当局に対して連帯の意を示しても良かった筈だ。だが当時SNSで広く見られた反応を見る限り、沖縄県民は「政府の弾圧vs抵抗する民衆」と云う表層的な類似点にのみ気を取られ、寧ろ帝国の手先として働いていた暴徒達(殆どは10代か20代、つまり香港の植民地支配の実態を実体験として知らず、それ故に嘘を見抜けない世代)に対して声援を送っていた。これは沖縄県民の世論を形成する上で重要な役割を果たしていた沖縄地方紙2紙が、共同通信等の大本営報道を転載するばかりで、独自の取材は勿論、独自の分析や論説を掲載することも出来なかった影響も大きいとは思われるが、読者の方でもそれに疑問を持たなかったと云うことは、沖縄県民は自分達の闘争を、より大きな文脈の一部として捉えることが全く出来ていないことを示唆している。香港で起こったことを沖縄に置き換えるなら、沖縄県民の強い要望を受けて沖縄県知事が地位協定の改正を働き掛けたところ、米軍占領時代を知らない若い世代が米国の諜報部の扇動工作に乗せられて破壊活動や暴力行為を繰り返し、星条旗を振りながら「県知事の横暴を止めろ!米国は地位協定温存の為に日本に圧力を掛けろ!これは民主主義の為なのだ!」とか叫んでいた様なものだ。米軍人や軍属が犯罪を犯しても起訴されないか軽い罪で済んでしまう現状を指して、米軍が「日本の司法の横暴から沖縄の民主主義が守られた状態だ」などとふざけた発言を行ったら、沖縄県民はどう思うだろうか。これ程イカれた事態であっても、沖縄県民が西武劇的構図でしか香港の状況を理解出来なかったと云うことは、彼等は自分達に関わる問題に関しては被害者の視点で考えることが出来るが、自分達とは別の場所で起こっている似た様な事例に関しては、加害者の視点で見ることに慣らされてしまっていると云うことだ。植民地支配の恐ろしいところは、支配される者が頭の中を植民地化され、自分でも気付かない内に支配を当然のものとして内面化してしまうことだが、沖縄でも正にこのパターンが繰り返されていた。

 本書は、古典的な「社会契約」の思想や近代西洋の啓蒙思想全体が、こうした認知的歪みによる「無知の認識論」の上に成り立っていたことを論じた本だ。著者はジャマイカ出身の黒人なので、主に黒人差別の視点から論じているのだが、「奴隷制、植民地主義、黒人差別、人種隔離、欧州帝国主義、アパルトヘイト」に対する闘いは、全て消毒され理想化された「社会契約」ではなく、具体的な現実に埋め込まれた「人種契約」に対する闘いとして括ることが出来ると論じている。人種契約の話を何処まで一般化するかどうかは人によって意見が分かれるところだろうが(例えばフェミニズムの視点から、女性差別や家父長制の問題と何処まで共通して語れるのか等)、「無知の認識論」、即ち、近代社会の担い手として語られる「人間」についての言説は、須く「非人間」、つまり「人間以下の人間(Sub-human/Untermenshcen)」についての了解とセットである、と云う指摘は、広く応用可能なものだろう。

 例えば、プラトンやアリストテレスを生んだアテネ帝国が奴隷制を有していたことは誰でも知っているが、それが彼等の知の形態に於て果たしていた役割は周辺的なものであるかの様に語られている。だが、現実の事象がその様に周辺化されていたこと自体が、彼等の知の形態の輪郭を形作っているとしたらどうだろう。社会契約は抽象的な概念であって、現実の社会には対応しないものとされている。だが主要な社会契約論者達は全て(20世紀のロールズやノージックまで含めて)、資本主義システムの中核諸国に住む中流以上の白人男性を想定して論を展開しており、それ以外の人間が全て「非人間」の領域に押し込まれて不可視化されていたとすれば、彼等が現実に存在する差別的な制度や社会形態について、語っていることよりも語っていないことの方が寧ろ重要となる。そこには「それは独立した問題として取り上げるに値しないテーマである」と云うメッセージが暗に含まれているからだ。現実に存在する人種契約を無視して抽象的な理念についてだけ語ることは、その儘人種契約の現状肯定を意味する。それは差別について語らないことによって、寧ろ極めて差別的な性格を帯びることになる。目の前でいじめが行われている時に黙ってアサッテの方向を向いていることが、それ自体でいじめへの加担となるのと同じことだ。「昔は『人間』のカテゴリーに含まれる存在の領域は狭かったかも知れないが、時代の進歩と共に女性や黒人や奴隷等の『非人間』も包摂する様に、概念を拡大して行けば良いではないか」と云う反論は、従って社会契約の差別的な性格を矮小化している。現実の人種契約は社会契約からの瑣末な逸脱なのではなく、人種契約の現実こそが、社会契約の理念を支えている土台なのだ。差別はルール違反なのではなく、それ自体が語られざるルールなのだ。社会契約思想は「何を見ないか」を選択することによって、現実の差別を黙認肯定する思想なのだ。

 崇高さを追求し人倫の在り方を説いたカントが、人種間の優劣を論じた人類学者であったと云うことは、単なる瑣末なエピソードではない(カントは晩年は差別的傾向を変えたと云う指摘も有る様だが)。道徳律を説いた人が偶々人種差別主義者だった、と云うことではなく、現に横行する差別的システムに対してラディカルな疑問を抱くことの無い人物が考え出したのがあの道徳率だった、と云うことなのだ。つまりカントの道徳率は現状維持を前提として、少なくとも根本的な変更を迫ることを想定せずに考え出されたものであって、「劣等人種」もまた白人男性と等しい諸権利を有するべきだと云う可能性は、彼の想像力の埒外に在ったのだ。これは単に、カントが想定していた人間の範疇を有色人種にまで拡大すれば修正出来る、と云う単純な話では片付けられない。他の契約論者についても状況は似たり寄ったりで、例えば「労働」によって土地に「価値」を与えることを所有権の基礎に置いたロックの思想は、「労働」によって土地に「価値」を与えようとしないアメリカ先住民からの、白人による土地の強奪を正当化した。そこから「市場価値の低い者に権利は無い」とする新自由主義まではほんのひと跨ぎであって、これは到底、具体的な現実に対して中立の、単なる抽象的社会を想定した思想とは言い難い。或る思想が現実世界の何を疑問視しないかには、その思想の認知的限界が自ずと表されているのだ。

 現代に於ても、例えばサルトル以降のフランスの「現代思想」家達の中で、植民地主義や新植民地主義、フランサフリック体制による実質的な植民地支配の主要なテーマとして批判した者がどれだけ居るだろうか? 西洋世界全体を見渡してみても、学界や出版界、メディア業界に於て、西洋の帝国主義や新植民地主義を正面から批判する者は、常に周辺に追い遣られているのが現状だ。中心部の言説を形成する層は、常に政府や軍や諜報部やグローバル・パワーエリート層が定めた認知的制限から殆ど一歩も出ること無く、アンチ・ラディカルとも呼ぶべき路線に従って、根本的な現状変更を訴えることの無い言説を再生産し続けている。ラディカルなジャーナリズムや批判を貫く代替メディア界隈では時々、大手メディアに於けるこうした報道の偏りを指して「耳をつんざく様な沈黙」と云う皮肉表現が用いられることが有るが、正にこれが問題の要点を表現している。「彼等が何を問題にしているか」ではなく「何を問題にしていないか」こそに、現代の西洋文明の抱える根本的な病理を見出すことが出来る。 
 
 この認知的盲目の病理は、今日では殆ど喜劇的なまでにグロテスクな状況を生んでいる。例えば2022年の米中間選挙は世界全体の今後を占う上で重要な選挙だった。何しろ認知能力に疑問を抱かせる高齢の大量殺戮者の手に「使い易い」核のボタンが握られていて、状況の展開次第では本当にロシアに対して核兵器を使用し、従って第三次世界大戦を始める可能性すら有ったのだ。だが選挙で最大の争点とされたのは、何と中絶問題。中絶問題が重要ではないとは言わないが、下手をしたら人類文明存亡の危機と云う非常時に、これはどう考えても優先順位を間違えている。しかも「西部劇」を信じ込んだ人々は、核兵器を使おうとしているのはロシア=悪いインディアンの方だと思い込んでいる。10月に行われた核兵器の使用を想定した演習では、ロシアは従来の路線と同じく抑止力としての戦略核の演習を行ったに過ぎないのに対して、NATOは限定的な使用を目的とする「使い易い」戦術核の演習を行った。どう考えても核兵器を使いたがっているのはロシアではなくNATOの方だ。これはつまり「ロシアが核戦争を起こそうとしている」と云う米/NATOのプロパガンダを鵜呑みにした人達は、冷戦後米/NATOが狂った様に軍事拡大路線を続けて軍事的覇権を拡大し、侵略と他国の主権侵害を繰り返し、核戦争に対する歯止めを次々に払い除けて、ロシアを軍事的に脅迫し続けて来たと云う文脈が全く目に入っていないと云うことだ。これらは「白人のよるインディアンの虐殺」同様、彼等の目の前で起こって来たことであるにも関わらず、彼等は「インディアン」の立場から状況を捉え直してみると云う作業を、全く怠って来たのだ。今ロシアに向かって「戦争反対」と叫んでいる人達は、自分達が実質的にナチによるジェノサイドと第三次世界大戦を黙認肯定していることに全く気が付いていない。ウクライナに限れば8年間、NATOに関しては20年以上に及ぶプーチンの懸命の外交努力は、彼等にとっては全く何の意味も持っていないのだ。差別的な眼差しによる認知的な偏りは、今や直接的に人類の存亡にまで関わる様になっている訳で、これは全く途方も無い状況だ。

 ウクライナ紛争は正に人種契約のオンパレードだ。ウクライナからの避難は白人優先で、中国やインドやアフリカ諸国から来ていた人々の避難は後回しにされている。ウクライナからの難民は欧州各国で優先的に受け入れられているのに対し、それ以前から欧州に殺到していたイラクやシリアからの難民は依然として待ちぼうけ。ウクライナについては連日一面トップで報じられるのに、ウクライナよりも遙かに大きな被害が出ているイエメンやシリアやアフガニスタンやエチオピアやパレスチナ等の有色人種の国々の苦境は殆ど、或いは全く報じられない。ウクライナへは欧米から莫大な軍事援助が送られる一方で、緊急に人道支援を必要としている上記の国々への支援は寧ろ削減され、それどころか欧米やその代理勢力から爆撃・制裁・外国資産や天然資源の強奪等の非道な追い打ちを掛けられている。同じ白人の範疇に入る人種であっても、2022年になってからの「ウクライナ人」達の苦境は連日大きく報道される一方で、2014年以来ナチの民族浄化の対象となって来たドンバスのロシア語話者達の苦境は完全に無かったことにされている。同じ「ウクライナ人」で同じ白人種であっても、帝国主義者達のロシア征服の戦略に従って、意図的に「価値有る犠牲者」と「価値無き犠牲者」が選別されているのだ。西洋の反ロシア・キャンペーンは一応国を対象としており、個人として攻撃されているのは主にプーチン大統領だ。だがウクライナの子供達は8年間も「ロシア人は敵だ。憎め。殺せ」と洗脳されて来た訳だし、欧米ではロシア・ヘイトに加担しない者はあからさまな異端者狩りの攻撃の対象となっている。ロシア・メディアは広く検閲対象となり、ロシア語のみならずロシア文学やロシア音楽、ロシアの歴史まで否定する動きは、ウクライナの国境を超えて欧米全体に広まっている。この動きがこの儘エスカレートすればやがてどうなるかは、想像するに難くない。しかもそれが「戦争反対」のスローガンの下に行われているのだから全く笑えない。

 これに絡んで幾つか興味深い状況も散見される。「ウクライナにナチは居ない」と主張する人々がよく口にするのが、「ウクライナ大統領ゼレンスキーはユダヤ人だ。ユダヤ人が反ユダヤ主義を支持する筈が無い」と云うもの。だがゼレンスキーは傀儡に過ぎないし、黒人のオバマ大統領が黒人の味方ではなかった様に、体制に順応した裏切り者など何処にでも居る。ウクライナのバンデラ主義者達のメイン・ターゲットは21世紀の状況に合わせてロシア人に変えられているものの、彼等が掲げている綱領に反ユダヤ主義が含まれていることは周知の事実だ(以前は西側大手メディアですらその点を報じていた)。興味深いことに、ゼレンスキーのスポンサーであるオリガルヒのコロモイスキーはイスラエルの国籍を持っていると同時に、反ユダヤ主義を掲げるアゾフ大隊の最大のスポンサーでもある。ユダヤ人が反ユダヤ主義を支援するなどと云うのは常識的な思考には反するが、それが今目の前で起こっている事実だ。これは「人種」と云うのは、権力者達が自分達の戦略目的を遂行する上で或る程度恣意的に選択するカテゴリーに過ぎないのかも知れないと云う可能性を示唆している。イスラエル当局が2022年11月になって、エチオピアからの移民に対して秘密裏に強制不妊措置を執っていたことを公に認めたことも、この点で興味深い。ユダヤ人の国が肌の黒いユダヤ人に対して優生学的人口削減政策を実施していた訳だ。この2年前からイスラエル当局がファイザーと秘密契約を結び、自国民を新しい遺伝子治療装置(COVID-19用のmRNAワクチン)のモルモットとして利用していた件も示唆的だ。ナチが昔行っていたのと似た様なことを、今はシオニストが行なっている。

 ミルズはナチズムの問題も植民地主義の延長線上で捉えている。「カントの様な哲学者を生んだ文明国ドイツが何故ホロコーストなどをやらかしたのか」とはよく聞かれるが、先述した様に、カントは正に人種に優劣が有ることを主張した人物であり、ドイツはホロコースト以前にも、ナミビアでアフリカ人に対する大量虐殺を行なっている。ヒトラーがユダヤ人等を600万人殺したのが「野蛮」であるなら、レオポルド2世がコンゴのアフリカ人を1,000万人殺した件や、チャーチルがベンガルのインド人を300万人殺した件もまた同様に「野蛮」ではないのか? ヒトラーは植民地主義諸国が行なって来たことを、帝国主義的事業を遂行する上で当然のこととして繰り返したに過ぎないのであって、彼が他の帝国主義者達と異なっていたのは、単にそれまでの様な有色人種ではなく、白人の範疇に含まれる人々を標的にしたからに過ぎない、と云う本書の様な指摘は、文字通りのナチズムが今また欧米のロシア征服事業の一環として復活させられて来ている現状では、非常に重要な意味を持っているのではないだろうか。「差別が先か、帝国主義が先か」は鶏と卵の様な問題だが、帝国主義が遂行される場面では必ず「非人間/Untermenschen/価値無き犠牲者」が作り出されることは覚えておくべきだろう。それは状況に応じて恣意的に変更されるが、決して自然発生的なものではなく、何等かの明白な戦略的意図が有って作り出されたものなのだ。

 人種に焦点を当てた「人種契約」の概念は今日でも有効だが、より多くの事象をカヴァーするには、もっと広く一般化した概念が必要ではないかとも私は思う。本書の限界を示唆する点のひとつとして、著者自身が人種契約的西部劇に騙されている事例を指摘しよう。ミルズは黒人自身が名誉白人化して黒人差別を行う様になる事例として、1994年のルワンダの虐殺を挙げ、「自分達が優れていると信じたフツ族による、より『劣った』ツチ族のジェノサイド」だと説明しているが、これは誤りだ。この時起こったのが「フツ族によるツチ族の大量虐殺」であると云うのは西洋/新植民地主義勢力が広めた大嘘であって、実際に起こったのは「クリントン政権が支援するルワンダ愛国戦線(RPF)によるルワンダ侵略とフツ族の大量虐殺」だ。フツ族からツチ族に向けられた憎悪が無かった訳ではないが、フツ族に殺害されたツチ族の数は、RPFに殺害されたフツ族の数に比べれは遙かに少ない。歴史を振り返ってみればそう難しい話ではなく、白人のお気に入りとして長年他部族に対する差別感情を発達させて来たのは、フツ族ではなくツチ族の方だ(ハリウッドのプロパガンダ映画『ホテル・ルワンダ』でもこの点は言及されている)。これは現代の西洋のハイブリッド戦争に於ける知覚管理の顕著な成功例だが、これによりルワンダ侵略が正当化され、その後の二度のコンゴ紛争が不可視化されただけではなく、「黒人をうっかり独立させたりすると、殺し合いをしたりして碌なことにはならない。賢明な白人が、必要なら武力を用いて介入してやらなければ、黒人が無事に国を治めることなど出来合い」と云うイメージが拡散されることになった。現代の人種契約の現実を理解するには、この様に、メディアや諜報部による大規模な知覚管理の仕組みを知っておく必要が有る。「西部劇」は国際社会の至る所で展開されているので、その存在に気が付く為には、報道の歪みや偏向に敏感になっておくことがどうしても必要なのだ。

 私がこのレビューで焦点を当てたのは主に国際政治に於ける差別だが、当然ながらこの発想は様々な領域に応用が可能だ。人間を対象とする事柄であれば、「人間以下の人間」のカテゴリー設定のヴァリエーションが、上記に挙げた以外にも色々と考えられるだろう。但し「無知の認識論」、即ち選択された黙殺に基付いて認知的限界が定められ、現実の巨大な「盲点」の上に、何を問うことが許されるのかについての輪郭が形成される事態は、人間の領域に留まるものではないとも思える。全世界的規模でCOVID-19パンデミック詐欺や気候変動/SGDs詐欺が罷り通る現実を前にしては、「科学的事実」の様な、人間以外のものを対象とした認知的盲点の話も、避けては通れないだろう。現時点ではこれらを包括的に語る適切な用語を私達は持ち合わせてはいないが、状況の全体像を見ることを不可能にする認知的タブーが知覚管理によって人為的に構築される現実を、私達は今目にしている。我々が如何にして巨大な権力によって盲目にされ、また自ら盲目性を再生産するのかについては、何れもっと真剣な議論をせねばならないことだろう。

 そこまで行かずとも、まぁ取り敢えず本書が教えてくれる重要な教訓はこうだ:「人間」と「人間以下の人間」の境界線に敏感になろう。自分が見ているものより、「何が見えていないか」に関心を払おう。二重基準は差別そのものだ。他者を自分と同等の存在と見做して、具体的な文脈の中で他者を理解する習慣を身に付けよう。理念よりも生の現実に関心を払おう―――但しこの警告はこれは解らない人は全く解らない話かも知れない。自分に見えていないものについて考えることは、自分が見ているものについて考えるよりもずっと難しいものだ。

 本書冒頭に掲げられたアフリカ系米国人のアフォリズムが、人種契約の核心を端的に言い表している:「白人が正義(Justice)と言う時、それは『俺達だけ(Just us)』と云う意味だ。」確かに、普遍的で美しい理念は数多く語られている。だがそれが具体的な生きた現実の中でどの様に適用されるかには、明らかな偏りが見られるのだ。それは余りに有り触れているので、語られた理念それ自体の欠点とは通常見做されない。だが象牙の塔に閉じ籠るのではなく、具体的な生きた現実について理解したいのであれば、そうした不均衡と向き合う作業はどうしたって不可欠だ。理念は現実によって修正されなければならない。理念が適切に適用されていない事例にいち早く気が付かなければ、やがて「自分が見ている限りの現実」しか見えなくなってしまう。その積み重ねが例えば第三次世界大戦に繋がるとしたら、これ程アクチュアルで緊急性を持った課題はそうそう無い。ウクライナ紛争は少なくとも地政学レヴェルに於て、西洋市民にとっての不可視領域が如何に巨大で破壊的なものであるかを浮き彫りにした。気が付くのは早けれれば早い程良い。気が付けない人がこの先も多数派を占める様であれば、西洋諸国の認知的な白人と名誉白人達は、何時までも帝国とその属国に住み続けることになる。

 2011年の3.11の後、原子力研究者の小出裕章氏が「(原発安全神話を鵜呑みにして)騙された方にも責任が有る」と云うことをよく言っていた。似た様な発言として、伊丹万作が第二次大戦後の1946年に、「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」と語っている。巨大な悪と云うものは屢々、嘘や腐敗によって支えられた大きなシステムに人々が疑問を抱かないことによって可能になるものだが、それは現状に疑問を抱かない人々によって受容されなければ成立しない。疑問に思わないことが既にひとつの悪への加担行為なのだ。何を語るかではなく、何を語っていないかの方が遙かに重要な局面と云うものが存在する。本書はそうした認知的不作為による共犯関係に対して警鐘を鳴らしてくれる、稀有な本のひとつだ。

脱洗脳へ向けて

★Charles W. Mills著、The Racial Contract のレビュー。様々な認知的な檻の存在に気が付こう。
「何が見えているか」ではなく、「何が見えていないか」の方がずっと重要

COVID-19でも移民問題でもウクライナ問題でもそうだが、帝国主義勢力は他者に共感する人々の精神的能力を兵器化して人々を攻撃し、自らの支配に役立てている。
「正義と命の為の武器としての共感を取り戻しましょう。」
Imperialism and the Weaponization of Empathy

原発や気候変動もそうだが、政治とビジネスが偽科学のマスクを被ってマスコミを使って人々を洗脳する時、人々は容易に分断され、冷静な議論は不可能になる。マスコミは伝えないが人々が知るべき事実をどう伝えるかが鍵になる。
Are Conversations About COVID Vaccines Fracturing Your Family? Here’s What You Need to Know.

他のあらゆる巨大な出来事と同じく、COVID-19パンデミック詐欺は複雑で、単純に白黒では区別出来ないことだらけ。現実を適切に理解するには批判的思考が不可欠だが、大手メディアは感情に訴え不安を煽り、人々を思考停止に導こうとする。考えることが何よりの解毒剤だ。
The Lesson of Covid: When People Are Anxious, Isolated and Hopeless, They’re Less Ready To Think Critically

米国の9〜13歳の子供を対象した調査に拠れば、楽しみの為に本を読む子供は1984年以来下がり続けている。読書は堅固な自立した思考の訓練だ。読書体験の少ない子供はより刹那的な印象に影響を受け易く、従って洗脳が容易になる。
Fewer children are reading for fun, US data shows

英国の調査では、ワクチンパスポートが導入されても非接種者の87.8%は自分の判断に変更は無いと回答。残りの12.2%の内約2/3は忌避傾向が寧ろ強くなる。強制は逆効果である上、社会の分断を進めることになる。
Vaccine passports will make hesitant people ‘even more reluctant to get jabbed’

『ランセット』に掲載された英国の研究では、ワクチンパスポートの導入は、既に接種するつもりの人にはプラスの効果を齎すが、接種するつもりの無い人には寧ろマイナスに働き、社会全体の二極化が進むことになる。
The potential impact of vaccine passports on inclination to accept COVID-19 vaccinations in the United Kingdom: Evidence from a large cross-sectional survey and modeling study

「哲学は驚きから始まる」とアリストテレスは書いたが、近世の哲学は懐疑から始まる。このパンデミック詐欺は私達に現在の知の体系を根本的に問い直し再構築する作業を迫っているが、その為には健全な懐疑精神の育成が不可欠。信じるな、思考停止するな、安住せずに疑え。
Applied Wisdom for Sceptics

マーク・クリスピン・ミラーのインタビュー「どうやってプロパガンダを武装解除するか」。プロパガンダの問題に長年取り組んできた専門家の貴重な洞察。問題の存在に気付いている人は、焦らず結論を急がず様々な可能性に対して心をオープンにしておくのがとにかく大事。
WATCH: How to Disarm Propaganda

マーク・クリスピン・ミラー教授のインタビュー。「プロパガンダ」と聞いて中国やロシアや北朝鮮を真っ先に思い浮かべる人は、現代社会の真の姿を全く理解出来ていない。そのイメージこそが、パクス・アメリカーナが作り上げた史上空前のプロパガンダ・システムの成果だ。
Propaganda & Engineering Consent for Empire with Mark Crispin Miller

英語で31分。メディア学のマーク・クリスピン・ミラー教授のインタビュー。如何にして権力者達は議論を封殺し(「陰謀論者!」)、「敵」の脅威を捏造して恐怖を煽り、人々を自分達の意の儘に操るのか。このパターンを覚えておけばパンデミック詐欺以外の嘘も見抜ける。
WATCH: Perspectives on the Pandemic #17


COVID-19パンデミック詐欺は大衆を全体主義者に、世界全体を収容所に作り変える為のプロパガンダ戦争であって、私達は現在それに負けている。捏造された「現実」を生きている人達の目を覚まさせるには、物事の真実を表す言葉で抵抗の意思を表明することが肝心だ。
The Propaganda War (And How to Fight It)
私達はプロパガンダ戦争の只中に在り、現在は負けている。万人が万人を洗脳し合うこの状況に於て、静観は原理的に有り得ない。SNS等で公式の物語には参加しないと云う意思を表明することは、非暴力的な市民的不服従のオンライン版だ。
The Propaganda War (Part II)

世界全体が強制収容所2.0と化しつつあるこの現実を可能にしているのは、学習性無力感に支えられた私達の隷従だ。そのことに気が付けば、COVID-19パンデミック詐欺は終わる。もう従わないと決意するだけで、解放への道は拓ける。
COVID is over…if you want it

制裁は人を殺すーシリアの生活は生き地獄になった

シリア在住のジャーナリスト、ヴァネッサ・ビーリィ氏の記事。日本人は「北朝鮮がミサイル打った!ケシカランからもっと制裁だ!」とか云うのに慣らされているので感覚が麻痺しているのかも知れないが、「制裁」とは屢々経済的なジェノサイドを意味する。それに国連決議を通したものならともかく、現実にアメリカ帝国陣営が行なっているのは「一方的な強制措置」、国際法にも国内法にも違反する歴とした違法行為であって、人道犯罪に他ならない(根本的には昔の中学校なんかで先輩が後輩に対して行なった「制裁」と変わらない。人権だの民主主義だのとは関係無い、支配する為の行為だ)。制裁が行われると人々の生活が具体的にどう変化するのか、ビーリィ氏の報告は一例として参考になると思ったので、ここに訳出してみた。この様な理不尽で非人道的な仕打ちを何年も、何十年も受け続けて来た国々を捕まえて、「やーい、こいつら貧乏だぜ」などと嘲笑うことは、人として見下げ果てた卑しむべき所業ではなかろうかと思う。
Sanctions kill – in Syria life has become a living hell



 若し人々が自国の状況について文句を言いたいと思っているのなら、今シリアで何が起こっているのかを知っておいて欲しい。私はダマスカスに住んでいます。

 1)電気:ダマスカスや郊外の殆どの地域では、この24時間の内30分から1時間しか電気が来ていない。シリアの他の地域、特に田舎では、少なくとも3日間は電気が来ていない。

 2)固定電話ネットワークや地上波インターネットは、停電時に発電機を動かす燃料が不足し、太陽エネルギーで駆動するタワーも曇天の所為で略停止した為、パフォーマンスが低下している。

 3)大規模工場の多くは、車両用の燃料不足で物流を縮小し、来週まで休業するところが多い。これにより多くの産業とサプライチェーンが機能不全に陥った。

 4)一部の政府機関では、電気やインターネットが無いので、水曜日と木曜日に電子処理が出来なかった。

 5)ダマスカス中の店や市場は、発電機の燃料が無いので、日没と共に閉店している。

 6)民間のパン屋は機械やオーブンを動かせないので、パンの生産量を減らしている。

 7)レストランも同じ理由で生産を減らし、冷たい食べ物やバーベキューしか提供していない。

 8)ディーゼルや燃料は闇市場からも姿を消し、BM燃料20ℓが20万シリアポンドする(平均給与は月15万円シリアポンド=27ドルだが、大半はそれ以下しか貰っていない)。

 9)政府が補助金を出しているガソリンスタンドは殆ど閉鎖されている。

 10)残っているガソリンスタンドには24時間以上の行列が出来ている。供給は需要に追い付いていないが、何れにしろ1ヶ月30ℓまでと云う制限が有る。

 11)車の所有者に配給の燃料を取りに来るようにメッセージを送るシステムが有るが、今ではSMSが届くまでに3週間も掛かっている。以前は数日置きだった。

 12)ガス(ボトル)が入手出来ない。若し闇市場で入手出来たとしても15万シリアポンド以上掛かるので、殆どの人にとっては不可能。一般家庭が料理等で使うのは1週間に1本。また、ボトルは非常に質が悪く、危険。

 13)公共交通機関が無い。道路は文字通り空っぽ。これは従業員が出勤出来ない等を意味するので、従業員や雇用主にとって大きな問題。



 11年間の壊滅的な戦争と野蛮な制裁、戦後の不協和音と国境地帯の不安定さ———米国のシーザー制裁は、シリアを支援する為に来た如何なる国も処罰の対象とします。米国は、直接または代理勢力を通じてシリアを占領し、シリアの石油と小麦を盗んでいます。トルコはシリアの領土を併合しています。今直ぐ制裁を終わらせよう!

 明らかに、これらの事柄は全て、戦争の影響を受け、貧困に喘いでいる人口の90%に影響を与えています。例えば、誰かが病気になっても、救急車を呼ぶことが出来ません(固定電話/電気/ネットが無い)。救急車は不足しており、燃料が有りません。病院も停電で発電機の燃料が有りません。機器が壊れても制裁の所為で修理出来ません———必要なスペアパーツの輸入が出来ないのです。

習近平のサウジアラビア訪問と大西洋主義の転覆(要点)

中国の習近平主席のサウジアラビア訪問を受けてのマシュー・エレット氏の記事。つまりは「時代はユーラシアだぜ!大西洋の連中ばっかり見ていると、時代の波に乗り遅れるぜ!」と云うこと。暗く悲惨なニュースばかりが続く昨今だが、世界全体を見渡してみればこうした明るい兆しも見える。正直に言ってしまうと、ここでエレット氏が挙げていることにも不穏な懸念材料は少なくないのだが、まぁ絶望するだけなら何時でも出来る。少しは希望のタネと云う栄養をやらないことには、精神はゆっくり窒息死する。
Xi Jinping’s Visit to Saudi Arabia and the overthrow of Atlanticism



 ・習近平主席のサウジ訪問に続き、2022/12/09からは初の中国・アラブ首脳会議が開催。中国外務省はこれを「中国・アラブ関係発展の歴史に於ける画期的なマイルストーン」と呼んだ。

 ・習近平主席が前回サウジを訪れたのは2016年:新たに発足した一帯一路構想(BRI)にサウジを引き込むのが目的だった。

 ・その3ヶ月後、モハメド・ビン・サルマン皇太子(MbS)はサウジ・ヴィジョン2030を発表。

 ・同年、両国は第4世代のガス冷却原子炉建設についての覚書に署名。

 ・2017年には両国は650億ドル相当の契約に署名。石油化学の統合・エンジニアリング・精製・調達・建設・二酸化炭素回収、アップストリーム/ダウンストリーム開発に焦点を当てている。

 ・両国の貿易は2020年から2021年に掛けて39%増加し、873億ドルに達したが、他方サウジと米国の貿易は2012年の760億ドルから2021年には僅か290億ドルにまで激減している。

 ・現在両国の貿易の一部は、中国人民元で支払われている可能性が有る。これはドルの覇権を約束するペトロダラー・システムに対する根本的な脅威だ。

 ・サウジ主導によるイエメン侵略や、レバノン・シリア・イラクで経済的荒廃が続いているものの、サウジは近年トルコイラク、そしてイランとさえ、緊張を緩和し、良好な交友関係の再確立を目指す動きを見せている。湾岸諸国は今までシリアのアサド政権打倒に血道を上げていたが、これもBRIの介在により関係が改善する兆しを見せている。

 ・イランはBRIの南ルートの戦略的ハブとして機能する大ユーラシア・パートナーシップの重要なプレーヤーであり、且つロシア・イラン・インド主導の国際南北輸送回廊(INSTC)の要。イランとイラクを結ぶシャラムチェ・バスラ鉄道は建設の最終段階で、シリア国境まで延長される可能性も有る。協力の環境が整ったのは、中国の四半世紀に及ぶ経済外交の成果が大きいが、これよりは小規模なものの、最近のロシアの参加も重要。ロシアは今後数年間でイランの天然ガスと石油に400億ドルを投資する予定。

 ・サウジはこの夏バイデンの石油増産要求を拒否しただけでなく、全体的な石油生産を削減して世界の石油価格を押し上げた、米国離れを見せ付けた。その一方でサウジはエジプトやトルコ、それにアルジェリアと並んで、多極化の世界的ハブそのものと言えるBRICS+に参加する予定であり、更にはエジプトと共に上海協力機構への関与も深めている。

 ・中国の投資家は長い間、紛争に苦しむ西アジアを敬遠して来たが、様々な権力ブロック間の利益の安定と調和の可能性が高まるにつれて、長期的な経済投資に対する関心も高まっている。2022年8月にはサウジと中国の石油企業は2017年の協力協定を拡大し、新しいプロジェクトに乗り出している。

 ・最も興味深いのは相互接続性の展開。2018年には中国鉄道建設会社によって、メッカとメディナの450kmを僅か2時間で結ぶ高速ハラメイン鉄道が完成している。これを、2015年に完成したリヤド〜アル・ハディーサ間の2,400kmの南北鉄道に接続しようとする議論が現在行われている。そして全ての湾岸協力会議(GCC)加盟諸国を結ぶ460kmの鉄道が建設中であり、これはアラビア半島の技術・貿易・製造ハブの改革を促進している。GCCは2021年には「サウジ・ランドブリッジ」と云う2,000億ドルの高速鉄道(ペルシャ湾〜紅海)に全面的な支援を与えているが、これは中国が投資する5,000億ドルのメガ・プロジェクト、NEOMとも合致している。


 ・調和とウィンウィンの協力と云うこの新しい化学反応が、イエメンその他での紛争を終わらせてくれることを願いたい。ロシアと中国の外交努力に加えてイランの協力が得られれば、荒廃した紛争地帯の復興の為の交渉が始まる可能性が有る。

 ・上記の展開を見ていると、2009年に公開された「アフリカの角の橋」が再起動するかも知れないとも思えて来る。これはジブチとイエメンをパイプラインと鉄道で繋ぐ構想で、全長29km、吊り幅は世界最長の5kmと云う代物。2011年に西洋諸国が仕掛けた一連のカラー革命である「アラブの春」と、2015年に西洋諸国の支援でサウジが主導して始めたイエメン侵略により、この構想は脱線して頓挫してしまったが、大西洋主義者が支配するドル・システムから解放された新しい経済構造の下での文明間協力が進めば、その新しい精神がこの構想に再び生命を与えるかも知れない。
Al Noor City Djibouti and Yemen




*おまけ
 写真は私がTwitterで拾ったものだが、MbSが米中首脳を迎えた時のもの。バイデンは拳で迎え、習近平は握手で迎えている。
 
Xi Jinping’s Visit to Saudi Arabia and the overthrow of Atlanticism

ブチャの虐殺、 ウクライナのティミショアラ(要点と補足)

「ブチャの虐殺」について、ドンバス・インサイダーのクリステル・ネアン氏が2022/04/04の時点で判明している諸事実を整理した記事を書いているので、多少補足しつつ要点を纏めてみた。タイトルの「ティミショアラ」とは1989年のルーマニアのティミショアラ集団墓地報道のことで、「残忍な共産主義の独裁者(このケースではチャウチェスク)による人道犯罪」が捏造された顕著な事例。ルーマニア反共産革命のプロパガンダとして利用されたこのフェイクニュースの真相が明らかになった時、国境なき記者団は「現代のメディア史上最大の欺瞞のひとつ」と非難した。
UKRAINE – THE MASSACRE OF BUCHA, A UKRAINIAN TIMISOARA



時系列纏め

 2022/04/03、ウクライナ当局と西洋諸国は、ロシアがキエフ郊外の町ブチャで民間人を虐殺したと非難したが、虐殺が真実だとすると色々と矛盾する点が出て来る。何が起こったかを理解するには、時系列順に出来事を整理してみるのが良い。

 ・2022/03/30、ブチャからロシア軍が完全撤退(部隊のドンバスへの再配置の一環)。ロシア軍に同行していたジャーナリストの報告では、撤退は数日前から開始されており、30日に最後の一人が立ち去った。ウクライナ軍は撤退の事実に直ぐには気付かずに更に数日砲撃を続けたが、そこで民間人の死傷者が出た可能性が有る。

 ・2022/03/31、ブチャ市長のアナトリ・フェドロウクは、ロシア軍撤退を喜ぶ動画を撮影しているが、彼が満面の笑みで語っているのは勝利についてだけで、虐殺が行われたとか、民間人に死傷者が出たとか云う話は一切出て来ない。ロシア軍が本当に派手に虐殺の証拠を残して行ったのなら直ぐ気が付く筈で、一言も触れていないのはかなりおかしな話だ。
Мер Бучі Анатолій Федорук підтвердив визволення міста від російських військ 31 березня


 ・2022/03/29〜31、ブチャについて報道しているテレグラムの「ブチャ・ライブ」アカウントは、虐殺について何も発信していない。映し出されているブチャの市街地の何処にも、死体などひとつも映っていない。


 ・2022/04/01、Twitterに或るウクライナ人女性が動画を投稿した。動画には通りに横たわる死体(正確には、死体の様に見える動かない肉体。まるで誰かに見せる為に意図的に並べられた様に、道路から見易い位置に整然と分散しており、画質が悪いのではっきり確認は出来ないが、一見したところ出血も無いし肉体の損壊も見られない)が幾つも映っているが、砲撃による真新しいクレーターがはっきりと映っている。この近くに横たわっている死体は、この人がウクライナ軍の砲撃によって死亡したことを示唆している(自軍の陣地に砲弾を打ち込むバカは居ない。まぁ最近では、ロシア軍は自軍が管理している原発にミサイルを打ち込む程狂った集団だと云うことを本気で信じる人も多い様だが、ロシア軍は自殺願望の有る狂人の集団ではないと云う前提で話を進める)。
Viktoriia 🇺🇸🇺🇦 @ViktoriiaUAH

 ・2022/04/02、ブチャ警察はブチャの通りの映像を公開。この動画に出て来る死体は冒頭のひとつだけで、残骸となった車両(?)の直ぐ傍に横たわっており、これも砲撃による死者であることは明白だ。
Спецпризначенці Нацполіції проводять зачистку міста Буча


 ・2022/04/04、上記の映像についてのテレグラム投稿の解説:
 「大統領府の情報筋に拠れば、バンコヴァ(官庁街)ではアントン・ゲラシチェンコ(内務省顧問)の指示でブチャの掃討に関する国家警察の映像がネット上に公開され、大きなスキャンダルになっている。この動画は、殺害された住民達の画像とは大きな矛盾を示している。拡散されたのは昨日だが、これは掃討の2日後に撮影され、国家警察の報告書には含まれていなかった為、今問題になっている。この動画は、何故通りに死体が無いのか、何故市長は掃討作戦についてしか報告していないのか、多くの疑問を生じさせた為、アレストヴィッチ氏(大統領府顧問)は、ゲラシチェンコ氏の行動は意図的な挑発だと考えている。」
@epoddubny t.me/epoddubny /9396

 ・2022/04/02、キエフの領土防衛の責任者、セルゲイ・コロトキフ、通称ボツマン (ネオナチのアゾフ大隊で戦った)は、、「彼の部下(his guys)」の仕事に関する幾つかの動画を公開した。2番目の動画では、男性の1人が「青い腕章(ウクライナ軍の腕章)を持っていない男」を撃てるかどうか尋ねているが、彼の指揮官(ボツマン)は肯定的に答えている。
 *@botsmanua テレグラム・アカウントはその後削除された模様。

 ・2022/04/02、ボツマンのその後削除されたアカウント投稿を確認すると、縛られて死んだ人々の写真がこの日になってから初めて登場する。つまり、ボツマンと彼の部下達がウクライナ警察と共に、「ロシア軍の破壊工作員と共犯者から」街を浄化する為に現場に乗り込んだ後のことだ(これはウクライナのメディアLB.uaの04/02の記事から確認出来るそうだが、私は元記事は見付けられなかった)。

 ・2022/04/03のテレグラム投稿には、有名な「拷問部屋」のものを含む多くの死体が映っているが、それらが白い腕章を着けていることが確認出来る。白い腕章はロシアが管理する地域に住む民間人が典型的に着けているもので、ロシア軍に対して敵対的な意図を持っていないと云う意思表示。ロシア軍から人道支援物資を受け取ったりする時には誰でもこの腕章を着けているが、これは彼等が「掃討/浄化」作戦を行なったナチから「親ロシア派」「ロシア軍の協力者」と見做された可能性を示唆している。

@sashakots t.me/sashakots /30761

 

死体の数

 死体の数についての証言はバラバラだ。
 
 ・ヴェネディクトワ検事総長:「410体。」
 ・ブチャ市長(AFPへの電話回答):「集団墓地で280体の死体が見付かった。」
 ・AFP:「24体の死体を目撃。」
 ・AP:「通りに250体。」



更なる異論

 ・ヤブロンスカヤ通りの20体の民間人。これについてはBBCが報じているが、彼等は恐らくロシア軍撤退後にウクライナ軍の砲撃によって殺害され、04/03まで放置されていた。
Буча после оккупации. Рассказы жителей журналистам агентства «‎Рейтер»‎

 BBCの映像に映っている、アスファルトにめり込んだ迫撃砲の砲弾を確認すると、南、つまりキエフ軍が位置していた方向から飛んで来たことが判る。


 ・聖アンドレイ教会近くの集団墓地。この塹壕はロシア軍と市当局が協議した結果、砲撃で死亡した民間人を埋葬する為に掘られたものだが、これは03/30や03/31ではなく、以下のの03/13の動画が示している様に、3月中旬の出来事であって、観ての通り、遺体は適切に埋葬されている。この動画に拠ると、この集団墓地には67体の遺体が埋められているが、これらは砲撃の結果として死亡した人々であって、ロシア軍が処刑した訳ではない。
«Братская могила на территории церкви» : в Буче похоронили 67 мирных граждан, погибших от обстрелов.


 ・ロシア軍が使用していたであろう建物内とその周辺の9体の死体。死体のひとつは両手をテープと粘着フィルムで背中の後ろで縛られているが、これは典型的なキエフの手口で、インターネットでは同様の方法で電柱等に縛り付けられて殴られる人々の動画が数多く出回っている。また死体のひとつの膝には銃痕が確認出来るが、キエフ兵はロシア軍捕虜に対してこの様な拷問を行なっている動画を自ら撮影して拡散している。


・ ジトミール高速道路で死亡した民間人の写真。これは03/07に所謂「領土防衛大隊」のメンバーが関与する銃撃戦が映された動画が撮影されたのと同じ場所だ。

 ・ロシアでは外国工作員に分類されているメディア、Meduzaへのインタビューで、ブチャに住む領土防衛のメンバー の女性(当然「親ロシア」ではない)はこう証言している、 「ヤブロンスカヤに横たわっていた人々は入り乱れた銃撃で死亡した。」彼女がロシア軍による民間人殺害の事例をひとつも挙げていないのは奇妙なことだ。



結論

 上述の諸事実を繋ぎ合わせて描き出される全体像は次の様なものとなる:

 2022/03/30、ロシア軍はブチャからの撤退を完了させた。だがキエフ軍は直ぐにはこれに気付かず、ロシア軍が占拠していた建物が建っていたヤブロンスカヤ通りを含め、数日間砲撃を続けた。

 2022/03/31、ブチャ市長は市の解放を祝う動画を撮影したが、ロシア軍によって虐殺された民間人や通りに横たわる死体については言及しなかった。

 2022/04/01、ヤブロンスカヤ通りの死体が車から撮影され、深夜にその動画が Twitter で公開された。撮影されたものが本物の死体だったとすると、03/31の市長の動画が撮影された後か、04/01に死亡したことになる。

 2022/04/02、ウクライナ警察はブチャの通りを撮影し、明らかに砲撃によって死亡した1体の死体が映ってはいるが、ヤブロンスカヤ通りでの虐殺や死亡については言及されていない。死体は何処へ消えたのか? ここからはネアン氏の仮説だが、それらの民間人の死体はロシア軍ではなくウクライナ軍によって殺された為、ウクライナ警察は死体を見せず、ウクライナ軍による自国民の殺害を隠蔽しようとした、だが彼等はこれらの死体を利用してロシア非難に利用しようとまでは思い付かなかったので、彼等は譴責されることになった。

 2022/04/02、ボツマンのウクライナ人戦闘員チームがウクライナ警察と共にブチャに到着し、ロシア軍の破壊工作員または共犯者かも知れない者を掃討した。ボツマンの部隊は、ウクライナ軍の青い腕章を着用していない男性を撃つ許可を与えられた。伝えられるところでは、キエフ軍はその後、ロシア軍に協力したと考えられる数人の民間人を捕え、拷問し、殺害した。この時点で、民間人が拷問され、手を後ろ手に縛られて殺されている写真が出回り、ロシア軍に殺されたのだと云う主張が行われた。同じことが3月中旬に教会近くの集団墓地に埋葬された民間人の死体についても繰り返されたが、彼等は戦闘中に死亡したのであって、ロシア兵によって処刑された訳ではない。

 集団墓地に埋葬された67体の民間人、ヤブロンスカヤ通りの20人の死体、ロシア兵が駐屯していた建物内とその周辺の9体を合計しても、ウクライナ当局が発表した410体には程遠い。ブチャでは確かに民間人が死亡したが、その殆どはキエフ軍による砲撃によってか砲撃中に死亡し、9人は明らかに、ロシア軍と協力した廉でキエフナ軍によって拷問・殺害されたものだ。

 ブチャの虐殺事件は、ティミショアラの虐殺時件と非常によく似てはいるが、ウクライナ流のアレンジが加えられている。ブチャで起こったことの真相については、公平で迅速な国際調査が必要であることは明らかだ。だが真相究明の為に国連安保理の緊急会合を開催すると云うロシアの要求を西洋諸国が拒否した為、実現は難しい。

アメリカはウクライナでの代理戦争に敗北した(翻案)

フランスのマクロン大統領が2022/12/04に公の場で、これまではタブーとして触れられなかった、NATOの拡大がロシアにとって安全保障上の脅威であることを認めたことを受けて、ウクライナを使い捨ての代理勢力として利用した米帝のロシア侵略戦争が何故失敗しているのかを、クリス・カンタン氏が簡単に解説しているので、多少翻案しつつ訳してみた。

 問題の背景として、ロシアはナポレオンの侵攻、クリミア戦争、第一次&第二次世界大戦と、ここ200年で西から何度も攻撃を受けていることを押さえておく必要が有る。「ロシア征服」は、西洋の長年の夢なのだ。ロシアは「自国を平和に保つ為には、黒海とその周辺にロシアに敵対的な勢力を作らせないようにすることが絶対に必要だ」と考えている訳だが、その懸念には歴史的に見て尤もな理由が有るのだ。ヒトラーのバルバロッサ作戦では、ウクライナを含め東欧各国にナチの協力者が大勢居た訳だが、これによって2,600万とも2,700万とも言われるソ連人の命が失われた。ロシアは、そんなことは二度と繰り返させないと断固たる決意を固めている。だから黒海周辺でのNATOの度重なる挑発行動は、ロシアにとっては実存的脅威の増大と映ったのだ。





 1)グローバルな支援の欠如。
 世界の殆どの国は、前例の無い規模のロシアへの制裁を拒否している。人口規模で言えば世界の84%は、ロシアと正常な関係を維持している。中国やインドの様な大国はロシア製品を買い続けている。ロシアからの石油・ガス・石炭・肥料のインドへの輸入は、戦争開始以来急増している。

 2)ヨーロッパ人は幸せじゃない。
 欧州全土で、生活費・インフレ・電力不足・食糧不足に対する大規模な抗議行動とストライキが行われている。NATOがウクライナ戦争に関与することに真っ向から反対するデモも数多い。独仏英、欧州人の約75%は、自分の国が間違った方向に進んでいると言っている(民意を政策に反映させ、一部のエリート層ではなくより多くの人々が納得する政治を行うのが、民主主義の良いところとされていたのではなかったのか?)。



 3)「自国第一」。
 ハンガリーは、ロシアの石油とガスを購入すべきかどうかを決定する国民投票を行っているが、他の諸国もこれに倣うかも知れない。「イタリア・ファースト」や「チェコ・ファースト」等の動きが出て来るだろう。ウクライナに対して自分達の美徳を証明する為の自分達の生活を破壊しても構わないと思う人は、時間の経過と共に益々少なくなって行くだろう。

 4)インフレが急上昇。
 エネルギー(電気、天然ガス、ディーゼル)のインフレ率は10~100%。EU盟主格のドイツではエネルギー・インフレが40%に達している。食料とエネルギーの価格は耐え難く、停電や電力不足が当たり前になった。学校では、子供達は暖房を点ける代わりに毛布を与えられている。そして冬は始まったばかりだ。


 5)この冬、欧州では30万人が死亡するかも知れない!
 或る推定では、適切な暖房の不足により、この冬、30万人のヨーロッパ人が死亡する可能性が有る。戦争で死ぬウクライナ兵よりも多くの欧州人が凍えて死ぬことになる訳だ。彼等は黙って受け身で死ぬのだろうか? それとも経済的・物理的自殺でしかない政府の愚行に対して立ち上がるのだろうか?


 6)脱工業化と失業。
 別の記事「EU は死に、ロシアは生き残る………」で説明した様に、自動車・鉄鋼・肥料・ガラス・製紙・化学薬品等、多くの重要なドイツ企業が活動を休止したり、閉鎖したりしている。この前例の無い脱工業化による失業は、大規模且つ潜在的に永続的な結果を齎すだろう。頭の脳みその詰まった欧州人なら誰もが、この展開を非常に心配すべきだろう。

 7)西洋のプロパガンダ・キャンペーンにも関わらず、ロシアは勝利している。
 最新のウクライナの地図を見れば判る様に、ロシアは、征服した略全ての土地を保持することに成功している。プーチンはペンタゴンやNATOの非人道的な狂犬共に比べれば、非常に優しい戦士だと言える。彼は初っ端からキエフのインフラを破壊することも出来たがそうしなかった(「衝撃と畏怖」の様なことは何時でも出来た。だがその代わりにわざわざ手間の掛かる地上部隊を送り込んだ)。今やっているのは、黒幕の欧米連中にどんな災いが起こり得るかを思い出させる為に、そっと殴っているだけだ。EUのイカれた大統領ウルズラ・フォン・デア・ライエンは演説で、これまでに10万以上のウクライナの「将校」が死亡したこと認めた。従って実際に死亡者数は遙かに多い可能性が有る。そしてポーランドや英米その他の国々から来た何千人もの傭兵達も死亡している。


 結論
 ワシントンとブリュッセルのエコー・チェンバーの中では、ロシアを打ち負かすことは簡単な筈だった。彼等の壮大な計画は以下の如くだった:

 「衝撃と畏怖を起こさせる経済制裁を課し、ロシアの外貨準備を盗み、ロシア経済を粉砕し、『ルーブルをクズに変え』、ロシアの億万長者の全ての外国資産を没収する………するとどうだ!ロシアの人々は立ち上がって邪悪なプーチンを打倒し、西洋の傀儡が後釜に座るのだ。後はロシアを小さな国々に分割し、二度と立ち上がれないようにするだけだ。」

 が、何ひとつ計画通りには行かなかった。今、グローバリスト連中はプライドを捨て、プーチンと取引をしなければならない。カンタン氏の推測では、ロシアはウクライナの解放された領域を保持し、完全な非ナチ化を要求し、ウクライナがロシアの国家・安全保障・文化的利益にとって二度と脅威にならない様にするだろう。


中国-抗議扇動者達とゼロコロナ政策(要点と補足)

MoAの2022/12/01の記事の要点と補足。MoA氏はCOVID-19「対策」には科学的に意味が有ると考えている様で私の見解とは異なるので、その点は省略した。
China - Protest Instigators And Zero-Covid Policies



 NYタイムズは2日の間に4つの反中国記事を掲載した。
中国の抗議行動は一時的なもの(Moment)か、それとも運動(Movement)か?
共産党は中国国民の支持を失いつつある
習近平のバナナの皮
習近平は中国の繁栄を支えた社会契約を破った
 まぁ「中国は間も無く滅びる!」と云う予言はこの30年以上ずーっと言われ続けて来ているが、現実を見れば直ぐ判る様に当たった例しは無いので、少しでも記憶力の有る人間であれば「またか」としか思わない。NYタイムズはボルシェビキ革命が起こった当時、1917〜20年の間に少なくとも91回は「ソ連は間も無く崩壊する!」と予言したが、この「間も無く」が訪れるまでに70年以上掛かった。


 西洋でのイメージとは異なり、中国では抗議行動は盛んに起きている。目的は政治的なものではなく経済的なものが主。日本では新自由主義陣営の攻撃によってすっかり骨抜きにされて久しく見なくなった労働争議だ。最近起きた最も大きな抗議行動は反ロックダウン・デモではなく、台湾の委託企業Foxconnが河南省の鄭州に持っている世界最大規模のiPhone工場で起こっている。COVID-19の流行を受けて労働者達が工場から逃げ出して人員が不足した為、同社は毎日のボーナスを4倍にすると約束して新たに10万人を獲得した。だが実際に提示された条件が約束と違ったらしく、何百人もの労働者(主に新入社員)がこれに対して抗議を行った。

 "China Protest Tracker"のデータに拠ると、2022/11/26〜29の間に起きた抗議行動は、僅かに24の都市で51件。オーストラリア戦略政策研究所の協力者 Nathan Ruser@Nrg8000 氏に拠れば、内7件は11/29に起こっており、当然ながら、殆どが大都市圏に集中している(北京10、広東9、上海6、新疆6、四川5etc.)。再度、中国の人口が14億人以上であることを思い起こそう。


 以下は中国の抗議行動について発信しているインフルエンサーで、西洋のメディアと公然と繋がっているソーシャルメディア・アカウント一覧。全員が中国国外に拠点を置いている。つまり、中国に住んですらいない人達が、外部から騒ぎ立てている。抗議行動をカラー革命に変えようとしている外国勢力が働いていることは明白だ。
 
Angelo Giuliano 🇮🇹 🇨🇭/ living in 🇨🇳 @Angelo4justice3

 ゼロコロナ政策の緩和は、デモの後になって行われた様に思っている人が多いが、実は中国国家衛生健康委員会はその前に既に20の新しいガイドラインを発表していた。デモの後になると、地方自治体レヴェルでCOVID-19対策を「継続的に最適化」する取り組みが拡大した。エコノミストの中には、中国経済は2023年半ばまでに完全に再開すると予測している者も居る。ロックダウン政策によって経済成長が鈍化しているのは事実だろうが、それは「経済崩壊」には程遠いし、この分だと何れ落ち込んだ分も回復する。NYタイムズが望む様な「革命」は、今回も起こりそうにない。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
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