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国連データで見る黒海穀物協定の嘘

 2022/07/22にトルコと国連の仲介による黒海穀物イニシアチブは、世界有数の穀物輸出国であるロシアとウクライナが戦争に妨げられずに世界市場へ穀物を輸出することを促進する為の、人道的意味合いの強い協定だった。

 ところがまぁいざ蓋を開けてみると、約束を守ったのはロシアだけで、西洋は約束した制裁解除は実行しないし、キエフは人道回廊を悪用してドローン攻撃を仕掛けて来るし(それどころかロシア軍が攻撃して来たと主張するし)、国連も協力しないしで、ロシアは3回も延長して辛抱強く約束が果たされるのを待ったものの、結局仏の顔も三度までと言うことだろうか、2023/07/17にこれ以上は無駄と判断して更新を打ち切った


 この決定が穀物の市場価格に及ぼした影響は比較的軽微だった訳だが、これにはそもそも協定が世界の食糧安全保障役の確保には殆ど役に立っていなかったと云う事情が有る。

 国連のデータに拠れば、ウクライナからこのプロジェクトを通じて輸出された合計3,280万tの穀物は、3大陸45カ国に出荷されていた。地域別の内訳は、
 ・46%-アジア
 ・40%-西欧
 ・12%-アフリカ
 ・1%-東欧

 所得別に見ると、トウモロコシの90%と小麦の60%は高所得国と上位中所得国に、トウモロコシの10%と小麦の40%が低所得国と下位中所得国に輸出されている。2021年までと比べると、2022年以降は高所得国が小麦を買い占めている動きが顕著だ。最も支援を必要としている筈の低所得国は小麦を9%しか受け取っておらず(6%から微増はしているが)、トウモロコシに至ってはゼロ。人道目的で飢餓のリスクに曝されている国々を優先すると謳ってはいるが、実際にはこのイニシアチブは食糧危機の軽減には殆ど役に立っていなかったことが見て取れる。


 同じく国連の報告書に拠れば、「2022年7月、国連世界食糧計画はアフガニスタン、ジブチ、エチオピア、ケニア、ソマリア、スーダン、イエメンの飢餓を救う為に。合計725,167tの小麦を出荷した」ことになっている。つまり最貧諸国は全体の2%強ぽっちしか受け取っていないと云うことだ。

 因みに国別に見ると、ウクライナの穀物の最大の輸出先は、驚くなかれ、何と中国だ。中国がウクライナの最大貿易相手国であると云う記事は以前にも紹介したが、「中国はロシアの味方をしている」と思い込んでいる人は意外に思うのではなかろうか(実際には中立原則を貫いている)。因みに世界銀行に拠ると、中国は上位中所得国に分類されるので、小麦を買い占めているのは中国ではなく、西洋諸国だと云うことになる。
Volume of agricultural exports from Ukraine

 この偽善的な協定から撤退した後、プーチン大統領はロシア・アフリカ・サミットで、今後3~4ヵ月以内にアフリカの最貧諸国の一部に無料で穀物を輸送する用意が有ると発表し、同時にロシアは西洋の制裁にも関わらず、アフリカへの食料供給を増やしていることも明らかにした。そしてロシアとアフリカ諸国は共同声明を出し、EUに対し、ロシアの肥料輸送の阻止を解除するよう要求した。更にロシアはアフリカの230億ドルの債務も免除した。ロシアは穀物外交によってグローバル・サウスの誠実な恩人として多極化を推進している。
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ウクライナの人身売買

デボラ・L・アームストロング氏の記事の第3部。ウクライナでは違法な臓器摘出が大規模に組織的に行われているが、ロシア軍が特別軍事作戦を開始して以降、西洋ではそれらは「ロシアのプロパガンダだ」と云うことになった。戦場に出た兵士達からの臓器摘出も行われている可能性が高い。
“When You See It, You Won’t Forgive”: Part III of an Investigative Report on Human Trafficking in Ukraine
ウクライナにおける人身/臓器の売買についての調査報告(第3部)

★日本の法務省入国管理局が仮訳していた2016年のウクライナ人権報告書より、人身売買に該当する箇所を抜き出してみた(仮訳なので一部文章がおかしいが)。
日本当局が把握していたウクライナの人身売買(2016年)

独立後に西洋諸国に食い荒らされて経済的に荒廃したウクライナでは、代理出産業、もう少しあからさまに言えば、赤ちゃん農場、子宮レンタル・ビジネスが困窮した女性達を狙って繁盛して来たが、キエフ政府はこれを規制していない。それどころかウクライナは生殖工学の実験場になっている。
Ukraine’s baby factories rake in record profits amid chaos of war
戦争の混乱のさなか、ウクライナの赤ちゃん工場が記録的な大もうけ

★2023/02/05、フィナンシャル・タイムズの「モルドバ首相、ウクライナ戦争密輸阻止の為EUに更なる支援を求める」と云う記事の、人身売買について言及した部分を紹介する。
ウクライナからの人身売買と武器密売の増大は、モルドバを脅かしている

★デボラ・L・アームストロング氏の記事の抄訳。ウクライナに於ける違法な臓器収集の実態について、幾つかの証言を紹介する。心底胸糞の悪くなる様な内容なので、読む時には御注意を。念を押しておくとこの問題は「ロシアのウクライナ侵略」によって引き起こされたものではなく、そのずっと前から、西洋によるウクライナの政治的・経済的侵略によって引き起こされたものだ。
ウクライナの人身売買:違法な臓器収集(抄訳)

★エルサ・ボイリー氏の記事の抄訳。ウクライナでは子供の臓器や性的搾取目的での人身売買が盛ん。西洋による冷戦後の収奪とナチによる大衆洗脳が、人心を荒廃させている様子が見て取れる。
子供の人身売買:ウクライナは金儲けの為の邪悪な方法を見付けた(抄訳と補足)

ウクライナ難民に対して約13万のビザを発行している大英帝国のジョンソン首相は、ウクライナ難民の国外追放は「起こらないだろう」と発言していたが、6月になって不法に到着したウクライナ難民はルワンダ(西側の傀儡である独裁者カガメが、ウクライナ紛争よりも二桁多い犠牲者を出して来たコンゴ侵略戦争を繰り広げている拠点)に国外追放すると方針を転換。彼はこの戦略が人身売買業者のビジネスモデルを損なうとか主張しているが、労働党からは「この方針は実行不可能で、非倫理的で、途方も無く費用が掛かり(1億2,000万ポンド/1億4,720万ドル)、人身売買を悪化させるリスクが有ると云う批判が出ている。まぁ大英帝国にとっては所詮ウクライナの人々はロシアとの代理戦争の為の使い捨ての駒に過ぎない。

UK could send Ukrainian refugees to Rwanda – PM

英帝とルワンダが結んだ亡命パートナーシップ協定により、ルワンダからの亡命希望者は「不法移民(犯罪者)」としてルワンダに強制送還される。難民の発生には英帝を含む西側諸国に主な責任が有るにも関わらず、3月の法案により英国海軍は今や「不法移民」の取り締まりにあたっている。国連難民局当局者が「違法」で「全て間違っている」と言い、カンタベリー大司教が「神の裁きに耐える」ものではないと非難しているこの蛮行を、驚くべきことに英国政府は「人身売買のビジネスモデルを打ち破り、無数の移民の命を救う為に必要な正義の行為」だと主張している。植民地主義者共の無慈悲で傲慢なメンタリティは今尚全く変わっていない。
Shame on UK to deport refugees as ‘criminals’: Global Times editorial

★2023/06/11、OSCEの人道支援・監視任務に従事していたと主張するベラ・ヴァイマン氏が、ウクライナで子供の臓器売買が行われていることを内部告発する動画が出回って評判になった。これは信憑性が高い情報なのかどうなのか確認が取れなかったので、取り敢えず紹介だけに止めておくが、ウクライナに人身売買問題が存在することはこれ以外にも以前から指摘されている。
ウクライナの孤児院は子供の人身売買の餌場だ(2015年)

冷戦後の西側による経済破壊によって、ウクライナは欧州最大の売春婦の供給源と化した訳だが、ウクライナ紛争による難民増加を受けて、ウクライナの女性からの売春サーヴィスの検索数はアイルランドで250%、他の国々では最大600%増加した。これは新たな人身売買危機に発展する可能性が有る。
Men offered ‘war-inspired fantasies’ with Ukrainian escorts – OSCE

★2023年最新のデータに基付いて、ウクライナの軍事費の現状について振り返ってみた。冷戦後に旧ソ連諸国を襲った経済的ジェノサイドにより、ウクライナではセックスワーカーや人身売買が急増した。
国民の生活を置き去りにしたウクライナの2022年の軍事費

★現在のコソボ情勢についての危険性の一端を解説したカート・ニモ氏の記事の要点と補足。コソボではNATOの違法な爆撃以降、性的人身売買、強制売春、拷問が急速に増加し、モルドバ、ブルガリア、ウクライナからセルビア経由でコソボに輸入されて来た女性達がNATO軍兵士達の相手をさせられた。
コソボのNATO主導の「平和維持部隊」KFORは、コソボで「平和」を確立する用意が出来ている(要点と補足)

バイデン

イラク戦争当時、大量破壊兵器の嘘を暴いたスコット・リッターを公の場で攻撃的にバカにするバイデン。彼は自国の政府が掲げている大義が真っ赤な嘘であることを承知しながら、大勢の自軍の兵士達やイラク人達の命を奪う戦争への支持を呼び掛け続けた。
Scott Ritter on Joe Biden Mocking War


総統閣下はバイデンの余りの耄碌ぶりにお怒りです。
Hitler phones Biden


007シリーズの"License to kill"にかけた米国史上最高齢大統領のおちょくり動画。健康どころか認知能力すら危ぶまれる耄碌じいさんに核のボタンが握られているのだから笑えない。
Joe Biden: License To Fall


★ハンター・バイデンのラップトップから明らかになっているバイデン一家の悪行の数々について、ジェレミー・クズマロフ氏の解説の要点。
CIAと諜報機関は2020年の選挙でジョー・バイデンを勝たせる為、ハンター・バイデンのラップトップについて嘘を吐いた———新たな報告書が合理的な議論の余地無く証明(要点)

ウクライナ紛争について中国が調停役を申し出る前:「我々は中国は特に、プーチン大統領に対してその影響力を行使する責任を負っていると考えている。」
朝廷役を申し出た後:「我々は現時点では停戦の呼び掛けを支持しない。」
どっちやねん。認知症の疑いが有るのはバイデン一人だけではないのか。

Garland Nixon @GarlandNixon

コリブコ氏の記事。2023/02/20にバイデンがキエフを訪問する数時間前、ホワイトハウスはその事実をロシアに通知して安全を保証して貰っており、ロシア安全保障理事会のメドベージェフ副議長もこの事実を認めている。これはワシントンがロシアのことを「血に飢えた獣」ではなく理性的な相手であると認識していることを示しており、その結果バイデンが無事に到着出来たことは、ワシントンとクレムリンの双方が事態のエスカレーションを望んでいないことを示している。実際、事前通知を行なっていなければ誤って攻撃されていたかも知れない訳で、バイデンは「勇敢に」キエフに赴いた訳ではない(しかも具体的な成果は何ひとつ無かった)。
There’s Nothing Strange About Russia Giving Biden Security Guarantees During His Trip To Kiev

2023/02/07のバイデンの一般教書演説より:「はっきりさせておきましょう、(中国との)競争に勝つことは、我々全員を団結させる筈です。」外交政策については殆ど触れていない。これは真面目に新デタントを進めようとする者の発言ではない。国内問題を抱えた指導者が外部に敵を作り出すことによって国民の気を逸らそうとするのは政治の常套手段ではあるが、それに騙される想像力の欠落した軽信者達は何時の時代にも大勢居るので、どの国でも毎回或る程度は通用する。イラクとシリアソマリアイエメンでワシントンの連中が繰り広げている犯罪を気にする米国人など殆ど居ない。
State of the Union: Biden Says Beating China Should ‘Unite All of Us’

マイク・ウィットニー氏の論説。もっと遙かに重要なハンター・バイデンのノートパソコン問題が放置された儘なのに、何故今更「機密文書の不適切な取り扱い」なんかが騒ぎ立てられ、(プーチンを暗殺しろと言い放った)リンジー・グラハムの様な超タカ派のネオコンが特別検察官の任命を求めているのか? ウクライナで負けが込んでいる現状を前に、「第三次世界大戦を始めた大統領」になる度胸の無いバイデンに圧力を掛ける為ではないのか?と云う推測。まぁ一理有ると思う。
Is Biden Being Blackmailed To Send US Combat Troops To Ukraine? – OpEd

★認知能力が心配なバイデン米大統領の珍言動の例として、2022/11/09の記者会見から。
動画:バイデンはロシアがイラクを侵略したと思っている(要点)

2022/10/15、ジョー・バイデンの最新のセクハラ発言。(後ろから少女の髪の匂いを嗅いで、肩に手を置いて)「30になるまで、真面目な男は止めておきなさい。」この男がどう云う性道徳を持っているのかは知らんけれども、本当に気色悪い。
Biden offers dating advice to underage girl (VIDEO)

2022/09/01にバイデンがフィラデルフィアで行なった演説は、真紅の舞台装置が余りにもナチス第三帝国を連想させるものだとしてSNS等で話題になった様だが、演説の内容もまたファシズム的なものだった。要するに「リベラルな世界秩序(ワクチン・アパルトヘイト等のファシズム2.0やNATOによるロシア侵略や第三次世界大戦)に異議を唱える奴は誰であろうと容赦しないぞ」と言いたい訳だろう。

 演説の動画。
Watch: President Joe Biden gives prime-time speech on battle for 'soul of the nation'

 CNNではナチっぽさを薄める為に、背景の真紅をピンクに微調整して放送したらしい。画像を弄っているのががはっきり確認出来る。こすい手を使う奴等だ。
Bobby Burack @burackbobby_
 「ダーク・ブランドン」の由来については例えばこちら。
バイデン大統領の「コラ画像」がネット上で流行している「深い理由」

西洋型代議制民主主義の唱導者のドグマに従えば、民主主義社会では政府に対する支持率が高くならねばならない筈だが、民主主義の擁護者を自称するアメリカ帝国の国民で、自国が正しい方向に向かっていないと考える人の割合は、既に85%に上っている。特に民主党員のバイデンに対する不満が高まっている。

Bipartisan dissatisfaction with the direction of the country and the economy

デラウェア州のコンピューター修理店に残されたラップトップのハンター・バイデンの記録から、ジョー・バイデン米大統領が52歳の息子に10万ドルを送金していたことが判明。ハンターは2018年11月から2019年3月までの間にセックスワーカーに30,000ドル以上を注ぎ込んでいた。またニューヨークの薬物リハビリ・プログラムでの滞在用に更に20,000ドルの送金を約束した様だが、この滞在は実現しなかった様だ。

Joe Biden inadvertently helped Hunter pay Russia-linked escorts: report By Joshua Rhett Miller
 ハンター・バイデンに売春婦を派遣したのは「Uber GFE」と云う会社だが、この会社のオペレーター本社はキエフに在って、サイトには「ウクライナを助けよう」と云う特設ページが設けてある。寄付をした金は従業員とその家族の為の食料・住居・衣類・靴・薬の購入に使われるそうだ。

#supportukraine

ロイター/イプソスの世論調査では、バイデンの支持率は就任以来最低の36%にまで低下。民主党内でさえ76%から72%に低下。ギャラップの調査では、米国民の83%が経済危機について自国が完全に間違った方向に進んでいると感じている。まぁ支持率2割のゼレンスキーや2%のナワリヌイでさえ「民主主義のチャンピオン」と呼ばれ、支持率が世界最高の8〜9割と云う高止まりの中国共産党さえ「抑圧的独裁体制」とか呼ばれるのだから、マスコミを使えば現実は幾らでも捏造出来るよ。
Biden's approval sets negative record – poll

作られた食糧危機

★黒海穀物協定について西洋の主張していることが真っ赤な嘘であることを、国連のデータを用いて簡単に説明してみた。
国連データで見る黒海穀物協定の嘘

ウィリアム・エングダール氏の記事。他の記事と内容が被るので紹介だけしておく。2023/07/17にロシアが穀物協定の更新をしないことを発表したが、これは別に西洋大手メディアが恐怖を煽っている様に、穀物危機を引き起こしたりはしない。穀物危機は起こるが、それはウクライナの穀物を買い占めているEUの所為だ。
The World Does Not Face Wheat Crisis After End of Ukraine Deal

★2023/07/17にロシアが穀物取引から撤退した件について、スプートニクの記事をベースに纏めてみた。ロシアの決定はロシアの利益の観点から言えば完全に正しいし、それによって今更人道危機を引き起こす訳でもない。
ロシアが穀物取引への参加を一時停止したのは正しかった

★2022/12/20、赤十字国際委員会(ICRC)のアフリカ担当地域ディレクターであるパトリック・ユセフ氏のインタビュー。
赤十字:「穀物取引」で輸出された穀物の殆どはアフリカは届いていない(要点)

★ウクライナのゼレンスキーがアフリカ諸国の食糧危機を悪化させた経緯についての簡単な解説動画の要点。
ゼレンスキーがアフリカに向けた邪悪な素顔(要点)

★2022/11/02の穀物協定へのロシアの復帰について、アンドリュー・コリブコ氏の解説の要点。
ロシアが穀物取引を回復させることに同意した5つの戦略的理由(要点)

★ペペ・エスコバル氏の記事の要点。人道目的の筈の穀物回廊はロシア攻撃の為に軍事的に悪用されている。
痛み無くして穀物無し:プーチンの黒海復帰

カリフォルニアでは旱魃被害が深刻だが、その一因は鮭の保護を名目とした過剰なダム放水。ニューサム知事が出した「救済法案」の中身は野生生物の生息地回復、レクリエーション、ソーラーパネル、ダム取り壊し、井戸堀り禁止等、SDGs路線に沿った農業部門の弱体化。
A Sinister Agenda Behind California Water Crisis? Looming Food Supply Catastrophe

コリン・トドハンター氏の記事。現在の食糧危機は偶然発生した訳ではなく、2022/02/24以降に始まった訳でもない。これは何年も前からそう仕組まれていたものだ。後期資本主義社会の帝国主義システムは生き延びる為に、食糧生産や流通を含む実体経済を破壊しようとしており、その兆候は至る所に見られる。「持続可能な」云々と云う美辞麗句の下で進められているのは、グローバルなアグリビジネスによるフード・システムの支配強化だ。グローバルな階級戦争が現に上から仕掛けられて来ているのに、それを陰謀論だと否認するのは馬鹿げているし愚かなことだ。
An Engineered Food and Poverty Crisis to Secure Continued US Dominance
米国の世界支配の継続を守るため、食糧危機と貧困危機が演出されている

ワシントンのウクライナ紛争での真の狙いはドイツとEUの経済の弱体化であり、ロシアや中国との貿易を妨害することだと指摘する声は多い。米帝が覇権を維持する為に危機を作り出したのには、例えばキッシンジャーの1973年の所謂「シャトル外交」によるオイル・ショックの様な前例が有る。世銀やグローバル・アグリビジネスが推進する「食糧安全保障」は結局食糧主権と食糧自給自足体制の解体に繋がっているが、現在の食糧危機(食糧自体が不足している訳ではなく、サプライチェーンが混乱している)の様な危機は恰好の「ショック療法」の口実となる。より多くの化学物質、石油、遺伝子工学技術に頼ることを推奨する「解決策」は、つまりはより多くの農家が借金を背負い込み、依存に陥ることを意味している。
An Engineered Food and Poverty Crisis to Secure Continued U.S. Dominance

2022/09/09の発表では、ロシアは今年約3,000万トンの穀物輸出を目指しており、これを5,000万トンにまで増やす用意が有るが、裕福な国々ではなく食糧が不安定な国々が優先される。またロシアは最貧諸国に肥料を無償で提供する用意も出来ている。プーチン大統領に拠れば、穀物を積んでウクライナの港を離れた87隻の内32隻はトルコに留まり、30隻はEU諸国へ送られ、「国連食糧計画の最貧国」であるイエメンとジブチに行ったのはたった2隻だった。これらの船舶には約60,000トンの穀物しか積まれておらず、これは協定に基付いてウクライナが輸出した穀物の約3%に過ぎない。
Russia makes grain promise to poorest nations

2022/09/08のスペインのエル・パイス紙の報道に拠れば、国連のデータと船の追跡データを分析したところ、国連が仲介した取引に基付いてウクライナから輸出された穀物の少なくとも38%が、目的地たるアフリカの発展途上諸国ではなくEUに送られている。但しEUが貨物の最終目的地なのか経由地なのかを追跡することは不可能。ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は共に、西側諸国が嘘を吐いていると非難している。
Ukrainian grain going to EU instead of Africa – El Pais

iPES(International Panel of Experts on Sustainable Food Systems/持続可能なフード システムに関する国際専門家パネル)の報告書(2022/05/22)に拠ると、ウクライナ紛争が悪化させているのは食糧価格危機であって食糧危機ではない。世界的に食料不足が起きる可能性は無い。飽く迄問題は食料品に関する過度の投機や、食糧輸入への過度の依存、アグリビジネスに有利な欠陥の有る世界的な食料システムの操作だ。
SPECIAL REPORT | FOOD PRICE CRISIS

国連のウェブサイトは2009年に「世界飢餓の利点」を称賛する記事を載せていた様だが、現在では削除されている。著者はハワイ大学政治学部のジョージ・ケント教授で、「空腹の脅威」が無ければ低賃金労働力をを確保し続けるのは難しいと説いている。まぁ様々な国連組織が帝国主義システムの手先と化してショック・ドクトリンを各国に広めているのは公然の秘密ではあるが、ここまであからさまな表現を使っている例は確かに珍しい。国連広報センターは削除した後でこの記事は「風刺」だと主張する声明を発表した。

The United Nations Scrubbed this Article Heralding ‘The Benefits of World Hunger’ from Its Website After It Went Viral

2021年の国別の肥料輸出額一覧。ロシアは確かに世界最大の輸出国ではあるが、それでも全体の15%しか占めていない。ウクライナは僅か0.8%で、ベラルーシに至ってはトップ30ヵ国にすら入っていない。NATO/EUがその気になれば埋められる穴だ。世界的な肥料不足は意図的に引き起こされていると見るのが妥当だろう。

Top Fertilizers Exports by Country

不活性ガス窒素を削減する為に農地の強制売却と家畜の大量処分によって家畜の数を30%減らせと政府に命令されたことを受けて、怒って国中を封鎖したオランダの農民達の様子。
RadioGenova @RadioGenova

キット・ナイトリー氏の記事。オランダでは数万人の農民が抗議行動に立ち上がった。西側大手メディアでの扱いは例によって「排出目標に抗議している」などと誘導しようとしているが、この「窒素汚染のレヴェルを下げる」為に投資される250億ユーロは、主に「オランダの畜産農家の産業の移転または撤退」に対して支払われる。具体的にはこれは豚、鶏、牛の数を約30パーセント減らすことを意味している。つまり食糧危機が叫ばれる最中、意図的に農業部門が破壊されようとしている。英米政府は既に「環境を守る」と云う名目で自国の農家が肉生産を減らせばカネを払う法整備を行なっているが、デンマーク、ベルギー、ドイツもまたこの自殺に等しい政策を推進しようとしている。更には西側はロシアとベラルーシに対する制裁によって肥料不足を引き起こしている(そして食糧不足はロシアの所為だと主張している)。

The Dutch Farmers’ Protest and the War on Food

グリーン・アジェンダやCOVID-19「対策」、対ロシア制裁等の蛮行によって経済は順調に破壊されて来た訳だが、欧州では既に食料や天然ガスの配給が実行されたり予定されたりしており、国連は「前例の無い世界的な飢餓危機」について公然と警告を発している。雪崩が始まるのはもう直ぐかも知れない。
Rationing Has Already Started in Europe as the Entire Globe Plunges Into a Horrific Economic Nightmare

★キット・ナイトリー氏の記事の要点。グローバル・パワー・エリート連中は食糧危機を作り出すことで一体何をやりたいのか?
作られた食糧危機の背後に在る本当のアジェンダ(要点)

コリブコ氏の記事。西側諸国やウクライナは自分達が作り出した食糧危機の責任をロシアになすりつけているが、他方ブラジルの農業大臣はロシアが輸出してくれた肥料のお陰で自国の作物が救われた、と公式に感謝している。BRICSや新たなるビッグ・エイトの一員として、ブラジルは西側の反ロシアの狂気に引き摺られて自国の主権を投げ捨てる様な真似はしていないし、ロシアはブラジルを支援する為に出来る限りのことをしている。
The West Doesn’t Want The World To Know That Russia Just Saved Brazil’s Crop This Year

★「ロシア軍が食糧危機を作り出している/ウクライナの穀物の輸出を妨害している」と云う西側の主張に対するプーチン大統領の反論の要点。
ロシアTV第1チャンネルによるプーチン大統領のインタビュー(要点)

2022/05/03更新記事。米帝とカナダではここ数ヶ月で20もの食品加工施設が、原因不明のものを含む火災や爆発、飛行機墜落事故等によって損害を受けており、食品の高騰を加速させている。偶然が重なっただけかも知れないが気になる展開。

EXCLUSIVE: Food shortages magnified by string of destroyed food processing facilities

2022/05/18のロシアのネベンジャ国連大使のスピーチのコリブコ氏による解説。西側は現在の食糧危機の原因がウクライナ紛争だと主張しているが、これ以前に既に紛争、異常気象、経済的混乱、COVID19(対策)によるサプライチェーンの混乱、米国主導の西側の金融注入の急増、貿易戦争や農業市場規制等が食糧危機を作り出していた。グリーンエネルギーへの無謀な移行も一因。
 水路を封鎖しているのはロシアではなくウクライナであり、ロシアは農産物と肥料を輸出する用意が出来ているが、西側からの二次制裁を恐れる他国との協力関係が構築出来ていない。キエフから輸出された穀物はそれを緊急に必要としているグローバルサウスにではなく、武器と引き換えにEUへと届けられるのではないかと云う合理的な疑いが有る。最貧諸国は西側の無責任な地政学ゲームによって苦しめられており、ロシアに責任転嫁することは馬鹿げている上に醜悪だ。

Russia Explained How The West Is Responsible For The Global Food Crisis
 ネベンジャ国連大使のスピーチ全文。西側のヒステリックな大言壮語と違って相変わらず理路整然としている。
Statement by Permanent Representative Vassily Nebenzia at UN Security Council open debate "Conflict and food security"

★何年も警告され続けて来たが実現して来なかった食糧危機が今漸く本物になりそうな事態について、キット・ナイトリー氏の記事の要点を私が纏めたもの。
彼等が食糧危機を作り出している5つの兆候(要点)








ライアン・マターズの3部作その3。マスコミが触れない本物の環境危機である栄養素が枯渇した食品、内分泌撹乱化学物質、電磁放射について。今本当に優先すべき環境問題は気候変動ではない。
The Unseen Environmental Crises Destroying Humanity

真に持続可能な農業としては、農業生産における生物学的・生態学的プロセスを利用、維持、強化する農業生態学や自然農法等が考えられるのだが、ロックフェラーの様な現代農業の推進者達はこの選択肢には全く関心を持っていない。
Agroecological and other innovative approaches

野菜や果物の栄養素含有量は何十年も低下し続けている。大きな原因は土壌の劣化。「現代農業」である土壌侵食を減らす不耕起栽培法はGMO、除草剤や人工肥料の多用に依存しており、土壌中のミネラルの劣化を引き起こしている。
Why are there Fewer Nutrients in Our Food?

英国の環境土地管理スキームでは、SDGsの掛け声の下で「きれいな自然」を促進することが重視されている。農作物や家畜の生産量を増やして食料自給率を上げることは「持続可能な経済」構想には含まれないらしい。
Environmental Land Management schemes: overview

エングダール氏の記事。現在世界人口の約半分が窒素肥料に依存しているが、「実質ゼロ」経済により天然ガスやメタンの価格が世界的に5倍に高騰し、食糧安全保障が脅かされている。これは予測可能なことだったので、農業破壊もまたグローバル・アジェンダに組み込まれていると見るべきだろう。
Now The Organized Takedown of Global Fertilizer Supply?

コロナウィルス・パニックにより食糧危機が叫ばれる一方で、経済停止による需要の低下によって、酒、肉、牛乳、ジャガイモ等、大量の食糧がゴミ箱行きに。市場経済は確かに何処か非常におかしい。
Reminiscent of Great Depression? Here is a list of food & booze gone down the drain due to Covid-19

エングダール氏の記事。「持続可能な農業」の名の下に農業破壊が進んでいる。二酸化炭素濃度削減を掲げるEU版グリーン・ニューディール"Farm to Fork"では、農薬を減らす為に導入されるのが遺伝子編集とCRISPR技術を使用した動植物。結構な宣伝文句を鵜呑みにするととんでもないことになる。
Farm to Fork: How the EU and the Davos Cabal Plan to Control Agriculture

国連の食糧システムサミットで取り上げられている諸問題は尤もらしいが、「解決法」として提唱されているのがもっと大規模な官民パートナーシップ。小規模農家等による草の根運動の意向は全く反映されず、ゲイツ財団や世界経済フォーラムの様な連中が影響力を揮っている。
How big corporations and Bill Gates took over the UN food Summit

オランダ政府は窒素排出量削減の為、数百人の農民を買収し、必要に応じて土地を徴用すると発表。予算は最大170億ドルで、徴用された土地はより「持続可能な農業」に使用される。動物の数が減って環境汚染も減るそうだ。
Total Insanity: Dutch Cabinet Plans to Take Farms from Farmers to “Combat Global Warming”

最新のカラバフ紛争について、手短なファクト・チェック(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の解説の抄訳。2023/09/19にアゼルバイジャンが「対テロ作戦」を開始したことに関して・取り敢えず押さえておくべきポイント。西洋は地域戦争を引き起こすためにアルメニアを利用しているが、ロシアとイランはそれに騙されていない。「対テロ作戦」は違法だなどと主張している人も居るが、これはリビアの時の様なNATOの軍事介入を正当化するものだ。
A Quick Fact-Check Of The Latest Karabakh Conflict



 2023/09/19、アゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフ地域で対テロ作戦(ATO)を開始したと発表したが、これは動揺したアルメニア支持者等からフェイクニュースと恐怖キャンペーンを引き起こした。ATOは「違法」であると事実に反する主張をする者も居れば、アゼルがキリスト教徒のジェノサイドをやるだろうなどと無茶な予想をする者も居た。

 こうした偽情報の物語とその補足要素は、NATOが主導する、リビアの時の様なアゼルバイジャンに対する戦争を正当化することが目的だ。誤解する者が居ないよう、何が起こっているのかについての事実を以下に示す。



 1)カラバフはアゼルバイジャンの一部として広く認識されている。

 カラバフにはアルメニアの分離主義者等が居て、「独立」を宣言しているが、これを承認した国連加盟国はひとつも存在しない。これにはアルメニア自体も含まれる。

 国連安保理は1993年の04/3007/2910/1411/12の4つの決議を可決しで、アルメニアに対しアゼルバイジャンの領土から軍隊を撤退させるよう要求している。

 従ってアゼルはATOを実行する完全な国際法的権利を有しており、如何なアクターも介入する国際法的権利を有していない。



 2)アゼルの武器の殆どはロシアから来ている。

 よく知られた偽情報では、アゼルは主にトルコやイスラエルから(どちらもイデオロギー上の理由から、カラバフのキリスト教徒等に対するジェノサイドを行いたがっていると主張されている)武器を調達していることになっている。
 
 だがSIPRI(ストックホルム国際平和研究所)の報告書は、2011〜2020年間の武器の60%がロシアから来たことを証明した。

 若しアゼルがキリスト教とに対するジェノサイドを実行しようとしていると云う噂に信憑性が有るなら、プーチンはアゼルへの武器売却を許可しなかっただろうし、況してや過去10年間にこれ程多くの武器を売る筈も無い。



 3)ロシアが相互防衛義務を負っているのはアルメニアの領土に対してだけ。

 広く信じられているもうひとつの偽情報は、アルメニアに対するロシアのCSTO(集団安全保障条約)の相互防衛義務が、カラバフ地域(ここはアゼルの領土であると世界的に見做されている)にまで及ぶと云うものだ。だが、CSTO憲章を読んでみれば判る通り、条約の範囲は加盟国の領土内に限られることが明記してある。

 主流メディアにも代替メディアにも、この誤った前提にしがみ付いて、この義務がロシアに介入を迫るかも知れないと考えている者達が居るが、それは誤りだ。



 4)ロシアの平和維持軍は戦闘を法的に止められない。

 3)の補足として、カラバフに駐留しているロシアの平和維持軍には戦闘を停止する法的義務が有ると多くの人が誤って主張しているが、これも真実ではない。

 モスクワが仲介した2020年11月の停戦の詳細ははアルメニア首相の公式ウェブサイトで読むことが出来るが、そのことについては何も言及されていない。

 更に09/19、ロシアの国家院防衛委員会アンドレイ・カルタポロフ委員長はTASS通信に対して、ロシア平和維持軍は自らが脅かされない限りは武器を使用出来ないことを認めた。



 5)アルメニアは既に自国の領土全体を横断する地域回廊に合意している。

 2020年の停戦合意に於て、アルメニア領土を横断する地域回廊の創設が規定されているが、この回廊はロシアの国境警備局によって保護されることになる。

 従って、アルメニアのシュニク県を挟んでナヒチバン地域と繋がりたいと云うアゼルの願望は、一部の人が主張する様な「帝国主義的」なものではなく、停戦時に三国全てが合意した地域地経学的プロセスを実行しているに過ぎない。



 これらに関連する過去の記事も挙げておく。
 It’s Easy To See Why Russia Is So Dissatisfied With The Armenian Premier’s Latest Interview
 アルメニアの最近の3つの対ロシア挑発は新たなカラバフ紛争を引き起こす危険性が有る(抄訳)
 イランが新たなカラバフ紛争に巻き込まれたら、米国は大喜びするだろう(抄訳)
 Russia & Iran Are On The Same Page Regarding Armenia
 US expert: Armenia is playing a very dangerous game’



 要点だけ言うと、西洋は地域戦争を引き起こす為にアルメニアを利用しているが、ロシアとイランはそれに騙されていない。
プロフィール

川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
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