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プロパガンダのツールとしての陰謀ラベル(要点)

以下はバハマ大学社会学助教授のリチャード・G・エレフリッツ氏の記事 The Conspiracy Label as a Tool of Propaganda の要点。

 エレフリッツ氏は「陰謀ラベル(誰かを陰謀論者だとラベル付けしたり、特定の主張や疑問を陰謀論とラベル付けしたりすること)」についての調査研究を行っている。「陰謀論者」や「陰謀論」と云うラベルは、歴史的に重要な出来事についての公式の、権威によって承認された説明を、社会的に心乱される様な類いの質問から守る為のプロパガンダ・ツールとして機能している。反陰謀論者が陰謀論者の特徴として挙げるのは、中でも「ただ質問する」と云うことだ。陰謀ラベルは循環論法、即ち「あなたが間違っているのであなたは間違っている」という主張を行っているに過ぎない。

 陰謀論と云う言葉自体は古くから存在している(米国議会図書館のデータでは最古の使用例は1868/04/09まで遡る)のでCIAはこの言葉を発明した訳ではないが、議論を封殺する為にこの言葉を広めた。「陰謀論」と見做されるものの正当性を失わせる使命を遂行する、資金の豊富な組織のネットワークは実際に存在し、機能している。

 例えば嘘を吐いた前科の有るジェン・サキ米報道官は公式の声明で「ロシアや中国の陰謀論」や「偽旗作戦」について警告しているが、事実を挙げて公式の物語に疑問を呈する人間には自動的に「ファクトチェッカー」によって「陰謀論者」のラベルが貼られる。「科学の為の同盟」は気候変動やCOVID-19についての陰謀論と戦っているが、それらの陰謀論の情報を検証して読者に伝えるのではなく、自分達が主張する「正しい情報」だけを広めている。JFK暗殺や9.11やウクライナのバイオラボについて公式の説明に疑問を呈する者は、強力なプロパガンダメディア・ネットワークによって「陰謀論者」と呼ばれるリスクを冒すことになる。

グラフで解る中国の若者の現状(要点)

以下は中国CGTNの記事 Graphics: Facts about China's youth の要点。

 ・教育へのアクセス(1949〜2020)。ポスト毛沢東時代の停滞・低下を除いて一貫して増加している。新規労働人口の平均教育年数は13.8年。オンライン教育や職業訓練も充実し、奨学金は1.5億人近くが利用している。義務教育は95.4%達成されており、中国の人口規模を考えると驚異的な成果だ。


 ・外国への留学生数(1980〜2019)。1978年には僅か800人少しだったが、今では70万人以上が外国で学んでいる。


 ・6〜8歳のインターネットへのアクセス率(2018〜2020)。2017年以前はどうなっていたのかは判らないが、9割超えは驚異的だ。デジタル格差は有るのかも知れないが、解消は他国と比べて容易なのではないだろうか。


 ・エンジニア専攻の学部・院の卒業生数(2012〜2020)。衛星システムや電波望遠鏡等の最先端分野のコアメンバーの平均年齢は何も30代で、イノベーションが活発なのも頷ける。テクノロジー面で次世代がちゃんと育っている国の産業が発展して行くのは当然のことだ。


 他にも社会活動や政治活動への若者世代の参加も活発で、「中国は独裁国家」と云う冷戦プロパガンダを盲信している人達は、今の中国で本当は何が起こっているのか一生理解出来ない儘だろう。

炭疽菌

今後何か展開が有る事件なのか現時点では不明だが、一応忘備録として。ロシア南部のスタヴロポリ地方の50歳の女性が炭疽菌に感染されたが、命に別条は無いと発表された。炭疽菌は死亡率は50%から80%の危険な病原体だが、これはロシア軍が発見したウクライナの米帝が資金提供した秘密のバイオラボが研究していた病原体のひとつだった。感染は子牛の屠殺中だったと伝えられているが、この女性は約8年前にも同じ問題を抱えており、この時は治療を受けずに自然回復した。感染が広がる恐れは無いが、現地の村では大規模な家畜のワクチン接種が進行中とのこと。この地域では少なくとも10年間、炭疽菌による死亡者は居なかった。

Anthrax in southern Russia: What we know so far

音波によるマインド・コントロール

日本のNPOテクノロジー犯罪被害ネットワークの定例会資料。人体の遠隔操作について具体例が解説されている。
ワシントン州フュージョンセンターが偶発的に遠隔マインドコントロールに 関する記録を流出させる?

2018年に情報公開請求によって明らかになった、1996年のものと思われる謎の(米政府機関が作成したものではないと思われるが、ワシントン州フュージョンセンターによって送られたもので、NSA関連と思われる)複数の文書では、「遠隔マインド・コントロール」や「精神電気兵器」が扱われていた。

 或る文書では生​​体磁場と脳波(MKウルトラ作戦とモナーク・マインド・コントロールに於て重要な概念)が論じられていた。

 別の文書では携帯電話ネットワークや通信車両を装ったトラックや「ブラック」ヘリコプターを通じた「遠隔マインド・コントロール」が論じられていた。

Government Files About “Remote Mind Control”

WEFのグローバル未来委員会の2018年の年次総会の議題のひとつは「音波を使用したマインド・コントロール」だった。理論的には音波は人を治療するのにも使えるし、中毒にするのにも使えるし、殺すのにも使える。それは「弱者を冷酷にコントロールする為の完璧なコントロール・ツール」であり得る。

The World Economic Forum Talks About “Mind Control Using Sound Waves”

世界経済フォーラムは人々を支配・管理する為の様々な手法に手を出しているが、2018/11/07にWEFのサイトに掲載されたこの記事(現在は削除済み)では、音波を使ったマインド・コントロールの可能性が論じられている。

Mind control using sound waves? We ask a scientist how it works
 このアーカイヴのことはこの記事の注で知った。
The Top 10 Scariest Things to Come Out of the World Economic Forum (WEF)

自覚無き帝国秩序の手先達:おめでたい左派(要点)

以下は西側には何故最早左派は存在しないのかについての、ジャン・ブリクモンの2013年のエッセイ The Unwitting Agents of the Imperial Order: “The Wishful Thinking Left” の要点。


 1970年代初頭、中国の文化大革命、ラテンアメリカのゲリラ、プラハの春、東ヨーロッパの「反体制派」、フランス五月危機、市民権運動、ヴェトナム戦争への反対、アフリカとアジアの名目上社会主義的な反植民地運動、南欧の「ファシスト」体制について、当時の左派は悉く解釈を間違えていた。似た様な過ちは、コソボやリビア、アフガニスタンやイラクについても繰り返された。

 シリアについては左派は請願書を発表してアサド大統領の「弾圧」を非難して辞任を求め、シリア政府を支持していることでロシア、中国、イランも非難しているが、そもそもシリアについて提示されている諸事実は非常に疑わしく(事実カラー革命と非正規戦争による侵略に合わせた偽情報作戦だった)、国際法の観点からシリアの現在の政府は合法で、その援助要請に応えるロシア、中国、イランの行動も完全に合法だが、反政府派に武器を送ることはそうではない。米国がリビアのレジームチェンジの為に国連を利用した時にロシアと中国は反対したが、両国がシリアに対してリビアの様なことを繰り返させたくないと思うのは当然だ。請願書は世界の他の様々な運動を引き合いに出しているが、外国の介入に真っ向から反対し、国家の主権を尊重するラテンアメリカの反帝国主義政府への言及は何故か全く避けている。

 西側の左派は共産主義体制を非難して来たが、レーニンがツァーリズムと戦い、スターリンがヒトラーと戦い、毛沢東が国民党と戦い、金日成が日本人と戦い、金日成とポル・ポトが米国と戦ったことを彼らは忘れているのだろうか? 抑圧と戦うことは人を聖人にする訳ではない(革命は綺麗事ではない)。

 反政府派は武器を望んでいるが、ロシア、中国、イランやアサド政権は繰り返し交渉を呼び掛けている。何故これが「民主的な未来」に繋がらないと考えるのか? 外交ではなく「人道的介入」を支持する左派は、一体誰を支持しているつもりなのか? 請願書は何もしないより悪く、西側の自称「平和主義者」達は、第二次世界大戦の頃に比べて帝国主義の手法が変化したことに気が付いていない。

 軍国主義と介入主義に反対する人々の幅広い左右の連立を樹立することは完全に可能だろうが、革命的なロマン主義の幻想に屈したり、見せ掛けの弱者を支持したりする人々は、現在の帝国主義の戦術に引き込まれている。だがより平和でより公正な世界秩序を志向し、この秩序の前提条件が米国帝国主義の弱体化であると考える人々は、この偽装を容易に見抜くことが出来るだろう。従来の左派右派等の区別を超えて、異教徒同士の同盟が必要なのかも知れない。

ゲイツとビッグファーマのグローバル・ヘルス・アジェンダを命じるWHOステルス・クーデター(要点)

以下はエングダール氏の解説 WHO Stealth Coup to Dictate Global Health Agenda of Gates, Big Pharma の要点。


 2022/01/18にバイデン政権が提出した改正案に従って、WHOは権限を大幅に強化する。条約が正式に発効するには通常18ヶ月掛かるが、今回は異例の半年で、既にこの提案は全EU加盟国に支持されており、合計47ヵ国が略確実に採択を保証している。WHOの国際保健規則は(WHO加盟国194ヵ国を含む)196ヵ国を法的に拘束する国際法上の文書だが、WHOとバイデン政権は、改正案の承認には加盟国政府による新たな批准の議論は必要無いと主張している。これはステルスクーデターと呼ぶべき行為だ。
 
 これまでWHOの役割は助言的だったが、改正によって各国の保健当局の判断を無視して義務を課すことが出来る様になり(9条)、更には加盟国の同意が無くても緊急事態を宣言することが出来る様になる。ワクチン・パスポートとCOVID-19ワクチン接種義務化も盛り込まれ、自然災害やパンデミックの際にはWHOの命令が各国の憲法に優先されることになり、WHOは世界的な独裁権力を握ることになる。それで人々が健康被害を受けても、WHOは外交特権を享受している為、説明責任は無い。

 WHOの資金の殆どはゲイツ財団の様な民間のワクチン関連財団や、利益相反関係に有るビッグファーマからのもの。現在の事務局長テドロスはWHO史上初の医学博士号を持たない事務局長であり、ゲイツの支援を受けている。エチオピアの保健大臣だった時には、テロ組織ティグレ人民解放戦線の政治局の元メンバーで、2006年、2009年、2011年のコレラの流行の時には国際保健規則を無視して隠蔽工作に関与し、禁輸と観光減少による経済的打撃を恐れて、流行を宣言することを頑なに拒んだ。外相時代には民族浄化や縁故主義、病院建設資金の政治的流用等にも関与した。

 改正案によって何が起こるかのヒントは、WHOの最大の寄付者であるビル・ゲイツの提唱する GERM — Global Epidemic Response and Mobilization—team と云う構想から得ることが出来る。

行動心理学の兵器化の個別事例

カナダ統合作戦軍はCOVID-19パンデミックを、アフガニスタン戦争の時の様なプロパガンダ作戦を展開する絶好の機会と捉え、2020年4月に計画を策定し実施していた。これは連邦政府や内閣の承認無しに行われた。目的は市民的不服従を阻止し、パンデミックに関する政府のメッセージを強化すること。これとは別の諜報部士官が監督していた作戦では、オンタリオ州の公共ソーシャルメディア・アカウントから情報の選別を行なっており、平和的なブラック・ライヴズ・マターについての情報収集も行なっていた。当時の参謀長だったブライアン・サンタルピア少将は、「これは本当に我々全員にとって学習の機会であり、情報作戦を我々(カナダ軍-国防総省)のルーチンに導入するチャンスだ」と発言した。  
 この件は年末に暴露されて11月には突然停止された。カナダ軍の広報指導部が行なっていたことは「カナダ政府のコミュニケーション政策、及びパブリック・アフェアーズの使命と原則とは両立しない」と判断されたが、懲戒処分を受けた者は誰も居なかった。軍は市民の利益に奉仕する為ではなく政府の利益を推進する為に、通常の合意手続きを無視して市民の行動変容を誘導しようとしている。
Military leaders saw pandemic as unique opportunity to test propaganda techniques on Canadians, Forces report says

コートジボワールの事例:ワクチン忌避率が高くアストラゼネカワクチンの接種数は1日2,000人だったが、移動診療所を配備した他、SMインフルエンサー、宗教やコミュニティの指導者、地元役人等に口コミの宣伝を行わせることで1日20,000以上にまで増やすことに成功した。
COVID-19 Vaccines: From rejection to Shortage, how Côte d’Ivoire Became a Model for Managing Vaccine Hesitancy

NY市長デブラシオが子供達にアピール。
「とっても面白いこの『アベンジャーズ』限定版、ワクチン接種会場でしか手に入らないよ!」
Gillian McKeith @GillianMcKeith

米国の介護施設スタッフのCOVID-19ワクチン接種率は6割止まりで、南部と南西部に忌避者が多い。忌避者は共和党に多いが、トランプ支持か否かの影響は高齢層では薄くなる。ブルッキングス研究所は接種率を上げる為に教育や金銭的インセンティヴや脅迫を勧めている。
Vaccine hesitancy in nursing homes isn’t all politics

ホワイトハウスは9つの出会い系アプリと提携し、ワクチンを接種した者には様々な特典が与えられることに。「君も人体実験のモルモットになってお得なコンテンツをゲット!」と云う訳か。
9 Dating Apps Partner With White House in Latest Scheme to Boost Slumping Vaccine Rates

これで現場の医師達には何も知らない人々を無認可の生物兵器の大規模人体実験のモルモットにする金銭的なインセンティヴが与えられることになる。白昼堂々買収行為が行われている。
東京都 高齢者ワクチン 接種の診療所に協力金 1日60回が対象

ホワイトハウスはワクチン接種率を上げる為、黒人やヒスパニック向けにラッパーを、白人の若者向けにポップスターを起用し、ソーシャルメディアの検閲を強化して宣伝に努めている。
COVID Propaganda Roundup: Children’s Risk of COVID Death 2 in 1,000,000

ブルガリアでは2回のCOVID-19ワクチン接種率は成人の14.5%のみで、接種を希望しているのは僅か33%。業を煮やした政府は何等かのバウチャーで釣ることを検討中。
Bulgarian Government to Give Out Vouchers to Incentivise People to Get Vaccinated

NYの重罪犯のCOVID-19ワクチン接種率は45%だが、この数字を上げる為にバーベキューパーティーや夫婦面会の許可によって囚人を釣ろうとしている。他の州でも宝くじや貯蓄債券での誘惑、保護観察や雇用の際の義務化等でワクチン接種を拡大しようとする試みが行われている。
NY prison officials dangle barbecues, conjugal visits to entice inmates to get vaccinated

バイデン政権やファウチはXboxや25ドル分のギフトカードを配って子供にワクチン接種をさせようとしている。明らかに貧しい家庭の子供を狙い撃ちにした政策だ。
Biden Admin Partnering with Private Sector to Bribe Kids with Xboxes to Get Bioweapon Shots

18〜29歳の900人以上のアメリカの若者を対象とした世論調査では、何と66%が学校や仕事に戻る為ならワクチン接種を受けると回答している。接種に対して懸念を抱いているのは2割に満たない。PR企業の戦略は大成功と云うところ。
Covid-19 vaccine mandates are WELCOME by majority of young Americans, survey shows

カナダのUniversity Health Networkは
・BlueRock(バイオテク医療)
・CCRM(医療関係広告)
・Technion(イスラエル工科大)
と提携。12歳以上の子供をアイスクリームとライブ音楽で釣って、実験段階の遺伝子治療装置をワクチンと称して接種している。
Cory Morningstar @elleprovocateur

ウクライナはドンバスの境界線近くで「シェール・ジェノサイド」に着手する(要点)

以下は2021/02/19の記事 UKRAINE LAUNCHES “SHALE GENOCIDE” NEAR THE DEMARCATION LINE IN THE DONBASS の要点。


ウクライナのドンバスでは知られざるもうひとつのジェノサイドが進行している。2011年、ドンバスの788万6,000平方kmのユゾフスキー地域のシェールガスの埋蔵量は3.6兆立方メートルと推定された。水圧破砕技術は取り返しのつかない生態系の損傷を引き起こすが、環境保護論者と環境団体の訴訟は却下され、西側メジャーのシェルとシェブロンは50年間ドンバス下層土から抽出する契約を獲得。自然公園や療養所や子供向けのキャンプ地は閉鎖された。この後ブリスマホールディングスが加わったが、石油価格の下落によって採算が合わなくなった為、キエフはガス抽出賃料を20%から70%に引き上げた。キエフでカラー革命が起こったのはこの直後で、「シェール革命」の中心地スラビャンスクでも血生臭い戦いが起こった。ブリスマはカルパチア海からアゾフ海までの開発権を手にすることになったが、ハンター・バイデン、ポーランド大統領アレクサンデル・クワスニエフスキー、その後元CIA対テロセンター長にしてブラックウォーター・ワールドワイド(アカデミ)副会長コファー・ブラックが取締会に加わった。勿論パパ・バイデンもやって来て公然とキエフにあれこれ命令してウクライナがどう進むべきかを勝手に決めた。IMFの要請を受けた改革の結果、ガス料金は3倍に引き上げられた。

 水圧破砕に使われるガスは地下水に浸透して樹木の根系を破壊し、その後井戸周辺の広い範囲に沼が出現する。採掘フィールドはドンバスの主要な水動脈に沿って位置している為、化学物質が川に流れ込んで人々の生活に必要な水を汚染する。ドンバスでは環境ジェノサイドが進行中で、ウクライナの植民地は米帝の「シェール革命」の新しい実験場として利用されている。メディアは「シェールガス」や「水圧破砕(fracking)技術」と云う言葉を使うことを禁止され、代わりにフラッキングによるガス生産や「フラッキング」と云う(素人には判り難い)略語を使うよう奨められた。。シェブロンとシェルもウクライナ最大の国営石油企業「ナフトガス」の背後に隠れてもう直ぐブリスマの戦列に加わる。ドンバスでの戦争は収益性の高い経済的・政治的プロジェクトのカモフラージュであって、これが止められなければ、30年以内にドンバスには人が住めなくなる。

本物のゼレンスキー:セレブのポピュリストから不人気なピノチェト式の新自由主義へ(要点)

ウクライナの研究者 Olga Baysha 氏のインタビュー。ゼレンスキーの支持率は大統領就任当初(2019年春)は73%だったが、2022年1月には23%。理由は単純で、公約の反故による「深い裏切りの感覚」。特に新自由主義的農地改革は人気が無い。ドンバス戦争を無視した平和、民主主義、進歩、腐敗防止等についての気持ちの良いお喋りも、彼の実際の新自由主義的経済政策が更なる困窮を生み出すだけだと判ると魔力を失った。

 1991年以降、ウクライナではアメリカ商工会議所、米ウクライナ関係センター、米ウクライナ・ビジネス評議会、欧州ビジネス協会、IMF、欧州復興開発銀行、WTO、EU等が大きな影響力を揮って来たが、2014年のマイダン・クーデター以後は外国人が大臣職に就くまでになり、西側の金融ロビーはウクライナ人の利益とは全く関係の無い新自由化を推進させて来た。

 ゼレンスキーは言論と報道の自由や政治的多元主義を謳っているが、2021年には野党側のメディアは閉鎖され、数十人の左派の独立ジャーナリスト、ブロガー、アナリストが逮捕された。また国家安全保障防衛評議会(NSDC)を設立して政治的ライヴァルに対する違憲な制裁を開始した。

 政府と保安庁(SUB)と提携しているとされる「ピースメイカー」(Myrotvorets)は「国家の敵」リストであり、殺害されたアンチ・マイダンのジャーナリストや政治家の名前は確かにリストに載っていた。殺害犯は逮捕されるどころか英雄扱いだ。「人民の敵」の多くはマイダン後に国外に逃れた。今年3月には大量逮捕が行われた。今のウクライナはピノチェト時代のチリの様なものだ。

 今目撃しているのは「ロシアと、ロシアとの協力を主張する全ての人々に対する共通の不寛容に基付くナショナリストとリベラルの同盟」で、EUとの連合協定が「民主化、近代化、文明」と描かれる一方で、「ロシアが主導するユーラシア経済連合は、ソビエトの国家主義とアジアの専制主義への文明の回帰」と関連付けられた。リベラルがマイダンを支持したのはそれが民主化だからではなく反ロシアだったからだ。

 就任前はゼレンスキーはナショナリズムについて否定的だったが、就任後は態度を180度変えた。過激派は「政治家、裁判所、法執行機関、メディア労暴者等」への暴力の行使(「政治的サファリ」)を躊躇しないからだ。

 現在の戦争は2014年に始まった「対テロ作戦」の延長だが、文明や民主主義vs独裁政治と云う善悪二元論によるゼレンスキーのマントラが外交上の解決に繋がる可能性は殆ど無い。彼の言動は操作に他ならず、彼は世界の舞台に立って拍手喝采を浴びている。2022/03/05の会見で彼はこう述べている:

 「今、私の人生は素晴らしいです。私は必要とされています。それが人生で一番大事な意味であると思いますー必要とされること。単に呼吸して、歩いて、何かを食べるだけの空っぽな人生ではなくて、自分が生きていると感じること。」
The real Zelensky: from celebrity populist to unpopular Pinochet-style neoliberal

Olga Baysha 氏の著書、Democracy, Populism, and Neoliberalism in Ukraine: On the Fringes of the Virtual and the Real


付記:全文邦訳して下さった方が居たのでリンクを貼っておく。
ゼレンスキーの正体:人気を博した芸能人から不人気なピノチェット式新自由主義者への変身

ウォール街とロシア革命———リチャード・B・スペンスのインタビュー(要点)

以前紹介した Wall Street and the Russian Revolution: 1905-1925 の著者、Richard B. Spence 氏のインタビュー動画。色々と著書の補足の様なことを言っている。

 米英独等から帝政ロシアを打倒する為に革命勢力を支援する様々な陰謀が行われたのは事実で、背後に統一されたグランド・デザインが有った訳ではないが、彼等には金儲けと云う(資本主義者としては極く当たり前の)共通の動機が有った。世界初の社会主義政権であるボルシェビキ政権が打ち立てた前例の無い戦時共産主義システムは生き延びたが、様々な要因によって崩壊した経済を立て直す為に、彼等は1921年に資本主義に対して大幅な譲歩を余儀無くされた(そのお陰で国際資本は儲けた)。だがその後スターリンが外国資本を追い出して純粋に自国の為の経済体制を構築することによって、ロシアの豊富な資源から儲けようとする西洋の試みは潰えた。

 トロツキーは叔父が大富豪、パルヴスは自身が富裕なビジネスマン、レーニンも裕福ではなかったが貴族の出で、ボルシェビキ革命指導部に本物の労働者は農民は殆ど居らず、中流か上流階級の者ばかり。彼等少数派のサイコパス・エリート達は自分より上の者を憎み、下の者も憎んだが、彼等は「自分達はお上に頼らず自力でやって行く」と云うアナーキストな農民の心情にアピールすることで権力を掌握した。

 私の所感としては、ロシア革命にはカラー革命の要素が確かに存在した。だが「外国資本に操られたカラー革命に過ぎなかった」と総括するのは短絡的過ぎる。ロシア革命は恐らく大衆革命と云うよりは外国の支援を受けたクーデターに近いものだったろうが、現実が屢々そうである様に、その後の展開は複雑に入り組んでいて、単純な解釈を許さない。
Wall Street and the Russian Revolution - with Richard B. Spence
プロフィール

川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
全体像が知りたい場合は「カテゴリ」の「テーマ別スレッド一覧」を参照。

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