南シナ海「侵略」の真相
労働者連盟の記事の抄訳。「中国は南シナ海を侵略しようとしている!」と云う西洋大手メディアや政治家達の主張は真実なのか? 結論ら言うと嘘。このプロパガンダに引っ掛かる理由は、この地域の歴史に関する知識の欠如、状況を相対化してみる想像力の欠如、周辺諸国の動向に関する情報の不足、と云ったところだろう。その点この記事は的確に纏めている。
“Aggression” in the South China Sea
西洋の企業メディアの報道を額面通りに受け取るなら、中華人民共和国は南シナ海で「過剰な」海洋権益を主張し、同じく領有権を主張する近隣諸国をいじめ、紛争を引き起こしていることになる。
が、西洋の企業メディアは米国が主導する帝国主義勢力の代弁者のひとつだ。彼等は反転した世界を描き出している。実際には、南シナ海はその名が示す通り、今まではずっと主に中国の領土内に収まっていた。
このことは国際的に認知されて来たことだ。南シナ海が「突然」国際的な関心事になったのは、チベット、香港、新疆ウイグル自治区を巡る反中プロパガンダ・キャンペーンが事実上失敗したことを受けて、米国が中国に対する軍事的・政治的包囲網を拡大してからのことだ。
西洋の支配層エリート達は、容赦無く台頭する中国の巨大な社会主義経済が2030年までに自分達の経済を超えるだろうと予測している。西洋のメディアが今南シナ海について懸念を示しているのは、そうした背景の中でのことだ。
漁業紛争
南シナ海の領有権を主張する国同士の沿岸警備隊の間の衝突が度々騒がれているにも関わらず、漁船や沿岸・海域を巡る争いは世界中で比較的よく有ることだ。これらが激しい戦争にエスカレートすることは、仮令有ったとしても滅多に無い。
南シナ海では、中華人民共和国、台湾(台湾は中国の一部であると云うのが国際社会の合意だ)、フィリピン、ヴェトナム、マレーシア、ブルネイの政府が、様々な地域に対して重複する領有権を主張している。
南シナ海周辺諸国だけでなく、多くの国々の海事当局が長年に亘り、認められた海域内で違法漁船を発見し、体当たりしたり護送して退去させたり、更には沈没させたりして来た。
これらの違法漁船は、東南アジア諸国から人身売買された労働者を使って、現代の奴隷制に従事していることが多い様だ。
時々違法漁船を沈没させているのは中国当局だけではない。実際のところ、中国は近隣諸国と比較して、違法漁船の沈没数が圧倒的に少ない。
・2017年、インドネシアの特別海事部隊が、密猟漁船81隻を爆破、沈没させた。ボートの殆どはヴェトナム、フィリピン、マレーシアからのもので、中国から来たのは1隻だけだった。
・2021年、オーストラリアの海事当局が、同国のアッシュモア礁付近で漁業中のインドネシア船16隻を拿捕。13隻はその海域から護送したが、3隻は沈没させた。
・2023年、マレーシア海事執行局は裁判所によって(収穫物を含めて)押収されたヴェトナム漁船7隻を沈め、人工礁に変えた。これ以前は、侵入したトロール船に放火するだけの処分を行っていた。
・2023年、インドネシア海事当局は北ナトゥナ海とスラウェシ島海域で違法操業したとして船舶6隻を拿捕。内5隻はフィリピン船、1隻はヴェトナム船だった。
・2019年、ヴェトナム沿岸警備隊の船がインドネシア海軍の艦船に体当たりする事故が起きた。インドネシア海軍はヴェトナム漁船の進入を阻止しようとしていた。
つまり南シナ海で洋生物資源を使用する権利を巡って、インドネシア、ヴェトナム、マレーシアの海軍や沿岸警備隊等の間で、比較的頻繁に衝突が続いているのだ。殆どの場合、近隣諸国の漁船に対して、体当たりしたり、沈没させたり、焼却したりと云った措置が行われることになる。これはもう何年も続いているのだが、中国はこの種の行動に関しては比較的マイナーな役割しか果たしていない。
だが、西洋の企業メディアは、南シナ海でのインドネシア、マレーシア、ヴェトナムの「侵略」について騒ぎ立てたりはしない。彼等に拠れば、南シナ海で好戦的なのは何時も中国だけなのだ。
フィリピンの新たなる代理人
ロドリゴ・ドゥテルテはフィリピン史上最も人気の有る大統領だった(最高支持率91%!)にも関わらず、米国とリベラル派は彼を権威主義的独裁者として批判した。
ドゥテルテは任期の間は一貫して、如何なる状況に於ても中国とは戦争・紛争をしてはならないと強調し続けた。リベラル派と多くの自称「左派」はこれについて批判したが、その努力は最終的に実を結ぶことになった。
ドゥテルテの後を襲った新大統領、フェルディナンド・マルコスJr.(独裁者マルコスの息子)はこの方針を転換し、対中国の戦争用に、米軍がフィリピンに新たに4つの基地を設置することを許可した。曾ては米国の植民地だった独立国家フィリピンは再び、米国に従属する代理国家にまで身をやつすことになった。
1999年、フィリピン軍は第二次世界大戦時代の揚陸艦BRPシエラマドレを仁愛礁(Ren'ai Reef)で故意に座礁させた。恐らく何等かの基地を築く為だろう。

1935年、当時の中華民国は仁愛礁を中国の不可分の領土であると公に宣言していたが、1983年に中華人民共和国は正式にその名称を仁愛礁(Ren’ai Jiao)に変更した。
2023年8月、フィリピン軍は、BRPシエラマドレの孤立した隊員達に食料を供給すると云う中国との一時協定に従うフリをして、秘密裏に建築資材を移送していたことが発覚した。これは中国に対する明らかな挑発行為であって、中国海警局は補給船2隻とフィリピン沿岸警備隊の船2隻を追い払った。
2021年に遡って、フィリピン政府は、係争中の南沙諸島内のウィットサン礁に中国漁船200隻が停泊していることに抗議した。中国当局は、漁船は強風から避難しているだけで漁業活動を行っておらず、これは極く普通のことだと主張した。だが米国政府と日豪加はフィリピン政府を支持し、中国の「海上民兵(maritime militia)」が集結することに懸念を表明した。言うまでもなく、この「海上民兵」と云うのは単なる漁船のことだ。
ハーグの常設仲裁裁判所の2016年の判決については、西側の企業メディア報道では、南シナ海の一部に対する中国の主張を却下し、フィリピンを支持したと云うことになっている。しかし、当時のドゥテルテ大統領はこの判決は「誰を排除するものでもない」と述べ、全てのASEAN諸国に対し、自制と南シナ海の非軍事化を定めた2022年の締約国行動宣言を遵守するよう求めた。
そもそも、仲介裁判所にはそうした問題に対する管轄権は無いし、この訴訟は(西洋メディアが主張している様に)フィリピン政府によって持ち込まれたものでもない。
実際には、この裁判を率いていたのは米国に本拠を置く法律事務所フォーリー・ホーグの米国人弁護士、ポール・S・ライヒラーだった。つまり米国は中国封じ込めの為にフィリピンを利用したのだ。
国連海洋法条約(UNCLOS)
国連海洋法条約に基付いて、海岸線を持つ国は海岸から12海里の領海と、200海里の排他的経済水域を有する権利を持つ。
この条約は全ての東南アジア及び太平洋諸国を含む150ヵ国か国によって署名・批准されている(カンボジアだけは除く。こちらは署名はしたが批准はしていない)。
最も注目すべき脱落は、41年間に亘ってこの条約から距離を置き続けている米国だ。
だが、米国は南シナ海全域で軍艦による「航行の自由作戦」(FONOP)を実施する権利を主張している。米国は中国の「行き過ぎた海洋主張」に異議を申し立て、原則として全ての国に対する所謂「航行の自由」の権利を支持すると主張している。その法的根拠は米国自身が参加していない国連海洋法条約であるにも関わらず!!
しかし、米国帝国主義の呆れた偽善はこれで終わらない。
2023/08/24、米国国防総省はインドネシアとの共同報道声明を発表し、インドネシアと米国は中国の「広範な」海洋権益の主張が国際法、特に国連海洋法条約に違反するとの見解を共有したと述べた。
が、これは全くの捏造だった。
インドネシア国防大臣は、米国との共同声明や共同記者会見は無かったと釈明する羽目になった。そしてインドネシアは中国と良好な関係に在り、米国を尊重し、ロシアとの友好を求めていると強調した。インドネシアは非同盟国であって、全ての国と友好関係に在るとのことだった。
米国に加え、英国、オランダ、フランス、オーストラリアの帝国主義勢力は軍艦を使って、絶え間無く中国を煽り続けている。彼等は「航行の自由」の権利などと云う馬鹿げたことを主張しながら、絶えず南シナ海を行ったり来たりしており、台湾海峡を通るなどと云う暴挙も辞さない。
仮に中国やロシアの軍艦が「航行の自由」を掲げて米国の東海岸を通過したり、英仏海峡を通過したり、オーストラリアの東海岸を行ったり来たりした場合、西洋諸国はどんな反応を示すだろうか。それは想像するしか無い。
帝国主義勢力のやり口は、あらゆる手段で中国を軍事的に挑発し、その後中国が何等かの形でそれらに反応した瞬間に、「侵略だ!」と金切り声を上げると云うものだ。
戦争反対!
2023/08/28に中国が「九段線」を十段線に延長した様に見える領土地図を発表した時、西洋メディアはびっくりしたフリをして警鐘を鳴らした。
実際には、余分な段線(ダッシュ)は台湾の北東側に描かれたものに過ぎなかったので、描かれている範囲が別に大きく変更した訳ではない。全ての西洋諸国を含む国際社会は、「ひとつの中国」原則の下、台湾は中国の一部であると公式に認めているので、大騒ぎしなければならない様なことは何も無かった筈だ。
西洋政府のプロパガンダは、南シナ海の島々やサンゴ礁はこの地域の他の国々に近いから中国の領有権の主張は「行き過ぎ」だと主張しようとしているが、繰り返す様に南シナ海は南中国海(South China Sea)だ。中国はそこで2,000年前から活動している。
更に中国は第二次世界大戦後、日本が占領していた島々を取り戻した。その後日本も、南シナ海の島々を中国の一部であると明記した地図を発行した。
1950〜60年代、米国政府は南シナ海の測量を中国に繰り返し要請したが、これは南シナ海に於ける中国の主権を公に認めていたことと同義だ。
その状況は今日、逆転している。
中国は、広大な製造基盤と科学技術の進歩を土台として急速に世界第一の大国になりつつありるが、米国の帝国主義はライヴァルの台頭、況してやライヴァルに抜かれることを容認することは出来ない。
中国は米国の利益追求第一主義とは異なり、主に人々のニーズに応える計画経済を実施しており、その社会主義経済政策は人類の明るい未来を予感させるものだ。
残念ながら、ワシントンとその衛星諸国は、中国に対して戦争を準備することで対抗している。それは何億もの人々の死と、世界経済の事実上の崩壊、そして史上空前の危機を引き起こすことだろう。
南シナ海で西洋が強化し続けている挑発行動は、どんな犠牲を払ってでも中国とのこうした軍事衝突を引き起こそうとする取り組みの最近のものに過ぎない。世界資本主義の基盤そのものを救うには、ワシントンは中国の社会主義支配に終止符を打たなければならないのだ。
米国主導の帝国主義が世界戦争以外に齎すものが殆ど何も無いのであれば、そんな時代は最早過去のものとなるべきだ。東西の労働者達がこれに抗して団結すれば、戦争の脅威は消えるだろう。
“Aggression” in the South China Sea
西洋の企業メディアの報道を額面通りに受け取るなら、中華人民共和国は南シナ海で「過剰な」海洋権益を主張し、同じく領有権を主張する近隣諸国をいじめ、紛争を引き起こしていることになる。
が、西洋の企業メディアは米国が主導する帝国主義勢力の代弁者のひとつだ。彼等は反転した世界を描き出している。実際には、南シナ海はその名が示す通り、今まではずっと主に中国の領土内に収まっていた。
このことは国際的に認知されて来たことだ。南シナ海が「突然」国際的な関心事になったのは、チベット、香港、新疆ウイグル自治区を巡る反中プロパガンダ・キャンペーンが事実上失敗したことを受けて、米国が中国に対する軍事的・政治的包囲網を拡大してからのことだ。
西洋の支配層エリート達は、容赦無く台頭する中国の巨大な社会主義経済が2030年までに自分達の経済を超えるだろうと予測している。西洋のメディアが今南シナ海について懸念を示しているのは、そうした背景の中でのことだ。
漁業紛争
南シナ海の領有権を主張する国同士の沿岸警備隊の間の衝突が度々騒がれているにも関わらず、漁船や沿岸・海域を巡る争いは世界中で比較的よく有ることだ。これらが激しい戦争にエスカレートすることは、仮令有ったとしても滅多に無い。
南シナ海では、中華人民共和国、台湾(台湾は中国の一部であると云うのが国際社会の合意だ)、フィリピン、ヴェトナム、マレーシア、ブルネイの政府が、様々な地域に対して重複する領有権を主張している。
南シナ海周辺諸国だけでなく、多くの国々の海事当局が長年に亘り、認められた海域内で違法漁船を発見し、体当たりしたり護送して退去させたり、更には沈没させたりして来た。
これらの違法漁船は、東南アジア諸国から人身売買された労働者を使って、現代の奴隷制に従事していることが多い様だ。
時々違法漁船を沈没させているのは中国当局だけではない。実際のところ、中国は近隣諸国と比較して、違法漁船の沈没数が圧倒的に少ない。
・2017年、インドネシアの特別海事部隊が、密猟漁船81隻を爆破、沈没させた。ボートの殆どはヴェトナム、フィリピン、マレーシアからのもので、中国から来たのは1隻だけだった。
・2021年、オーストラリアの海事当局が、同国のアッシュモア礁付近で漁業中のインドネシア船16隻を拿捕。13隻はその海域から護送したが、3隻は沈没させた。
・2023年、マレーシア海事執行局は裁判所によって(収穫物を含めて)押収されたヴェトナム漁船7隻を沈め、人工礁に変えた。これ以前は、侵入したトロール船に放火するだけの処分を行っていた。
・2023年、インドネシア海事当局は北ナトゥナ海とスラウェシ島海域で違法操業したとして船舶6隻を拿捕。内5隻はフィリピン船、1隻はヴェトナム船だった。
・2019年、ヴェトナム沿岸警備隊の船がインドネシア海軍の艦船に体当たりする事故が起きた。インドネシア海軍はヴェトナム漁船の進入を阻止しようとしていた。
つまり南シナ海で洋生物資源を使用する権利を巡って、インドネシア、ヴェトナム、マレーシアの海軍や沿岸警備隊等の間で、比較的頻繁に衝突が続いているのだ。殆どの場合、近隣諸国の漁船に対して、体当たりしたり、沈没させたり、焼却したりと云った措置が行われることになる。これはもう何年も続いているのだが、中国はこの種の行動に関しては比較的マイナーな役割しか果たしていない。
だが、西洋の企業メディアは、南シナ海でのインドネシア、マレーシア、ヴェトナムの「侵略」について騒ぎ立てたりはしない。彼等に拠れば、南シナ海で好戦的なのは何時も中国だけなのだ。
フィリピンの新たなる代理人
ロドリゴ・ドゥテルテはフィリピン史上最も人気の有る大統領だった(最高支持率91%!)にも関わらず、米国とリベラル派は彼を権威主義的独裁者として批判した。
ドゥテルテは任期の間は一貫して、如何なる状況に於ても中国とは戦争・紛争をしてはならないと強調し続けた。リベラル派と多くの自称「左派」はこれについて批判したが、その努力は最終的に実を結ぶことになった。
ドゥテルテの後を襲った新大統領、フェルディナンド・マルコスJr.(独裁者マルコスの息子)はこの方針を転換し、対中国の戦争用に、米軍がフィリピンに新たに4つの基地を設置することを許可した。曾ては米国の植民地だった独立国家フィリピンは再び、米国に従属する代理国家にまで身をやつすことになった。
1999年、フィリピン軍は第二次世界大戦時代の揚陸艦BRPシエラマドレを仁愛礁(Ren'ai Reef)で故意に座礁させた。恐らく何等かの基地を築く為だろう。

1935年、当時の中華民国は仁愛礁を中国の不可分の領土であると公に宣言していたが、1983年に中華人民共和国は正式にその名称を仁愛礁(Ren’ai Jiao)に変更した。
2023年8月、フィリピン軍は、BRPシエラマドレの孤立した隊員達に食料を供給すると云う中国との一時協定に従うフリをして、秘密裏に建築資材を移送していたことが発覚した。これは中国に対する明らかな挑発行為であって、中国海警局は補給船2隻とフィリピン沿岸警備隊の船2隻を追い払った。
2021年に遡って、フィリピン政府は、係争中の南沙諸島内のウィットサン礁に中国漁船200隻が停泊していることに抗議した。中国当局は、漁船は強風から避難しているだけで漁業活動を行っておらず、これは極く普通のことだと主張した。だが米国政府と日豪加はフィリピン政府を支持し、中国の「海上民兵(maritime militia)」が集結することに懸念を表明した。言うまでもなく、この「海上民兵」と云うのは単なる漁船のことだ。
ハーグの常設仲裁裁判所の2016年の判決については、西側の企業メディア報道では、南シナ海の一部に対する中国の主張を却下し、フィリピンを支持したと云うことになっている。しかし、当時のドゥテルテ大統領はこの判決は「誰を排除するものでもない」と述べ、全てのASEAN諸国に対し、自制と南シナ海の非軍事化を定めた2022年の締約国行動宣言を遵守するよう求めた。
そもそも、仲介裁判所にはそうした問題に対する管轄権は無いし、この訴訟は(西洋メディアが主張している様に)フィリピン政府によって持ち込まれたものでもない。
実際には、この裁判を率いていたのは米国に本拠を置く法律事務所フォーリー・ホーグの米国人弁護士、ポール・S・ライヒラーだった。つまり米国は中国封じ込めの為にフィリピンを利用したのだ。
国連海洋法条約(UNCLOS)
国連海洋法条約に基付いて、海岸線を持つ国は海岸から12海里の領海と、200海里の排他的経済水域を有する権利を持つ。
この条約は全ての東南アジア及び太平洋諸国を含む150ヵ国か国によって署名・批准されている(カンボジアだけは除く。こちらは署名はしたが批准はしていない)。
最も注目すべき脱落は、41年間に亘ってこの条約から距離を置き続けている米国だ。
だが、米国は南シナ海全域で軍艦による「航行の自由作戦」(FONOP)を実施する権利を主張している。米国は中国の「行き過ぎた海洋主張」に異議を申し立て、原則として全ての国に対する所謂「航行の自由」の権利を支持すると主張している。その法的根拠は米国自身が参加していない国連海洋法条約であるにも関わらず!!
しかし、米国帝国主義の呆れた偽善はこれで終わらない。
2023/08/24、米国国防総省はインドネシアとの共同報道声明を発表し、インドネシアと米国は中国の「広範な」海洋権益の主張が国際法、特に国連海洋法条約に違反するとの見解を共有したと述べた。
が、これは全くの捏造だった。
インドネシア国防大臣は、米国との共同声明や共同記者会見は無かったと釈明する羽目になった。そしてインドネシアは中国と良好な関係に在り、米国を尊重し、ロシアとの友好を求めていると強調した。インドネシアは非同盟国であって、全ての国と友好関係に在るとのことだった。
米国に加え、英国、オランダ、フランス、オーストラリアの帝国主義勢力は軍艦を使って、絶え間無く中国を煽り続けている。彼等は「航行の自由」の権利などと云う馬鹿げたことを主張しながら、絶えず南シナ海を行ったり来たりしており、台湾海峡を通るなどと云う暴挙も辞さない。
仮に中国やロシアの軍艦が「航行の自由」を掲げて米国の東海岸を通過したり、英仏海峡を通過したり、オーストラリアの東海岸を行ったり来たりした場合、西洋諸国はどんな反応を示すだろうか。それは想像するしか無い。
帝国主義勢力のやり口は、あらゆる手段で中国を軍事的に挑発し、その後中国が何等かの形でそれらに反応した瞬間に、「侵略だ!」と金切り声を上げると云うものだ。
戦争反対!
2023/08/28に中国が「九段線」を十段線に延長した様に見える領土地図を発表した時、西洋メディアはびっくりしたフリをして警鐘を鳴らした。
実際には、余分な段線(ダッシュ)は台湾の北東側に描かれたものに過ぎなかったので、描かれている範囲が別に大きく変更した訳ではない。全ての西洋諸国を含む国際社会は、「ひとつの中国」原則の下、台湾は中国の一部であると公式に認めているので、大騒ぎしなければならない様なことは何も無かった筈だ。
西洋政府のプロパガンダは、南シナ海の島々やサンゴ礁はこの地域の他の国々に近いから中国の領有権の主張は「行き過ぎ」だと主張しようとしているが、繰り返す様に南シナ海は南中国海(South China Sea)だ。中国はそこで2,000年前から活動している。
更に中国は第二次世界大戦後、日本が占領していた島々を取り戻した。その後日本も、南シナ海の島々を中国の一部であると明記した地図を発行した。
1950〜60年代、米国政府は南シナ海の測量を中国に繰り返し要請したが、これは南シナ海に於ける中国の主権を公に認めていたことと同義だ。
その状況は今日、逆転している。
中国は、広大な製造基盤と科学技術の進歩を土台として急速に世界第一の大国になりつつありるが、米国の帝国主義はライヴァルの台頭、況してやライヴァルに抜かれることを容認することは出来ない。
中国は米国の利益追求第一主義とは異なり、主に人々のニーズに応える計画経済を実施しており、その社会主義経済政策は人類の明るい未来を予感させるものだ。
残念ながら、ワシントンとその衛星諸国は、中国に対して戦争を準備することで対抗している。それは何億もの人々の死と、世界経済の事実上の崩壊、そして史上空前の危機を引き起こすことだろう。
南シナ海で西洋が強化し続けている挑発行動は、どんな犠牲を払ってでも中国とのこうした軍事衝突を引き起こそうとする取り組みの最近のものに過ぎない。世界資本主義の基盤そのものを救うには、ワシントンは中国の社会主義支配に終止符を打たなければならないのだ。
米国主導の帝国主義が世界戦争以外に齎すものが殆ど何も無いのであれば、そんな時代は最早過去のものとなるべきだ。東西の労働者達がこれに抗して団結すれば、戦争の脅威は消えるだろう。
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